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ACL セレッソVS全北およびサッカーにおける審判のお話

正直、完全にセレッソの力負けだった。スコアがスコアだけの言い訳は出来ない。1−6でセレッソが負けたのだ。セレッソの試合を定期的にチェックしてる身だが、ここまで完璧にセレッソがボコボコにされたのは、第5節 7月16日の神戸戦以来である。


試合内容の分析は映像を使うまでもない。全北のFW達は素晴らしいプレイをしたし、それに対して、セレッソ自慢のアタッカーはほとんど鳴りを潜めた状態だった。

理由としては、清武は怪我の影響もあり、全く精彩を欠いており、倉田やファビオ・ロペスはボールを収められず、絶好調だった播戸も最後までゴールを割れなかった。もともと、セレッソは攻撃重視のサッカーをするチームである。ボランチが繋げず、アタッカーがボールをおされめらないのでは勝ち目がない。


さらに痛かったのが、CBの上本大海が負傷で戦列を離れていた事である。セレッソのスタメンCBは三人。上本大海藤本康太茂庭照幸なのだが、この中で、繋げるCBは上本一人だけなんである。この試合、ここが狙われた。上本が負傷でいないので、CB二人が繋げない選手だった事で、CBにプレッシャーをかけられてしまうと、セレッソは後ろでボールを保持できず、前に蹴り出すことが多くなる。そうなると、全北とのセカンドボール争いになるのだが、ここでセレッソはどうしても不利だった。もともと、テクニックに秀でた選手を使い、フィジカルが強いのがCB二人くらいというチームである。あの展開では、もうどうにもならない。CB二人が足下が下手な選手だった事は、前の選手にとって極めて重荷となった。セレッソのようなチームは前からプレスにこられた場合、GKとCB、下がって来るボランチを使って後方でボールを落ち着かせないと話にならない。だが、今回は、それが全く機能していなかった。ああなったら、詰みである。


結果として、完敗となった。応援していただけに残念である。



で、なんだが、今回は、どうしてもこの話になる。つまり、セレッソのキムボギョンが、開始5分早々で、ローキックとヘッドバッドを食らい、試合から蹴り出されてしまったのだ。


ないわー


ついでに、セレッソで現在、絶賛売り出し中の扇原君まで、この試合、競り合いで目の上を切られて負傷している。彼、この試合では散々、守備でやられてしまったのだが、あれほど相手がラフに来ているのに、競りにいっていた。19才で、あの勇気は賞賛に値する。もっとも、みていて、「おい、やめろ競るな、ヘッドバッドされるぞ!!」とか思ったけれど。彼、非常に将来豊かなボランチなんである。セレッソは彼を大事にすべきである。セレッソのサッカーで、一番重要なプレーヤーは、レフティのゲームメーカーで、左ボランチに入る選手である。こいつの出来でゲームが決まるといっても過言じゃないくらい重要な選手である。マルチネスが怪我がちなので、これからは、キムボギョンか、扇原がその役を担うことになるが、どちらも素晴らしい選手なので、大事にすべきなのだが、この試合、どっちも削られてしまった。Jのリーグ戦には出れるといいのだが。どちらも若く、試合に出ることが最重要の選手である。キャリアを怪我で潰して欲しくはない。


はっきりいって、最初のヘッドバッドによるボギョンの退場劇のせいで、セレッソは厳しく守備にいけなくなった。というのも、まともに競り合いにいけば、相手はローキック、悪質なレイトタックル、ヘッドバッドでくるってのがわかったから当然だ。ああなったら、腰が引けてしまうのは当たり前だった。結果として、楔のボールを通し放題にされてしまい、どうにもならなくなった。


それでも勇気をもって競り合いにいった扇原君に関しては、試合の出来はともかく、彼の勇気を僕は褒めたい。なかなか、出来ることではない。しかし、そういうプレーヤーを容赦なく潰しにくる全北はプライスレスである。試合がほぼ決まっていた時点でアレはねぇだろ。


Jリーグだったら、まず間違い無くレッドが出る行為でも、韓国アウェーだとレッドは出ない。あれが韓国アウェーの厳しさなんである。


まあ、試合については、茂庭あたりが、前半10分あたりで、この日、4得点したイドングの顔面にヘッドバッドかまして病院送りにしとけば、ちょっとは違ったモノになったかもしれない。そのあたりは、今回の主題ではない。個人的に、3点目を入れられた時点で、茂庭か藤本による相手のFWにフライングボレー蟹ばさみか、ヘッドバッドを期待したりもしたが。やられっぱなしでおわってんじゃねぇよって話である。


韓国アウェーの難しさと審判の話

さて、本日は、韓国アウェーの厳しさと審判の話にもついでに触れたい。地震段幕云々の話はここではふれないのであしからず。サッカーの内容とは関係のない話だし。


サッカーでは、ホーム&アウェーで大幅に勝率の差が出ることが珍しくない。この現象は、特に欧米で顕著になる。


1993〜1998年「ホームゲーム&アウェーゲーム勝率」


こちらで、ブンデスリーガのホームとアウェーの勝率の差がみることが出来る。Jの創設間もない頃の数字も見れる。これをみれば、ブンデスでは、如何にホームで有利なのが一目瞭然だったりする。また、ここで、非常に初期Jリーグの珍しい現象をみることが出来る。つまり、ホームでもアウェーでも、勝率がさほど変わらないのだ。


また、

モウリーニョ、ホームゲーム9年間無敗の大偉業を達成


こんなのもある。


【検証1】 アルビレックス新潟は本当にホームで強いのか?


それから、通算成績による、ホーム&アウェーの勝率の差をみたいなら、こちらの記事がある。Jリーグは初期の数年、ホーム&アウェーで、勝率の差がなかったのだが、最近では、勝率に大幅な差が出始めている。それは通算成績でも現れていて、ほとんどのチームで、ホームのほうが勝率が良い。


何故、こんな事になるのか。これについては、J3さんが書かれている通り、三つの理由があげられる。つまり、

  ・コンディション調整がしやすい。(長距離移動の必要がない。)
  ・多くのサポーターの声援が得られる。
  ・レフェリーの判定がホームチーム有利になりやすい。


というものである。サッカーのサポーターがあれほど熱狂的に応援する理由には、それなりに理由があるわけだ。ホームであれほど勝率が良い理由の一つに、サポーターの応援があげられているからだ。サポーターはスタにいったら力の限り応援するのだ。


ただ、ここで、問題にしたいのは三番目だ。つまり、「レフェリーの判定がホームチーム有利になりやすい。」というものである。実は、ここに今回の問題であったり、ACLのアジアアウェーでJリーグ勢に怪我人が続出する理由でもあるのだが。そして、サッカーのうんざりする側面の一つにもある。


つまり、少し前まで、クラブが審判に試合の謝礼を払うのが当たり前だったという事実だ。審判がクラブから直接支払いを受ける事は禁止されていなかった。欧州で、イタリアとフランスで八百長スキャンダルが相次ぎ、審判の買収騒ぎが問題になって、ようやく、UEFAは、それを禁止した。が、審判に謝礼を払うという文化をほんの少し前まで続けていた事自体、異常と言わざるを得ない。


韓国でも、この間、八百長スキャンダルが巻き起こったが、そんなサッカー文化をもつ国が審判の買収を躊躇するか?答えはノーである。もっとも、日本でも、審判が買収されてんじゃないかという試合は時々みかける。日本でもホーム&アウェーの文化が根付いたって事だろうか。はっきり言わせてもらうが、僕は、ホーム&アウェーの文化が大嫌いである。特に、審判がホーム寄りのジャッジをする時にはうんざりする。


もっとも、残念な事に、それもサッカーの文化の一部である。今回はそんな話になるのだが。


先にも述べたように、韓国のサッカーは、フィジカル重視で、フィジカルの強い選手が多い。日本の選手がファウル覚悟で手でとめようとしても、振り切られる事があるし、相手を背負ってプレーできるFWの数は日本の比ではない。というわけで、自然とロングボールが多くなるし、セカンドボールの拾いあいになると韓国のチームは優位にたつ。


なんだが、そういう特徴をもったチーム有利になるように審判が試合をジャッジするのは難しくない。というか、ラフプレーを流し、カードを出さないだけで良い。


はっきり言って、ロングボールの競り合いにいくと、ヘッドバットやローキック、レイトタックルかまされる状態では、よほど勇気のある選手でない限りは、競り合いにいけない。そして、審判がそーゆーのを流したり、カードを出さないと分かったら、勇気のある奴は見せしめにされる。つまり、競り合いに来たら、ヘッドバッドかませばいいんである。それで試合から蹴り出してしまえばよい。そして、残りはビビリしかいなくなれば、こっちのモンである。FWにぼんぼんボールを蹴り込んで収めてもらい、そこを起点にして攻めこめばよい。よーするに今回のセレッソ対全北だ。


サッカーのうんざりする側面の一つだが、はっきりいって、審判がホーム寄りのジャッジをするのは頻繁にみかける光景であり、デクラン・ヒルの「黒いワールドカップ」では、審判買収の話が、嫌というほど書かれている。興味のある人は読んでみればよい。内容を引用すると異常な量になるので、嫌になるのでやらないが、要は欧米じゃ「審判に金品や女を提供するのは日常茶飯事」「みんなやってる」って内容である。読めば、サッカーの暗部を知ることできるし、なんで、こうまで馬鹿げたほどにホーム&アウェーで勝率に差がでるのかもわかる。統計的に絶対あり得ないレベルで勝率に差がでる理由が、まさにここにあるといってもいい。

そして韓国アウェーの難しさについて

セレッソが負けたから言うのではない。韓国アウェーは難しい。ACLを無敗優勝したガンバとレッズは、本当に凄い事である。代表でも韓国アウェーではさっぱり勝てていないが、イミフな判定が出るのは珍しい事ではない。


だが、それが韓国アウェーなんである。


これも、はっきり言わせてもらうが、韓国アウェーでどういうゲームになるかは、やる前からわかっている事なんである。代表や、ACLで、中韓あたりとやると、日本チームには笑ってしまうほど怪我人がでる。骨折する選手が後を絶たないし、そしてカードも出ない事すらある。クラブサポが代表の韓国戦やアジアの相手とやるのを嫌がる理由でもある。


公正さを問題しても始まらない。残念だが、これもサッカーの一部だといわざるを得ない。ACLに出るチームは、アジアアウェーで、どういう試合になるか、はじめから、これを想定して試合に臨むべきなのである。ホームゲームでは審判を買収すべきか?これについては知らんし、知りたくもない。ただ、アジアアウェーでは、最初から審判が買収されている前提で試合をするべきだし、相手がレイトタックル、ヘッドバット、ローキックをしてくる前提で試合に臨むべきなんである。


今回のセレッソについて、僕が一つ、問題を提起するポイントはそこである。つまり、セレッソは、韓国アウェーで、相手がフェアな戦いをしてくると思っていたとしか思えないのだ。相手がどういうサッカーをしてくるのかは、過去のACLや韓国代表との試合をみれば明らかだった訳だし、この部分ではきっちり対策をするべきだった。


アジアンアウェーでの試合は、公平な試合など到底望めない。これを肝に命じて試合に臨むべきだったし、戦い方も、相手のラフプレーに合わせたものにせざるを得ない。自分たちのサッカーをしたいのはわかる。だが、アジアンアウェーでは、それは望めないのだ。ダーティーなサッカーに対して、対策をするべきだった。


日本でも、最近はホーム&アウェーの嫌らしい文化が根付いてきて、勝率にありえない差がつくケースは珍しくない。ただ、日本の場合、極端なラフプレーにはアウェーゲームであっても、審判がレッドを出してくれるが、アジアではそれがない。ある意味で、ACLは、ダーティーなサッカーとやる貴重な機会である。日本のサッカーはクリーンすぎる所があるので、そういう経験を決定的に欠いている。


今回の試合では、そこの所の経験の差が出てしまった。セレッソはそこの経験を決定的に欠いていた。というか、日本のチームは、本当の意味で厳しいアウェーゲームを余り戦った事がない。審判が買収されてて、接触プレーの際にローキックが飛んできて、それにカードがでないような試合はまずない。


日本の選手については、Jリーグ自体、クリーンなサッカーをしているので、そういう経験を決定的に欠いている事が多い。このクリーンというのは、悪いニュアンスも含んでいる。残念だが、サッカーには腐敗した部分があり、欧米やアジアのアウェーでは審判が買収されている事は、別段、珍しい事ではないってことである。欧米でやってる選手は、そういう中で揉まれているので、ある程度、そういう状況でどういうプレーをすべきを知っているが、Jだけだと、そういう経験を決定的に欠いてしまっていることが珍しくない。


サッカーが八百長スポーツだとか、そういう事を言いたいのではない。サッカーにはホーム&アウェーの文化が根付いており、ホームでは審判がホーム寄りのジャッジをするものだ。そこには金銭やセックスの供与という暗部があるが、しかし、それも残念だが、サッカーの一部なのである。


そういったダーティーなサッカーとやる経験もJリーグの選手はもっと積んでいかないといけない。ラフプレー一発でびびって腰が引けて、まともにプレーできなくなるようでは、ACLでは勝ち抜けないのだ。


こんな事は、やる前からわかっていた事だった。事実の再確認をしたにすぎない。しかし、大敗の事実は重く、それから立ち直るには時間が必要な人もいるだろう。しかし、セレッソについては、良いサッカーをやろうとしているチームである。若いプレーヤーが多く、ユースから良い選手が育っている。あとは経験である。そういう意味では、若いプレーヤーが、貴重な経験をつめたことは大きい。


最後にもう一度、セレッソの扇原君とボギョンの勇気を褒め称えたい。彼らは、相手がラフプレーで来ると分かっていながら、戦った。


その勇気を、僕は決して忘れない。