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サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

日本対タジキスタンのレビュー 「SBとCBの間のスペースの巻」

サッカー

こんにちは、本当はやる気なかったんですけど、今日は日本対タジキスタン戦のレビューをしようと思います。守備が色々と本当に酷かったんで、滅茶苦茶disってやろうかと思ってたんですけど、タジキスタンの監督が良い人すぎるので、やめにしました。なんで、今日は、タジキスタン戦を例にして、「SBとCBの間のスペース」のお話をしようと思います。それではよろしく哀愁


日本とタジキスタンの布陣について


まずですが、日本とタジキスタンの布陣について。日本はいつもの4231。トップ下にはケンゴが入ってます。これ、ザックが最初から、「SBとCBの間のスペース」を狙っての起用なら、相当にタジキスタンを研究したんでしょう。


で、タジキスタンですが、4321のクリスマスツリー?なんだか、4141なんだか、よくわかりませんでした。多分、4231です。多分。自信がありません。ぐちゃぐちゃだったので。


で、なんですけど、マッチアップですが、こうなってました。



かなり、気が遠くなりそうなマッチアップでした。なんでかっていうと、最初っからSBが中央に絞りっぱなしで、香川を見てるのがタジキスタンの右ボランチ。



普通は、こんな感じでマッチアップさせるものなんですけど、タジキスタンは相当、変則的なマッチアップをさせてました。


このマッチアップの恩恵を受けたのが長友と駒野。常時ドフリーです。先制点のシーンで、駒野が30メートル近く、相手陣内をドリブルで進んだ時には、思わず目が点になりましたよ、あたしゃ。



精一杯、タジキスタンのマッチアップを好意的に解釈する

SBをドフリーにしてでも、あんな変則的なマッチアップを組んだ理由ですが、多分、遠藤と香川のラインを警戒したんだと思います。


その直前に行われた日本対北朝鮮、日本対ウズベキスタン戦では、頻繁に「遠藤がボランチorSHを釣り出す→香川が遠藤が釣り出したDFのスペースに入ってパスを受けて前を向く」って形で、北とウズベキスタンは崩されてました。いわゆる2ライン間を使った崩しです。前も説明しましたが、もう一度。


こちらの図を使って、前にも説明しましたが、2ライン間で、パスを受けて日本のシャドーが前を向くと、大概、相手の4バックのラインから、CBが出てきて、SBが中央に絞ってきます。その際、出てきたCBの裏にスペースができます。また、サイドのアタッカーは、SBが中央に絞るので、マークを外しやすくなります。その瞬間に、それぞれのスペースから→の方向に走り込んでボールを受けて裏へと抜けだすのが日本の得意のパターンです。4バックは、これに極端に弱くて、2ライン間に入られると、上手に守ることが出来ません。


多分、あの形を警戒したタジキスタンの監督さんは、あれをやられたら、とてもじゃないがもたないと思い、中央に人数割ける布陣4231にしたんだと思います。


遠藤と長谷部の前に、ひとりずつDFを配置して、後ろのボランチ3枚が釣り出されないようにしておけば、香川の大好きなボランチとCBの間にスペースはできません。そうすれば、香川に2ライン間で前を向かれる事はないので、日本の得意の崩しのパターンを封じられる。


精一杯好意的に解釈すると、こんな感じだと思います。実際、あそこのスペースはなかなか使うのが難しい試合でした。


ただ、4231って、2ライン間を使って崩すだけじゃないんですよ。もう一つ、得意な崩しがありまして。


タジキスタン、そっちの対策がまるで出来てませんでした。だから、あそこまで左サイドを散々抉られたんです。それを嫌がって、左に人数かけてましたが、遠藤は左に人数かけてるとみると、サイドチェンジでドフリーの駒野に出しちゃうので、はっきり言って、タジキスタンは詰んでました。

4バックの弱点。SBとCBの間に生じるスペース

で、本日のメインディッシュになるんですが、「SBとCBの間に生じるスペース」の話です。4バックにおける、もう一つの弱点です。4バックはサイドにボールが出ると、SBが一人、サイドに出てきて、CBと逆サイドのSBは、距離に応じて、ポジションを修正します。


ただ、この際に絶対に空いちゃうスペースがあります。


図にすると、こんな感じですが、赤丸で囲んだファーサイドは捨てざるを得なくなります。ただ、ファーに出された場合、結構、時間があるので、それなりに対応できる時間あるんですが、問題になるのは、「SBとCBの間に生じるスペース」です。サイドに出てったSBとCBの間のスペースですね。


ここは4231だと使いやすい。というのも、トップ下がいるんで、あそこにスペースが出来た時、そこにトップ下が走り込み、ボールを貰って、裏に抜け出せば、GKと1対1を作れます。あそこに2列目のアタッカーが走り込んでくると、CBは対応しにくいんです。あの位置だと、CBはスタンディングで守ってるんですが、相手はスピードにのってるので、対応が難しいんです。

ケンゴのトップ下起用の狙い

それで、なんですが、今回のケンゴのトップ下起用の狙いなんですけど、8割型、あそこのスペースを狙ってのものだと思うんですよ。


ちょっと昔の話になりますが、キリンカップのベルギー戦のケンゴのゴール覚えてる人いるでしょーか?youtubeに動画あったんで、キャプした奴で、その解説をしますが、







これですね。前半22分のシーンでした。この試合のベルギーの守備も相当酷かったですけど、ケンゴの特徴が出てるかなと。ケンゴって、パサーとしてのイメージが強いんですけど、SBとCBの間にスペースが出来ると、それを逃さないんです。あそこにスペースが出来た時、そこを狙ってパスをだしてくるし、自分でも走り込んでボールを受けてプレーできる。


ザックは、そこを買ったんだと思います。あそこのゾーンを使ったり、使う事にかけては、桁違いの才能のある選手なので。

タジキスタンの守備の問題点

で、ですが、タジキスタンの守備の問題点です。というか、問題だらけでしたが、左サイドにボールが出ると、タジキスタンはこんな感じで守ってました。



こんな感じです。左サイドにボールが出ると、逆サイドは完全に捨てての人海戦術です。で、守れてたか?というと、残念な結果でした。さっぱり駄目。確かに、人はかけてきてる。でも、肝心要のスペースが放置されてるんです。開始4分の時点で、いきなりやらかしてました。




これです。正直、このシーンを見た時は、「あ、日本が先制する」って思いましたよ、あたしゃ。遠藤から香川にパスがでて、相手のボランチが一枚、香川に寄せてくる。この守備も申し訳程度の寄せでしたが、酷い事に、SBの長友のオーバーラップに、相手のDFがついていってない。その結果として、相手のSBがサイドに出ざるをえなくなりました。で、ケンゴです。画像の中央で、SBとCBの間のスペースを指さしてるのが見えると思います。もう、あの時点で、あそこのスペースがガラ空きになってるので、ケンゴは猛然と、そのスペース目指してダッシュしてます。




その後がこれです。「おおおああああああベルギー戦と同じ形だあ,そこでフェイントかけてシュートでgo!」と思った人は多いんじゃないかと。まぁ、ケンゴ、外しちゃうんですけど。勿論、後半にまさにこの形で決めてくれましたが。






これですね。後半10分のケンゴのゴールです。長友があそこでドフリーでドリブルできる時点で尋常じゃないし、ケンゴの飛び出しにボランチがついていかないのも異常ですけど。ただ、SBとCBの間に、あんな馬鹿でかいスペース作る守備してたら、そりゃケンゴにやられますわって感じです。


で、なんですけど、あそこのスペースを空けちゃうのはタジキスタンだけじゃないよって話


タジキスタンの守備は本当に酷かったです。ただ、彼らの為にも言っておくと、あそこを空けちゃうのは、別にタジキスタンだけじゃないですよ。前半40分の香川の得点も同じ形でしたが、







これですね。タジキスタンの守備って、SBとCBの間に信じられないほど、馬鹿でかいスペースができてるのに放置してて、ちょっと見てて信じられませんでした。それ以外にも、もの凄いボールウオッチャーだし、2列目の飛び出しに誰もついていかないしで、ちょっと尋常じゃないですよコレ。



ボールウオッチャー、2列目の飛び出しに誰がついていくのか曖昧、SBの長友と駒野が常にフリー、SBとCBの間にバカでかいスペースが出来る、サイドに人数かけた守備をするので、サイドチェンジされると即死、等々。本当にプロなのか?と疑いたくなるレベルでした。


ただ、何度もいいますが、SBとCBの間のスペースに関しては、空けちゃうのはタジキスタンだけじゃないです。去年、ブンデスリーガドルトムントをおっかけてましたが、ブンデスでも、しょっちゅう、あそこのスペースがガラ空きで、「ブンデスの4バックって一体・・・」なんて思ってました。







これ、ドルトムントヴォルフスブルグの試合のキャプです。香川の得点シーンですけど、もうね、酷い守備ですよヴォルフス。これ、長谷部がアンカーで、香川のマークをしてたんですが、ボールを持ったサヒンに誰も寄せないので、しょうがなく、長谷部がマークを捨てて、サヒンに当たりにいったシーンです。で、普通は、ここで、もう一人のボランチのジョズエが、香川のマークに入らないといけないのに、ジョズエはトボトボ歩いてるだけ。


なんで、サヒンは、長谷部の寄せを軽くいなして、横のグロスクロイツにパス。ここで、見逃せないのが、ヴォルフスの左SBです。マジで何やってんだと。中央割られそうなのに、SBとCBの間のスペースがガラ空きで、そこを香川に狙われてるのに。


で、グロクロは、あそこのスペースから裏狙ってた香川にパスいれて、香川がワンタッチで前向いて、裏に抜け出してシュート。良いゴールでしたが、ヴォルフスの守備も大概です。


ただ、強豪であっても、やっぱり空いちゃう時はあります。これはレバークーゼンドルトムントの試合です。





4231だと、この形を作られると、ホントに防ぎようがないです。ゲームメーカーから、ウィングに展開されて、SBを引きずりだされた後に、SBとCBの間のスペースにトップ下に走り込まれると、CBが対応するのはもの凄く難しいんです。4231で、「優れたゲームメーカー+ゾーンの隙間で受けるのが上手いトップ下」の組み合わせが好まれるのは、この攻撃が非常に強力だからです。


4231のトップ下の場合、2ライン間で前を向いてパスを散らすだけじゃなく、SBとCBの間に出来たスペースに走り込んでのペネトレーションも求められるンですね。これが出来ると評価が高くなります。ケンゴが今回、白羽の矢をたてられたのは、その辺だと思います。ちなみに、栢木も結構良い線行ってます。なんで、ちょっと北朝鮮戦のアレは気の毒だったかなと。

今回の遠藤のゲームメークなんですが

遠藤にとっては、今回は楽なゲームでした。だって、以下の手順を繰り返せばいいだけなんで。


1、左サイドに開いている香川に縦パスをいれて長友をオーバーラップさせる。つまったら遠藤に戻す。
2、タジキスタンのSBが長友のチェックに出てきたらケンゴをそこに走り込ませる。つまったら遠藤に戻す。
3、左サイドに相手が寄せてきたら、サイドチェンジして駒野にクロスあげさせる。つまったら遠藤に戻す。


ぶっちゃけ、これを繰り返してればいいだけでした。タジキスタンは、SBとCBの間に、しょっちゅうスペースが出来てたので、左サイドのケンゴ、長友、香川はそれを狙って崩せばいいだけだったし、ボールサイドにやたらと人が密集するので、そうなったら、遠藤に戻してサイドチェンジしてもらえばいいだけ。


最後に香川とドルトムント、ゲームメーカーの話

えーと、最後にコレ。不調不調と言われる香川ですが、確かに、キレがイマイチかなーと思ってます。ただ、ドルトムントの今シーズンの不調は、香川だけのせいじゃないんですよ。


一言でいうと、今のドルトムントは、「遠藤のいない日本代表」です。


あのチームの心臓は、今年、レアルに移籍したゲームメーカーのサヒンでした。中盤の底から、サイドに散らし、縦パスを通してゲームを作るゲームメーカーです。


で、なんですけど、ああいう選手がいないと、香川みたいなペネトレート系のトップ下は、あんま生きません。香川は、2ライン間でマーク外して前向いてチャンスメークするのは桁違いに上手いし、SBとCBの間に出来たスペースを使って点取るのも抜群です。


ただ、そういうプレーをする為には、2ライン間でマークを外した瞬間にパスを呉れるゲームメーカー、SBとCBの間にスペース作るためにサイドにボールを散らしてゲーム作ってくれるゲームメーカーが必須なんです。というか、いないと話にならない。


むかーしの話ですが、香川がJ2でやってたとき、セレッソが最下位の水戸に負けるという珍事がありましてね。メンツみてみたら、セレッソのゲームメーカーが累積でいなくて、「ああボランチからパスがでなかったんだな・・・」と。


日本代表だったら、遠藤がいるから問題ないですけど、サヒンがいなくなってから、ドルトムント、ゲームメーカーの不在問題が片付いてません。新加入のギュンドガン、全然、そういうの出来てないし。


なんで、当分、香川とドルトムント、駄目なんじゃないかと。去年と同じサッカーしたいなら、冬にレフティのゲームメーカー取らないとやばいと思いますよ。こないだは、4−0で勝ったけど、チームの問題であるゲームメーカー不在の問題が片付いたわけじゃないので。


もっとも、これは日本代表の4231の問題でもあるですけどね。遠藤がいないとgdgdになるのは、ベトナム戦の後半でも、韓国戦の後半でも、顕著に出たので。


遠藤が元気なうちは問題ないと思ってますが、年が年だし、さっさと遠藤の後継者問題片付けないと、遠藤が怪我した途端に、ザックの無敗伝説が終わると思ってます。今年のドルトムントがさっぱりなのと同じ理由で。


あと、遠藤やサヒンみたいなゲームメーカーがいると、守備もよくなります。なんでかっていうと、相手のFWが中盤の底のサヒンや遠藤を追っかけ回して、どんどん消耗していくからです。北朝鮮戦なんて特にそうですが、テセが遠藤を追っかけ回して、消耗しまくって、攻撃の時にはヘタってました。


なんでFWがゲームメーカーに張りつかないといけないの?っていうと、根本的に、中盤の底に降りてくるゲームメーカーをボランチかSHにチェックさせるのは、無理があるんですよ。だって、ボランチかSHが遠藤をチェックしに出ていったら、香川が、その瞬間を狙って、2ライン間で、空いたスペースに入り込んでパスを引き出すので。


まぁ、そんな訳で遠藤がいなくなると、相手のFWは、中盤の底のゲームメーカーを追っかけ回すタスクがなくなるので、俄然楽だし、攻撃に専念できちゃうんです。優れたゲームメーカーって攻守兼用なんですな。


まぁ、そういう訳なんで、さっさと遠藤の後釜問題にケリをつけてくれる選手が出てきてくれたらいいんですけどね。現状、見あたらないのがなんとも。ケンゴも年ですしねえ・・・・


今日はそんな所で。