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日本代表VSラトビア代表のレビュー 「日本代表のサッカーの復習の巻」

はい、みなさん、こんにちは。定例となっておりますが、代表戦後のレビューでございます。まあ、親善試合でございましたし、結果とかどうでもいい試合だったんですけど、久々の代表戦ですし、今回はザッケローニジャポンのやり方の復習をしてみようと思います。


そういう訳で、今回は、ラトビア戦を題材に、ザックジャパンの攻撃について扱います。守備についてはラトビアの攻撃がウンコすぎたので復習も糞もありませんでした。今回、ラトビアは守備の練習を90分してました。



では、本題に入りたいと思います。

ザッケローニのサッカーについて

さて、まずはザッケローニのサッカーについてなんですけど、実は、WSDの最新号でロベルト・ロッシが「打倒バルサのドリームイレブン」なんて企画をやってまして、これ読んだ感想が「343かよ、やっぱりこの人、ザックの教え子なんだなあ」というものでした。


ロッシが選んだイレブンは、



こういうモノです(図でクリロナとリベリ間違いました)。343です。メンツみて、ピルロとシャビアロンソのダブルボランチにクリロナロッベンのWGじゃ、バルサの中央突破の餌食にしかならないだろーと思うんですが、それはさておき。(僕だったら、ダブルボランチにシュバインタイガーとハビマル、WGも守備やってくれるリベリとミュラーにします。まあ、僕だったらバイエルンベースという奴です。バルサの次くらいに今のバイヤンは強いので。)


さて、この形で、ロッシがどういう風に攻撃するのかっていうと、これが、ザックのサッカーとひじょーに似てるんですよ。どういう形かというと、主に遅攻なんですが、WSDの最新号のロッシのコラムから引用しますが、


 典型的な攻撃パターンは、例えば次のようなもの。ピルロがフリーで前を向いたタイミングで、CFのファルカオが裏のスペースに飛び出す動きを見せて相手の最終ラインを押し下げ、同時にロッベンが外から内に切れ込む動きで敵2ライン間に入ってピルロからのパスを受ける。


 それに合わせて長友はロッベンの空けたサイドのスペースにオフザボールで走り込む。この時点でバルサのSBはロッベンを追うか長友につくかの二者択一を迫られており、すでに困難に陥っている。パスをうけたロッベンは状況に応じて、一対一の仕掛け、サイドを縦に抜けた長友へのパス、逆サイドから斜めに走り込むC・ロナウドへのスルーパス、ファルカオとのワンツーで裏に抜け出してのシュートといった選択肢から、ベストのソリューションを選ぶ。

というものです。これだけだとわかりにくいかもしれませんから、図で説明しますね。こうなります。





こういう奴です。



さて、この動きなんですが、実の所、ザックジャパンの基本的な動きだったりします。言ってしまえば、ザッケローニのサッカーの典型的な攻撃パターンはこれです。もっとも日本のは4231なんですけどね。




どういう動きかというと、これ、今回のラトビア戦の後半のキャプで説明します。










こういう奴です。前半gdgdでしたが、後半、前田と遠藤はいって、一気に日本代表っぽいサッカーになってましたが、なんで遠藤が入ると、一気に攻撃が活性化されるのかってーと、結局、左サイドの底でゲームメイクできる奴が遠藤しかいないってのが原因なんです。


ここでの一連のボールと人の動きは、ザックジャパンの基本となっている動きでして、これ、図でやりますが、



この形です。なんでこの形をつくりたいのかっていうと、相手が対応しにくいんです。遠藤が左サイドの底でボールをもって前むいた時に、香川がSBとCBの間でフロートするポジションを取り、長友が香川のポジションに上がってくると、相手のSBは香川についていけなくなります(ついてきたら遠藤は長友にパスだして長友は縦にボール持ちだしてクロスあげれば良い)。


なんで、構造的に香川があそこでフリーになりやすいんです。遠藤が、ここで香川にパスいれて香川が前向くことに成功したら、あとは状況に応じて、香川はドリブル突破、本田か前田とのワンツー、サイドを縦に抜ける長友へのパス、逆サイドから斜めに走り込む岡崎へのスルーパス、うっちーへのサイドチェンジの中から、ベストのソリューションを選ぶ、という形にもっていきます。最初にロッシの343の話したのは、メカニズム的には、ほぼ一緒だからです。


これが日本代表の典型的な攻撃パターンでして、左で作って右でフィニッシュってのがほぼ確立されてます。いつも遠藤がいないと日本代表はグダりますが、理由は、遠藤がいないと左サイドの底からゲーム作れる選手がいなくなるからです。あそこがスタート地点なんです。


基本的に、ベーハセも細貝も、左サイドの底からはゲームが作れません。右利きの選手は左サイドでゲームメイクするのが難しいんです。これは利き足の問題でして、右利きの選手の場合、左サイドの底からゲームメイクしようとすると、相手DFに近い方の右足でボールを持つ事になるんで、縦パスが通しにくいんです。遠藤くらいの選手になると、問題なく左サイドの底からでもパスだせるんですけどね。普通は、ここではレフティのボランチが使われます。セレッソの扇原が遠藤の後継者とか言われますが、彼、貴重なレフティのゲームメーカーなんで、頑張ってもらわないと困ります。今、チームでポジション失ってますが、しっかりしろと言いたい。まったく。


とりあえず、大概の場合、遅攻だと、この形で攻めていくってのが日本代表の基本形です。ただし、W杯予選で散々これを繰り返したので、相手にすでに読まれているのが痛い所です。そのため、遠藤にFWをマンマークで貼り付けられたり、SBとSHがぴったり香川と長友についてきたりと色々対策されてます。手の内バレてるので、しょうがないんですけどね。


日本代表とやるなら、とにかく遠藤に前向かせちゃ駄目って事です。遠藤を簡単に前向かせてしまうと、そっから絶対やられます。遠藤が前を向いたら、日本のアタッカーは一人が絶対に裏に抜ける動きをして、ラインを下げにかかります。で、ラインが下がったら、今度はDFとMFの間で、前田、本田、香川あたりがボールを受けてくるんで、日本の攻撃のスイッチが入っちゃうんでね。


2点目と3点目、全部、ラトビアが遠藤をフリーにしたせいで、日本の攻撃のスイッチ入れさせちゃってるんですけど、キャプでやりますが、







これ、日本の二点目です。後半始まって遠藤が入ってから、すぐにアレだったんですけど、ラトビアは遠藤をフリーにさせすぎで、アホかと。相手チームのボランチをほとんど自由にプレーさせるとか、相手チームに対するリスペクトがまるでない。






で、これ、三点目なんですけど、やっぱり遠藤がフリーで前むいちゃってるんですね。つか、ここ、アホでしょっていう。あそこで簡単にボランチに前向かれたら、楔のパス入られてボールを二列目に落とされて、その後、裏にスルーパス入れられるに決まってます。


まあ、ラトビアは守備練習に日本にきたっぽいので、ラトビアの守備のアレさには、これ以上は触れないでおきます。序盤は日本がグダってたので、マシに見えてましたけど、後半はマジで日本に対するリスペクトがなさ過ぎました。遠藤がドフリーで前向きすぎ。アジアじゃ、どのチームも真っ先に遠藤潰しにくるってのに。


一応、清武のフォロー的なアレ

えー、今回、清武が前半で変えられちゃいましたが、全部が全部駄目って訳じゃありません。ちょっと頂けないプレーもありましたが、基本的に、WGに求められるプレーはしてるんで、そんな悪いってほどでもありません。香川の右サイド版と思って頂ければオッケーですけど、ボール引き出すのはホントに上手いです。こーいうのです。





これです。ココ、日本代表が左サイドでやってるのと変わらない動きです。右サイドでボランチが前むいてボールもったら、WGがSBとCBの間でフロートし、2ライン間でボールを引き出す。SBが縦に走り込み、相手のSBを釘付けにするって奴です。26分にもいいプレーあって、清武がSBの裏にボールだして、うっちーがフリーでサイド抉れたのがありましたし、あーいうプレーは清武は問題ないんです。というか、ここだけ取れば、岡崎より上です。


ここ、前半の問題だったのは、右サイドでの長谷部の縦パスがカットされるのが多かったのと、清武の裏に飛び出すタイミングくらいですね。簡単にいえば、



この26分のシーンなんですけど、FWがポストプレーでボランチにボール落としたら、キヨは裏に抜けないといけないんだけど、動きだしが遅いんですね、清武。ニュルンベルクだと、あそこで裏に動いても絶対にパスなんて出てきませんから、さび付いちゃってるのかもしれませんが、日本代表なら、ここは動かないと勿体ない。


あと、前半、左サイドがグダってましたが、左サイドの底から捌けるのがいなかったんで、あれはしゃーないです。もっとも、岡崎がサイドに流れて、ラトビアのSBを釘付けにし、香川と長友がワンツーしながらボール運んでたのには感心しましたけども。


最後は乾と香川が延々と二人の世界に入ってしまい、前田さんのことも思い出してあげてという話

で、これ、最後の話になりますが、乾が入ってきて、香川がトップ下になってから、完全にセレッソ時代のお楽しみ状態でして、J2の頃にあの二人のコンビネーションみてた身からすると、懐かしいコンビネーションをやってました。つーか、カットイン、ワンツー、フェードと一通り全部やってました。やれなかったのはスルーを使ったコンビネーションくらいです。





これは後半26分にやった奴です。サイドで長友がボールもった時に、香川と乾が一気に相手SBとCBの間に走り込み、相手のSHとボランチを最終ラインに吸収させてます。でもって、空いた中央に長友がカットインしてシュートという流れでした。前田さんの事を忘れないでください。ファーにクロスあげたってええやろ!!





こっちは後半30分にやった奴です。これはワンツーですね。乾と香川の得意な奴で、乾がサイドでボールもったら、香川がSBとCBの間に走り込み、裏へのボールを指さして要求してます。ここでは、そこにボランチがついてきてるんですが、この指さし、フェイクであることが多いんです。案の上っつーか、一旦裏へ抜ける動き見せといて、香川は反転し、乾からパスを受け、斜めに走り込んできた乾にリターン。この後、乾はシュート打って外しちゃったわけなんですが、時々でいいから、ファーにいた前田さんの事、思い出してあげて。J1屈指のストライカーがファーで待ってるんだからね・・・・





これ、絶対やるぞーと思って見てたんですけど、フェード(ゴールから遠ざかる動き)を使ったコンビネーションです。これも乾と香川の得意な奴です。ここでは香川がフェードいれて、相手チームのCBの間を広げて、乾はそこにパスをいれると同時にリターンもらいに中に入ってきます。で、香川がヒールで乾にリターン。乾は開いてたCBの間を通すシュート打ったんですが、GKに弾かれました。で、前田さん、それを押し込もうとしたんですが、DFにクリアされちまいました。上手くいかないもんです。


後半なんですけど、乾と香川が二人の世界に入ってた上に長友もカットインしてシュート打とうとするわ、ゴートクまで香川とワンツーでシュート打とうとするわで、「なんだこのワンツーとカットインの練習試合・・・」と半ばあきれてました。たまには縦突破して前田さんにクロスあげてやれよ!と。


まあ、3点差ついてたんで、俺が俺が!状態も悪くないんですけど、ストライカーってのは点を取れないと飯が食えない商売ですんで、前田さんに点とらせてやれよお前ら・・・ってのが正直な所です。


もっとも、ザックから今日の試合はワンツーの練習って指示が出てたら、あれはあれでいいんですけどね。


今回の試合は、はっきりいって、日本代表の戦術の復習みたいなモンでして、全体的にチームのやり方を思い出してもらうって感じの流れでした。特に3点目とってから、完全にカットインとワンツーの練習になってまして、「なにこれヨルダン戦への情報戦?」とか勘ぐってしまうほどワンツーとカットイン馬鹿になってました。縦突破クロスを全然いれないし。


まあ、情報戦だってなら別にいいんですけど、時々でいいから前田さんにクロスあげてあげてね。CFは点取れないと飯がくえないんだし。


とりあえず、今日はそんな所で。ではでは。