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サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

CL準決勝 バイエルン対レアルマドリーのお話

皆さん、こんにちは、今日は、CL準決勝、バイエルンレアル・マドリーの試合のレビューをしたいと思います。ホントは、もっと早めに出したいと思ってましたが、色々あって遅れました。なんで、今日は、1stレグと2ndレグをいっぺんにやります。


本題に入る前にモウリーニョのチーム作りについて

さて、まずは、レビューに入る前に、先日、発売されたワールドサッカーダイジェストNo.362に、スペイン人の監督、フアン・マヌエル・リージョによるレアルマドリーの現状分析があります。


ちなみにですが、フアン・マヌエル・リージョは、以前、雑誌のスポルティーバで、岡田ジャパンの分析をしたことがあり、その時の内容は、


『 岡田ジャパン 』 ファン・マヌエル・リージョ


↑のブログで、抜粋を読めます。ちなみに、内容的には、「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析〜 (COSMO BOOKS)」と、そんな変わりません。


岡田ジャパン時代のプレスと守備のポジショニングの問題は、スペイン人だろうと、イタリア人だろうと問題にするでしょうしね。


まぁ、それはともかくとして、WSD最新号での、レアル・マドリーの現状分析の奴をちょいと引用しますが、


ジョゼ・モウリーニョ監督率いるマドリーに明確なスタイルは存在しない。細部に渡って分析すれば見えてくるものがあるが、それとてスタイルと呼べる代物ではない。逆の見方をすれば、確固たる形を持たない捉え所のなさこそ、このチームの強さの秘訣かもしれないが。


最大の特徴は、目まぐるしく攻守が入れ替わる激しい展開を得意とすることだ。じっくりパスを回しながら敵を崩すのでなく、ボールを奪ったら守備組織が整う前に電光石火のカウンターを仕掛け、前線のタレントのスピードと抜群の決定力を活かしてゴールを奪うのを十八番とする。


その前線にはクリスチアーノ・ロナウドメスト・エジルカリム・ベンゼマといった一級のタレントが揃い、彼らの華麗なコンビネーションから生まれるゴールも多い。もっとも、あくまでそれは傑出した個の力に依拠した芸当だ。マドリーの攻撃には、チーム全体で共有するプレーコンセプトは一切見受けられない。


こうした戦い方がモウリーニョ監督の意図するものなのか、正直わたしには判断がつきかねる。というのも、マドリーの攻撃はすべて選手任せで、そこに監督の意志はまったく見いだせないからだ。自らが指向するスタイルをチームに植え付けるのが、監督の果たすべき最大の仕事だと考えるわたしにしてみれば、これは信じ難い事である。久しくマドリーの練習場に足を運んでいないが、毎日どんなトレーニングをしているのか皆目見当がつかない。

(中略)
個人能力への依存は、オフェンスのみならず、ディフェンスにおいてもはっきりと見て取れる。DFラインは組織的な完成度が高いとはいえず、ともに強さとスピードを兼ね備えたペペセルヒオ・ラモスの両CBが、能力の高さに飽かせて敵の侵攻を食い止めているのが実情だ。さらにイケル・カシージャスのスーパーセーブで勝点を拾った試合も少なくない。


というのがあります。まあ、恒例のモウリーニョ批判はさておき、こんな感じの分析が載ってます。ついでにですが、同じWSDに、インテルの項目もあり、そこに現役イタリア人監督ロベルト・ロッシによるモウリーニョ時代のインテルの分析があるので、それも引用しときます。


機能していないのは組織的なプレッシングだ。前線のアタッカー(とくにディエゴ・ミリートヴェスレイ・スナイデル)によるアクティブな守備参加がないので、中盤以下はリトリートして守らざるを得なくなり、ボールの奪取位置が必然的に低くなる。これはモウリーニョ監督時代から潜在していた問題だ。モウリーニョの解決方法は4−2−3−1システムの採用と両ウィングのハードワークで、サミュエル・エトー(現アンジ)とゴラン・パンデフ(現ナポリ)にその”重労働”を受け入れさせていた。しかし、モウリーニョ退任後の2シーズンは、この問題が改めて顕在化したままだ。


モウリーニョは守備の貢献度が低いミリートスナイデルを前線に残して、スピードのあるエトーとパンデフを両翼に配した。その上で迅速なポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)からのカウンターを最大の武器とするチームを作り上げ、チャンピオンズ・リーグを制してみせたのだ。現在のインテルが失っているのはこのトランジションの切れ味で、ボール奪取後のスピードに乗った速攻は稀にも見られない。


そもそも、奪ったボールは素早く前線に送り届けるという共通認識がチームに浸透していない。まずはポゼッションでボールの支配を安定させ、ビルドアップから崩しを図るという流れにならざるを得ないのは、そのためだ。


というのがあります。


まず最初にですが、これらの監督のインテル分析、レアル分析からもわかるように、モウリーニョという監督のチーム作りで共通するのは、「迅速なポジティブ・トランジション(守から攻への切り替え)からの速攻」を最大の武器に据えてるって所です。これは、チェルシー、インテルレアル・マドリーの3チームで共通しており、モウリーニョといったら、極悪なポジティブ・トランジションからの速攻というイメージがついています。とにかく、奪ったら、素早く前線に展開し、相手の守備ブロックが整う前に叩く。典型的なトランジションサッカーです。ちなみに、レーブのドイツ代表だったり、クロップのドルトムントも、系統的にはトランジションサッカーです。


サッカーというのは、極論してしまえば、「攻撃(ボールを自分たちが持っている時)」、「守備(ボールを相手が持っている時)」、「トランジション(イーブンボールの瞬間)」の3局面しかありません。トランジションサッカーってのは、このトランジションを非常に重要視するサッカーです。


そして、もう一つの特徴として、守備の局面では、それほど人数かけた守備ブロックは作らない所です。インテルでは、前に二枚残して8人で守備ブロック作るのが基本でしたし、レアルでは後ろ6〜7枚でブロック作るのがフツーです。このあたり、引いて守る際、9枚で守備固めるクロップのドルトムントとは違うわけです。もっとも、チェルシーの時は7〜9枚でブロック作ってたので、結局、選手次第ってのもありますけど。


それで、なんですが、7枚の守備ブロックってのは、どうやっても相手にスペース与えてしまうんですね。だから、相手方としては、思わず人数かけて攻めたくなる。


ところが、人数かけて攻めると極悪なポジティブ・トランジションからの、高速カウンターが飛んでくると。


モウリーニョがあんまし人数かけた守備ブロック作らないのは、一種のトラップみたいなモンです。スペースがあるもんだからと、人数かけて攻めちゃうと、カウンターの餌食にされます。


この話は後でしますが、モウリーニョのチームはカバーリングの関係はしっかり整理されていて、少ない人数でも守るためのチーム作りはきちんと行われている・・・といいたいのですが、なんせレアルがお山の大将軍団なので、そーゆーのまるで無いときもあります。ちなみに、バルサとやるときに限っては、レアルの選手は全員で守備やります。しかし、この話も後でしますが、バイエルンとやった時には、前の連中が戻ってこないので、後ろの6枚とエジルにとんでもない負担がかかってました。


CL準決勝1stレグにおけるレアルマドリー


というわけで、ここからが本題です。CL準決勝1stレグのレビューですね。まずは、スタメンから。こんな感じでした。



でマッチアップはこうなるはずなんですが・・・・・・・・


と、書いてはみましたが、これ、レアルというチームのやり方をまとめるあたって、あんまり意味のないまとめではあります。理由は、前の3枚がもどってこないからです。だから、マッチアップといっても、守備やんないクリロナの対面のラームが、ドフリーでした。ただ、モウリーニョにしてみたら、クリロナが守備やんないのはいつもの事です。なんで、ラームが上がった場合、レアルはどう対処してたか、って話になるわけです。酷い話です。この世にラームをドフリーにして何とかなると思う指揮官は、そうそういません。モウリーニョもそう思ってたでしょうけど、クリロナは外せませんしねえ。結局、この事が、モウリーニョの頭の痛い問題になり続ける訳ですけど。


ここからは実際の試合でのキャプからになりますけど







こんな感じで、開始2分の時点で、やらかしてましたレアルさん。前4枚が戻ってきてくれないから、守備でどうしても人数が足らなくなる。具体的には、ここでファーサイドに誰もいない。



最初にはっきりさせておきたいのですが、バイエルンの両翼、つまり、ロベリーを止めようとおもったら、3枚サイドに使う必要がありますドルトムントは、SBとSHでロベリーを挟み込み、ボランチをカバーに向かわせてました。ですが、これをやってしまうと、通常、中央が1ボランチになってしまいます。そして、中央が1ボランチになると、1ボランチの両脇のスペース使われて、危険な状況を作られる可能性が高いです。そこで、ドルトムントのクロップは、WGを中央に絞らせたり、香川を下がって来させたりして対応してました。


こんな感じです。



これは、ボルシアMGなんかも同じ事やってましたけどね。この場面では、8枚での守備なんですが、ドルトムントのWGのグロスクロイツが、ボランチのゾーンをカバーしてるのがわかると思います。あそこまで絞って守備させるんですね、クロップは。ああいう風にやって、ボールサイドと中央に相手にスペース与えないように守るわけです。ドルトムントの守備の特徴として、中盤の5枚の守備での連動性があります。トップ下、ボランチ、ウィングは、それぞれが開けたゾーンを、お互いにカバーしあう動きを必ず見せます。特にサイドにボールがある時の動きは、かなり秀逸です。


ちょっと、守備ブロックの枚数別に、サイドでのカバーリングの関係を図にして解説しますけど、
(灰色の点がボールです。念の為。)




こうります。


で、レアルなんですけど、基本的に7枚で守備ブロック作るやり方をバイエルン戦で取ってました。つまり、後ろの6枚と、エジルorディマリアが戻ってきて守備やってました。でもって、前半、クリロナが戻ってきてくれないので、ロッベンのサイドにボールが出ると、ケディラがサイドに出て行かざるを得ない。ダブルマークに行かないとロッベンは止まりません。しかし、そうすると、ボランチの両脇にスペースが出来てしまう。


で、まさに、そのスペース使われて、14分に危険なシーンを作られました。こんな感じです。









ここでは、最後に何とかセルヒオ・ラモスの守備が間に合ったんですけど、このシーンで問題なのが、エジルとディマリアのカバーリング。ディマリアがファーサイドのカバーに入るか、エジルがボランチがあけたスペースをカバーに入らないといけないんですけど、両者ともに中途半端なカバーしかしてないんです。だから、どうしたって、人数足らなくて、危険な状況まで持ち込まれる。


正直、このやり方で、バイエルンを0点に抑えるのは、まず無理です。リーガなら、これでもいいかもしれないけれど、バイエルン相手にこの守備のやり方は無理があります。ロベリーの攻撃力は異常なので。


というわけで、この形は、1stレグで、何度も見られた光景でして、


こんなシーンだったりします。この後、カバーがいなくなったファーサイドにクロスが出て危ないシーンでした。






で、もう一つ、こんなのもありました。4バックにおいて、SBとCBの間にスペースが出来たら、そこはボランチが潰しておかないと危険なので、この時のケディラのカバーリングはこれでオッケーです。もし、あそこを潰してなかったら、ロッベンに、あそこでボール受けられてました。ただ、これをやると、リベリーに中央にカットインされちゃうんですね。ある種、もうどーしようもないシーンです。で、その後、どーなったかというと、




こうなりました。ここはシュバイニーがシュート打ってくれて助かりました。右サイドでラームがフリーだったんで。



それでなんですけど、1stレグの後半の見所は、モウリーニョの采配です。モウリーニョは、レアルの守備の問題点をなんとか塞ごうと、涙ぐましい努力を続けることになります。で、結局、それがはまることはありませんでした。ちょっと、レアルの守備の変更を時間帯とメンバー交代でみていきましょう。


まず、レアル対バイエルンで、前半からずっと問題になっていたのはクリロナとラームのマッチアップです。クリロナは、ラームのオーバーラップについていかない。だから、ラームがフリーになりやすい。


それに対して、モウリーニョが取った対応策は、ケディラとコエントランでロッベンをダブルマークし、アロンソをカバーにまわらせる事です。ラームがオーバーラップしてきたらコエントランがマークし、ケディラアロンソロッベンを挟み込む。そして、バイタルのスペースはエジルORイグアインに潰させると。


ただ、このやり方はエジルとディマリアの負担が非常に大きいし、二人とも、カバーリングが上手い選手ってわけじゃありませんから、かなり危なっかしいやり方でした。カバーしなければいけない場所を空けているケースが目立ちました。


そこで、モウリーニョは、同点にしてから、しばらくして動きます。68分にマルセロを投入して、クリロナを右に回します。これによって、ラームのオーバーラップの脅威はなくなりました。マルセロがついていけばいいだけなので。しかし、クリロナを右に回した事で、今度は右に問題がでます。それが次のシーンです。







ここですね。ラームのオーバーラップが前半から脅威になっていたので、それをなんとかしたくてマルセロ右にいれたのに、右から左へのサイドチェンジを簡単にいれられてしまい、ラームのオーバーラップから綺麗なクロスを入れられてしまいました。このあたり、相当詰んでます。クリロナは下がってきても、守備はパイロン程度ですから、ほとんど意味がない。



また、この77分のシーンでもそうなんですけど、ここで、バイエルンのCB、バドシュトゥバーにプレスがかからない。バドは、フンメルスほどではありませんが、高精度のフィードが出来るので、ここはプレスがかからないと厳しいんですけど、クリロナが右にいると、ここは絶対プレスがかからない。


そんなんで、次にモウリーニョが試したのが、ディマリアに変えてグラネロを入れ、ベンゼマを右にして、クリロナをワントップの位置にしたんですが、これもはまりませんでした。







こんな感じです。ベンゼマを右に回してみたら、今度は、ベンゼマが、バイエルンの右SBのアラバにあっさりと振り切られてしまい、全く役に立たない。なんで、この後、モウリーニョベンゼマに変えてイグアインを投入し、442なんだか433なんだか、よくわからない形みたくします。



とにかく、もう涙ぐましい努力の跡が見られるんですが。素直にクリロナ変えたい所ですけど、それが出来ないんですよね。で、最後は、ラームのクロスをマリオ・ゴメスに決められて、バイエルンが勝ち越しました。最後まで、モウリーニョは守備をはめ込むことができませんでした。


レアルのWGは守備での貢献が非常に低いです。だからバイエルンみたいに強力なサイドアタッカーを持つチーム相手には、レアルの守備はバイタルが空く傾向があります。ロベリーがボール持つと、ボランチがサイドに出て行くしかないので、どうしたって、中央で1ボランチになってしまい、1ボランチの両脇のスペースを使われる。そのため、バイエルンは、リベリがサイドに張るより、リベリが中央に入ってくる事での中央突破を狙ってました。レアルはバイタルにスペース出来てるんで、そこ狙いなんですね。


もちろん、中央でボール取れれば、そこからクリロナの超高速カウンターで点とれるというのはあるんです。短所はすなわち長所でもあるんですけど。


レアルの攻守のバランスって、結構シビアなバランスの上に出来ていて、そのあたりが難しい所なんです。


さて、一方ですが、バイエルンの守備なんですけど、これが堅い。というより、単純に、マリオ・ゴメス以外は、きちんと下がってきて守備やってました。要するに、守備時に枚数の問題を抱えることはないわけです。それからもう一つ。トップ下のトニ・クロースです。彼、ボランチとトップ下、どっちもやれるポリバンレントな選手なんで、ボランチが開けたスペースをカバーリングするのが上手い。ミュラーのほうが、攻撃力はあるんですけど、ミュラーは、カバーリングはあんまし上手くありません。なんで、ハインケスが、クロースを使ったのは当然かなと。レアルの攻撃力を考えれば、クロースのほうが安定します。ちょっとキャプでやりますけど







こんな感じです。バイエルンの方は、守備の際に、クロースが下がってきてボランチが開けたスペースを埋めてくれるので、守備時に枚数が足らなくなるという事はまずありませんでした。クロースのカバーリングは、非常に気が利いていて、驚くほどです。なんで、レアルは遅攻だと、サイドチェンジがキーでした。そこにしかスペースがないので。




あとは、こんな感じです。トニ・クロースとリベリは全く守備をさぼらないので、右サイドと中央には、ほとんどスペースがありませんでした。レアルも、それで苦労してました。唯一、狙い目だったのは、ロッベンの背後のスペースで、レアルは、遅攻では、そこを上手く使えるかどうかがキーでした。とにかく、リベリーの運動量は尋常でなく、守備ではカバーリングに走り回り、攻撃ではカウンターで起点となりと、レアルにとって、最大の脅威となっていました。本当に素晴らしいプレーヤーだと、何度も思いました。ワールドクラスのタレントにも関わらず、攻守にまったくサボらないのだから、素晴らしいプレーヤーです。ハインケスから、あれだけ信頼されているのも当然だと思いました。


それから、宇佐見が試合でれないのはしょうがないかな、と。攻守にあれだけの存在感があるウィング相手では、スタメンとるのはちょっと無理です・・・・僕は宇佐見に超期待してるクチなんですけど、CLでのリベリー見てたら、あれからスタメン奪うのは無理ですわ・・・・宇佐見もリベリーを尊敬してるみたいだけど、あのプレーを見せられたら、スタメン争い以前に、超リスペクトしちゃうのも無理ないかなと。


1stレグは、バイエルンが2−1で勝利しました。レアルとしては、アウェーゴールを取れたので、まぁ、OK。バイエルンとしては、レアル相手でも、十分やれると確信を抱いた試合だったと思います。レアルの攻撃は脅威でしたが、守備はそれほどでもない。ロベリーなら十分崩せるレベルの守備で、これなら、バイエルンは十分やれます。バイエルンは、守備では9枚でブロック作れるし、カバーリングも的確でした。そして、GKは、「グローブをはめたメッシ」ことマヌエル・ノイアーです。守備に関しては、バイエルンのほうが良いくらいです。モウリーニョのチームのなかで、レアルは、一番、守備に問題を抱えているチームです。これは、もうしょうがないんですけどね。クリロナ、ディマリア、エジルに、マルセロと、攻撃は超一流だけど、守備は・・・というプレーヤーばっかり、ペレス会長が揃えるので・・・



CL2ndレグ レアル・マドリーバイエルン


2ndレグでモウリーニョとしてきつかったのは、ケディラの運動量が落ちてた事です。1stレグより、カバーできる範囲が狭くなってました。バイエルンのボランチ、グスタボが広い範囲をカバーして潰しまくっていたのとは、対照的でした。クラシコ後だったので、しょうがないのですが、モウリーニョのレアルは、ケディラの豊富な運動量とカバーリングに頼っている所があります。その為、時間がたつほど、ケディラの運動量が極端に落ちてしまい、モウリーニョとしては厳しい試合でした。なんでかというと、ケディラの運動量が落ちると、アロンソの両脇にスペースが生まれやすく、中央突破を食らいやすくなるからです。


一方、バイエルンは、1stレグと同じでした。両ボランチの脇にできるスペースからの中央突破狙いです。この試合、ケディラの運動量は落ちてたし、両WGとトップ下のエジルのカバーリングの悪さはそう簡単に直るもんじゃありません。バイエルンとしては、ひたすら、両ボランチの脇のスペースを使った中央突破でokでした。途中からモウリーニョがシステム変更を行うまでは、これが機能しまくりでした。モウリーニョも、試合中、なんどか、守備をはめこもうと、色々やってたんで、苦労してるのがよくわかる試合でした。モウリーニョも大変です。


さて、この試合のレアルの攻撃の狙いですが、まず、伝家の宝刀、高速カウンター。そしてサイドチェンジですね。バイエルンロッベンのポジショニングがちょっとおかしい時があるし、戻りもそんなに速くない。マルセロのマークを外してしまう時がある。だから、それ狙いのサイドチェンジなんかです。バイエルンの守備は、マリオ・ゴメスを一人残して、後ろ9人でブロックを作るんですけど、ロッベンはカバーリングやマークにちょいと難のある選手なんで、そこが狙い目です。ちなみに、リベリは、守備でも献身的で運動量があり、カバーも確実なんで、穴作ってくれません。


ただ、CLセカンドレグでは、レアルの守備の問題点が出る前に、バイエルンの守備の問題点が、おもいっきり出る試合となりました。あれにはホントに驚きました。


バイエルンの守備上の問題点について


さて、バイエルンの守備は、人数かけて行うゾーンです。人数かけてるわけですから、スペース埋めるのは楽です。ただ、欠点がないわけじゃありません。これも、こないだのWSDの最新号に、バイエルンの現状分析があるんで、そこから引用します。ちなみに、分析してる人は、中野吉之伴さんで、現在、ドイツのフライブルガーFCで、U18とU16の監督してる方です。

視察した前述のバーゼル戦と二度のマルセイユ戦(CL準々決勝)で見られた他の問題は、無謀なプレッシング。たしかにチーム全体の守備意識は高まり、DF&GKの選手層は厚くなった。しかし、中盤より前のタレントの守備力そのものが増したわけではなく、ボールを奪いにいっても奪いきれないシーンが目についた。


とくにマルセイユ戦では敵のボールホルダーを数人で囲みながら、ドリブルでかわされるケースが頻発。プレッシングで生じた自陣のスペースを突かれて、何度か窮地に陥っていた。仮に守護神ノイアーのファインセーブや相手のシュートミスがなければ、失点を喫していたはずだ。このウィークポイントがCL準決勝のレアル・マドリー戦で致命傷となりかねない。

(中略)

ハインケスがテクニカルエリアでよく指摘しているのは、奪いに行っても奪えないプレスの修正だ。まずは、この部分を改善すべきだろう。


中盤に攻撃的な選手を数多く配しているバイエルンは、一対一の守りに長じた選手が少ないため、基本的にコンパクトな守備陣形でのゾーンディフェンスを志向している。複数人で相手を追い詰めながらミスを誘うのが狙いだが、じっくり我慢すべきときでもがむしゃらにボールを追いかけ回し、中途半端なチェックになりやすい。


(中略)

具体的な改善策の一つを提示すれば、ボールを奪いたいあまりの一か八かのタックルを控えさせたい。プレスをかける選手は、つねに相手をかわされた場合を想定しなければならない。


というのがあります。バイエルンの欠点は、まさにここなんですけど、連動してないプレスで無理に相手をおっかけまわして、プレスをかわされてピンチになる事があります。特に、これ、マリオ・ゴメストーマス・ミュラーがスタメンの時に起こりやすいです。この二人、ファーストディフェンダーとしては、ちょっと問題があります。ドルトムント戦でも顕著でしたが、マリゴメとミュラーのプレスのタイミングが悪く、中盤との連動性がありませんでした。結果として、FWとMFの間にスペースが生じてしまい、そこをドルトムントギュンドアンとケールに使われ、危険な状況を何度も作られていました。バイエルンは、プレスで囲みながらも、そこで取れずにドリブルで交わされてしまうのも欠点の一つです。


それから、これ、ブンデスでよくある話ですけど、「ボールを奪いたいあまりの一か八かのタックル」ですね。延長戦で、ひどいのがあったので、これは後述します。



ここからは、キャプも使ってやります。バイエルンのCLセカンドレグにおける失点シーンです。








これ、レアルの先制シーンのキャプです。この後、ディマリアのシュートをアラバがハンドしてしまって、PK。レアルが先制しました。このシーンでは、バイエルンの悪い癖というか、サイドに人数かけてるのに、そこでボールを取れない。しかも、簡単にクロス上げられてしまってます。バイエルンのCB二人は、スピードとアジリティのあるアタッカーの相手を苦手としていて、これ、シーズン通して問題でした。香川に振り回されたドルトムント戦の前半とかも典型的なケースです。ディマリアがドリブルで突っ込んでくると、バイエルンのCB、相当苦しんでました。


ただ、ここはアラバが不運だった部分もありました。だから、問題というほどでもありません。むしろ、問題だったのは、14分のレアルの追加点の場面でして。







まず、ここです。二人でボール取り入って交わされてしまうとか、一番やってはいけない事をしてしまう。ただ、この時は、まだ助かったんです。バイタルにクリロナベンゼマがいたけど、そこでシュートは打たれず、逆サイドにださせることには成功した。ところが、逆サイドからケディラに繋がれた時に、またバイエルンがやらかしてしまう。





ここですね。クロースとアラバが同時にケディラにつっかけてしまう。前にリベリとゴメスとロッベンが残ってるのだから、後ろには5人しかいないし、ロッベンの位置をみれば、左サイドで守備の人数が足りてないのは明白で。二人で無理にボールを奪いにいって、それでボールを取れず、エジルに出され、エジルからクリロナにボール出されて、ノイアーと一対一を作られ、これでレアルが二点目を上げました。レアルの選手にああいう事やってしまうと、酷いことになります。無謀な守備すぎるんです。我慢すべきときに、がむしゃらにボールを取りに行ってしまうのは、バイエルンの守備の問題でした。


それから、バイエルンの無謀なタックル、我慢できない守備の例として、もうどうしようもねぇと思ったシーンがあって












この時間帯に、バイエルン、おまえら、一体、何してんだと。マルセロ相手に何人、滑れば気が済むんだよと。最後にイグアインがオフサイドだったから助かりましたけど、この時間帯に、あんだけ滑る必要性ゼロです。とにかく、マルセロの攻撃を遅らせるだけでいい場面で、4人も滑ってるわけで。バイエルンのDFは気が狂ってしまわれたのかと思いました。


モウリーニョとしては、バイエルンのDFが、無意味にボール奪いに来てくれた方が、ある意味で助かるわけですよ。時々、無謀すぎるプレスを発動するし、滑ってくれたら、レアルの選手はドリブル得意なんで、交わしていけますからね。


CLセカンドレグで、レアルが二点を先取できたのは、よーするに、そういう理由です。バイエルンの無謀すぎる守備のせいです。無理にボール取りにいって、交わされて大ピンチとか、CLマルセイユ戦から、進歩がない・・・ハインケスが、テクニカルエリアから、大声出すわけです。


CL準決勝バイエルン対レアルマドリードの感想


さて、まとめに入りたいと思います。CL準決勝の感想としては、両陣営とも、守備上の欠点から失点してるケースが目立ちました。


レアルは、両WGが守備で戻ってこないか、戻るのが遅いため、ロベリーにボールが出てしまうと、サイドにボランチが出て行かざるを得ず、結果として、バイタルがスカスカになってしまい、そこで起点を作られてシュートを食らうケースが目立ちました。


一方のバイエルンですが、レアルのカウンターのケアは、よく出来ていたのですが、悪い癖である無謀なプレス、一か八かのタックルを仕掛けてかわされて大ピンチってのが、どうしても目につきました。


今回の試合については、バイエルンの勝ち抜けは、割と順当だったと思ってます。あの無謀なプレスとか、無理にボールを奪いにいく守備とかを控えさせれば、バイエルンは、レアルと結構やれるチームだったからです。一方で、レアルのほうは、1stレグで、バイエルンに対するリスペクトが、ちょっとなさ過ぎた感じです。このレベルの相手とやるのに、まさかの攻守分断サッカーをやるとは思いませんでした。ロベリーがいるチーム相手に、7枚で守備するのは無理ゲーです。2ndレグで、同点にされたシーンでも、やっぱり、カウンターの際に、WGやトップ下の戻りが遅いので、どうしたって、バイタルにスペースできてしまう。そこからボールを繋がれての失点でしたしね。


流石に、モウリーニョも、2ndレグでは、守備の枚数増やしてきましたし、バイエルンにバイタル狙われてるというのを見て、2ndレグ後半から3ボランチ気味にして、バイタルのスペースを消す作戦にも出てましたが、その頃にはケディラの運動量が落ちすぎてました。85分のゴメスの決定機の時も、ケディラがボールサイドに絞り切れておらず、結果として、ロッベンをフリーにしてしまいましたし。ベルナベウでの試合にも関わらず、何度もバイエルンに決定機を作られてましたが、あんだけバイタルに大穴があく守備方法をやってれば、それも当然で。


もっとも、延長になると、バイエルンのほうも、流石にカウンターが怖いのか、SBあげて攻撃することは少なくなったので、レアルは、守備で問題を抱えなくなってましたけど。


今回のCLにおけるバイヤン対レアルの試合については、モウリーニョの涙ぐましい采配がみれて楽しい試合ではありました。バイエルンにバイタルを何度も狙われているのをみて、なんとか、それを止めようと、1stレグ、2ndレグで色々とシステムをいじっていたのが、印象的でした。クリロナ外せばいいだけともいえますが、それは出来ないので、ホントに苦労してました。


そんな訳なんで、今回は、モウリーニョもやることは全部やって負けた試合だったんで、しょうがなかったかなと。審判も問題なかったし。


とりあえず、今回はそんな所で。


あと、CL決勝ですが、バイエルンはグスタボがいないので、中盤で誰がボール狩るのかとか、バドがいないので、最終ラインから組み立てられないぞとか、色々と大変です。もっとも、チェルシーも、主要メンバーの多くが出れない状況なんで、ホームでやれるバイエルンが有利って事にしときます。