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サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

2015 ロシアワールドカップ二次予選 「日本対アフガニスタン」のレビュー

さて皆さん、こんにちは。本日は先日行われました「日本対アフガニスタン」のレビューをお届けします。試合自体は6-0で日本が勝ちました。久々の大勝でしたので、最近、日本代表の試合みてモヤモヤしてた方は、スカッとしたのではないかと思います。


今回の試合なんですが、有り難い事に割と書くことはあります。なので、この日のハリルホジッチが取った戦術と、アフガニスタンの守り方の話から入りたいと思います。



日本対アフガニスタン、スタメンとアフガニスタンの守り方


まず、両チームのスタメンから入ります。ただ、アフガニスタンの選手は誰も知らないので、そっちは勘弁してください。



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スタメンはこうなってました。日本は左WGに原口が入った4231、アフガニスタンは442となってました。この日の相手のアフガニスタンなんですけど、守り方が極端な事やってまして、


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これ試合開始直後から、ずーっとこうだったんですけど、アフガニスタンはホームで11人ドン引きという身も蓋も無い事やってきました。試合中、「これ許されるのか?」という感じで呆れて見てましたが、ホームで11人ドン引きとか普通無いです。アウェーならともかく、ホームで11人ドン引き442ブロック、FW二人が日本のボランチを見るとか、日本をリスペクトしすぎだろという感じです。ぶっちゃけ、天皇杯なんかでJ3のチームがJ1のチームをジャイキリする事が時々ありますが(昨日、名古屋と清水がやらかしてますけど)、何が起こるかわからないのがサッカーなんだし、あそこまで日本をリスペクトする必要ないだろうと。この日、恥も外聞もなくドン引きしてるアフガニスタン代表にブーイングが飛ばないのは不思議でした。アフガニスタン人はアレで良いのでしょうかね?前にFW残してないので、カウンターすらロクにできない布陣です、コレ。この日の試合なんですけど、前日コメントで長谷部なんかが「アフガニスタンは前にでてくるかも云々」言っていたので、僕は前に出てきてくれるのかな、と思っていたのですが、予想は完全に裏切られる形となりました。コレはハリルホジッチも同じだったと思います。アウェーで11人ドン引きされるとは思ってなかったでしょう。ハリルホジッチもそろそろアジアに慣れてきた頃なんで言っときますが、アジア相手には速攻できません。どこも日本相手にはドン引き、少人数のカウンターというゲームプランで来るからです。前にでてきてくれるの、オージー、韓国、ウズベキスタン位です。



とまあ、そういう訳で、この試合もゴール前固める相手をどうやって崩して点とるかという、典型的なアジア相手の試合となった訳です。


この試合におけるハリルホジッチのゲームプラン

さて、アフガニスタンはホームで442ドン引き、11人でゴール前にバス停戦術を敷いてきた訳ですが、こっからはハリルホジッチのターン。さて、こーいう相手をどうやって崩しまショーという話になるんですが、この日のキーマンは二人。原口と山口蛍でした。これ、この日の一点目に、この日のハリルホジッチの戦術の全てが凝縮されているので、動画貼っておきますね。





アフガニスタンvs日本代表 ゴールハイライト Afghanistan Japan Goals - YouTube



これの香川の一点目です。動画だけだとわかりにくいので、図でこの時の攻めの流れを説明しますが、


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こういう流れでした。ずーっと前に、うちのブログで「サッカーにおける代表的なコンビネーションプレーのお話」って記事を書いて説明した事ですけれど、これは「カットインからのコンビネーション」で、サッカーの代表的なコンビネーションプレーの一種です。WGを使ったサッカーのもっとも代表的なプレーでして、サイドに張ってるWGを使って、相手のSBとCBの間にスペースを作り、そのスペースにトップ下かボランチを走り込ませる事で、相手チームのボランチを最終ラインに吸収させ、空いたスペースにWGがカットインしていくって形になります。


この日、アフガニスタン相手に日本が延々とやっていたのが、この攻撃でして、前半5分にはすでにやってるんですけど、


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こうですね。


この日のハリルホジッチの序盤の戦術は、WGをサイドに開かせ、ピッチを広く使い、トップ下かボランチがSBとCBの間に走り込むって形です。これは先日、カンボジア戦のプレビューやった時にも話した事ですけれど、以前のドイツ代表が得意にしてた形です。この日の試合なんですが、これでいきなり点とれたのはホントに良かったです。相手が11人ドン引きの試合なので、早い時間帯で先制したかったのですけれど、理想的な時間に先制点が取れました。


この日の試合なんですが、山口蛍と原口がやたらと目立っていましたが、それはこーいう理由です。この後、前半33分にはCKからの流れでモリゲがゴールして二点目。上手くいくときは上手くいくもんです。CKからさっぱり点がとれなかったのに、あっさり点とれちゃいました。


ただ、あまりに上手くいってるモンだから、はっちゃけすぎたシーンもありました。前半35分ですけど、


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このシーンなんですけど、香川と山口がSBとCBの間に走り込む事で、原口が中央にカットインするコースを作るのは良いんです。ただ、両SBが高い位置とったまま、ボランチまでゴール前に突っ込んでる為、「後ろも誰もINEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!」って状況が出来てます。この攻撃はクレージーです。当然、この後、カウンター食らいかけました。そういや、ハリルホジッチが、W杯における日本対コロンビアの試合見て、「(試合の最後)後ろに誰もいなかった。ああいう試合は二度と見たくない」とか仰っていましたが、まあ、日本代表のカミカゼ・アタックは風土病みたいなモンでして、「両SBが上がって両ボランチまでゴール前に走り込む万歳サッカー病」は岡田ジャパンでもザックジャパンでもハリルジャパンでも発症しました。代表監督がどうやっても完治しないので、諦めてください。




まあ、この試合は、アフガニスタンが11人ドン引きしており、前半は前にFWを一人も残してたなかったのでカウンター気にする必要はあんまりなかったんですけどね。正直、日本が両SB上げて、ボランチをガンガン攻め上がらせる攻撃やってきた時点で、アフガニスタンは前に一人FW残せよって思ってみてましたが、それでも11人ドン引きを続けてました。日本はカミカゼ・アタック大好きですが、アフガニスタンは塹壕戦が大好きなんでしょう、多分。



この試合なんですけど、左サイドの攻撃はホントに上手くいってました。でもって、サイド攻撃が上手くいってると、当然、中央も上手く使えるようになってました。前半13分には、一度、左サイドにボールを当てて、相手のSBを引っ張り出し、そのスペースに香川が走り込んでボランチを中央から動かし、空いた中央のスペースに降りてきた岡崎に楔を打ち込むって流れで攻撃出来てます。あれは非常に良い流れでした。


この日の前半は、ほぼ理想的な展開で終えることができてます。相手のチャンスは、日本がアホみたいに両SB上げ上げ、両ボランチがゴール前に殺到なんて馬鹿みたいな事やらかした時位で、バランス取って攻めてる時は、相手はほぼノーチャンスでした。



ただ、問題もあって、この日の右サイドなんですけど、本田が例の病気をこじらせてしまい、なんかよく分からない事になってました。この話は試合後半のキャプ使って説明しましょう。



日本対アフガニスタン、後半における問題


この試合なんですが、後半で4点取ってるわけで、前半より点とれてたんだから、あんまりグチグチ言うのは良くねぇんですが、後半で「うーん・・・」というシーンがいくつか見られたので、本田がらみの右サイドの話をしときます。



シンガポール戦の後、レビューで「日本の右サイドの渋滞」の話をしましたけど、後半開始直後、またやらかしてまして、



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このシーンなんですけど、長谷部と本田と岡崎がみんな同じスペース使おうとしてるんですわ。図でやると、


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こうなるんですけど、このシーンだと、相手のSHが酒井ゴリのマークにサイドにでてるので、ボランチとSHの間にギャップが出来てる訳です。そこに長谷部、岡崎、本田が殺到してるシーンで、3人が同じスペース使おうとしてどうするの?という話です。シンガポール戦で、それやっても何も起きないってわかったでしょ・・・・


さらに呆れたのは、この後の2:58のシーンで

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思わず安西先生登場。


この日の試合、右サイドが昨日不全だったんですけども、結局の話、本田が中に入るべき所とサイドに張るべき所の使い分けがビタイチできてねぇんです。本田がやりたいプレーってのは、岡崎の5点目の時みたいなプレーで、ボランチとSHの間のギャップでボール受けてターンして、CFかトップ下とのパス交換から一気にゴール前へって感じなんでしょうけど、ほとんど常時中に入って来ちゃってて、SBとCBの間に長谷部や香川が走り込むスペースがないんですね。ちょっと本田がやりたい事と、香川・長谷部がやりたい事、岡崎がやって欲しい事を図でやりますけど、


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これは中にはいってきてる本田がやりたい事で、あそこの白で囲ったスペースでボール受けてターンしたい訳です。あそこでターンして違いを作るってのはレフティの仕事といって良いです。


一方で、他の連中が本田にやって欲しい事は、



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こっちなんですよね。右サイドではイメージの齟齬が起きてるんです。



この試合の後半なんですけど、途中から原口を右SBにいれてるんですが(このチームにおける原口の便利屋のごとき扱いには涙が出そうですが)、本田の中に入りたがる病がそこからさらにひどくなり、最終的には本田をトップ下にして、両サイドを宇佐美と武藤にするってトコにハリルホジッチは落ち着いてました。



この辺り、ハリルホジッチの考え方が、ちょっとよくわからないのですけど、就任当初から本田が中に入ってくるのを放置してるんです。一方で、香川とか長谷部に、右サイドのSBとCBの間に走り込む動きをさせてる訳で、右サイドのビルドアップがチームとして混乱してんですよね。明らかに。




この試合の後半は4点取れてるわけで、あんまグダグダ言ってもしゃーない事なんですが、右サイドのアレははっきりいって感心しません。早い所、何とかしてほしいです。


ちょっと言わせて貰うと、本田がどうしても中に入るのやめられないっていうなら、日本代表は攻撃時に、



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こういうポジションチェンジやったほうがいいです。これ、ドルトムントがやってるやり方ですけどね。これなら、本田が中にはいってきても問題ありません。ただ、今回の試合みたいに、ボランチやトップ下のSBとCBの間への走り込みをメインにした攻撃するなら、本田、サイドにきちんと張ってなさいって話です。じゃないと右サイドで組み立てできないので。


ちなみにですが、どういうやり方しても、これらのサッカーはカウンターに弱いです。前がかりになりやすい布陣なので、カウンター一発で失点しかねません。


今日はこのあたりで。ではでは。

書評「Jリーグ再建計画」とJリーグの経営の今について

本日は割と堅い話になるが、Jリーグのチームの経営については扱いたいと思う。


これについては、先日読了した、



Jリーグ再建計画 (日経プレミアシリーズ)

Jリーグ再建計画 (日経プレミアシリーズ)



の書評もかねて行いたいと思う。


実は、Jリーグの経営の話については、先日、


Jクラブ個別経営情報開示資料(平成26年度)


で、J1のクラブの経営情報が開示され、2014年のJクラブの経営状態が明らかになった。


結論からいっちまうと、幾つかのチームは色々ヤバイ。


「Jリーグ再建計画」について


まず、本の話からになるけど、先に紹介した「Jリーグ再建計画」については、サッカーライターの秋元大輔さんが、大東和美前チェアマン、村井満チェアマンなどといったJリーグの要人にインタビューして書かれた本となっている。内容としては、「何故2ステージ制を採用しなければならなかたのか?」という話や、「現在のJリーグの窮状」についての話などがメインになっている。


この本でも扱われているけれど、2ステージ制への移行をせねばならなかった理由として、「2014年からJリーグ本体に最大13億円の減収予測がたった」というものがある。これは主に放映権料の減額を提示された事が原因だったと言われる。この本にもあるが、もともとJリーグは地上波では視聴率が3~4%しか取れず、スカパーのJリーグ部門も赤字みたいなんで、放映権料ビジネスという点で、Jリーグは全く採算が取れない状態に陥っていた。


一方で、野球の夏の甲子園もそうだが、一発勝負のトーナメントはプロ野球の視聴率が全然取れない時代においても、相変わらず視聴率が良い。具体的には決勝になると視聴率が20%くらい取れる。


そして、これはサッカーもそうなんだが、高校サッカー選手権の決勝のほうがよっぽど数字が取れるというのが現状だったりする。去年、高校サッカー選手権決勝「富山第一×星稜」が、富山県内で瞬間最高視聴率62.6%を記録したそうだが、トーナメント形式の一発勝負を一般人は好むみたいな所があったりするのだ。


なので、Jリーグ上層部と、メディア関係者が「プレーオフやってほしい」と願うのも、しょうがない部分があると思っている。サッカーファンとしては、一発勝負のプレーオフでリーグ戦の王者を決めるなど、とてもじゃないが納得は出来ない。サッカーってのは運の要素が強いスポーツであり、一発勝負では、何が起きるかなんて予測がつかないからだ。リーグ戦38試合もやれば、かなり実力が順位に反映されるが、一発勝負のトーナメントってのは、実力が順位に反映されるとは言い難い。だから、僕も、プレーオフで年間王者を決めるというのは納得しがたい部分がある。だが、リーグ戦では優勝がかかった試合ですら視聴率が取れない以上、視聴率とれそうなプレーオフやらないと、ダメなんかなとは思う。(プレーオフですら視聴率とれなかったら、本格的にJリーグやばい)



さて、Jリーグ本体の年間予算は120億で、配分金はJ1は年間2億~2億5000万、J2は一億となっている。この本でも扱われているが、13億円の減収が生じた場合、減額幅はJ1の1クラブあたり4000万、J2の場合2000万と試算された。


この状態で、2014年のJリーグ経営情報開示と照らしあわせてみよう。


Jクラブ個別経営情報開示資料(平成26年度)


こちらになるが、明らかにヤバイクラブがある。プロサッカークラブは企業であり、当たり前だが、「借金返せないとデフォルトする」存在である。この観点からいうと、2014年の柏、横浜FC、福岡なんかは、ちょっと危ない。2013年に福岡の経営危機が表面化したけれど、2014年の財務状態を見る限り、福岡は流動資産(現金なんか)が1億3700万円にたいして、流動負債(一年以内に返さないといけない借金)が2億6800万円となっており、この状態で2000万円の減益が発生すると、資金ショート起こしかねない状態だった。福岡は依然として危機的な状態にある事は変わっていない。J2のクラブで、持ってる現金にたいして、短期の借金が大きいクラブってのが、去年の横浜FC、福岡なんかで、こーいうクラブは配分金減額されると資金ショートおこしかねない。J2は特に深刻なのだ。




ただ、J1でもやばいクラブってのはある。一番は柏さんで、光り輝く流動負債10億4100万円。一方で、流動資産は2億2900万円となっており、親会社から資金補填してもらわないとこれ無理じゃね?という状況にある。親会社がいなかったら、柏さんは2014年に選手とスタジアムを売り払わないと無理になってただろう。はっきり申し上げておくけれど、柏さんの財務状態は悪い。もの凄く悪い。入場料収入もグッズ収入も細い。そしてスタジアムは拡張が難しいので入場料収入を伸ばすのは難しい。さらに、チーム人件費が営業収入の6割をこえており、サッカークラブの適正水準と言われる5割を大きく上回っている。この赤字を広告収入という形で親に補填してもらってる格好だ。親が元気だからいいけれど、親が倒れたら、間違いなく柏さんトコは潰れる。そういう風に出来ている。




次に、やばいというか、もうどうやってやりくりしてんだかよくわからないのが神戸である。神戸も親がミッキーなんで、すぐにつぶれたりはしないのだが、毎年のように赤字をだす万年赤字クラブだった。ちなみに、神戸の数字の中で面白いのは、神戸が赤字をだすと、固定負債がその分増えるという構造である。ま、ミッキーだしね。ただ、クラブライセンス制度の問題で、2014年は流石に赤字をだす事は出来なくなった(3年連続赤字だとクラブライセンスがもらえない)。で、神戸は何したかっていうと、光り輝く特別利益22億5000万円計上である。これによって、神戸の固定負債は2013年の19億9100万円→2014年3億1800万円へと圧縮されたのでした。めでたしめでたし。親がミッキーじゃなかったら、ここもとっくの昔に死んでるクラブである。ミッキーについては、現場に口だすって事で嫌ってるサポもいるみたいだけれど、ミッキーいなかったら、とっくの昔にぶっつぶれているクラブなんで、まあ、大目にみてあげたほうがいいじゃないですかな、と。ミッキーがいなかったら2014年で神戸は潰れてましたyo。




もうひとつ、横浜FMについても扱っておく。「Jリーグ再建計画」では横浜FMの話に、かなりのページが割かれている。この本でのマリノスの嘉悦朗のインタビューはなかなか面白くて、僕は興味深く読ませて頂いた。なかなかのやり手だなあ、というのが僕の印象である。実際に、2010年に嘉悦さんが社長に就任してから、マリノスは入場者数を順調に伸ばしており、入場料収入も伸びている。これは、嘉悦社長が就任してから、地道に取り組んできた成果であり、評価できる。また、就任直後から、マリノスの改革のために、「マリノスは実は赤字です。親の補填をうけないと成り立たないクラブなんです。」って事を内外に公表したこともプラスだった。これによって、クラブ内部で「このままじゃダメなんだ」っていうコンセンサスが出来、改革のための意思統一ができたからだ。ただ、一方で、赤字体質の改善は上手くいっていない部分がある。マリノスは2010~2012までは赤字のままで、流動負債がどんどん膨らんでいった。2012年には、マリノスの流動負債は20億1700万円まで膨らんでおり、一方で流動資産は4億8000万円。ここも、いつ突然死してもおかしくない状況となってしまった。手持ちの現金4億に対して、一年以内に返さないといけない借金20億は多すぎる。フツーの中小企業なら資金ショートでぶっつぶれてもおかしくない。マリノスが2013年に10億の特別利益を計上したのは、クラブライセンス制度の問題もあるが、財務構造上、非常に悪い状態になっていたという背景があった。マリノスは2014年の広告収入が20億5900万円となっており、2013年度の15億1300万円より5億以上多くなっているのだけれど、これも親からの補填と見るのが無難だろう。嘉悦社長は、就任以降で、マリノスの営業収入を10億近く増やすことに成功したやり手だが、借金経営、そして親からの補填を受けての2014年の営業収入45億という形である。まあ、それを内外に隠すことなく発表してくれたおかげで、Jリーグのサッカークラブの実情ってが白日の目に晒されたのだけれど。



最後に湘南の話もしておこう。湘南ベルマーレというチームを「Jリーグ経営情報開示」で見ていくと、「ファッ!?」となる部分がある。どこが変かというと、アカデミー運営経費がゼロなのだ。なんで、アカデミー運営経費がゼロかっつーと、ここにはちょっとしたカラクリが存在していて、湘南は、アカデミーを本体から切り離しており、「NPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブ」として運営しているんだ。なんでNPO法人にしてるかってーと、NPO法人なら、TOTOの助成を受けられるんだな。プロサッカークラブ直属のアカデミーだとTOTOの助成がおりないんだけれど、こうすればTOTOの助成がおりるって訳。そんな理由で、ベルマーレのアカデミー運営経費がゼロな訳さ。


Jリーグの理念、「脱企業スポーツ」


今回の話の〆としては、この話になるのだけれど、Jリーグは発足当時から、「脱企業スポーツ」を理念として掲げてきた。ただ、現実的には、Jリーグの創生期に参加したクラブの多くは親会社をもっていた「企業型スポーツクラブ」であり、「市民クラブ」ってのは、その後に参入していったクラブとなっている。



いわゆる親会社がバックについているチームはJ1に多く、親がいない市民クラブタイプは、大概J2ってのが現状だ。市民クラブの予算は5~10億がせいぜいで、J1を戦うような戦力を揃えることは出来ない。出来たとしても、毎年のようにふくれあがるチーム人件費という問題に直面することになる、つまり今のサガン鳥栖だ。鳥栖さんは、営業収入18億にたいして、チーム人件費11億となており、人件費が60%を超えてしまっている。サッカーにおける選手人件費の適正水準は50%以下とされているから、鳥栖さんは非常に危険なゲームをしている事になる。実際、ここ2年赤字なのだ。クラブライセンス制度の問題から、来年は赤字を出せない。



結局の所、市民クラブのままだと、J1で戦うのは難しいし、戦い続けるのはさらに難しい。現実的には、親がついてないと、という奴だ。脱企業スポーツというJリーグの理念は、達成されたのかというと、残念だが、強いクラブは親もってる企業型クラブである以上、理念と現実の間にギャップがあると言わざるをえない。



今回の話はJリーグのクラブ経営の難しさばかり強調してしまったが、期待がもてるクラブもある。「Jリーグ再生計画」の中でも触れられているが、川崎なんかは、割と期待がもてる。現状は入場料収入が細く、広告収入依存の典型的な親会社依存のクラブだけれど、等々力の改修が終わり、2020年までに3万5000人入るようになれば、川崎は浦和並に金のあるクラブになれるからだ。


ただ、やっぱり市民クラブは厳しい。ほとんとの市民クラブは良いスタジアムを持っていないので入場料収入には限界があり、広告収入は親がないので集めにくい。放映権料はTVでJ1ですら視聴率を取れないので頭打ちとなっており、ここから成り上がるのは非常に難しい状況なのだ。さらにクラブライセンス制度のせいで、赤字出せない状況なので、「身の丈経営」だとチームの強化なんてままならない状況となっている。



湘南の叫び「Jリーグが規制緩和しないと市民クラブはしんどい」



こないだ、湘南の社長が色々と言っているけれど、「脱企業スポーツ」というJリーグの理念は大事な事なんだけれど、現行のルールだと、親がついてるクラブが有利すぎるってのがあるし、何とかならんもんですかね、とは思う。結局の所、クラブライセンス制度がある限り、赤字だしても親が補填してくれるチームが有利になっていく一方だ。湘南サポとしての妬み嫉みが入っているけれど、赤字だしても親が補填してくれるクラブと、赤字だしたらそのままクラブライセンス取りあげられちゃうクラブ、どっちが強くなるかなんて明白じゃないですか。



この話になると、「チーム名に企業名いれてもいいですか?」という話になるので、難しいのは分かっているのだけれど、そろそろ、ちょっと考えてくれてもいいんじゃねぇかなと。


ま、今日はそんな話なんでしたとさ。

2015 ロシアワールドカップ二次予選 「日本対カンボジア」のレビュー

さて皆さん、こんにちは。本日は先日行われた2015年ロシアワールドカップ二次予選「日本対カンボジア」でお送り致します。



今回の試合なんですが、先日にプレビューやった時に言及しましたが、最初の見所が「カンボジアがスカウティングの予想通りの入り方をしてくれるかどうか?」でした。具体的には、相手が5311で試合してくれるかどうかにかかってました。結果はどうだったかというと、カンボジアは日本が想定していた通りの布陣できてくれました。つまり、5311でした。日本のフォメも、前日にメディアにすっぱ抜かれたのと全く同じ。4231でしたんで、



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こうなってました。


これ、プレビューで書いたことですが、4231と5311がやりあった場合、



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この白で○で囲ったスペースが問題になります。あそこはデフォで空いてます。このサイドがデフォで空いてる問題は、日本代表の選手も事前に知らされていたらしく、モリゲが



森重真人(FC東京)

「集中力が一番大切な試合」

 ビルドアップのところが今回の試合はできると思うし、サイドのスペースが空くので、サイドからどういう形で中にうまく入り込んでいくのか。そういった形を今回の合宿で練習していましたし、最初から中、中ではなくて、引いてくる相手に対してサイドから始めて、うまく中を使いながらというのができると思う。基本的にはサイドや相手の裏というのを狙っていくと思います。



長谷部誠「しっかり勝ち点3を取る」 カンボジア戦前日 選手コメント

こんな事を前日に言ってるんですね。モリゲらしいというか、メディアにチームの基本戦術を喋ってくれてるわけで有り難い事この上ないですホントに。モリゲのコメント見る限り、サイドのスペース使った攻撃を練習してたらしいので、それメインになるだろうなあとは思っていた訳なんですけどね。


(ちょっと心配なのは、CBがこんなにチーム戦術をべらべら喋っていいのだろうか・・・って事位です。)



まあ、それはチームの問題なんで、本題に入りましょう、今回の試合のレビューを開始します。今回はホントにレビューやるのは楽な試合で助かります。


日本対カンボジア、前半のレビュー

さて、この試合の場合、カンボジアは日本のスカウティング通り、5311で入ってきてくれました。日本はいつも通りの4231。さて、この試合で最初に見られたカンボジアの守備方法ですが、




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こーなってました。プレビューでも扱いましたけど、これはほぼ予想通りの動き方です。図にすると、


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こうなるんですけど、ここで大事なのはカンボジアのトップ下が日本のボランチを必ず捕まえる事。インサイドハーフはSBのマークに出るし、中央のアンカーはトップ下をマークしとく必要があるので、トップ下が必ずボランチ捕まえないといけない。とまあ、このシーンはカンボジアに問題ねぇんです。



ただ、問題はここからで。


これね、前半3分あたりから、主にカンボジアの左WBがおかしな事はじめるんですけど(左WBの16番は前半で交代させられちゃうんですが)


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ここでのカンボジアの守備陣の動きは特に間違って無くて、本田がDFを背負う状況でボール受けざるを得ない状況に追い込んでます。これ、DFにとっては非常に対処しやすい状態で、「ボールも人も視界にいれた状態」で、「相手はゴールを背にしてボールを受けてる」訳で、DFが圧倒的に有利な状態なんです。ところが、ここでカンボジアのインサイドハーフ(以下、IH)とWBは本田がターンして前にパス出せる状態にしちゃうんです。


これは絶対にやってはいけない守備で、途中まではカンボジア有利だった状況が、本田をターンさせちゃったことで、カンボジア超不利って状況に変わっちゃったんです。この後、酒井はサイドを抉ってクロス。得点はできませんでしたけど、抉ってクロスで終われたんで、日本にとってはグッドな攻撃でした。



この日の前半に目立ったのは、日本の右サイドで、本田がちょっと引いてくれば、簡単にボールうけて前むけるんで、もうひたすら右サイド攻めてれば良いみたいな状態でした。これ、プレビューでも言いましたが、


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あの位置でWGがボール受けて前向けたら、あとはWGが好きにやれば良いだけなんです。具体的には、



1,SBのオーバーラップ使う
2、トップ下とのワンツー
3、カットインしてミドル、あるいはファーへのクロス
4、縦突破クロス
5、中央に斜めにパスいれてCFとトップ下がスルーをつかったコンビネーション


って選択肢のうち、WGが好きな事をやれば良い。



普通、あそこで簡単に前向かれてしまうと、上記のような攻撃を雨あられとやられる事になる為、簡単にWGに前向かせたりはしないんですけど、この試合の前半の場合、カンボジアの16番のWBのマークが異常に緩くて、これ、確認した限りだと、


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もう、延々とこのリプレーなんですが、日本が先制するまで、同じパターンでやられてんですよね、カンボジア。この試合に関して言えば、サイドのスペースガラ空きな上に、本田がちょっと引いてくれば、簡単にボール受けて前むけるので、サイドの本田にボール出して、あとは本田が好きにやればいいって試合でした。で、26分に本田のミドルで日本が先制。



試合のプレビューで「5311ならスペースあるからやりやすい、541だと面倒」って話しましたけど、なんできついかってーと、図で説明しますけど


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こうなるんですが、541だと本田が引いてきてボールうけるスペースがまず無いんです。サイドに一人選手いますからね。それに、サイドにボール出しても、


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こんな感じで対応されるので、サイドで守備側が数的有利作れるんですわ。CFがボランチ捕まてくれる事が条件ですけど、これやられると本当に面倒くさくなる。正直な話、前半は「なんで541にでドン引きしないんだろ?」と不思議でした。



この日の前半ですけど、問題があったとすれば、


1,武藤が左サイドでもっとやれただろって所
2,香川が二回も決定機外した所。29分と41分の奴
3、岡崎に楔いれるの少なすぎ


って感じでした。この日、左サイドの武藤については、もうちょっとやってくれないと困る試合でした。ちょっと引いてくればフリーで前むけるというWGにとっては夢のような試合だったわけで、この試合の前半の武藤には不満があります。香川については言わずもがな。あの決定機を二回も外すのはありえない。岡崎への楔については、キャプでちょっと説明しときますが、


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こーいうシーンだったんですが、この試合、カンボジアのアンカーはわりと香川にぴったりついてました。アンカーがトップ下にぴったりとついてるなら、トップ下の動きでアンカー動かして、CFに楔いれてきゃ良い訳です。ところが、この日、岡崎になかなか楔入らなくて、イラッと来るシーン多かったです。岡崎はボール要求してるんだけど、ボールでてこねぇんですね。山口と長谷部のダブルボランチなんでしょうがないのかもしれませんけども。



とまあ、前半の感想はそんな所です。前半44分にカンボジアは16番を懲罰交代。守備が軽すぎましたし、当然です。これ、そもそも論なんですが、16番の選手、FW登録なんですよ。代わりに入った18番はDF登録。なんでFW登録の選手を本田とマッチアップさせてたの?と、普通に聞いてみたい。




日本対カンボジア、後半のレビュー

さて、こっからは後半です。前半と後半で、何が違ったかというと、カンボジアの左サイドにD登録の選手Fが入ったって所です。新しく入った18番の選手は、本田をわりとタイトにマークしてたので、本田が前半みたいに簡単に前むけるって事は無くなりました。



でもって、後半4分に吉田のミドルで日本は二点目。あれはビックリしました。


この後、後半8分あたりで、香川と武藤が位置を入れ替えてます。本田のいる右サイドはマークがタイトになってたんで、左サイドで起点作りたかったんでしょう。後半8分以降は、前半の右サイドのリプレー状態で、


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こんな感じで、香川が簡単に前向けるんで、あそこから攻めてりゃいいだけでした。中央の場合、アンカーとCBにタイトにマークされて中々前向かせてもらないですけど、あそこだと、ホント簡単に前向けるんです。この後、15分に香川がごっつぁんゴール決めて3点目。この日は香川が二回トーレスしてたんで、3回目やったらピクシーばりに「次やったらコロヌ」状態だったんですが、3回目が来なくてよかったです。いやホントに。



この日の試合なんですけど、試合中、延々と「宇佐美と原口いれろーー」ってtwitterで喚いていたんですけど、なんで原口と宇佐美かっていうと、この日の試合は、サイドでWGが前向き放題だったからです。この日のカンボジアなんですが、中央は凄くタイトにマークするしスペースも無い反面、サイドのスペースは放置、WBのマークがゆるゆるって試合だったので、WGにとってのパラダイスみたいな状況がサイドに出来てました。試合中、宇佐美と原口の映像が出たとき、「試合でたくてしょうがないだろうなあ」と思って眺めてましたが、あんだけサイドにスペースあるなら、のっけから原口と宇佐美でも良かった位なんです、いやマジで。二人とも、この試合ではチャンスをそれぞれ貰えた訳ですけど、この試合なら最初からも良かったかなと。



この日のハリルホジッチなんですけど、交代策も妥当でしたし、戦術面でも上手くいってました。香川と武藤の位置を取り替えたのもいい判断でしたし、僕の中でハリルホジッチの株が上がった試合でしとさ。


3点じゃ物足りないって論調もありますが、香川が二回トーレスしてなきゃ、5点とって終わってた訳ですよ。なんで、3点しか取れなかったのは選手の最後の部分としか。


そろそろまとめに入りますが・・・


この試合の後半はあまり書くことがありませんので、そろそろまとめにはいります。



この日の試合なんですけど、率直に言って、勝てて良かったです。いや、本当に。ここで負けたりしたら、ハリルホジッチの進退問題に発展しかねない試合だった為です。流石にここで監督交代は不味い。二次予選の真っ最中ですから。



この試合に関してはプレビューやってしまった分、書くことが少ない試合です。長谷部が「ダイレクトプレーが少なかった」って反省してましたけど、岡崎にもうちょい楔入れる事を意識して欲しいってんは有ります。岡崎が要求してるのに出てこないシーンを結構みかけたんで。もっとも、サイドに開けばWGが簡単に前むける試合だったので、サイドサイドになっちゃうのはしょうがないのですけれども。


ダイレクトプレーする必要があるのは、WGがタイトにマークされて、サイドでなかなか前向けない時ですけど、この日の場合、サイドで簡単にWGが前向けてた訳で、WGが前むいて好きにやればよいだけの試合だった事もあり、あんまし、ボランチを攻める気はないんですけどね。結局、この試合のまとめは、「WGがサイドで簡単に前向けるなら、WGが好きにやれ、以上」で終わってしまうので、書くことがホントにないんです。サイドはマークがタイトでWGがなかなか前向けない、中央もしっかり固められてる、みたいな試合の場合、工夫が必要になってくるんですけど、この試合の場合は、そうじゃなかったので。




次はアフガニスタン戦なんですけど、またハリルホジッチがドジッ子やって、風のいたずらで、日本のスタメンとアフガニスタンのフォメが流出したら、プレビューやります。流石にないでしょうけど。



今日はこのあたりで。それでは。