サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

スポーツと観客動員のお話。観客は何に反応するのか。

さて、皆様、こんにちは。今回も書きかけたまま、放置してたネタをやろうと思います。ネタの内容としては、Jリーグと観客動員の謎です。



じつは、先日、今年度のJリーグの観客動員が発表され、


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http://footballgeist.com/audience より

開幕から20周年となった昨シーズン、J1とJ2のリーグ戦やナビスコカップなどを合わせた全845試合の入場者数は916万5092人でした。これは前の年を41万人余り上回って過去最多だった2009年の957万人に次いで過去2番目に多い入場者となりました。

Jリーグ 厳しい経営続くクラブも


こうなりました。


なんというか、客が減ってるので2ステージやろうぜ!とかいう建前をぶち壊すような話ですが、2013年は観客動員そのものは良かったようです。リーグ戦のみでは830万人、カップ戦込みだと916万人となっており、過去二番目に多い入場者数です。


これで2ステージ制にして動員が減ったら笑えない話です。もっとも、試合数そのものが増える事になるので、それはないとは思いますけどね。



さて、今回のお話なんですが、サッカーの戦術とか、そういう系のお話でなく、Jリーグにおける観客動員のトリビアみたいなお話になります。なので、気楽な気持ちで読んでください。内容的にはネタ的な要素が大量にあります。



それじゃ、本題に行きましょう。



Jリーグにおいて、観客は「チームが強い」とスタジアムに来るのか?


さて、最初のネタはこれです。「チームが勝てば動員は増えるのか?」って話です。最初に結論から言ってしまうと、幾つか、そうでもないクラブがあるっぽいってのがあります。



Jリーグホームゲーム平均入場者数



まず、Jリーグのホームゲーム平均入場者数がみれるサイトを紹介しておきます。これをみれば、各クラブの平均入場者数がみれます。今期は、「観客減ったんで2ステージ制にする」とかいう建前をJリーグ上層部が言ってたのに、終わってみれば観客動員は良かったようで、どうなってんねんって話にはなるんですが、まあ、そういうモンだと割切るしかないでしょう。


これで来期、動員が減ったらどーすんでしょうね。


ま、ここは、とりあえず、今日の話とは関係ないので、サイトの紹介だけしといて、次に進めます。


シカゴカブス、勝たなくても観客動員が良く、市場価値が高いチーム


サッカーの話を読みにきたのに、何で野球の話から入るんだよ!!と思う人がいるかもしれませんが、今回の話をするとき、こいつは避けて通れないんです。まず、この話をしないと始まらない。


というわけなので、まず、最初に本の紹介を。以前もしましたが、もう一回。



オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く

オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く



こいつですね。スポーツの統計に興味がある人は、この本はお薦めです。色々なスポーツの楽しい統計ネタが楽しめます。


で、今回の話も、統計ネタなんですけど、上記の本に「シカゴ・カブスは呪われている」って章があります。シカゴ・カブスといえば、MLB屈指のネタ球団であり、そしてMLBで最も価値が高いと算出されているチームです。

MLB球団市場価値 ベスト5
1.ニューヨーク ヤンキース 15億ドル
2.ニューヨーク メッツ 9億1200万ドル
3.ボストン レッドソックス 8億3300万ドル
4.ロサンゼルス ドジャース 7億2200万ドル
5.シカゴ カブス 7億ドル


MLB大リーグ球団市場価値ランキング


ヤンキースは別格としても、シカゴ・カブスの市場価値の高さはメジャーでも群を抜いており、スタジアムはいつも満員に近く、球団経営は最高クラス、チケットの高さもMLB最高クラスです。



一方で、なんですが、シカゴ・カブスは、メジャーでの成績はぱっとしません。その上、


ビリー・ゴートの呪い


第二次世界大戦が始まる1940年代に入ると、勝率5割を切るシーズンが続いたが、戦争が終わった1945年にはグリムが監督に復帰し、16回目となるリーグ優勝を果たす。しかし、タイガースとのワールドシリーズでは3勝4敗で惜しくも敗れ去った。このシリーズの第4戦では「ビリー・ゴートの呪い(山羊(ヤギ)の呪い)」の元となった出来事が起こっている。これは2勝1敗とカブスがリードして迎えた第4戦。地元バーの店主であるビリー・サイアニスはカブスの熱狂的なファンで、可愛がっていた山羊と共にいつも試合観戦に訪れていた。しかし、この試合に限って球団側は山羊の入場を禁止し、シアニスと山羊は球場から連れ出されてしまった。理由は山羊の臭いだった。これに激怒したシアニスは「2度とここ(リグレー・フィールド)でワールドシリーズが開催されることはないだろう」と言い放って球場を後にしたという。そして皮肉にもシアニスの予言通り、これ以降チームはワールドチャンピオンはおろかリーグ優勝にさえ遠ざかることとなり、長い低迷期を迎えることとなる。



シカゴ・カブス


こんなネタで有名だったりします。有名な「ヤギの呪い」です。



もう一つ、カブスのネタ球団っぷりを際だたせているのが、「スティーブ・バートマン事件」でして、

スティーブ・バートマン事件(Steve Bartman incident)とは、2003年10月14日に行われたMLBナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ第6戦の8回表に起こったシカゴ・カブスファンによるファウルフライの捕球妨害事件である。その直後、リーグ優勝まであとアウト5つに迫っていたシカゴ・カブスが大量失点を喫してフロリダ・マーリンズに逆転負けし、翌日の第7戦も敗れてワールドシリーズ進出を逃したことで、この事件はシリーズのターニングポイントと見られるようになった[1]。



スティーブ・バートマン事件

こいつですね。バートマンってカブスファンがファウルフライを捕ろうとして弾き落としてしまい、そこからカブスは1イニング8失点で大逆転負けを喫し、ワールドシリーズへの切符を逃した事件です。


この後の展開も、まさにメジャー屈指のネタ球団っぷりを発揮してまして、wikipediaにもありますが、マリーンズのファンから贈り物が大量に届いたので、バートマンはそれを全部寄付したり、

政界からの反応

イリノイ州知事のロッド・ブラゴジェビッチは試合後、「あの馬鹿から(刑務所入りした後)保釈申請が来たとしても絶対拒絶してやる」と発言した[15]。シカゴ市議会議員のトム・アレンは、バートマンはアラスカ州へ移住すべきだと述べた。一方、バートマンの妨害によって救われた形のフロリダ州知事ジェブ・ブッシュは「彼の安全を守ることを約束する」と述べ、バートマンを亡命者として受け入れる用意があると明かした[16]。


こんなのや

その後

翌日の第7戦にも勝利してナ・リーグ優勝を果たしたフロリダ・マーリンズニューヨーク・ヤンキースとのワールドシリーズを4勝2敗で制し、6年ぶり2度目の世界一に輝いた。


後に、このボールは多くのファンが見守る前で爆破された[14]。


バートマンが座っていた座席である「セクション4、8列、シート113」はリグレー・フィールドの名所の1つになった[17]。


バートマンにはマスコミから多額の報酬で出演オファーが来たが、すべて断った。2012年に発売されたプレイステーション3用ソフトMLB 12: The Showのコマーシャルで、カブス優勝のシーンが実はリアルなゲーム画面で、これを見て涙ぐむ青年のシーンが話題になったが、彼のモデルがバートマンではないかと憶測が流れた。ただし、CM製作者はこれを否定した[2]。


バートマンの風貌がカブスのキャップにヘッドフォン、眼鏡、緑のタートルネック、黒いセーターという特徴的なものであったため、ハロウィーンのコスチュームにもなった[18]。アリゾナ・ダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドに出没するバートマンの偽物は名物化している[19]。


事件後、バートマンは仕事も住所も変え、公の場には一切姿を現していない[3]。2011年、カブスのセオ・エプスタイン球団社長は「全てを水に流して前に進むべきである。私はいつでも彼を暖かく迎え入れる」と述べ、バートマンと公式の場で対面することを望んだ[20]。


こんなのまであります。wikipediaからの引用ですが、どれも有名すぎるエピソードです。




さて、紹介した本の「シカゴ・カブスは呪われている?」って章では、ヤギの呪いやバートマン事件のネタの紹介と共に、シカゴ・カブスは本当に呪われているのか?というネタをやってます。



でも、その話の中で一番面白いのはそこじゃないんです。ネタ的に、最高にクールなのは、シカゴ・カブスの観客動員ネタです



ちと引用しますが、

お金のインセンティブの話に戻すと、1990年から2009年で、MLBのチームの価値はいずれも、勝てば勝つほど高まった―――ただ一チームを除いて。カブスという球団の勝ちは負ければ負けるほど、ちょっと上昇している!なして?カブスがいつものぶざまなプレーを繰り広げているのにファンは球場に来続けたからだ。チケットの販売による売上高は、カブスがいつもよりちょっと負けが込んでるとき、実は増えている。


ってものです。この本にはシカゴ・カブスと、シカゴ・ホワイトソックスのシーズンごとの勝敗、勝率、観客数、収容率などのデータが載っているのですが、この二つは対照的で、カブスのほうは酷い成績でも、1998~2009まで観客数は極めて安定しており、一方でホワイトソックスのほうは順位が観客動員に跳ね返ってます。



何故?こっから先が傑作なんですよ。これも引用しますが、


実は、リグレーカブスの本拠地の球場)の観客数は、カブスの勝率より――――ずっとずっと――――ビールの値段に敏感なのだ。1984年から2009年のビールの値段を調べ、その価格を一般物価水準とその期間のインフレ率で調整し、その実質価格と各年の観客数の関係を調べると、観客数は試合に勝ったとか負けたとかの4倍以上もビール価格に反応している。


それだけじゃない。カブスの球団組織はそれがわかっている。過去20年間の勝率が48.6%だなんてぶざまな成績を出しておきながら、カブスのオーナー達はチケットの値段を1990年以降で67%も引き上げた。これはリーグ平均の44.7%を大きく上回る。それと同時に観客動員はキャパの99%という史上最高を記録している。でもビール価格は、ビールそのものと同じように、まったく変わらなかった。2009年のチーム・マーケティングレポート(TMR)によると、リグレーフィールドでのチケットはMLBで三番目の高さだ。MLBの平均は一人48ドルであり、リグレーを上回るのは、ボストンのフェンウェイパークの50ドルと、新しいヤンキーススタジアムの73ドルだけだ。でも、ギルレーフィールドのビール(小)の値段はリーグで三番目の安さである(売店で一杯5ドル。TMRは、そういう形で価格を報告する)。リグレーより安いのは顧客層の小さいピッツバーグ・パイレーツ(一杯4.75ドル)と中ぐらいのアリゾナ・ダイアモンドバックス(4ドル)だけだ。そして、これらの2チームのチケットの値段はそれぞれ15.39ドルと14.31ドルである。


黒字強調は僕ですが、これ、ホントにケッサクですわ。観客動員が、チームの勝率より、ビールの値段に結びついてるなんてね。



と、ここまでは「流石カブスだ!MLB屈指のネタ球団っぷり!そこにしびれる!あこがれるう!」で済む話なんですが、皆さん、この話を読んで、すぐ「あれ、これ、どっかの島国の球団で、似たようなトコがないかい?」と思いませんか?



そう、阪神タイガースというチームの事です。


阪神タイガースとビール


さて、皆さん、阪神と言えば、


あぁ、阪神タイガース―負ける理由、勝つ理由 (角川oneテーマ21)

あぁ、阪神タイガース―負ける理由、勝つ理由 (角川oneテーマ21)


この本が有名で、「野村くんなあ、うちの球団にとっていちばんありがたいのは、巨人とずっと優勝争いをして、最後の最後に負けて2位になることなんだよ」「優勝を逃せば、選手の給料を上げんでもいいからな」なんて話を現役時代に阪神の営業担当からノムさんが聞いたって話から始まるわけです。


いかにも阪神らしいというか、発想が大阪のあきんどです。



で、なんですけどね。ノムさんは、阪神のこういった体質を問題にしていて、負け犬根性が染みついていたなんて話をしてますが、これもカブスと良く似てます。カブスは負け犬根性が染みついていて、MLBのチャーリー・ブラウン扱いされる事もあります。



でもね。阪神には別の側面もあるんです。それは万年黒字球団であり、日本でもっとも地域密着に成功したプロスポーツチームであり、球場を親会社で所有しており、巨人やソフトバンクみたいに馬鹿高い球場使用料を払わずに済んでいる、という形で、プロスポーツチームの理想的な経営モデルを作り上げているわけですよ。フィールドでは、無様に負け続けてた時代、万年二位だった時代、色々ありますが、観客は強い時も弱い時も、甲子園に来続けているわけです。


ここで疑問が出ますよね。


なんで、ここまで球団経営は上手くやってるのに、阪神の暗黒期、チームは弱いまま放置だったのか?何故、巨人のようになれないのか?、と。



で、ここでね、僕も、ちょいと計算してみたわけですよ。すなわち、阪神の観客動員と勝率、そしてビールの値段との相関性を。



阪神タイガース年度別成績


ビール価格



最近は、この手の数字がネット上に転がっているので、ホントに楽なもんです。

年度 試合 +- 勝率 順位 観客動員 観客動員/試合数 ビール価格
52 120 79 40 1 39 0.6639 2 253 2.1083333333 2086
53 130 74 56 0 18 0.5692 2 628 4.8307692308 1633
54 130 71 57 2 14 0.5547 3 687 5.2846153846 1565
55 130 71 57 2 14 0.5547 3 591 4.5461538462 1541
56 130 79 50 1 29 0.6124 2 892 6.8615384615 1493
57 130 73 54 3 19 0.5748 2 932 7.1692307692 1397
58 130 72 58 0 14 0.5538 2 836 6.4307692308 1317
59 130 62 59 9 3 0.5124 2 526 4.0461538462 1238
60 130 64 62 4 2 0.5079 3 635 4.8846153846 1144
61 130 60 67 3 -7 0.4724 4 567 4.3615384615 1042
62 133 75 55 3 20 0.5769 1 1018 7.6541353383 875
63 140 69 70 1 -1 0.4964 3 702 5.0142857143 818
64 140 80 56 4 24 0.5882 1 1064 7.6 740
65 140 71 66 3 5 0.5182 3 950 6.7857142857 686
66 135 64 66 5 -2 0.4923 3 699 5.1777777778 654
67 136 70 60 6 10 0.5385 3 798 5.8676470588 602
68 133 72 58 3 14 0.5538 2 827 6.2180451128 567
69 130 68 59 3 9 0.5354 2 1032 7.9384615385 529
70 130 77 49 4 28 0.6111 2 1056 8.1230769231 504
71 130 57 64 9 -7 0.4711 5 716 5.5076923077 458
72 130 71 56 3 15 0.5591 2 807 6.2076923077 417
73 130 64 59 7 5 0.5203 2 1061 8.1615384615 408
74 130 57 64 9 -7 0.4711 4 1084 8.3384615385 337
75 130 68 55 7 13 0.5528 3 1393 10.7153846154 326
76 130 72 45 13 27 0.6154 2 1361 10.4692307692 319
77 130 55 63 12 -8 0.4661 4 1393 10.7153846154 293
78 130 41 80 9 -39 0.3388 6 1392 10.7076923077 305
79 130 61 60 9 1 0.5041 4 1658 12.7538461538 287
80 130 54 66 10 -12 0.45 5 1695 13.0384615385 298
81 130 67 58 5 9 0.536 3 1641 12.6230769231 316
82 130 65 57 8 8 0.5328 3 1928 14.8307692308 300
83 130 62 63 5 -1 0.496 4 1799 13.8384615385 314
84 130 53 69 8 -16 0.4344 4 1934 14.8769230769 333
85 130 74 49 7 25 0.6016 1 2602 20.0153846154 325
86 130 60 60 10 0 0.5 3 2360 18.1538461538 321
87 130 41 83 6 -42 0.3306 6 2129 16.3769230769 316
88 130 51 77 2 -26 0.3984 6 2069 15.9153846154 305
89 130 54 75 1 -21 0.4186 5 1849 14.2230769231 290
90 130 52 78 0 -26 0.4 6 1894 14.5692307692 292
91 130 48 82 0 -34 0.3692 6 1820 14 280
92 132 67 63 2 4 0.5154 2 2853 21.6136363636 274
93 132 63 67 2 -4 0.4846 4 2768 20.9696969697 273
94 130 62 68 0 -6 0.4769 4 2704 20.8 280
95 130 46 84 0 -38 0.3538 6 2070 15.9230769231 190
96 130 54 76 0 -22 0.4154 6 1860 14.3076923077 190
97 136 62 73 1 -11 0.4593 5 2270 16.6911764706 189
98 135 52 83 0 -31 0.3852 6 1980 14.6666666667 192
99 135 55 80 0 -25 0.4074 6 2601 19.2666666667 194
0 136 57 78 1 -21 0.4222 6 2413 17.7426470588 186
1 140 57 80 3 -23 0.4161 6 2070 14.7857142857 190
2 140 66 70 4 -4 0.4853 4 2680 19.1428571429 191
3 140 87 51 2 36 0.6304 1 3300 23.5714285714 193
4 138 66 70 2 -4 0.4853 4 3523 25.5289855072 191

表作るとこうなります。観客動員については、実数公表は随分後の事ですし、正確じゃないかもしれません。あと、ビールの値段は消費支出を元に現在の価値に換算した価格となってます。



で、こいつを使って、簡単に阪神の勝率と動員、ビールの値段と動員の散布図を作ってみましょう。



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これが、阪神の1952~2004までの勝率と動員の散布図です。相関係数は-0.36です。なんと負の相関です。ただ、相関係数は低いので、「勝率が低いほど観客動員が良くなる」ってわけでもないです。


ケッサクなのは次。



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まさにキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!である。



こいつは、阪神の1952~2004までのビールの価格と動員の散布図です。相関係数は-0.71。負の相関性がでました。こんな、いい数字が出るとは思わなかったので、散布図作って、R2を出して、画面の前でガッツポーズしてしまったのは言うまでもない。これだけ、いい数字が出ることは滅多にないぜ!流石、阪神さんやでえ・・・・!



カブスと阪神の共通点は、ビールの値段と観客動員に強めの相関性が認められるってトコです。



そして、それだけじゃない。カブスにしろ阪神にしろ、フロントはそれを知ってるって事。



カブスは本拠地のリグレーでチケット高め、ビールの値段を安く設定してるって話をしましたよね?これ、阪神も同じなんです。甲子園の生ビールの値段は600円。全球団で一番安く、そしてチケットでは、プロ野球だと、自由席は1500円~800円程度なんですけど、阪神は1900程度に設定されてて割高なんです。



こうやってみてみると、阪神のフロントは、野球の現場はわかってないかもしれないけど、いわゆる「トラキチ」と呼ばれる自分の所の顧客層については、よく知ってるって事なんです。チームの勝率をあげるより、生ビールの半額券配るか、生ビール半額デーやった方が、よっぽど集客力があるって事です。



ま、ここまでは野球のネタなんですけどね。ただね、実は、ビールの値段に強く反応してるチームがJリーグにもあるんですわ。




浦和レッズと観客動員、レッズサポの謎の生態に迫る


さて、こっからがJリーグネタです。Jリーグでネタチームというと、西のガンバ、東のレッズという感じになります。理由は、Jリーグ初期に、どっちのチームも「Jリーグのお荷物」と揶揄されるほどに弱く、浦和に至っては、1993年シーズン終了後に当時監督が「3年間分負けた」とコメントしたり、リーグ戦でも喜びすぎて同点にされたり、リフティングで点を入れられるなど、それはもうネタくさい失点の仕方を繰り返したせいでもあります。その弱さは漫画などでもネタにされており、とにかく、まあ、ネタに困らないチームでありました。



しかし、こと、観客動員については、ガンバとレッズは対照的で、Jリーグバブルがはじけた後、ガンバが動員で低迷したのに対して、レッズは常に入場者数でリーグトップをひた走り続けておりました。ちなみに、順位は1993~1999年まで年間順位は中位から下位でしたが、Jリーグホームゲーム平均入場者数では、1996年から1999年まで常にトップです。


この「弱い癖に観客動員は常にトップ」というのが、初期浦和レッズの特徴でして、「なんでチームは弱いのに、あんなに客が入るんだ?」というのは、Jリーグの謎の一つでした。



まあ、そんな訳でして、古参レッズサポーターってのはチームをひたすら愛し、弱い時でも応援しつづける人達ってイメージがあるんですがね。




ただ、ここで、浦和レッズの観客動員と勝率、浦和レッズの観客動員とビールの値段で散布図作ってみましょう。

年度 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 相関係数
平均観客動員 21276 22706 20504 24329 19560 18475 11459
年間順位 15 6 10 6 4 12 10 -0.2478219417
ビールの値段 194 192 189 190 190 280 273 -0.7632474081


こーなりました。



まさにキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!である。本日二度目。観客動員と勝率の相関係数は-0.2程度。負の相関がでてますが、弱い相関性なので、それはどうでもいい。


しかし、ビールの値段との相関性が-0.76とか、これもう最高。浦和さんなら、やってくれると信じてました・・・!画面の前で思わずガッツポーズ。10年来の謎が解けた気分です。



散布図も作ったので載せときますね。


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これが1993~1999年における浦和のホームゲーム平均入場者数とビールの値段の散布図です。相関係数が-0.76、R2が0.58、イイヨイイヨ-。


これだけ見ると、ビールの値段が安いと浦和のホームゲームの入場者が伸びる計算がたちます。こんだけビールの値段に反応してくれるなら、話は簡単で、ビールのタダ券とチケット抱き合わせれば、入場者が伸びるハズ。


初期浦和のフロントって、ビールのタダ券でも配って集客してたんじゃないですかね?食いつく可能性が馬鹿ッ高い。


でもって、浦和さんのフロントが、阪神のフロントじゃないですけど、補強とか適当だったり、チームを弱いまま放置してたのも、ある意味で理解できます。チームの勝率あげるのに金使うより、ビールのタダ券でも配った方が、集客力があるって事なんですからね。


ただ、そーいう牧歌的な世界は1999年で終わりを告げます。J1に降格制度が導入され、浦和は1999年にJ2に降格。そして、2000年のJ2では流石にビールだけでは無理だった。ホームゲームの平均入場者数は16,923に落ち込み、ビールだけではJ2で人呼べないって事は明らかになりました。



でね。


浦和サポーターって、近年、ちょっと違う傾向が出てるんです。これも表にしときますが、

年度 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 相関係数
観客動員 39357 45573 46667 47609 44210 39941 33910 36634 37100
勝ち点 59 72 70 53 52 48 36 55 58 0.6072121844
ビール価格 193 195 192 197 200 199 197 192 0.0599320652


2005年以降、埼スタが出来てから、傾向的に明白になってきてるんですけど、勝ち点と観客動員に正の相関性が認められるようになってきてるんです。1999年以前と全く逆。+0.6程度の相関係数がでてます。でもって、ビールの値段に観客動員が全く反応しなくなった。もっとも、近年、ビールの値段がほとんど下がらなくなったって影響もあるんですがね。



浦和レッズサポーターという部族については、近年、その傾向に変化があらわれており、ビールの値段には反応せず、浦和の勝ち点のほうに反応するようになっているってのがあります。



これ、金銭的なインセンティブでいうと、初期の浦和フロントってのは、「勝ちたい」と思う金銭的インセンティブがあんまりありませんでした。ってのも、ビールの半額チケットでも配っておけば人が入るような状態だったからです。勝率上げても、観客動員にあんまり影響がなかった。でも、最近の浦和は、勝ち点稼がないと客が減る傾向があり(特に旧ペトロビッチ時代とかね)、以前と比べて、ずっと強く「勝ちたい」っていう金銭的インセンティブがあるようになってるんです。



ペトロビッチ監督は、浦和を滅茶苦茶にしてましたが、一つだけ功績があります。それは、浦和のフロントに「勝たないと観客動員が減る」っていう冷たい現実を思い知らせたって事です。




一方、FC東京サポも、食いしん坊で有名ですが、面白い数値はでませんでした。実は、FC東京については、相当期待していたのですが、数値は期待外れでした。各地のスタに出向いていっては、美味しいものを食い尽くすので有名なFC東京サポーターですが、ビールの値段やチームの勝ち点の上下と、観客動員の間に強い相関性はありませんでした。




まあ、今日はこのあたりで。


言いたかったのは、「勝てば観客動員が良くなる」というのは必ずしも正しくないチームがある、かつてはあった、ってこってす。


ではでは。