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サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

日本代表が目指すべきサッカーの話

サッカー

最初にあらかじめ言っときますが、うちらの代表は、こないだ、アルゼンチン代表に勝ったばっかりです。

 Jリーグにアジリティ(素早さ)に優れた選手が多いというのは、今に始まった評価ではないだろう。5メートル、15メートルの距離のスピードに関して、Jリーグは世界屈指のレベルにあるはずだ。高さが重視されるセンターバックは少々事情が異なるが、その他のポジションにおいては、少しばかり足が速いだけでは評価されないほど、スピードに恵まれた選手がごろごろいる。だが、一歩踏み込んで考えると、もしかしたらそういう選手たちの能力を生かしきれていないのではないかという疑問が湧いてくる。


Jの「スピード」は既に世界レベル!? 欧州組が教えてくれた日本人の長所。


で、色々思うところもあり、本日もサッカーの話を。


上記の奴は、サッカーライターの木崎さんの記事なんだけど、中身は、Jリーグのスピードとか、日本人サッカー選手のスピードの話なんだけど、「日本人がスピードがある」という評価については、これはマジの話。まぁ、他の本やら雑誌の特集なんかでも取り上げられる事があるけれども、サッカーにおいて重要なのは、0〜25メートルくらいまでの距離のスピードで、この距離では、日本人の肉体というのは、意外と有利だったりする。つまり、日本人は欧米系やアフリカ系と比較して背が低く胴長で短足なんだけど、こういう体というのは、短距離での加速が速いんである。30メートル以上のスピードになると、トップスピードの速さが重要なんで、日本人の体というのは逆に不利になるけど。


サッカーというのは、68m×105mのフィールド内部で行われる競技であり、アフリカ系が圧倒的に有利な100メートル以上の距離を全力で走る機会なんてまずない。それどころか50メートルの距離を全力で走る機会もそんなに無いんである。実際のところ、頻繁にスプリントするのは5〜30mまでの距離であって、この距離内であれば、日本人は加速力に優れているので、スピードで負けるってことはまずないんである。


ただ、スピードがあるだけで勝てるなら、それこそ陸上選手を連れて来てサッカー選手に改造すればいい。けど、それは上手くいった試しがない。


現実的な話をすると現在のサッカーでは、オフサイドトラップ、ゾーンディフェンス、プレッシングを組み合わせた守備方法が主流であり、守備においては、いかにこれを組織するか、攻撃においては、この三つをいかに打破するかが重要になる。そこで問題なのが、日本人のフィジカル(スピードを含む)で、これを打破するためには、どういう形が最も効率が良いかッて話になるんだけどね。


オフサイドトラップを破るのには、勿論、スピードが役に立つ。裏抜けが得意な選手は、日本人FWでも沢山おり、森本(カターニャ)、岡崎(清水)、平井(ガンバ大阪)、佐藤寿人サンフレッチェ広島)、香川(ドルトムント)、興梠(鹿島)と結構な逸材がいる。興梠なんかは、ものすっごい速くて、裏取りのスピードだけならワールドクラスである。彼は30M走で4秒切れる。こんな奴は世界でも滅多にいない。もっともシュート入らないけどね。


残念なのは、黄金世代の代表的なMF達、中田、中村俊輔、小野なんかは、裏に飛び出したり、最終ラインを突破しようとするプレースタイルの持ち主ではなかった事である。日本人の長所は超短距離でのスピードなのだから、そういうスタイルを磨いていれば、もっと良い選手になれたはずなのだが・・・彼らは、残念なことに、そういうプレースタイルの持ち主ではなかった。


日本人は超短距離のスプリントはとても速い。「よーいドン!」で勝負すれば、欧米系なんかの鈍重長身DFを簡単にぶっちぎれる。ただ、問題は、守備側はボールの受け手でなく、ボールの出し手を封殺してくるって事である。つまり、中盤で激しいプレッシングをかけることで、裏へのパスを出させない。また、コンパクトなゾーンディフェンスを敷く事で、スピードで一人かわされても、すぐに他のDFがカバーできるようにポジショニングしてくる。


そのため、モダンなサッカーでは、プレッシング回避のための戦術、コンパクトな守備ブロックを破壊するための戦術が重要になった。実は、岡田JapanがW杯前まで上手くいかなかったのは、この二つなんである。岡田前監督は、プレッシング回避のための数的優位を作り、コンパクトな守備ブロックを破壊するために、相手のブロックの中に入っていってボールを受けてさばいて走り出せる選手を求めていた。この二つが出来れば、スピード勝負に持ち込めるので、日本人に有利なのだ。

しかし、残念な事に、最後の最後で破綻してしまい、W杯では本田への放り込みサッカーになってしまったんである。


どんなに裏取りの上手いFWがいても、相手のプレス網をかいくぐってパスを出せないとチャンス自体が作れない。また、相手が陣地奥深く撤退して裏のスペースを消してきたら裏への飛び出しはたいした武器にはならない。


オフサイドトラップは、裏取りが上手な日本人FWなら、破ることはさほど難しくない。問題は、プレッシングをどうかいくぐるか、コンパクトな守備ブロックをどう崩すかなんである。この二つの課題をクリヤーしない限り、そう簡単には裏はとれないし、スピードも生きてこないのである。


オシムが語る日本人サッカー選手の特徴について


日本人のフィジカルの長所をサッカーに組み込もうとしたのは、やっぱりオシムの頃からで、こないだのnumber768号のオシムのインタビューから引用するけども、

―――あなたがジェフで実現し、また日本代表で実現しようとしたスタイルは、日本人の特徴に根ざすと言いながら、それまでのどの監督が実践したサッカーとも異なる独自のものでした。
「君がそう思うのは、それまでは日本人が自分たちの特徴を生かし切ってはいなかったからだ。俊敏さと機動力で日本人は優れている。細かい動き、狭いスペースでの曲線的な動きは、ヨーロッパやアフリカの選手にはない日本人独自のものだ。また、ヨーロッパ人に比べ、小さな体格がハンディキャップのように言われていたが、それも問題にはならない。たしかにフィジカルは、中長期的にレベルを上げていく必要はあるが」


―――大型ディフェンダーは、素早いスピードについていけないということですね。
「そうだ。狭いスペースでは、体の大きさが逆にハンディキャップになる。屈強なディフェンダーが、小柄な選手の動きを捕まえきれない。ゴール前では小さい事の優位が生きる」


―――そういう発想は、あなた以前にはなかたように思います。
「もともと日本人は、パスの能力やボールコントロールの技術は申し分ない。プレッシャーのかからない状況では、ヨーロッパのトップクラスと同等かそれ以上の技術を発揮する」


―――技術を実際の試合で、実践的なスキルにどう昇華していくか。そのための方法が、考えることであり、走ることであったわけですね
「他方で日本人は、自分たちにディシプリン(規律)があると思い込んでいたし、今も思っているが、私にはそこが大きな疑問だった。たしかに君たちは、礼儀正しいし目上の者の言葉に従順だ。だがそれは、サッカーで求められる戦術的ディシプリンとはまったく別の物だ。状況に応じて瞬時に判断し、的確に動く。それも労をおしむことなく。それが戦術的ディシプリンであり、ビッグクラブとごく平均的なクラブ、トップレベルとそうでない選手との違いを作り出しているのは、戦術的ディシプリンのみと言ってもいい」


―――それが日本人には欠いていると
「そうだ。日本人は走らないだろう」


―――走りの質が問題なのでしょうか。量的には十分に走っていると思いますが
「スプリントの回数が決して多くはない。相手のボールを後ろから追いかけるのは無駄走りであって、走ったうちには入らない。(中村)俊輔がいくら守備で相手を追いかけても、彼にもとめられているのはそんな事ではないだろう。彼や遠藤に求められているのは、パスを出した後に相手のバイタルエリアへと走っていくことだ。」


―――それがスプリントなのですね
「俊輔には優れた技術があって、違いを生み出せる。ただしフィジカル面で十分とは言えず、トップレベルではプレーの流れについていけないところがある。本人もそこはよくわかっているのだろう。だから、あまり危険に立ち向かおうとはしない。自分で立ち向かう代わりに、味方にパスを供給する。それが彼のやり方で、監督はその部分には介入できない。彼が自分自身で決めることだからだ。」


ってのがあるんだけど、オシムって人は、日本のサッカーに、「数的優位」という概念を持ち込んで、それと日本人のフィジカル的特徴などをベースにしてジェフのサッカーを作り上げた。オシムは、日本人の長所としてパスやボールコントロール、それからスピードを上げる事が多い。で、実際なんだが、海外にいった日本人選手も、テクニックに関しては、日本人のが優れているっていう人がおおい訳だ。香川なんかも、ドイツにいってから「スピードとテクニックでは日本のほうが上」的発言を繰り返しているし。


ブンデスの試合をみてると、確かに、テクニックは酷いのがいて、下位のチームだと、ゲームメークすら満足に出来てないチームまである。どことはいわんけど、ブンデスについては、上位チーム以外は、ゲームメーカーにロクなのがいないという感じだった。あんなレベルの選手しかいないなら、ケンゴと遠藤なら問題なくブンデスでやれるだろーと思うことがしばしばだった。まぁ、ドイツのゲームメーカー不在問題は別の話なので、それはいいとして。

サンフレッチェのサッカーと数的優位の話

数的優位のサッカーは、オシムの教え子でもあるペトロビッチ監督にも受け継がれているので、以下では、サンフレッチェ広島のサッカーのシステムの話をしながら解説していく。サンフレッチェのサッカーは、

1 最終ラインでのボール回しや個人技、CBの攻撃参加によって、中盤で数的優位、もしくは同数の形をつくる。
2 中盤での数的同数もしくは数的優位を築いた時点で、中盤にパスを送り、短時間でシュートまで持ち込む。
3 1の状況が生まれるまでは無理はしない


これは、非常に理詰めのサッカーで、中盤で数的優位を作れれば、中盤のどこかでフリーの選手が生まれているって事である。そのフリーの選手にボールが入った時、相手の最終ラインは下がるしかない。なぜなら、広島のエース、裏取りストライカー佐藤寿人が最前線にいて、裏を狙っているからだ。下がらないで対応しようとすると、裏へのパス一本で、寿人に得点されかねない。

しかし、最終ラインが下がってしまうと、ボランチとセンターバックの間にスペースが生まれてしまい、広島の2シャドーがボールを扱うスペースが生まれてしまう。

また、中盤のどこかの選手が、自分のマークを捨てて、フリーのボールホルダーに当たりにくるなら、そこでフリーになった選手にパスを通せばよい。


こういう形になっている。これは、中盤での数的優位を作る事で、相手の中盤のプレッシングをかいくぐろうとする戦略であり、これはサンフレッチェのサッカーや、オシムのサッカーの土台でもあった。こういったサッカーは、優れたテクニックと、スピード、走力、戦術理解力を必要としているんだけど、日本人のフィジカル特性を考えれば、妥当なサッカーである。

日本人の特徴にあったサッカーの話

で、なんだが、岡田Japanも、それをやろうとしていたのだが、Wカップ本番前に破綻してしまった。ただし、方向性は間違っていない。日本人のフィジカルの特徴を考えれば、中盤で数的優位を作ることによって、相手のプレス網をかいくぐる戦略のほうがマッチしているんである。


逆に、中盤を省略して、FWに向かってロングボールを蹴り込むことで、相手のプレス網をかいくぐろうとするサッカーは日本には向いていない。そういうサッカーは、FWの高さと強さ、中盤のルーズボールの競り合いの強さに依存するサッカーだからである。こいつは、スピードやテクニックより、パワーと高さが重要なサッカーなんで、パワーと高さで欧米やアフリカに劣る日本向けとは言えないんである。


皮肉な話だが、岡田Japanは、W杯前に、「中盤で数的優位をつくることによってプレス網を突破する」という理想を捨てざるを得なかった。で、採用したのが本田へのロングボール戦術である。まぁ、それで結果を残したんだから、それはそれでいいのだが、なんかあべこべな話にはなってしまった。


ちなみに、今年のJで躍進したセレッソは、ちょっとイレギュラーな守備方法を使う事で、中盤での数的優位を確保したサッカーをしている。簡単にいうと、CB二人がFWにマンマークで対応している。サッカーの守備のセオリーは最終ラインで一人余らせる方法で、1トップ相手には二人残り、2トップには3人が残る。ところが、セレッソは、2トップの相手には、CB二人がマンマークでつくだけ。そのため、相手がセオリー通りの守備をしていれば、中盤で数的優位が生じる。そこを起点にして攻めにでるのである。非常にリスキーだが、セレッソが守備崩壊しなかったのは、茂庭と上本のCB二人が、糞対人に強いからである。数的同数だと、彼らはJのFWには負けないのだ。


そしてザックのサッカーは、明らかにサイド重視。ザックの343は、サイドでの数的優位を作って起点とするサッカーで、ストッパー、サイドハーフ、ウィングの三人がサイドで数的優位を作る。また、守備においても、サイドに追い込んでボールを奪い、そこから素早くカウンターというサッカーで、とにかく、守備も攻撃もサイドからである。4231をどう組織するかは、まだわからないけれど、FWに前田、岡崎、李と横からのボールに強い選手が選ばれているので、サイドで数的優位を作り、サイドでボールを奪い、サイドから速いクロスを上げるのが、主な攻撃手段となるのは間違いないと思う。横からのボールに強いセンターフォワード、攻守の能力の高いSBとサイドハーフが求められることになるだろう。

日本代表紅白戦と数的優位の作り方

で、なんだけど、現実はどーなっているかというと。

http://tv.samuraiblue.jp/


こちらで、こないだの日本代表合宿での、紅白戦のビデオが公開されてるんだけど、なかなか面白かったので、その得点シーンの分析を。

709 名前: 代表 投稿日: 2010/12/30(木) 20:30:38 ID:0U+UIlKmO
ゲキサカより

日本代表午後の紅白戦35分×2 (結果は白組2-1赤組 得点者:李、香川、原口)

【白組 前半】4-2-3-1    【白組 後半】3-4-3
      李                 李
   香川 西 松井        香川    松井
    柏木 藤田       槙野 柏木 藤田  西
酒井 学生 濱田 森脇     学生 濱田 森脇
      守田               西川

【赤組 前半】3-4-3      【赤組 後半】4-2-3-1
      前田                前田
   原口   本田         原口 本田 高橋 
長友 高橋  細貝 内田         細貝 学生
  槙野 永田 吉田      長友 永田 吉田 内田
      西川                守田

フォーメーションはこんな感じだった模様。

白組一点目のシーン

まず、一点目のシーン。上記の写真は18秒あたりのシーンからなんだけど、ちょっとありえない守備。というのも、キャプチャーの中にも書き入れたけど、FW二人が、中央へのパスコースを切ってない。その前のシーンが入ってないので、どういう駆け引きがあったのかはわからないけれど、中央へのパスコースを切るというのは、代表の守備において、まず最初に徹底しないと不味い事である。なんで、こんな事になってるのか、理解に苦しむ。


それに、ボランチのポジショニングも理解に苦しむ。なんで、あんな中央に広大なスペースを与えており、香川がドフリーで中央にいるのか。サイドの香川が中央に入っていって中央で数的優位を作り、香川のポジションに長友が上がってくるのはパラグアイ戦やグアテマラ戦で非常に有効な攻撃方法だったが、この紅白戦でも、まったく同じ形を許してしまっている。あのボランチは細貝高橋みたいだけど、いくらなんでも、このポジショニングは酷い。



結果として、悲惨な結果が待っていた。香川は中央でボールを受けると簡単に反転して前を向く。しかも、中央で香川の前にいるプレーヤーは三人。香川サイドも3人だから、数的同数である。この状況で、守備側にできるのは、数的優位を確保できるまで時間稼いで後退する事だけ。最悪なのは、香川からのスルーパスが通ってFWの李がGKとの一対一の状況を作ってしまう事。守備側はまず、それを防がないといけない。


ここは、CBが非常に上手く守っている。とにかく、裏に飛び出せないように李を綺麗にブロック。しかし、おかげでサイドをドフリーで駆け上がれる槇野。



香川は、裏を狙うのは無理と判断してサイドの槇野にパスを送る。中央の李に二人のCBが引きつけられた為、槇野にサイドを見事にえぐられてしまう。


サイドをえぐってPA内に進入してくる槇野。ゴールのニアサイドとファーサイドにスペースが生じているのがキャプからもわかる。香川はニアポスト狙い、李はファーポスト狙い。DFの視界から消えている李のポジショニングはお見事。スペースにパスが出たら、走り込んで押し込める状態。


そして、クロスがファーサイドにでる。走り込む李。

シュート!みごとな先制点。相手の守備のミスから始まった先制点だが、香川→槇野→李の流れは攻撃側の見事な連携であり、3人で見事に崩しきっている。

赤組一点目のシーン

これは赤組の先制点の最初。左サイドで前田がボールを受けると、前田の前のスペースに全力で走り込む本田。


しっかり本田の動きをみていた前田は、本田にパスを送る。ここまでは非常に良い攻撃。守備側の問題は、青で囲んだボランチのその後のプレー。


本田にボールが入ると同時に、全力でゴールに向かって駆け上がる前田、原口、ウッチーの三人。ここでの問題は、何故か、飛び出しについていかないボランチ二人のプレー。これは、正真正銘の怠慢プレーである。それとも、飛び出しに誰がついていくか、分担されてないんだろうか?とにかく、飛び出しについていかないもんだから、最終ラインのところで、攻撃側が数的優位という最悪の状況が生まれてしまった。


この後、本田がPA内にドリブルではいって右足でシュート。GKが弾いたところを原口が押し込んだわけだが、その前のシーン、守備の最終ラインが3人、攻撃側が4人という時点で、ほぼ勝負はついていた。正直、A代表の紅白戦で、こんな怠慢プレーが見れるとはおもわんかった。まぁ、急造チーム同士だししょうがないのかな・・・・


しかし、日本代表は、岡田監督の頃から、二列目の飛び出しに誰がついていくのか不徹底な所があったので、ここはきっちり煮詰めておいてもわらんと困る。

白組の2点目

で、これが白組のほうの二点目のシーンの最初。理解不能なのは、手前のウッチー?のポジショニングである。ボールより前にいるのは理解できない。彼は一体、あそこで何を守っているんだろう?一番注意すべき香川は中央に入っていっており、中央で2:1の数的不利の状況が生じている。この状況で中央にボールが入ったらどうなるか、押して知るべしである。ポジションは、もっと下がり目にとっておくべきだったケースだ。まぁ、ウッチーが守備時に無駄に前目にポジショニングするのは、もう直らない癖みたいなモンだと俺は諦めてるんだけど・・・・


そして、次のシーン。ここでの李と香川の動きの連動は見事である。ボールがでるその瞬間に、互いに逆方向にスプリントする事で、中央のCBのマークを混乱させている。このスプリントで、香川はマークを外してボールを収める時間を稼ぐことができた。


決定的な状況が生じている。李がゴール前でドフリーになっており、香川がスルーパスを出せれば、それで一点という場面だ。しかし、CBが最後の踏ん張りをここで魅せる。



驚くべきスピードで、ボールに寄せてパスコースを切るCB二人。この寄せのスピードはたいしたもんである。一瞬でも遅ければ、李にスルーパスが通っていただろう。

しかし、ここからが香川のターン。パスコースを切られたと見るや・・・・

見事なターンで、シュートコースを作る香川。CB二人は、パスコースを切るのに全力だった事もあり、香川の反転を防げなかった。


シュートモーションにはいる香川。それにしても、ウッチーは何を守っているんだろう。


そして決まった見事なループシュート。本当に見事なシュートである。李は、香川のシュートの後、速攻で詰めていた。このあたりは大変評価できる。紅白戦の得点シーンを見る限りでは、李と香川は非常に相性が良いらしく、よい連携を魅せている。両方の得点のどちらにも、香川と李が上手に絡んでいる。


で、なんだが、得点シーンしか映像がないんだが、これを見てわかるのは、


1 李と香川、槇野は割と相性が良いらしく、最初にしては息があっている
2 ウッチーは相変わらず守備時のポジショニングが恐い
3 両チームともボランチが変な守備をしたことから失点している
4 前田と本田は、せめて中央へのパスコースを切るのだけは完璧にやって欲しい。
5 4231は、もともと、ボランチとセンターバックの間にスペースが生じやすいという弱点を抱えているが
  左サイドから中央に入ってくる香川にそこで数的優位を作られすぎ


って事である。


また攻撃の形で


1 サイドの香川が中央に絞り、香川が空けたスペースに槇野があがってくる。
2 中央で数的優位、あるいは同数を作ったら柏木が中央にパスを送る
3 中央にはいったら、短時間でシュートまで持って行く。


という形で、白組が二点とっているんだが、343って、中央でなくサイドの数的優位を作って攻めるのが定石のはずだが、白組のは中央で数的優位を作って点とるサッカーになってしまった。343の場合、ウイングとストッパー、サイドハーフがサイドで数的優位を作るのだが、香川は中央で数的優位をつくってしまう。香川はこれが上手い。というか、セレッソサンフレッチェは、3バックで中央で数的優位作るサッカーやってた事があるから、そういう動きしちゃうんだろうが。あの動きは3421っぽい動きである。


まぁ、ザックはどーするんだろうという感じ。選手の適正を見る限り、そっちのが上手くいくとは思うんだが。


香川真司と新世代のサッカー選手達

――本田、香川をはじめ、中盤の人材は豊富。それに比べて、前田、森本の後に続く名前が出てこないのは、心配になります。

名波 中盤はほんと、30年先まで人材不足にならないと思うよ。

森島 本当だよね、アジアカップの予備登録メンバーを見ても、すごい顔触れがそろっている。

名波 これからさらに「この選手でも入れないの?」っていう時代が来るだろうね。そう思うと、いいときに生まれたな、俺たち。今だったら、俺ら代表に入ってねぇよ。

森島 入ってるよ! やれる、十分やれるよ、ナナは。俺は……。


【名波浩の視点】2014年W杯メンバーを考えてみる


で、なんだけど、今日、こんな記事を読んだ。正直、「いいときに生まれたな、俺たち。今だったら、俺ら代表に入ってねぇよ。」には苦笑してしまった。


個人的にだが、若い世代のMFのプレーで衝撃を受けたのは、香川真司山田直輝宇佐美貴史の三人。三人とも、恐ろしい才能の持ち主だが、特に香川と山田のプレーには驚いた。というのも、黄金世代の代表的プレーヤー、中田、中村俊輔、小野なんかが持っていた欠点をまるで持っていないのだ。宇佐美は、またちょっとプレースタイルの違う選手なんだが、ここでは割愛。



これらは、香川や山田のプレー動画だけど、こういうプレーヤーが日本でも出てきたんだなぁと、感心してしまう。


中田英寿のポジション適性とイタリアでの苦闘


こちらのattacking phaseさんの記事で、中田が、イタリアで、トップ下からボランチへとコンバートされていった理由が述べられているんだけど、中田は、トップ下としては、裏のスペースにボールを呼び込むフリーの動きがあまりに少なく、スペースの無い中に飛び込んでドリブル突破やDFラインの裏にパスを通す動きが少ない選手だった。技術的にもフィジカル的にも、それをこなす土台はあった。だが、彼は、それをしなかった。その結果として、トップ下でなく、ボランチへとコンバートされる結果になったんだけど。


中田、小野、そして俊輔は、オシムの言葉を借りれば、「自分で立ち向かう代わりに、味方にパスを供給する。」タイプのプレースタイルの持ち主だった。これは悪いとは言わない。それが彼らの選択であり、そうやってプロの世界で一流になった選手達だからだ。いわゆるパサーだ。彼らは、多くの場合、バイタルエリアの手前でプレーする選手で、最終ラインを突破して裏でボールを受ける動きを決定的に欠いていた。なにより、ゴール前の密集地帯に入っていくことをためらっているようにも見えた。


香川や山田直輝のプレーを見た時、驚いたのは、頻繁にゴール前の密集地帯に飛び込んでいく事だった。そして、狭いスペースの中で、ボールを受け、はたくこと出来る。二列目から積極的に裏に飛び出して行く。テクニックは勿論高い。こういった選手がいて、始めて、オシムやフィンケ、それから岡田前監督が目指したようなサッカーが出来るようになる。というより、こういう特徴をもった選手がいないと、そういうサッカーは出来ないんである。数的優位を生かしてプレス網を突破し、守備ブロックの中に入ってボールを受けて相手を崩すサッカーは。


僕は割と、日本のサッカーの未来は明るいと思っている。というのも、非常に良い形で、育成が機能しているのだ。香川や山田直輝を見ているとそう思う。彼らは、モダンな攻撃的MFの特徴を備えており、明らかに、以前のMF達とは違う。


ただし、バルセロナのカンテラが優れたセンターフォワードを滅多に生み出さないように、パワーや高さがある選手が有利なセンターフォワードセンターバックについては、やっぱり良い選手が極端に少ないのが泣き所なんだけど・・・・