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2014年W杯前夜、日本代表の考察

はい、皆様こんにちは。本日は、ちょいと周回遅れになりますが、日本代表の考察でもやりたいと思います。これ、本当はメンバー23人が発表された時にやろうと思ってたんですが、さぼってました。なんで、ザンビア戦の前に軽くやっときたいと思います。



内容的には、今まで散々、日本代表について扱ってきたので、それの繰り返し的な部分が多いのですが、W杯前なので、簡単な復習程度に、日本代表のやり方についてまとめておきます。



日本代表監督、ザッケローニの話


でもって、まずこの話から始めますが、日本代表監督アルベルト・ザッケローニという人物についてなんですが、人柄はイタリア人にしては異常に真面目で頑固、仕事熱心という珍しい人物です。また、この監督、プロとしての選手経験がありません。なので、そもそもイタリアではプロの監督になる事自体、非常に困難な状況でした。イタリアでプロの監督ライセンスを得ることができるのは年間60名で、その殆どが元プロに割り当てられる為、アマチュアチームの監督がそこに割り込むにはコネか実績のいずれかが必要だからです。


コネを持っていなかったザッケローニがプロの監督になる方法、それはただ一つ、自分のチームをセリエDからセリエC2に昇格させて実績を作るしかありませんでした。そして、彼はそれにバラッカ・ルーゴ時代にバラッカをセリエC2に昇格させる事に成功します。この実績によって、カテゴリ2のライセンスをバラッカの会長のコネで得ることに成功します。ここから、ザックのプロ監督としてのキャリアが始まります。


そーゆーキャリアの監督なので、基本的に監督としてプロ選手としての経験が無いというのがウィークポイントであり、一方でストロングポイントとしては、たたき上げのキャリアの持ち主である事からもわかる通り、監督として優れているという事です。監督としての手腕が並外れて優れていない限り、プロ選手経験のない人物は、基本的にイタリアでは、プロ監督としてのライセンスを手に入れることは絶対に不可能だからです。


そーゆー訳ですんで、僕はザックを信用してます。監督として並外れた能力を持っていない限り、イタリアではプロ選手としてのキャリアのない人間がプロライセンスを手に入れる事自体、不可能に近いからです。


でもって、この監督なんですが、「343は私のドレス」なんて言う通り、343が好きっぽく、代表の選手選考でも、ダブルボランチに細貝、山口、高橋みたいな守備力のある選手を好んでました。ザックの343はダブルボランチのカバーしないといけない範囲が広いため、守備力のあるボランチが必須になります。また、SBの選考でも、WB向きな選手、長友やダブル酒井、駒野なんかを選んでいる所にも特徴があります。組み立てと守備ができるSBより、前にでていけるSBが好みなんですね。CBには足下がある選手を好み、ドリブルが得意なWGも大好きなようで、原口、宇佐美、斎藤なんて選手を呼んだりしてましたよね。




ちなみに、ザックなんですが、結構、今回のグループリーグ突破については自信もってるようでして



岡田武史氏が「FOOT×BRAIN」生出演でザッケローニのオフレコ発言を暴露wwww




こっちで岡ちゃんが暴露してますけど


「日本の1位通過も有り得ると、僕はそれくらい思ってます。この前、ザックと話した時も『万全なら十分その可能性はある』とザックも言ってましたから」


とかね。


まあ、岡ちゃんも他人事だから、色々軽口叩いてますけど、実際にギリシャコートジボワールの試合見てると、そんなに怖さないんですよ。コートジボワールは4年前より運動量落ちてるし、攻撃の時、追い越して行く選手が減ってます。それと足下で貰う動きばっかりで、怖さがホントにない。守備はアフリカ的というか、最終ラインの作り方が滅茶苦茶になる事があり、WGの守備参加も適当な部類です。ギリシャのほうは、要するに、ブロック作って守ると堅いけど、相手にブロック作られたらセットプレー以外に攻め手をもってません。カウンターも鈍い部類なので吉田でも十分対応できそうです。なんで先制点さえ取ってしまえば、もう怖くないんです、あのチーム。先制点とって、あとはブロック作ってまもればギリシャはGG。でもってコロンビアはファルカオが出れないと来てる。


詳しい話は、試合前のプレビュー書きますが、コートジボワールギリシャの試合を見る限り、日本代表だったら十分勝てる相手なんです。といっても、一発勝負なんで結果は水物ですが。ただ、トータルでは日本のほうが上だと思いますよマジで。



まあ、話がそれてきたので、日本代表の話に戻しますね。こっからは日本代表の攻撃と守備のおさらいにします。



日本代表の攻撃のおさらい

さて、日本代表の攻撃のおさらいをやっときましょう。


このチームは、このブログで何度も話をしてきましたが、「左偏重の攻撃」ってのが特徴です。どういう事かというと、基本的に、



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図でやるとこんな感じになります。棒線が人の動き、点線がボールの動きですが、左で作る場合、フィニッシャーは基本的に岡崎です。岡崎が右から斜めに入ってくる動きにボールを合わせるのが基本。CFは左で組み立てる時は、岡崎の為にニアで潰れ役やるのが殆どです。


岡崎にボール届けるのは、遠藤、香川、長友の役割で、長友は縦突破クロスでファーへ、香川はカットインからファーへのクロス、もしくは岡崎へのスルーパス、遠藤は岡崎の斜めに走る動きに合わせてロングパスといった役割分担になってます。



日本代表 ランキング


こっちのページで、日本代表のアシストとかパス交換のが見れますが、

アシスト数

1 長友 佑都 10
2 遠藤 保仁 9
3 香川 真司 7

パス交換

1 遠藤 保仁 → 香川 真司 489
2 今野 泰幸 → 遠藤 保仁 437
3 香川 真司 → 遠藤 保仁 431


って数字が出てますけど、とにかく組み立ては左サイド偏重でしてアシストも左サイドが一番多いわけです。香川と遠藤でゲーム作って、長友のクロスか、遠藤と香川が岡崎にラストパスだすか、香川がカットインして岡崎がフィニッシュって形が、このチームの最も強力な形となっており、これはアジアカップのサウジ戦で完成してまして、以来ずっとこの形を継続してます。





香川真司タッチ集 1ゴール VSコスタリカ Kagawa VS Costarica 2014年6月 ...



前回のコスタリカ戦の香川のタッチ集も貼っときますが、基本的に、このチームは左でゲームを作ります。左で香川とボランチでパス交換しながら、SBの突破か、コンビネーションによる突破、裏への縦パスって形にもっていきます。


でもって、このチームが一番やりたくないチームってのが、ブラジルみたいなチームでして、基本的に、このチームの攻撃はWGの岡崎と香川が高い位置取れないとどうしようもありません。何で、ブラジルみたいに両SBあげてくるチーム相手だと、両WGがSBのケアのため、自陣深くまで押し込まれてしまう為、攻撃がまともに機能しなくなります。


今大会の場合、グループリーグで、日本に対して両SBあげて攻撃をしてくるチームは無いので、ある意味では安心っちゃ安心です。



基本的に、今回のメンバー選考では、豊田やハーフナーのようなファー待ちタイプのストライカーは選考から外れてしまいましたが、彼らは岡崎とファーで被る可能性が高い選手なので、その面でしょうがなかった部分があります。このチームのCFはニアで仕事が出来る選手が優先され、ファー待ちタイプはあんまりチームに合ってないんです。



それと、右サイドは基本的にゲーム作れませんし、作っても微妙です。理由は右WGが岡崎で組み立ての才能はほぼゼロといって良い選手ですし、その上に右利きです。このチームの場合、右でゲーム作るなら、清武使う必要があるんですが、その場合、右からクロス上げたら、誰がファーで合わせるの?という問題が生まれます。ここで香川の話になるんですが、この選手、ファーでの得点力はゼロに近いです。香川の得点力はニアで発揮され、ファーでは得点力皆無です。(岡崎はこの逆)


理由は、というとヘディングが下手糞だからで、岡ちゃんが香川を代表に初めて呼んだ時、「プロなのにヘディングできねぇ奴がいる」といって香川にヘディングの居残り練習させてたエピソードがありますが、その位下手です。だから、ファーに浮き球クロス上げられても、この選手は何も出来ないんです。


右からクロスあげても、ファーで待ってるのが香川じゃ、はっきり言って意味がありません。無意味無意味無意味。


しかも本田とうっちーが現在、フィジカルコンディション良くないっぽいので、右からの攻撃は期待できません。なんで、W杯は左サイドに全てを託す事になります。時々、香川が右にまで流れてきて、コンビネーションやってるの見かけますが、まあ、香川に関しては、ファーでクロス待ってても意味ない選手なんで、アレはアレで良いと思います。ここまで来たら割り切りも必要です。




日本代表の守備のおさらい


さて、面白くない話ではありますが、日本代表の守備の話もやっときます。このチームは、守備は基本的に442、もしくは4411で守備をセットし、敵陣10メートルあたりから組織だったプレスをかけていきます。ラインは高めに保ちます。基本的に、組織で守備をやるチームでして、個の能力に任せた守備はやってません。



ただ、問題はライン上げるにあたって、CBの吉田がスピードないのと、GKの川島はゴールラインで守るタイプで守備範囲が狭く、飛び出しはそんなに上手くないって欠陥を抱えてまして、プレス交わされてオープンスペースに持ち出されると、ピンチに直結するのが珍しくも何ともありません。というか、コスタリカ戦でやられたばっかです。


また、不動の存在だった長谷部遠藤のダブルボランチが2013年あたりから不安定になってまして、山口の台頭がなかったら、ちょっと危険な状態でした。前回のコスタリカ戦なんですが、山口蛍はボール奪取数13という素晴らしい数字を残してまして、こんくらいやってくれると、長谷部の後釜問題は片付いたも同然です。現状、山口蛍は日本のボランチの第一候補といって良いと思います。波がある選手なので、本番でアレにならない事を祈るのみですね。



でもって、吉田と川島はハイプレス向きの選手とは言い難い部分もあるんですが、日本にとってセットプレーはアキレス健なんで、出来るだけライン上げて守った方が良いです。ライン上げて守り、出来るだけボールポゼッションすることで敵をゴールから遠ざけておくってやり方で戦うしかありません。少なくとも、このメンツでは。



あと、コスタリカ戦のレビューした時に話した事ですが、あの試合、簡単なワンツーで最終ラインが突破されるケースが前半だけで二度あり、この部分では本番までに修正が必要です。特にコートジボワールドログバに当ててから後ろの選手が飛び出してくるので、それで簡単に裏取られるようだと失点に直結します。


もっとも初戦で一番怖いのはカウンターでして、日本は多分、コートジボワール戦ではSBをガンガン上げてきます。理由は、コートジボワールのWGがSBについてこないケースが多いからで、相手のWGが長友についてこないなら、それだけで日本はサイドで数的有利作れます。


ただ、相手のWGがついてこないって事はカウンターの時に、コートジボワールはSBの裏をWGが使えるって事なんで、そこであっさりカウンターでやられてしまうようだと日本は厳しくなります。まあ、この話は試合前にプレビューで詳しくやります。長友もインタビューでカウンターの警戒の話であったり、自分があがった時、誰がSBの裏をカバーするのかなんて話をしてますが、こいつは初戦の相手のコートジボワールを見据えての話です。あのチーム、WGがSBについてこない事があるんでね。



守備の話はこの辺りで〆ときます。グループリーグの相手で、ブラジルみたいに両SB上げてくるチームはないし、日本がブラジルみたいにどうしようもなく押し込まれる相手ってのはいないと思いますので、その辺、どうしようもない相手ってのはいないです。


ああ、それと、吉田とうっちーについては、やらかしても、そっとしておいてやってください。高確率で僕はやらかすと思ってますが、それはザックも織り込み済みだと思います。コートジボワール戦とコロンビア戦では、一失点まではしょうがないです。ギリシャ戦でやらかしたら、流石に僕も切れますが。



日本の理想の試合展開について


最後に、この話も。日本の理想の試合展開は、コスタリカ戦の後半みたいな状況にもっていくことです。基本的に日本の選手は走れる選手が揃ってます。コートジボワールは前から来る可能性が高いですが、連動したプレスというより個人能力頼みの部分があり、運動量は落ちてきてます。なんで、パスでプレスをいなしながら、相手を疲弊させて、そこからたたみかける展開が理想です。要するにコスタリカ戦の後半ですね。



コートジボワール戦は、相手最終ラインがぐちゃぐちゃになる可能性が高いので、CFは柿谷で来ると思います。柿谷と岡崎の裏取り一発でもっていける可能性が高い相手なんです。あと、最終ラインのパスワークが稚拙で、ミスが多い為、ハイプレスからのショートカウンターも重要になってきます。これで前半のうちに2点取れれば理想です。多分、一失点はするので、早い時間で二点取るのが大事。


ギリシャ戦は、とにかく相手は人数かけてブロックしっかり作って守ってくるので、出来るだけボール大切にして、相手を疲弊させていく事が大事。この試合は多分、大迫先発です。柿谷の大好きな裏のスペースはまずないのでね。カウンターとセットプレーの機会を与えたくないので、辛抱強くパスを回すこと。リスクとって攻めるのは相手が疲れてからで良いと思います。ギリシャ戦は、あんまり面白い試合にはならないと思いますが、そこはご容赦を。相手が引いて守るタイプのチームなんで、ひっかけられてカウンター食らったり、攻め疲れてカウンター浴びるのが一番良くないので。ギリシャ戦は絶対僅差の試合になるんで、この試合でのやらかしはマジでやめて。



で、最終戦のコロンビア戦になるんですけど、この試合は、正直、僕は一番難しいと思ってます。というのも、日本代表はアウェー・中立で南米のチームに勝ったことがないんですわ。だから、この試合が一番難しい。



他所でも言われてますが、最初の二戦で勝ち点4取らないと日本は厳しくなります。なんで、最初の二戦で勝ち点4取れるかどうか、そこにほぼ全部かかってます。



今日はこのあたりで。ではでは。


あと明日のザンビア戦のレビューはすぐあげますよ☆