読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

今更ユーロ2012総括 「イタリア対ドイツ」

さて皆様こんにちは、本日はイタリア対ドイツの試合を題材にしながら、今大会におけるイタリアの攻撃と、ドイツの守備の話をしたいと思います。結果はすでに出ているので、先に書いておきますが、この試合はイタリアが2−1で勝利しました。今大会のイタリアは面白いチームで、見た試合はどれも面白かったです。


さて、まずは、ドイツ対イタリアのマッチアップから行きましょう。



こうなってました。イタリアは4312、一方のドイツは4231です。さて、この試合、ドイツはギリシャ戦からスタメンをいじってきてます。右WGにバイエルントニ・クロースが入ってるんですね。


さて、4231と4312は、典型的なミスマッチが生じるマッチアップです。コレは図でやりますけど



こうなります。4231に対して、4312は中央で数的有利を作れる一方で、サイドでは数的不利に陥ります。これは構造上、どうしようもない問題で、さて、お互いのチームはどうしていたかという話になるのですが。


ここで、何でトニ・クロースが使われたのかって話になるんですけど、その話の前に、先にイタリアの攻撃パターンの話をしましょう。イタリアは、今回、ポゼッションサッカーのチームを作ってきました。ピルロデロッシマルキージオの中盤なら、スペインにも対抗できるなんて、ザックが言ってましたね。


なんで、イタリアの攻撃の話を先にするかっていうと、こいつは、今回のドイツの変則的な守備方法と関係があるからです。

今大会のイタリアの攻撃について

さて、今回のイタリアの攻撃の話になるのですが、フォーメーションは4312です。以前もちょいと話をしましたが、442ダイヤともいわれるフォーメーションでして、中盤に4人のプレーヤーがいるので、中央で数的有利を作りやすいフォメです。


ただし、イタリアの場合、ちょいとそこに変化をつけるプレーヤーがいます。誰かというとカッサーノです。


イタリア対ドイルの試合の開始直後のシーンで、カッサーノが何故、重要なのかというのがわかるので、キャプつかって説明しますね。











こういう奴なんですけど、最初にいっときますが、イタリアのCB二人はいわゆる「繋げるCB」です。二人とも足下がいい。このシーンでもそうですが、2ライン間でフロートしたポジショニングをしているカッサーノに一発でパス通してます。


ただ、このシーンで注目して欲しいのはカッサーノの動きです。カッサーノセカンドトップなんですけど、実際には頻繁に中盤に降りてきます。なんで、イタリアの場合、ポゼッション時には、4321みたくなります。つまり、中盤に5人いることが頻繁にあるんですね。ここがポイントになります。


この時のカッサーノの動きは秀逸で、一度、中盤に降りてフンメルスのマークを外してます。そのあと、左CBがボールをもった時、CBとSBの間にフロートするポジショニングをしてます。


この動きをいれた理由はデロッシがサイドに流れる事で、SBのボアテングをサイドに引っ張り出すことを見越してるからです。そして、CBがフィードを出す瞬間、ボアテングデロッシをつかまえに出たので、SBとCBの間が開き、そこでカッサーノがフリーに。そこを狙って、イタリアのCBがフィードをカッサーノに通してます。


この試合を通じて、ドイツの厄介な問題であり続けたのがカッサーノで、バイタルエリアをうろちょろしてボールを引き出す動きが非常に厄介でした。


で、この後に、イタリアの攻撃の特徴がでるんですけど、カッサーノがサイドでボールを引き出すことに成功した後、即座にトップ下のモントリーボが、空いたSBとCBの間に走り込みます。この動きの目的は、ドイツのボランチを動かす事で、ここではシュバインタイガーがサイドに引っ張り出されてしまい、中央に大穴が空くことになりました。


この攻撃はイタリアの得意の攻撃で、こういった一連のパスワークとオフザボールで、イタリアはバイタルエリアの攻略を狙っていました。


去年、ブンデスでドルトムントおっかけてましたが、ドイツのチームの守備方法って、基本的にコレに弱いんですよ。ブンデスリーガを見てて思うのは、SBとCBの間のスペースのカバーが割といい加減だって所です。ユースで教えてる守備のやり方の問題だと思うんですが。


また、SBとCBの間のスペースに走り込まれた場合、そこをボランチにカバーさせるのはいいんですけど、次に問題になるのが、ボランチが開けたスペースのカバーです。これをどうするかって問題です。ぶっちゃけ、ブンデスだと、ボランチが最終ラインのカバーにはいった時、ボランチが開けたスペースをカバーする奴がいないチームがかなり見受けられました。


これ、マキノとかがドイツのサッカーの話を香川との対談ではなしてた事ですけど、日本だと開けたスペースを誰かがカバーしてくれたけどドイツだとカバーしてくれないって話をしてましてね。一対一重視の文化をもつ国なので、そんなものなのかもしれませんけど、守備方法としては、明らかに欠陥があります。バイタル空いちゃうし。


あと、ここでもCBからのフィードからですが、ユーロを見てて思いましたが、欧州列強代表レベルのCBってホントに足下が達者です。あそこに繋げるCBがいると、こういう崩しを簡単にできるんです。


ちょっと、イタリアの攻撃を図をつかって説明しますが、



こうなります。ドイツとの違いですけど、ドイツの場合、相手のボランチをオフザボールで動かすのはボランチのケディラとトップ下のエジルですが、イタリアの場合、セカンドトップカッサーノとトップ下のモントリーボがその役目を担っています。イタリアは、ポゼッション中に、カッサーノが中盤に降りてくるので、ポゼッション時には、モントリーボカッサーノの2シャドーみたいな形になるのが特徴です。


そして、サイドにボールが出すことに成功し、ドイツのSBをサイドに引っ張り出すことに成功したら、SBとCBの間にモントリーボカッサーノが走り込み、ドイツのボランチの位置を動かします。この動きで、相手のボランチを一枚、最終ラインに吸収させるかサイドに引っ張り出し、バイタルエリアにスペースを作ります。あとは、空いたバイタルをつかってフィニッシュに持ち込むと。


これがイタリアの4312の得意のポゼッションから崩しの形でして、モントリーボが入ってから、大分よくなってました。その前は、トップ下がチアゴ・モッタで、彼、こういう動きは不得意なんで、イタリアの攻撃の停滞の原因になってましたが、ドイツ戦は役割分担がよくなっており、大分、チームとして整理されたな、という感じでした。


こういった攻撃は、ブンデスのチームみたいに、ボランチが開けたスペースをカバーする奴がいないチームには非常に有効です。


カッサーノモントリーボのオフザボールでケディラとシュバイニーが動かされたら、ドイツ代表のバイタルエリアに誰もいなくなる訳ですからね。中央に大穴が空いてしまう。


で、ここでなんでトニ・クロースが使われたのかというお話


さて、イタリアの得意の攻撃の形を説明してきたわけですが、一方で、なんでトニ・クロースが使われたのかという話になります。まあ、この話はすでに書いてる人もいるので、僕がわざわざ書くような事でもないんですけど、前半2:50の時点で、何故、レーブがトニ・クロースを使ったのかがわかります。キャプでやりますが










ここですね。イタリアの攻撃は、カッサーノモントリーボがオフザボールで、相手のボランチを一枚、最終ラインに吸収させ、バイタルを1ボランチにしてくるのを狙います。ここでは、カッサーノにシュバイニーがついて行ったので、中央はケディラ一枚になってるはずでした。


ところが、ここにトニ・クロースがカバーリングに入ってるわけです。


レーブが試合後に「中央でより激しく戦いたかった」ってコメントを残してますが、こういう攻撃をしてくるチームに対しては、WGかトップ下がボランチの開けたポジションをカバーしなければ、バイタルを使われて絶対にやられます。


なので、レーブがトニ・クロースをWGで起用したのはよくわかるんです。トニ・クロースってプレーヤーの話になるのですが、彼、トップ下とボランチができるプレーヤーで、カバーリングが上手い選手です。何で、ギリシャ戦でよかったロイスを外してクロースを先発させたかと言ったら、バイタルエリアのカバーリングができる選手がどうしても欲しかったからでしょう。


イタリアみたいな攻撃をしてくるチームに対しては、あそこのカバーをWGかトップ下がしないと話になりません。出来ないようだと一方的にバイタル使われて憤死します。


ここではカッサーノが中盤に降りてきて、右SBからパスをうけるわけですが、そこに即座にカバーに入ったのがクロースで、ここはレーブの狙い通りといってよいと思います。


この試合、ドイツには準備期間が十分あったわけでして、レーブが無策ってほどではなかったです。次のスペインの話の時に詳しく話しますが、スペインはバイタルエリアのカバーを頻繁にWGのダビド・シルバにまで行わせていました。


ぶっちゃけ、レーブクラスの監督が、イタリアの攻撃パターンや守備の粗を理解してないって事はありえないんですよ。まぁ、負けちゃったので采配から何から何まで叩かれてますけど、この試合をみた限りでは、この試合、ドイツが負けたのは選手の責任です。


この話は次でしますが、スペインだって、同じようなゲームプランをやってたわけです。ただ、選手の技術レベルの差や守備での献身性がドイツとスペインの差となっていました。もっとも、ドイツの失点の原因は、最終ラインのやらかしだったんですけどもね。

次にドイツの守備の問題点

さて、ここからは、ドイツ代表の守備上の問題点の話に移ります。僕がみた所、ドイツには明白な守備上の欠陥がありまして、守備の穴ってのがあるんです。これ、レーブの守備戦術の問題というより、ドイツのサッカー文化と選手の問題といったほうがいいんですが。


結論からいうと、献身性の問題なんですがね。守備の何が問題かっていうと、WGがCMFとの連携に注意を払って、中央に絞って守備をやらないんですわ。特にポドルスキーですけど「WGはSBについていけばOK」って守備しかやらないんです。


もっとも、これはWGを使うサッカーをやる際に常に問題になる事でして、ドイツに限った話でもありません。アンチェロッティが著書の「アンチェロッティの戦術ノート」のウィングの項目で述べていますが

また守備の局面においてウィングの背後のスペースを相手に突かれやすいことも、デメリットの一つだ。常にワイドのポジションを取るウィングは、守備の局面でもサイドバックと連動して動く傾向を持っており、セントラルMFとの連携に注意を払って中央に絞ることをあまりしないものだ。したがって、中盤で相手に数的優位を与えることになりやすい。


こうしたデメリットをカバーすることができるのは、ウィングに求められる攻撃力、すなわち一対一の突破力とスピードを備えながら、運動量と戦術センス、そして献身的な姿勢をも備えたユニバーサルなサイドハーフだけだ。そして、一人のプレーヤーにこれら全てを要求することは、現実として無理難題そのものなのである。


というのがある通り、WGというのは攻撃的な性質を持っており、SHと違って、CMFとの連携に注意を払って中央に絞る動きってのをあまり熱心にやらない傾向があります。具体的に言えば、ボランチがサイドのヘルプに出て行った時に、ボランチが開けたスペースをカバーしてくれないんです。これが、良いSHなら埋めてくれるんですけどね。


で、問題になるのは、こういう守備しかしない奴がいると、守備ブロックの中央に穴があきやすいんです。


ちょっと考えて見てください。イタリアは攻撃時に4321に変形し、中盤に5人いることがあるわけです。ドイツは4231なので、中盤5人ですけど、ポドルスキーは相手のSB相手にしか守備やらないから、実質中盤の守備者は4人といった所です。ポドルスキーが中央に絞って守備やらないようだと、イタリアに中盤での主導権を取られやすいんです。


この問題がドイツに引き起こした問題をいくつかキャプでやりますが















ここね、前半8分のシーンなんですけど、イタリアの攻撃の狙いが見事にハマってるんです。面白いようにカッサーノの動きにケディラが操られていて、カッサーノのオフザボールがここでも効いてます。カッサーノが引いてきてボールを受け、サイドにはたいた後に、SBとCBの間のギャップに走り込む動きにドイツはめちゃくちゃ苦労していました。


なんで、これが面倒かっていうと、この動きにはケディラがついていくしかないんですけど、そうなると中央がシュバインタイガーの1ボランチにされちゃうんですわ。


ここでは、1ボランチにした後、すぐにデロッシとバロッテリがその両脇のスペースにポジショニングしてます。


で、そこでデロッシにボール受けられて、シュバインタイガーが引っ張り出されてしまいます。これで、CBの前がガラ空きになりました。


でね、そのスペースでピルロにボール受けられてしまいました。ここね、「あ、イタリアが先制する!」って思ったシーンでして、ピルロのマークにドイツのCBのバドシュトバーが飛び出しちゃったんですよ。そのせいで、中央に大穴が空いてしまっていて、そこにマルキージオが飛び込んでます。あそこにピルロがパス通してたら、ここでイタリアが先制してました。カッサーノバロテッリも飛び出せる状態でしたしね。



さて、ここで守備で見逃せないアレをやってるのがポドルスキーなんですけどね。


ここね、ポドルスキーの動きが問題なんですけど、あそこ、相手のSBのケアの為、下がる動きを見せてるんです。ちょっとキャプでやりますけど




なんで問題かというと、ボランチ二人が飛び出しちゃったわけですから、空いたバイタルのカバーを誰かがしないといけないわけですよ。なのに、ポドルスキーはSBのケアしてるし、クロースの中途半端なカバーしかしてなくて、どうなってるのドイツ・・・と思ってしまったわけで・・・・


勿論、ここではドイツは守り切れたわけですから、問題ないというのも一面では真実な訳ですよ。でもね、ポドルスキーがああいう守備しかしない上にエジルの戻りが遅いなら、イタリアは、延々とバイタル使って攻撃できるわけです。これは明らかに不味い訳で。中央で相手にポゼッションを許す事になるので、ドイツのCBに、この状態で守りきれというのは無理があるんです。



それから、17分でも、まったく同じ形でやられてましてね・・・キャプでやりますけど、




ここね、スローインからなんですけど、ドイツのWG仕事しろ!!!と思ったシーンで、何が問題かって、カッサーノモントリーボのオフザボールでボランチが動かされてしまっているわけですよ。ボランチが両方、サイドに引っ張り出されてる。だから、空いた中央を誰かがカバーしないといけない。なのに、そこを誰もカバーしてない。


エジル、クロース、ポドルスキー、全員カバーやってねぇし。


あそこにカバーがいないようだと、バイタル使われてCBが前に引っ張り出されてしまうので、中央突破くらいやすくなります。というか、あんなにバイタルがスカスカな守備やってたら、失点は時間の問題でした。


で、ドイツの最初の失点の話になるですけどね。ココね。直接の原因はフンメルスのやらかしなんで、ドイツのミスなんですけど、やっぱりドイツの守備の問題点が出てるので、キャプでやっておきます。









ここですけどね。この一連の流れはピルロから右SBへのロングパス、ボアテングをサイドに引っ張り出して、SBとCBの間にギャップを作る。そこに流れてくるのがカッサーノ。で、カッサーノの動きにフンメルスがついて行ったので、サイドにCBが引っ張り出されてしまったんですね。


で、ここ、ケディラフンメルスのカバーに入るんですけど、そのせいで中央が1ボランチにされてしまっており、あそこで二人のプレーヤーがフリーでした。これ、前半のドイツでずっと問題になってまして、簡単にイタリアにドイツは中央を1ボランチにされてしまう状態で、CBに異常な負担がかかってました。


これね、基本的に、エジル、ポドルスキ、ゴメスとカバーリングが不味いプレーヤーを3人、ドイツはつかってるので、あそこに穴が空きやすいって構造的な欠陥を抱えているチームなんです。この三人、得点力があるので、そりゃ誰だって使いたくなります。でも、彼らはボランチが開けたスペースのカバーリングをやってくれないので、ボールをしっかり持てて、オフザボールの動きのよいシャドーを揃えてるチームと対戦すると、この穴が問題として一気に噴出します。


この試合、ドイツのCBのミスから2失点してるので、ドイツのCBコンビは多いに反省して欲しいのですが、一方で、チームとして、守備に問題を抱えているチームだって事ははっきりと試合から見て取れました。あんなに簡単にバイタルエリアにスペースが出来るようじゃ、CBが過労死しかねません。


この話は、次のスペインの時にしますが、スペインは、この問題を抱えてません。なぜならカバーリングがしっかりと整備されていたからです。ここはイタリアの攻撃が機能不全に陥った原因です。


ドイツの試合、見てて思ったんですけど、ドルトムントグロスクロイツ連れてきたほうが良かったんじゃねぇの?って事でした。彼、攻撃性能に関しては、ポドルスキーやクロースとは比べものになりませんけど、ボランチが開けたスペースを確実にカバーしてくれる選手です。いうなればオランダのカイトみたいな選手です。バランサーとしての感覚に優れているし、攻撃でも一定の能力を発揮します。ああいう汗かき屋はチームに一人は必要だろうと。エジルとゴメスを両方同時に使うなら特に・・・・


また、脇道にそれますけど、今大会のオランダ、酷いもんでした。メンツ的にみると、プレミアとブンデスの得点王、スナイデルロッベンアフェライまでいるわけですよ。だから、前のメンツだけみると最強クラスなんですが、彼らは守備の時に戻ってきてくれないし、だーれもボランチが開けたスペースをカバーなんてしてませんでした。そのせいで相手に異常なレベルでスペースを与えてしまっており、もうほとんどネタチームと化してました。カウンター合戦やったら強そうなチームではありますが、相手がそれにつきあってくれる事はほとんどありませんでした。


カイトがスタメン外れて以来、オランダは献身的なアタッカーというのがいなくなってしまっていて、それがあのチームのバランスを崩壊させてしまっています。ファン・マルクがロッベンに「戻れ戻れ!」って指示したら、ロッベンが「黙れ!」って言い返したみたいですが、どうかしてますわ。


スペインの時に、何でカバーリングが大切かって話をする予定なので、ここから、イタリアの守備とドイツの攻撃の話に移りましょう。

イタリアの守備とドイツの攻撃、デロッシピルロ、そしてエジル

さて、ここからはイタリアの守備の話になります。それと合わせて、この試合でのドイツの攻撃の狙いの話にもなります。まず、CFが今回はゴメスだったので、ボールを奪ったら早めに裏に出す攻撃は当然のようにドイツは狙ってました。なんせ、ゴメスはでかい癖に速いので、当然といえば当然です。このあたり、トーレスと似てるのですが。


さて、イタリアの守備方法なんですけど、幾つか、欠点があります。こいつは4312で守備やる場合、常に問題になる事です。


ちと、ドイツの9分の攻撃を見ていきましょう。





ここなんですけどね。ドイツ、ピルロの脇にエジルを配置してます。あそこがどうしても空くんですよ。特にデロッシピルロの間なんですけど、あそこが空く傾向があるんです、イタリアの守備。又、たとえコンパクトになってるように見えても、あそこに出されたボールは意外とカットされにくいんです。ドイツ戦でもそうですが、スペイン戦でも、あそこにパスをかなり通されてました。


ここね、次のスペイン戦の時に大問題になってましたが、実は、その伏線が、すでに、この試合から張られてました。イタリアが4312始めた時から、ずっと、あそこが問題になっていて、この試合でもこの傾向が顕著に出てました。


この試合で、ドイツはここを狙う意図を見せていました。あそこを狙うのはスペインもやってたわけですが、ボール運びの点で、ドイツはスペインに劣ってました。ちょっとスペインとドイツの比較をしてみましょう。ドイツの問題なんですけど、左のポドルスキーですね。彼、ストライカーです。点取り屋であって、イニエスタのようなMFではありません。


スペインとやるチームにとって、頭の痛い問題になるのがイニエスタで、ボールが取れません。ほっとくと、イニエスタにボールを運ばれるので、大概、ボランチとSH、SBの三枚で守りに来ます。ただ、ボランチをサイドのヘルプにつかってしまうと、左ボランチのシャビ・アロンソにプレスがかかりにくくなって、シャビ・アロンソにフリーで捌かれてしまうってのが問題です。ココ、かなり頭の痛い問題で、多くのチームが頭を悩ませる問題です。


ただ、ドイツの場合、左WGはポドルスキーなので、そこまで人数割く必要はありません。その分、シュバインタイガーへの圧力が強まってしまうんですね。もっとも、今大会ではシュバインタイガー、調子悪かったので、そこまで気にする必要はなかったんですけど。シュバインタイガーの調子が悪くても何とかなってたのは、ドイツの両CBが異様に足下が上手くて、この二人のビルドアップで試合を作れていたのがあるのですけど、イタリア戦では、あそこにカッサーノバロテッリががっつりプレスに来てたので、ドイツは苦労してました。ドイツとやる場合、ギリシャなんかがミスをしてたのは、フンメルスに1トップを貼り付ける一方で、バトシュトバーをフリーにしてしまってた事です。あれのせいで、バトシュにゲームを簡単に作られてしまってました。イタリアは、そこのケアがしっかりしてました。


ここで、イタリアの守備の問題点を全部書いてしまうと、次のスペインの時の話が出来なくなるので、ここでは、さわりだけの紹介に留めておきます。4312は攻撃ではいいフォメだと思うんですけど、4312で守備をやろうとすると、問題が噴出します。僕は4312があんまり好きじゃないんですけど、理由は守備で問題が出てくるからなんです。


4312の構造的な問題は、相手のSBにプレスがかかりにくいって点と、SBが上がってくるとボランチが一枚、サイドに出ざるを得ないので中央の3ボランチの間にギャップが出来やすいって所です。ここを利用されると、4312で守備をやるチームは、かなり面倒な事になります。ドイツは、この日、そこを狙った攻撃をしてました。上手くいったかというと、そうでもないのですが・・・


ま、この話は次のスペインの話の時にやりますので、その時まで待っててくださいまし。


あと、この試合のドイツの攻撃なんですが、トニ・クロースが前半は問題になってました。何が問題かっていうと、彼、パスは上手いんですけど、パスを引き出すオフザボールの動きは、はっきり言ってよくありません。トップ下としては、そこに問題があって、エジルと大きな差になってます。そのせいで、ドイツの攻撃のダイナミズムを失わせる原因になってました。


一つ前の記事で、WSDのロッシのコラムから引用しましたけどね、


前方の選手が作り出したスペースにオフザボールで進入し、崩しからフィニッシュを狙う。そんな攻撃のコンセプトを体現していたのはスペインだけではない。ドイツとイタリアもそうだった。


イタリアが最後の30メートルでなかなか縦のダイナミズムを作り出せなかったのは、中盤の構成が適当でなかったからだ。アンドレア・ピルロダニエレ・デ・ロッシチアゴ・モッタは、いずれも前方のスペースにボールを送り込むプレーメーカーで、この三人を4−3−1−2の中盤に配したアイルランド戦は内容がもっとも悪かった。同じ4−3−1−2でも、T・モッタに代わるトップ下にリカルド・モトリーボを入れたイングランド戦は、その点が少なからず改善されていた。


ってのがありましたけど、この日のドイツの中盤の構成で、問題になったのは、クロースで、彼は典型的なプレーメーカーです。前方のスペースにボールを送り込むのは上手いんですけど、前方のスペースに走り込んでボールを受けて違いを作り出す選手じゃありません。そのせいで、ドイツの攻撃からダイナミズムが失われる原因になってまいた。そういうのが上手い選手はゲッツェ、ロイス、ミュラーのほうです。


じゃあ、なんでクロースつかったんだって話になるんですけど、マルコ・ロイスやミュラー、彼らは、ボランチが開けたスペースをカバーしてくれるかといったら、これが、まずやってくれないでしょうって話になるからで・・・・ゲッツェは、ちょっと怪我あけで、太りすぎてて使える状態じゃなかったし・・・・


このあたり、レーブの頭の痛い所なんですけどね。ドイツ代表は守備に関しては、個人能力の高さで組織面の甘さを補っている部分があります。どういう事かというと、トップ下やWGがボランチが開けたスペースをカバーしてくれないので、ケディラやCB、GKがやたらと広いスペースを個人能力でカバーして、相手の攻撃を止めざるを得ない部分があるんです、ドイツ代表。


フンメルスドルトムントにいる時は、この問題を抱えてません。なんでかというと、あそこの2列目がアホみたいに中盤走り回っていて、ボランチがあけたスペースをカバーしてくれてるからで。だから、あそこのCBがカバーしなきゃいけない範囲はライン高い割には広くないんです。ここはドイツ代表とドルトムントの違いで、2列目がボランチがあけたスペースをカバーしてくれるんです。実は、こういうチームはドイツでは珍しいです。「グロスクロイツ連れてきた方が良かったんじゃねぇの?」って言ったのは、ドルトムントグロスクロイツがボランチのポジションのカバーしてるのをよく見るからで、「ブンデスでもこういうプレーヤーいるのね」と感心したからなんです。もっとも、グロスクロイツは攻撃性能が低いから、そういう所で頑張るしかなかったというのがあるんですけどもね。


さて、まとめにはいりますが

そろそろ、今回のまとめに入ります。ちょいと尻切れとんぼになっちまいましたが、イタリアの守備上の問題点の話は、スペインの時に詳しくするので、それまでお待ちください。


今回の話ではイタリア対ドイツの試合を中心にしてきた訳ですが、ドイツ代表は攻撃面では、大会最高のチームだったと思います。イタリア戦では残念でしたが、それでも時々は、やはり良い攻撃のポテンシャルをみせてくれていました。イタリアの守備の問題点を上手くつかった攻撃は出来ていました。まあ、中盤の構成を変えてしまったのと、シュバインタイガーの調子が今ひとつだったが、この試合は響いてしまったという感じです。


イタリア戦で、個人的に、やっぱり問題だと思ったのは、ドイツの守備のやり方です。これは、代表だけでなく、ブンデスリーガ全体にいえる問題で、カバーリングのメカニズムに問題があるんです。


この問題に関しては、多分、レーブでもどうにも出来ないんじゃないかと思ってます。これは、サッカーの文化の問題でして、あそこの育成では一対一が非常に重視されているようなので、カバーリングが下手な選手が多くなっちゃうのは仕方ない事かなと。とにかく、あそこの育成から伝わってくるのは「一対一で勝て」って熱意です。それは別に悪くないんですけど、その反面、カバーには熱心じゃないようで。ブンデスの指導者で、カバーリングの話を熱心にしてた奴なんて、しってる限り、クロップくらいですし。


欧州列強国には、それぞれ長いサッカーの歴史があって、それぞれの国ごとにリスペクトすべきサッカーの文化があります。ただ、それがマイナスに作用する時があるんですわ。


たとえば、イタリアの場合、これまた、アンチェロッティの戦術ノートからの引用になりますけど

一般論に戻れば、イタリアの場合、クラブの会長からサポーター、そしてマスコミまで、チームを取り巻く環境のすべてが、何よりもまず結果を求めるという事実が、サッカーの傾向を規定している部分は非常に大きいと、私は思っている。結果というのはもちろん第一意義的には勝利のことだが、引き分けの一ポイントも、不本意ながらとはいえ許容されている。しかし、敗北だけは許されることがない。イタリアでは敗北は重大な悲劇として捉えられる。スペインやイングランドでは、おそらくそんなことはないだろう。


要するに、我々にとって何よりも重要なのは「負けない」ということなのだ。負けないために最低限必要なのは、しっかりとよく守ること、だからイタリアでは、どのレベルのサッカーを見ても、ディフェンスはしっかりと組織されており、そう簡単には点が入らない。


しかし、その分、攻撃に関しては、人数をかけて組織的に攻めることを諦め、むしろ個人の能力によって局面を解決しようという傾向を避けがたく持つことになっている。この数年でヨーロッパとイタリアの間に差がついたとすれば、まさにその部分、つまり、ボールを奪取してからゴールに向かうためのメカニズム、オフザボールでの積極的なプレー、チーム全体のシンクロニズムといた攻撃の戦術だろう。


ってのがあります。


プランデッリのイタリア代表では、非常に珍しいチームなんですよ。イタリア代表らしくない。守備面では、明らかに欠点がある一方で、「ボールを奪取してからゴールに向かうためのメカニズム、オフザボールでの積極的なプレー、チーム全体のシンクロニズムといた攻撃の戦術」を追求してるんです。これ、イタリア代表としては、非常に珍しい。


ひょっとしたら、レーブのドイツ代表も、きっかけがあれば、変わるのかもしれませんけどね。


僕は、基本的に、くそ真面目にカバーリングをやるドイツ代表とか、オフザボールで積極的にしかけてくるイタリア代表とか、ポゼッションするイングランド代表とかありえねぇとか思ってしまう保守的な人間なんですけど、世の中変われば変わるもんですし、イングランドのジェラードが「もっとポゼッションできるようにならないと」とか言い出してたので、意外と変わるときには変わるもんなのかもしれません。イングランドといえば、とにかく速い試合展開のゴールトゥゴールなサッカーが好まれるもんなのにねえ。


それは今日はこのあたりで。


皆様、ごきげんよう。