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サガン鳥栖のサッカーのお話、及び週末の湘南VS鳥栖のプレビュー

さて、皆さん、こんにちは。本日は、昨年のJ1で大躍進を遂げたサガン鳥栖のお話と、週末の湘南VS鳥栖の試合のプレビューになります。主に、サガン鳥栖のサッカーのお話ですが、興味のある方はおつきあいください。


去年、何度か、サガン鳥栖については書こうと思っていて、そのままお流れになっちゃったんですが、サガン鳥栖は昨今では珍しいロングボールメインのチームとなってます。攻撃はロングボールがメインで、あんまりコンビネーションとかはしてきません。攻撃はロングボール、サイドアタック、セットプレー、カウンターとフィジカル全開のサッカーをするチームです。


あと、これ大事なんですけど、鳥栖の試合は見ていて、結構楽しいです。もの凄いテクニシャンとか、華麗なコンビネーションとか、人外ドリブラーがあるチームじゃありませんが、去年見た試合はどれも面白い試合してました。


今週末の土曜は、BS1で「湘南対鳥栖」の試合を生放送しますので、お暇な方は是非ご覧ください。かなり面白い試合になると思いますので。


サガン鳥栖のサッカー、鳥栖の攻撃の特徴


さて、まずはサガン鳥栖ってチームの話になるんですが、今年の開幕戦で鹿島とやった時のスタメンなんですけど、



こうなってました。


今年の開幕試合の鹿島戦なんですが、結果は1−1のドロー。チェックしてみた感じですが、鳥栖については、去年と、そう変わらないチームでしたので、今年もロングボールメインの攻撃を主軸とし、守備では全員守備の442のゾーンといって良いと思います。鳥栖のサッカーの攻撃は非常にシンプルですが、よく考えられています。


サガン鳥栖の攻撃パターンなんですけど、一番、代表的なのはロングボールです。これ、蹴る時のやり方はポジショニングとか結構、きちんとした決まりがあって、33節浦和戦の鳥栖のゴールのでやりますけど






こーいうのが基本形となってます。2ライン間に引いてくる豊田にロングボールを入れると同時に、ボランチ二人が豊田の落としを受けるポジショニングをし、トップ下とSH二人は豊田がフリックしたボールを受けるポジションを取ります。で、豊田がフリックしたボールを受けて、前3人が裏に抜け出してフィニッシュってのを狙ってきます。これが基本形。勿論、単純に裏に蹴ってくる事もあります。9節の仙台戦なんかだと、単に裏に蹴られたロングボールを豊田が抜け出してゴールしてます。


で、もう一つがSHへのロングボールで、15節の清水戦で決まってるんですけど、






こーいう奴です。こっちもロングボールの基本的な動きの一つで、SHにロングボールを当ててSBの裏にボールをフリックします。で、フリックしたボールをサイドに流れてきたFWが受ける。このFWの動きには、ほぼ確実にCBがついてくるので、CBの間が開きます。そしたら、そこを狙って、ボールをフリックしたSHが中央に走り込み、FWからリターンパスを貰ってフィニッシュという流れです。


この動きは、サガン鳥栖の代表的な動きの一つでして、スローインなんかでも、これは狙ってきます。ここがサガン鳥栖の面白い所で、敵陣内からのスローインでの展開でも、ロングボールと似たような動きをするんですね。サガン鳥栖っていうと、藤田のロングスローから豊田のヘッドが有名ですけど、もう一つ、スローインから展開で特徴敵なのがあって、26節の柏戦、28節のC大阪戦で、決めたゴールがスローインからなんですが、この時の動きが組織化されてるんです。どーいうのかというと、







こーいうのです。ここでの動きの注目点は、FWが一人、ロングスローを受ける為にサイドに動いて、柏のCBの間を広げようとしている所です。そして、CBの間が広がったら、そこに二列目の選手が飛び込んできて、パスを貰って裏に抜け出すって動きです。これは、組織化されてます。


もう一つ、紹介しますが







これです。これで鳥栖は得点してます。



それで、なんですけど、ここまで紹介した攻撃、どれもシンプルな奴ばかりで、「何でこんなシンプルな攻撃でJ1のチームがこんなやられてるの?」って思うかもしれませんが、鳥栖の攻撃がよく考えられているなーと思うのは、シンプルな攻撃ばかりですけど、攻撃は二段構えで設計されてるんです。


つまり、どーいう事かというと、19節の仙台戦のゴールなんかがソレなんですけどね。







こーいう流れでした。相手にニアを警戒させといて、ファーへのクロスで仕留めるってのは鳥栖の得意パターンでして豊田はこれでのゴールがあります。豊田って選手はファーでのゴールが得意なんですけど、チーム全体としてニアでの攻撃を何度か見せておいて、相手の注意がニアに行ってたらファーにふくらんだ豊田へのクロスをいれてきます。攻撃はシンプルにやってくるチームなんですけど、こういう二段構えの作戦をとってるので、やられちゃうチームが多いんです。


これはロングスローでもそうなんですけど、ニアの豊田や池田へロングスローってのを何度か見せておくと、相手がそれをいやがって、豊田や池田にCBがついてくるようになります。そしたら、それを利用して、相手のCBを動かしてCBの間を広げ、二列目のアタッカーにそこに飛び込ませるってのをやってきます。ここも二段構えの作戦なんで、あれでサクっとやられちゃうチームが多いんですね。


ニアを何度か攻撃して、相手DFに警戒させておいて、ファーにふくらんだアタッカーへのクロスってのは鳥栖の得意技の一つなんで、ココ注意が必要です。これでやられちゃうチームを結構見ました。これは逆パターンもあって、豊田がファーに陣どらせてると、豊田を怖がってCBがファーから動けないケースがあります。そうなると、もう一人のCBがちょっとポジション動かされただけでCBの間にスペースできます。そこにアタッカーを走り込ませるって奴で、これも厄介です。鳥栖相手だとDFはどうしてもファーの豊田に引っ張られてしまうので、この手の攻撃であっさりやられちゃうケースもあります。


これは2013年の開幕戦でも見られた光景でして、62分に鳥栖がWGが中央に切れ込む動きで鹿島のSBを中央に釣り、空いたサイドのスペースにSBがオーバーラップって攻撃を見せてます。その後、ボールがこぼれたんですけど、鳥栖はそれを拾ってニアでのシュートまで持ち込みました。


で、「うはー」と思ったのは、その後の攻撃で、65分にも似たようなシーンが出来た訳です。鳥栖のSHがボール受けて中に切れ込む。鹿島のSBが中に絞って対応する。空いたサイドのスペースに鳥栖のSBが上がってくる。ここ、鳥栖のSBはフリーだったので、僕は「SBに出してサイド抉って中央にグランダーのクロスかな」と思ったんですけど、その後、鳥栖のほうは、今度はファーへのクロスを選択したんですね。これ、ギリギリで鹿島のGKがセーブしましたが、鹿島のDFとしては虚を突かれたと思います。フリーのSBに展開すると思ったら、いきなりファーにクロスを上げてきた訳ですから。


サガン鳥栖ってチームの攻撃は非常にシンプルなんですけど、こういう風な駆け引きを試合中にしっかりやってきてます。単なるフィジカルサッカーとか思ってると、こういう攻撃でやられてしまうケースが多いです。サガン鳥栖は、ロングボールが多いチームですが、戦術がないってチームでは決してありません。持ってる武器は多くはありませんけど、それをしっかり考えて使っているチームです。


サガン鳥栖の攻撃なんですけど、ロングボールにしろ、ロングスローにしろ、セットプレーにしても、「よく考えられてるなあ」と、感心してしまう事がちょくちょくあります。やり方自体はシンプルなんですけど、考えられているんです。セットプレーでは、CKで対マンツーマンの時なんか、かなり面白い事やってきます。鳥栖相手だと、セットプレーは、マンツーマンじゃなくてゾーンのほうがいいかもなあ、と思うことが多いです。結構、よく考えられたやり方やってるんですよね。マンツーマンに対してはGKにスクリーンかけてみたり、FWのクロスムーブを繰り返す動きでマーク外してみたりと、鳥栖のセットプレーって面白いですよマジで。


鳥栖のサッカー、守備のお話

さて、次にサガン鳥栖のサッカーの守備のお話になります。こっちは、そんなキャプ使う必要ないので、文章だけでやりますが、基本的に442のゾーンで守備を行います。サガン鳥栖の442の特徴は、なんといってもCFの豊田とトップ下の池田が、全く守備をさぼらないって所にあります。


なので、鳥栖とやるチームがまず苦労するのが、相手のダブルボランチを前に引っ張りだせないって所です。FW二人がボランチの前に陣取ってそこのスペース消しているので、相手のボランチを前に引っ張り出すのが難しい。


んじゃあ、サイドだって話になるんですけど、SBにボールだすと全体をサイドにスライドかけてスペース消してきますし、FWもサイドにずれて対応してくるんで非常に厄介です。


ボランチをCBの間に落として対応するとかCBがドリブルで持ち上がるとか、これに対する対応方法は幾つかあるんですけど、とにかく中央は堅いです。SHはしっかりボランチとの連携に注意を払いつつ、ボランチがサイドに飛び出した場合にはバイタルのカバーに入ります。なので、まずバイタルは使わせてもらえません。基本的に、鳥栖の守備は絶対に相手にバイタルを使わせないって守備をやってます。


ただ、中央と比較すると左サイドが特に脆くて、鳥栖の去年の失点集も見る限り、左サイドをやられるケースが多かったです。左SBがやられてしまうケースが多くて、左サイドの裏を取られるケース、右から左へのファーへのクロスなんかで失点してるケースが頻発してました。


これ、開幕戦でも鹿島に狙われていて、サガン鳥栖の左SBのキムミヌなんですけど、10番つけてる事からわかると思いますが、どっちかというと攻撃の方に特徴がある選手でして、守備がもの凄い上手い選手ではありません。なので、鹿島は鳥栖の左サイドを狙っていて、左SBの裏を特に狙ってました。ただ、これが上手く行っていたかというと・・・これが微妙なトコです。


鹿島の一点目はセットプレーからで、セットプレーを取った際には、左SBのキムミヌの所にロングボール入れて、それを大迫が競った後にCK取って、そこから鹿島が得点したんで、一応は点とれたんですから、左サイド狙いは効果はあったと思います。ただ、試合全体でいうと、サガン鳥栖さんは、去年、左サイドを散々やられた反省からか、左SBの裏の所へはヘルプが非常に速く、SBの裏をダヴィなんかがとっても、即CB+ボランチがカバーに入って潰してしまう事が多かったです。なので、サガン鳥栖のほうは、今期はあそこを狙われるってのは織り込み済みで、そこでの守備練習はかなり繰り返してきた感じに思いました。勿論、鹿島のほうの攻撃が単発気味でコンビネーションが不足気味だった事にも原因はあるんですけども。


とりあえず、キムミヌの左SBってのは、どのチームも狙ってくると思うので、それがどーなるかってのはシーズンがもうちょい進んでみないとわかりません。ぱっとみ、サガン鳥栖で守備に穴が空きそうなのは左SBのキムミヌの所なんで、週末の試合でもあそこがキーになりそうだなあと思ってます。



まとめと週末の試合のプレビュー

さて、まとめに入りますけど、サガン鳥栖は攻撃はシンプルにやってくるチームですが、攻撃戦術自体はよく練り込まれていると思います。また、よく走るし、カウンターも速いです。守備も誰一人サボらず、真面目に11人でやるチームです。なので、総年俸2億ちょいのチームですが、とても二億のチームとは思えないチームに仕上がってます。ホームの試合とはいえ、今年の優勝候補の一角で、補強でダヴィ、中村アツタカ、野沢を手に入れた鹿島相手に、しっかりドローに持ち込んでますし、前半は押され気味でしたけど、後半は鳥栖ペースだったんで、すげえなあ、と感心してます。総年俸二億のチームとは思えない。


週末の試合のほうですが、試合のプレビューはそんな特殊な事は書くことありません。というのも、週末の試合は、どっちのチームも自分達のサッカーやればいいだけなんで、それぞれのチームが自分のカラーだして戦えばいいだけの試合になると思ってるからです。


ベルマーレのほうは、ハイプレスショートカウンター。ロングボールの出所にもしっかりプレスに行って、ロングボール蹴られたら、しっかりカバーを行ってセカンドボールの競り合いで負けない。攻撃では、遅攻、速攻共に、SBの裏を狙った攻撃を繰り返せばオッケーです。これは前回のマリノス戦と同じやり方でオッケーで、左SBキムミヌの裏狙いって所になります。チョウさんは、そんな奇策には出ないと思います。勝ち点3が欲しい訳だし、ホームだから、自分達のサッカーするだけでしょう。去年、浦和や広島の3421がホームで鳥栖に勝ってるので、そのあたりの試合をチョウさんは参考にしてくると思います。浦和にしろ広島にしろ、ホームではカウンターでラインの裏をガスガス突いてましたが、あれと同じ展開にするのが理想です。多分、キリノと鳥栖のCBだったら、キリノのがスピードあるように思うので、先制点とってカウンターで追加点ってのを狙いたい。


一方、鳥栖のほうは、前半からロングボール蹴りながら湘南走らせといて、後半勝負って感じになると思います。前回の試合で、湘南は70分すぎあたりから、足が止まり始めたので、そこ狙いって感じじゃないでしょうか。アウェーですし、そんな感じでやってくると思います。湘南が前から来たら、無理せず蹴っ飛ばしても鳥栖は豊田がいるから良いわけですし。なんで、鳥栖のほうも、いつも通り、ロングボール中心で攻めてくるでしょう。鳥栖も自分達のサッカーやればいいだけです。



個人的には、打ち合いになるんじゃないかなあ、と思ってます。鳥栖の最終ラインって、特に左SBのキムミヌは結構食いついて来てくれるのでベルマーレとしては、裏を取りやすそうに思える訳です。ここから、ホームで鳥栖、清水とやるんですけど、これらのチームはSBの裏を取りやすいチームなんで、湘南としては点はとれそうなんです。湘南はWB、シャドー、ボランチ、CBが絡むサイドアタック出来ますんでSBの裏を取りやすいチームには点取りやすいんです。なので、ホームでは点取って勝って欲しいな、と。



とりあえず、今日はそんな所で。ではでは。