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2012年Jリーグにおけるお金と勝ち点の相関性

さて、皆さん、こんにちは。今日は、本当は広島対アルアハリの話をしようと思ってたんですけど、ちょっと時間かかりそうなので、気分転換に、2012年におけるJリーグとお金の話をしようと思います。


これ、書こうと思ったのは、又、といっちゃなんですけど、千葉さんが、

千葉が仰天人事!町田から元GMをアポなし“強奪”


こんな記事があったからです。


いや、なんというか、ガチですなあ・・・


色々ありますけど、千葉さん、いつも通り平常運行というか・・・

2012年J1におけるお金と成績の相関性について


さて、本題に入ります。昨年度のJ1におけるお金と成績の相関性については「フットボール、マネーボール、お金とリーグ戦の成績の相関性」でまとめたので、そっちをご覧くださいな。


で、今回の奴は、2012年度版です。2012年度の奴は、これが又偉い事になりました。どうなったかというと、

チーム名 総年俸(単位万円) 勝ち点 年俸から予測される勝ち点数 年俸から予測される勝ち点との差
浦和 97800 55 52.67 2.33
名古屋 94090 52 52.1135 -0.1135
ガンバ 81660 38 50.249 -12.249
横浜FM 85170 53 50.7755 2.2245
鹿島 76450 46 49.4675 -3.4675
FC東京 64100 48 47.615 0.385
66500 52 47.975 4.025
川崎 65850 50 47.8775 2.1225
大宮 60440 44 47.066 -3.066
神戸 55140 39 46.271 -7.271
磐田 52660 46 45.899 0.101
広島 51660 64 45.749 18.251
清水 51400 49 45.71 3.29
新潟 39860 40 43.979 -3.979
仙台 40770 57 44.1155 12.8845
セレッソ 35220 42 43.283 -1.283
札幌 25250 14 41.7875 -27.7875
サガン鳥栖 18510 53 40.7765 12.2235


こうなりました。総年俸と勝ち点の相関性は、0.326となっており、例年と比べると驚異的な低さとなっております。はっきり言って、今年の順位を当てれた人は神に近いです。


ついでに散布図も作ったので貼っておきますが



こうなってます。


2012年度のJ1を一言で言い表すと「下克上」でございます。年俸総額では、下から数えたほうが早い、仙台、広島、鳥栖が大躍進を見せており、年俸から予測される勝ち点数を大幅に超過する成績を残しました。一番、年俸から予測される勝ち点数より大幅に勝ち点数を稼いだのが広島でして18ポイント、次いで仙台で12ポイント、鳥栖が同じく12ポイントほど、年俸から予測されるより高い勝ち点を稼いでいます。


一方で、予測より大幅に下回る勝ち点しか稼げないチームもありました。札幌、ガンバ、神戸になります。札幌が−27、ガンバが−12、神戸が−7となっており、選手が年俸から期待される働きをできなかったチームです。



えー、今年のJ1をここまで荒れ模様にしたのは、間違いなく仙台、広島、鳥栖、札幌、ガンバになります。この5チームを抜いた場合、総年俸と勝ち点の相関性は0.79まで上がります。仙台と広島は、年俸の割に勝ちすぎですし、札幌は根本的に負けすぎです。ガンバの成績はちょっとありえません。


2011年度の場合、総年俸から予測されるより、良い結果を出したのが、柏、ガンバ、仙台、名古屋です。これも、ちょっと表を貼っときます。

チーム名 選手年俸総額(単位 万円) 勝ち点 年俸から予測される勝ち点 予測との差
柏レイソル 75450 72 54.898 17.102
名古屋グランパス 92790 71 62.5276 8.4724
ガンバ大阪 82840 70 58.1496 11.8504
ベガルタ仙台 45990 56 41.9356 14.0644
横浜F・マリノス 73740 56 54.1456 1.8544
鹿島アントラーズ 75930 50 55.1092 -5.1092
サンフレッチェ広島 54150 50 45.526 4.474
ジュビロ磐田 52140 47 44.6416 2.3584
ヴィッセル神戸 65960 46 50.7224 -4.7224
清水エスパルス 48960 45 43.2424 1.7576
川崎フロンターレ 57580 44 47.0352 -3.0352
セレッソ大阪 36380 43 37.7072 5.2928
大宮アルディージャ 56070 42 46.3708 -4.3708
アルビレックス新潟 30880 39 35.2872 3.7128
浦和レッズ 97680 36 64.6792 -28.6792
ヴァンフォーレ甲府 29770 33 34.7988 -1.7988
アビスパ福岡 21240 22 31.0456 -9.0456
モンテディオ山形 29770 21 34.7988 -13.7988


こうなってました。2011年度の勝ち点と総年俸の相関性は0.68程度で、2012年ほどの波乱はありませんでした。


さて、ここで去年と今年の数値をみた場合、二年連続で、総年俸から予測されるより、大幅に超過した成績を残す事ができた監督は、仙台のダジャレキングこと、テグさん唯一人となりました。テグさんの仙台は、二年連続で年俸から予測される勝ち点数を大幅に上回る結果を残しており、2011年は14ポイント、2012年は12ポイントと、極めて効率良く年俸を勝ち点に変換しているチームと言えます。


また、一部で大人気の風間監督率いる川崎フロンターレなんですが、総年俸から予測される勝ち点数より、ほんのちょっとだけいい結果を残しております。まあ、去年と大差ない・・・という感じもするんですけども。総年俸から予測される勝ち点数より−3〜+3程度のチームは、沢山あるんですけど、そのうちの一つです。まあ、革命前夜らしいので、来年に期待しましょう。


鹿島、川崎、セレッソ、大宮、マリノス、新潟、清水あたりは、年俸から予測される数値とそんな大差ないシーズンをここ二年ほど続けているので、結果だけみると「普通の事をやって普通にシーズン終わった」という感じです。


また、2011年は、総年俸から予測される勝ち点数より、−28も低いという結果に終わった旧ペトロビッチの浦和さんなんですが、今年は、総年俸通りの結果でした。最終的に勝ち点55でしたので、+2程度です。新・ペトロビッチ監督は、浦和を通常の状態に戻した、と言えそうです。



今年は、シーズン中の監督解任が多すぎたのか、シーズン後の監督解任は少なめですけど、責任取って監督とフロントが辞めないといけないチームってのは、札幌、ガンバ、神戸くらいです。他の所は、まあ、年俸通りの勝ち点数なんで、責任取るほどではないと思います。鳥栖、仙台、広島については、ボーナス出すべきですけどね。


2012年度J2におけるお金と勝ち点の相関性について


さて、本日のエントリでは、こっちも扱おうと思います。ただ、こっちは総年俸のデータがありませんので、Jリーグ公式のページにある「Jクラブ個別経営情報開示資料」からデータ引っ張って来てやります。使ったのは、「チーム人件費」の項目です。ただし、チーム人件費の場合、松本、町田の奴と、甲府、福岡の数値は、ちょっと手を加えています。松本と町田は、2011年、JFLでしたので、チーム人件費が松本が1億3000万、町田が9000万です。この数字に、Jリーグ配分金、1億を加えたものをチーム人件費としました。また、甲府と福岡の数値は、チーム人件費を−1億したものを使っています。理由は、J2に落ちると、配分金がおよそ1億減るからです。

チーム名 チーム人件費(単位 万円) 勝ち点 年俸から予測される勝ち点 予測との差
千葉 1003 72 81.114 -9.114
京都 895 74 77.01 -3.01
山形 606 61 66.028 -5.028
甲府 571 86 64.698 21.302
湘南 511 75 62.418 12.582
徳島 490 51 61.62 -10.62
横浜FC 478 73 61.164 11.836
福岡 328 41 55.464 -14.464
岡山 363 65 56.794 8.206
栃木 332 60 55.616 4.384
東京V 300 66 54.4 11.6
大分 293 71 54.134 16.866
熊本 257 55 52.766 2.234
富山 246 38 52.348 -14.348
松本 230 59 51.74 7.26
北九州 222 64 51.436 12.564
鳥取 220 38 51.36 -13.36
愛媛 206 50 50.828 -0.828
草津 204 47 50.752 -3.752
岐阜 192 35 50.296 -15.296
水戸 152 56 48.776 7.224
町田 190 32 50.22 -18.22



こうなりました。チーム人件費と勝ち点の相関性は0.6と出ました。そこそこですね。


さて、今年のJ2の場合、化け物じみた数値を出してるのが甲府です。城福さんとダヴィ半端無いという感じでして、予測との差が+21!!という驚異的な数値です。これ、ぶっちぎりに凄い数字で、今年のJ1、J2通じて、ここまでの大きい+を記録できたのは、ここだけです。


次いで+の幅がでかいのが大分になります。ここも素晴らしい結果といえます。田坂さんはとても良い仕事をしたと言えますね。+16ですから、J2で二番目にいい数値です。


3番目のグループが、湘南、横浜FC、北九州でして、どこも+12ほど、予測を上回る結果となっています。湘南と横浜FCの話は、ちょっと前にしましたので、ここでは北九州の話をしますが、ここは恐怖の上位食いのチームでして、甲府湘南京都横浜FC千葉大分東京Vといったチームから、ことごとく白星を挙げています。来年、北九州には要注意です。ガンバですら食いかねません。J2の上位キラー、北九州。ただ、監督変わっちゃったんですよねー。勿体ない・・・というか。


さて、次に期待はずれのグループなんですが・・・今年、誰もが昇格の最有力候補にあげていた京都さんなんですけど、結果だけみると、まぁ、「妥当」な勝ち点に終わりました。期待値が77で、実際が74ですので、実は大木さんは可もなく不可もなく・・・という感じです。


一方で、毎年、昇格候補になる千葉さんなんですが、ここは−9なので、ちょっと問題ですね。ただ、J2のボトム4に4敗もしちゃってるので、こういう結果になったのはしょうがないかなと。


ちなみに、一番の期待はずれとなったのは、福岡だと思います。予測との差が−14ってのは非常に悪い数値です。J2ボトム4に関しては、そもそも金や設備がなさ過ぎなんで、勝ち点稼げないのはしょうがない事ですから、期待はずれとは言えません。あれはしょうがない部分があります。あと、予想外に苦しんだが徳島です。ただ、佐藤と柿谷がJ1に言ってしまったので、チームの再建に時間はかかるかなと。



さて、J1とJ2では、どの程度、お金をかければ優勝できるのかって話

で、ここまで、お金と勝ち点の相関性について見てきたのですが、J1とJ2で、どの程度、お金をかければ、確実に優勝できるのか、というと、おおよその目安でいうと、J1においては総年俸で18億、J2においてはチーム人件費で14億程度が目安になります。


J1においては、総年俸18億かければ、勝ち点100を取れる計算です。予測より低い勝ち点しか取れなかったケースでは、二年でJ1で最悪の結果といえるのが旧ペトロビッチ監督が2011年に記録した−28ですから、よほど駄目な監督でない限り、総年俸で18億かければ、勝ち点80は取れますので、優勝できるでしょう。旧ペトロビッチ監督でも、72点は取れますから、やっぱり優勝できる可能性は高いです。


ペトロビッチ監督に18億賭ける奇特なお金持ちがいらっしゃったら、1度、実験してみてくださいw



一方で、J2なんですけど、確実に優勝できるチーム人件費ってのは14〜15億程度になります。実は、千葉さん、チーム人件費をここ数年、毎年削ってまして、そりゃ順位下がるかなあ・・・なんて思ったり。もっとも13億かけてあがれなかったシーズンもありますので、千葉さんにも色々あるんでしょう多分。



ちなみにですけど、来年、J2になるガンバさんと神戸さんですが、チーム人件費はガンバさんが20億、神戸さんが10億程度になってます。チーム人件費から予測される、来年度の勝ち点数は、ガンバさんが119、神戸さんが81となります。


チーム人件費で20億のチームがJ2に落ちてくるってのは、初じゃないかと思います。ええ。こんなんありえません。ぶっちゃけ、チーム人件費から考えると、来年、ガンバはJ2の怖さを知ると言うより、J1最多得点チームの恐ろしさをJ2チームに教えて回る事になるんじゃないかなーと。だっておかしいでしょ戦力的に。


Jリーグ最低の監督であっても、これだけ金があれば、勝ち点90は取れるはずです。今年、ガンバサポの皆さんは、フロントと監督に怒り心頭でしょうけど、ホントに責任とらないといけないのは、来年のフロントと選手だと思います。はっきり申し上げますが、来年のJ2にはガンバによる最強のお大尽アタックが吹き荒れます。こんだけ金があるのにJ2で優勝出来なかったら、ガンバの監督とフロントは無能を通り越して死神です。


あと、神戸さんにおきましては、J2を一年であがれるかどうかは、ちと微妙な所です。チーム人件費10億程度のチームですので、下手をすると千葉化します。すでに高額年俸選手を切り始めていますが、来年は神戸の期待の若手、小川君とか岩波君は、自分達が神戸の未来だという事を自覚してJ2に挑む事が大事です。J2、甘くありません。千葉と京都があがれずに苦悶していますが、戦力的には千葉京都と、そう変わらないので、厳しいシーズンになることが予想されます。10億程度だと昇格できるかどか、微妙なラインなんです。運が悪いと・・・沼にはまって抜け出せなくなります。


本日のまとめになりますが

えー、シーズン終わると、期待を裏切られたサポが「うちの監督とフロントはクソだ!!」と言って罵るのはよくある光景です。ただ、J1においては、優勝を確実にできるだけの戦力を雇えるチームってのは一つもありません。一番金もってる浦和さんや名古屋さんですら、総年俸には9億程度しかかける事はできません。総年俸9億程度だと、勝ち点は50〜70の間くらいに納まると思われるので、勝ち点が55〜60くらいの数字でも、仕方ないと思います。18億くらいかけないと、確実に優勝できるチームってのは作れないようです。具体的には、浦和か名古屋に、1億円プレーヤーを7〜8人加えた陣容にしないと、確実に優勝できるチームってのは作れません。


勿論、ガンバさんの降格はアレですけど、戦力が無駄に均衡しているリーグですから、こういう事も起きるかなあ・・・・と。良くも悪くもJ1は戦力が拮抗しているリーグですので、優勝チームの予想はやるだけ無駄な部分があります。予想できない分、面白いと思うんですけどもね。リーガとかブンデスなんて、前半戦で、もう優勝チームが決まったような状態ですしね。


ちなみにですけど、来年の降格候補は、湘南、大分、甲府です。これらのチームは総年俸で2億程度のチームしか組めませんので、総年俸から予測される勝ち点数は31〜34です。昇格チームは本当に厳しい戦いが待っています。これはどうしようもない問題です。来年は、楽しみにしているのですが、同時に、恐ろしい年にもなると思ってます。総年俸で2億前後のチームが残留争いから抜け出す事ができたケースは、ほっとんどありませんから。ここは現実的にならないといけません。


J2に関してですけど、来年は大変です。チーム人件費で20億を超えるチームが一つ、10億前後が4チームあるんで、凄まじい潰し合いになると思われます。ガンバ、札幌、神戸、千葉、京都、横浜FC、東京Vあたりは、来年、血で血を洗う昇格争いになると思います。もっともガンバについては、旧ペトロビッチを超える死神監督、フロントを連れてこない限りは、昇格できると思いますが・・・・


最後に監督選びなんですが、J1の場合、ここ二年連続で、総年俸から予測される勝ち点数を大幅に超える事が出来たのは、仙台のテグさん、唯一人となっています。


千葉さんのフロントにおかれましては、この現実について、いい加減に気づいて頂ければと思います。


監督コロコロ変えて、当たり監督、ここでは年俸から予測されるより大幅に高い順位をもたらせる監督、と定義しますが、これを引ける確率は、10%もないと思います。テグさんですら、ここまで来るのに5年かかってるわけです。


確率の低い賭けにすがるのは、いい加減にやめたほうが無難です。


ではでは。