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セレッソ大阪研究。今シーズのセレッソ大阪の変化について

皆さん、こんにちは。といっても、これ書いてるの夜なんですけど。


さて、本日は、今シーズンのセレッソ大阪のレビューをしたいと思います。やっとこさ、レビューやれる所まで、こじつけました。その間に、他の海外の試合とかに浮気してたのは秘密です。ちなみに、研究の題材にしたのは、セレッソ対大宮、セレッソ対新潟、それから、ナビスコカップセレッソ対浦和の試合です。


セレッソ大阪というチームの変化について


さて、まずは、セレッソ大阪の話から。ここ最近は、代表やU23代表に多くの若手を送りこみ、日本代表の中盤の製造工場となっているセレッソなんですが、今年から、監督が替わりました。

前監督のレヴィー・クルピといえば攻撃については、


「ゴールをしろ、ゴールする事でサッカーの道は開ける(セレッソの3シャドーに対して)」
「シンジにあってお前にないのはゴールだけ(家長に対して)」


という名言を残したレヴィー・クルピ監督。とにかく、セレッソは攻撃については自由で決まり事がほとんどないと、倉田なんかが言ってました。基本、この監督、「ゴールをしろ」と選手に発破かけるんですが、攻撃については、選手の発想を大事にする監督で、決まり事を作らない監督でした。「攻撃は自由」「ゴールをきめろ」って監督の元から、次々と素晴らしい若手が育つことになるんですが。


チーム作りの基本として、左サイドにレフティでビルドアップできるSBとボランチを置くという姿勢は一貫してるんですけど、それ以外は、ホントにフリーダムで、フォーメーションも、しょっちゅういじってます。


ただ、J1では、最終的に、4231の3シャドーというシステムに落ち着きました。現在のセレッソの看板とも言えるシステムですね。




図にするとこんな感じです。3シャドーと呼ばれるのは、4231の、3の所の選手が、全員シャドーだからです。3の両翼の所にウィング的な選手がいないんですね。で、ウィングの役割は、ポゼッション時、両SBを高い位置にあげることで補ってました。


で、このシステム、非常に攻撃力が高いんですけど、反面、J1の各チームとの対戦が一巡し、対策されるようになると、両SBの裏のスペースを使われるとカウンターに脆いって問題がクローズアップされるようになります。セレッソとやる場合、ボール持たさせとけば、勝手に両SBあげて攻撃してきてくれるんで、カウンター狙いのチームとしては、やりやすいチームなんです。ボール取ったら、両SBの裏使ってカウンターすればいいだけなので。


とまあ、そんな所が、クルピ時代のセレッソの話です。セレッソの1トップ3シャドーは、非常に多くのシャドーストライカーを同時起用できるのが特徴なんですけど、両SBをあげることで、ピッチの幅を作りだすため、カウンターに脆いという欠点をもってました。クルピがCBに対人が強くカバーリングの範囲の広い選手を常に起用していたのは、それに対する保険みたいなものです。



さて、そのクルピ監督から、今年、後を継いだのが、セルジオ・ソアレス監督です。僕は、最初、クルピ路線を継続するのかと思っていて、また、両SBあげるサッカーやるのかと思ってたんですけど、これがちょっと違ってます。


これは、初戦のサガン鳥栖セレッソ戦の時から明らかで、試合後、セレッソのGK、キムジンヒョンのインタからの引用になりますが、

●キムジンヒョン選手(C大阪):
「(前半にファインセーブが続いたが?)相手がロングボールで、速攻で崩してくるのは、みんな分かっていたこと。それでもシュートまで来られたが、僕のセーブは普通のこと。いつの試合でも、そのシュートは絶対止めないといけないと思ってやっているので、(ファインセーブという)そんなセーブは絶対ないと思っている。
(守備意識について)昨年はサイドバックが2人とも出て行って、そのあと、カウンターとか、危ないところがあったんですが、今年はサイドバックが1人上がると、1人は絞って、あまり上がらないようにしていて、3人で守っているから、昨年より安定している感じはあります。試合ではどこのチームでもチャンスはあるし、僕らにもチャンスはあったが、それを集中してやられないようにしただけです」


【J1:第1節 鳥栖 vs C大阪】試合終了後の各選手コメント(12.03.10)


黒字で強調しましたが、ソアレス体制になってから、両SBが上がるなんてことはなくなりました。このソアレスって監督、最初は、攻撃大好きな人かと思ってたんですが、蓋を開けてみたら、この人、どっちかっていうとバランス型の監督で、相手チームの研究もマメに行うタイプのようです。去年のセレッソの試合のVTRも全部みたそうです。研究熱心な監督さんなんですね。


で、なんですけどね。両SBが上がらないってことは、3シャドーは成り立たないんですよ。1トップ3シャドーは、両SBあげる事で、3人のシャドーが自由に動けるってシステムだし。片方のSBが上がったら、片方はバランスとって下がるってシステムなら、1トップ2シャドーって所です。そんな訳で、今年のセレッソは、去年ほど、攻撃に比重をかけてません。去年は、攻撃に6〜7人かけてくる事もありましたが、今年からは、5〜6人程度までです。そして、その分、カウンターは食らいにくくなっており、守備は安定してます。セレッソに対して、去年と同じ感覚でカウンターしようとすると、スペースなくて苦しむ事になります。


こっからは、いつものキャプ使った奴でやりますが、









このシーンは、今年のセレッソと去年の違いでもあるんですけど、このシーンで、両SBが上がってこないんですね。去年だと、両SBが上がってきます。なんで、去年ほど、攻撃にバリエーションを持たせることが出来なくなってます。勿論、その分、カウンターを食らいにくくなってるんですけどね。両SBをあげないシステムになったので、セレッソは、ウィングのどちらか一方がサイドに張ってないと、ピッチで幅を使えなくなってます。でもって、もう一つ。





このシーンですけど、やっぱり、ここでも右サイドにアタッカーがいないので、パスコースが限定されちゃってるんですね。こういったシーンをまず紹介したのは、今年からセレッソは、両SBをあげなくなってるからです。これ、結構大きな違いなんです。両SBをあげずに3シャドーやろうとすると、ピッチで幅を使えなくて、攻撃方向が限定されて、相手DFにひっかりやすくなります。


また、もう一つの違いとして、去年と比較して、体感ですが、セレッソは攻守の切り替えの速度が上がってます。この部分が徹底されている感じで、守から攻への切り替えも早いし、攻から守への切り替えも早いです。


そんな感じなんで、全体的に、ブラジル人監督のチームなんですけど、攻守の切り替えの早くて運動量の多いサッカーになってます。去年に比べると、縦に早いサッカーになった感じです。去年と比較すると、今年のセレッソ

  • 攻守の切り替えが早く、縦に早いサッカーになっている
  • 両SBをあげる攻撃はしなくなったのでカウンターを浴びにくくなった
  • 両SBをあげないので幅を使うにはウィングの片方がサイドに張る必要がある。
  • ボランチがカバーする範囲が広くなり、一方でCBがカバーする範囲が狭くなった(これは後述)


という感じです。それで、なんですけど、現状、セレッソの問題として、ピッチで幅を使えないという点を挙げておきます。両SBがあがる去年と同じ感覚でやってしまってるようで・・・これだと、相手チームは中央固めといて、サイドにボールが出たら、それで出て行ってチェックすればokみたいな感じになってしまってます。これだと、DFが攻撃方向を予測しやすいので、いくらか修正が必要だと思われます。


今期のセレッソの攻撃について。Jリーグ第六節 セレッソアルビレックス新潟などから

さて、ここからは、Jリーグ第六節の、セレッソアルビレックス新潟のお話です。まず、この試合ですが、マッチアップはこうなってました。



これですね。セレッソはいつもの4231、アルビレックス新潟は442です。この試合のポイントとしては、新潟は、とうとう、攻撃の要とも言えるミシェウが復帰した事です。新潟にとって、ミシェウは、只一人、攻撃のリズムを変えることができる選手で、変えが利かない選手と言えます。この試合でも素晴らしい活躍でした。



で、マッチアップなんですが、



こんな感じになってました。まず、アルビレックスの方なんですけど、中央を、ミシェウ、三門、本間の三枚で固め、両SBには両SHが対応してました。新潟の守備で特徴的なのは、両SHの守備方法で、中央に絞ってボランチの守備を手伝うより、セレッソのSBへのケアを優先してる所ですね。 


そして、新潟は、中央をボランチ2枚と、中央に絞った4バック、ミシェウで固めました。セレッソは中央突破の多いチームなんで、中央をがっちり固めるのを優先してました。SBも中央に絞り気味のポジションを最初から取っており、セレッソの中央突破を警戒した布陣です。


さて、こういう相手とやる場合、まず、どこにスペースが出来るかって話になるんですけど、これは、図にするとわかりやすいんですけど、



この赤で囲ったスペースになります。両SHが、セレッソのSBに引っ張られるので、ボランチとSHの間にスペースが出来やすいんですね。セレッソは、ここで、ボギョン、清武、ブランキーニョケンペスがボールを受ける事ができれば、そこを起点にして崩しに移行できるわけです。


セレッソによる、ここのスペースの使い方は結構、面白くて、キャプで説明すると、








こんな感じです。ここで、まず、左サイドに張っている左SBにボールを出して、新潟のSHをサイドに引っ張り出す。その動きと並行して、ブランキーニョが下がってきて、左SBの高橋からパスを受ける。そして、高橋はオーバーラップして、新潟のSHを引っ張る。ここで、ブランキーニョは、相手のSHがあけたスペースにドリブルをいれてます。そうすると、新潟のボランチがサイドに出てくるので、新潟のボランチの間にスペースが出来る。そこに清武が入り込んでボールを受ける、と。


ここで、新潟のSHは、セレッソのSBのケアを強く意識してるんで、どうしても、ボランチとSHの間が空きやすいんですね。セレッソとしては、そこを上手く使いたいという感じでした。あそこで、シャドーが前を向ければ、そこから、セレッソは色々できます。ただ、今年からは、両SBが上がってるわけじゃないので、選択肢が少なくなってしまっており、セレッソの攻撃の機能不全の原因になってます。


第六節の新潟戦に関しては、セレッソは、最後の部分で、攻撃で幅を使うことができず、攻撃が中央に偏って、非常に苦しむことになりました。左SBに丸橋がいないってのも痛かったんですけど、結局、新潟に完封されちまいました。新潟としては、中央はがっちりと6枚で固めているので、幅を使われない限りは、どこかでひっかけられる。この問題、ナビスコカップの浦和戦でも、未だに解決されてませんでした。浦和が遅攻の際に、しっかりピッチの幅を使って攻撃できてるのとは、その辺り、対照的な部分がありました。セレッソに関しては、誰が幅を作るのかって所がはっきりしてくれば、もっと良い攻撃が出来るようになると思ってます。今のところ、幅を誰が作るのか、チームではっきりと役割分担が出来ていない感じです。で、幅を作れないと、相手に中央をがっつり固められてしまい、セレッソ得意の中央突破ができないので、この部分は今後の課題でしょうね。


今年のセレッソの攻撃についてなんですけど、これ、監督が替わったせいでもあるんですが、クルピ前監督と比べて、今年から指揮をとっているソアレス監督は、結構な研究マニアって感じです。相手チームのスカウティングをよくやって、相手チームの弱いところをチクチクと攻める感じのゲームプランを立てる感じなんです。新潟戦でも、ナビスコカップの浦和戦でもそうなんですけど、相手のいやがる事をやってくるようになってます。そのあたり、去年みたいに、自分たちのサッカーをやれば勝てるみたいなクルピ時代とは、ちょっと毛色の違うチームになってきてはいます。


これ、ナビスコカップでのセレッソ大阪浦和レッズの試合でも思った事なんですけどね。


今年から、浦和レッズの指揮を執っているのは、元広島のミシャ・ペトロビッチ監督です。で、ペトロビッチサッカーといえば、3421バリアントとでもいうべき、あの有名な奴です。守備時と攻撃時に変形する3421ですね。特徴としては、最終ラインでのボール回しで、フリーの選手作って、そこから、中盤と前線にボール入れて崩していく所です。こいつは、遅攻で点をとれるサッカーで、ペトロビッチの広島ってのは、5本以上のパスを繋いで取った点数が、総得点数の3割くらいを占める所に特徴がありました。遅攻で点とれるんです、あのサッカー。普通、遅攻で取った点ってのは、全得点の1割あれば良い方なんですけどね。


ペトロビッチ監督のサッカーは、とにかく理詰めで攻めてきます。ただ、その攻撃は、最終ラインのボール回しで、フリーな選手を作ることから始まって、そこから、相手の守備の弱いところついてきます。(この話は、セレッソの守備の所でもします。)裏を返せば、最終ラインのところでフリーな選手を作れないと、崩しにいけない。


なんで、ナビスコカップでは、セレッソはハイプレスをかけて、浦和のボール回しを破壊しにいってました。セレッソのハイプレスの勢いに負けて、浦和は自分たちのサッカーができなくなってました。


そしてもう一つ。ペトロビッチ監督って、広島時代から、セットプレーの練習を全くやらないので有名です。そのため、セットプレーからの失点が多くて、これは、広島のウィークポイントの一つでした。実は、浦和レッズ自体、去年、セットプレーからの失点が多く、この部分での改善は全く見込めない状態なんですね。


でもって、ナビスコカップでも、セレッソにセットプレーから3失点を喫しており、まー、見事にやられちゃったねという感じです。一点目の清武のミドルはしょうがないにしても、二点目と三点目はちょっとね・・・・


逆にソアレス監督にしてみれば、してやったりというゲーム展開なんですよ。ハイプレスをかけることで、浦和レッズに自分たちのサッカーをさせず、一方で、自分たちは、浦和が弱いセットプレーで得点を重ねていくというね。浦和にしてみれば、一番、やられたら嫌な事をフルコースでやられた形でした。


とまあ、そんな訳でして、今年のセレッソの攻撃に関しては、ソアレス監督のカラーが段々と出てきたという感じです。傾向としては、クルピのサッカーより、手堅く勝ちに行くサッカーという感じです。相手の弱みをしっかり把握して、そこを攻めていくサッカーという感じです。実際、去年よりも、早い段階からポイント稼いでますしね。クルピ時代は、3シャドーの連携が取れてくるシーズン中盤以降に勝てるようになる感じでしたし。


浦和対策に関しては、今回、ソアレス監督のセレッソがやったみたいに、ハイプレスで浦和のサッカーを破壊して、浦和が苦手のセットプレーから得点を取って勝つってのは定番の一つになるんじゃないかとは思ってます。


最後に、繰り返すようですが、現状のセレッソの攻撃は、攻撃の幅を誰が作るのか、そこがはっきりしてません。幅を作れないと、相手は中央固めとけばいいだけなので、セレッソみたいに中央突破が得意なチームは、かなり乙ります。中央突破を行うには、サイドを上手く使う必要があって、今年のセレッソは、未だ、両サイドを上手く使えてないのが現状です。ピッチで幅を作れてないんです。

今期のセレッソの守備について


さて、次にセレッソの守備のお話です。



これは、最初のセレッソの攻撃の所からのつながりになりますが、今年から、セレッソは、両SBをあげて攻撃することはなくなりました。サッカーってのは、攻守が連続しているスポーツなんで、これは、守備にも影響を与えます。つまり、DFがカバーする範囲に影響がでているんですね。


結論からいえば、両SBをあげて攻撃しないので、CBがカバーしなきゃいけない範囲が狭くなりました。去年は、SBが二人とも前に出て行ってしまう上、ボランチの片方も前に行ってしまうので、CBがSBがあけたスペースをカバーしなくちゃいけませんでした。そんなわけで、カウンターで、SBがいないサイドのスペースにボールが出されるとCBがカバーに出ていってました。去年のセレッソは、CBがとんでもなく広いエリアをカバーしないといけなかったわけです。


しかし、今年からはSBは上がっても一人だけなんで、CB二人とSBがゴール前を固めている事が多く、代わりに、ボランチ二人のうち、片方がSBがあけたスペースをカバーしてます。なんで、セレッソのボランチは、去年より、広範囲をカバーしてます。特に、ボランチの山口蛍が、驚くほど広い範囲をカバーしています。今年のセレッソは、SBがあけたポジションは、ボランチがカバーする形に変更されており、ここは去年との違いになってます。



まずは、セレッソ対新潟の試合のキャプでやりますけど









こんな感じです。今年のセレッソは、後ろにカウンターのケアで4〜5枚残している事が多く、そう簡単にカウンターでやられない守備方法を取ってます。具体的には、SB1枚と、CB二枚、そしてボランチ1〜2枚が残って、カウンターに備えてます。そして、ボランチのカバーリングの関係も明確で、右サイドにボールが出ると、山口蛍が右サイドのカバーに出てきて、扇原が中央のスペースを潰します。一方、左サイドを攻められた時は、扇原が左サイドのカバーに出て行って、山口蛍が中央のスペースを潰します。又、SBがあけたスペースには、ほぼ必ずボランチがカバーに入ります。


そんな訳なんで、セレッソの守備ってのは、去年と比較すると、かなり堅いです。去年と同じ感覚でセレッソにカウンターしようとすると、スペースが無い上に、攻守の切り替えも速くなってるので、苦労することになります。


ただ、どんなやり方でもそうですが、突破口ってのはあるわけで。セレッソの守備に関しては、新潟にしろ、浦和にしろ、すでに研究を済ませているようで、この2チームは、セレッソの守備の弱いところをしっかり狙ってきていました。


結論から先にいうと、セレッソの現行の守備方法は、サイドにボールを出されたときに、中央に残ったボランチの両脇にスペースが出来やすいです。そこを狙われると厄介なことになります。


これも、ちょいとばっかし、キャプでやります。こいつは、セレッソ対新潟の奴からです。










流れとしては、こんな感じです。セレッソは、サイドにボールをだされた場合、ボランチの一方が、カバーに出てきて、もう一方がCBの前に残ります。なので、どうしても、ボランチの両脇にスペースが出来やすい。そこでボールを受けられると、CBが出てきて、SBが中央に絞ります。その瞬間に危険な状況を作られやすいです。


さて、もう一つ。これは、左サイドの守備のシーンです。










流れ的にはこうでしたが、ここ、新潟がよくセレッソを研究してるなと思ったシーンです。セレッソは、サイド攻撃を食らうと、ボランチが一枚、サイドに出張ってきます。そこでボールを奪ってカウンターに繋げたいんでしょうけど、その際、山口と扇原の間にスペースが生じやすいし、ボールサイドに全体を寄せてくるので、山口と扇原の間のスペース使って、逆サイドのアタッカーに展開できれば、チャンスになります。


ただ、セレッソ自体、それはわかってるわけで、なんだかんだで、よく守れています。ソアレス監督自身も、そこを狙われるってことはよくわかってるでしょうしね。


ただ、しかし、セレッソ対新潟の試合では、ソアレス監督の采配が裏目に出て失点してしまいました。その時のシーンをちょいとキャプで解説しますけど、









これですね。新潟の決勝ゴールのシーンです。スローインからのシーンなんですけど、このシーンで、決定的な役割を果たしているのは、まず、その前のソアレスの交代策。MF扇原に変えてFWの播戸を投入したんです。それで、なんですけど、セレッソのダブルボランチは、片方がサイドに出たら、もう片方がCBの前のスペースを潰すって分担になってます。ところが、ここでは、その分担が行われてないんです。なんで、中央がガラ空きになって、そこにボール入れられて失点しちゃいました。


山口蛍は、このシーンで、ミシェウにマンマーク気味でついていて、ミシェウについてサイドに出て行ってしまってます。ミシェウは、この辺り、やっぱり上手いというか。この日、セレッソの問題になったのは、ミシェウのポジショニングで、セレッソのボランチコンビの間でうまーくボール受けたり、山口蛍を自分のポジショニングで動かして、中央にスペース作ったり、ボールをうけて裁いたりと、新潟の攻撃を一人で動かしてました。


このシーンだと、山口蛍があけたスペースを誰がカバーするか、そこがしっかり出来て無くて、あんなに中央にぽっかりスペース作ってるようでは、やはり駄目です。ただ、この手の事は、メンバー交代後にはよくある事なんですけどね・・・・


セレッソのボランチコンビは、今年、連携しながら広範囲をカバーしてるので、正直、試合の途中で変えるのは止めた方が良いと思ってます。途中から、コンビを組み替えると、齟齬がでる可能性が高いです。



ちなみに、ナビスコカップの浦和戦でも、浦和に、ボランチの間に生じるスペースは狙われていて、こんなシーンがありました。







このシーンでは、セレッソサイドがよく対応してたんですけどね。なんというか、守備での修正は、予想以上に速く行われていて、その辺り、ソアレス監督って、意外と対応が早いなと。


それと、似たようなシーンでもう一つ。







これですね。これは、浦和サイドのいい攻撃で、感心した奴です。ペトロビッチ監督って、攻撃については、相手方の弱いところをしっかりスカウティングしてて、これはいい展開でした。セレッソのボランチの動きを逆手にとったスペースメイクと、ピッチを広く使った攻撃。見事なパスワークとスペースメイクです。正直、浦和のほうは、チーム作りに時間がかかるかとか思ってたんですけど、予想以上に早く、チームができあがってきていて、驚いてます。このシーンの攻撃とか、普通によい展開で、感心したくらいです。セレッソの弱いところをしっかり突いてきてるし。


最後に、今シーズンのセレッソの守備についてまとめると、両SBを上げて攻撃しなくなったので、CBがカバーする範囲が大幅に減少し、CBはゴール前での守備に専念してます。それと引き替えにですが、ボランチがカバーする範囲が非常に広くなってるのが特徴です。そして、今年のセレッソのボランチコンビは、前に繋ぐ能力が高い選手なので、セレッソのボランチコンビの所でボールを取られると、まず間違いなく速いカウンター食らいます。大宮戦の3点目とか、その典型で、山口蛍のパスカットからのショートカウンターで決めた得点です。

まとめに入りますが今シーズンのセレッソについて

さて、クルピ前監督から、ソアレス新監督へと、監督交代が起こったセレッソ大阪なのですが、ここまでの試合をみてきた感じでは、今年のセレッソは、どちらかというと、バランス型のチームに変化したという感じです。


昨年までのセレッソは、非常にアグレッシブなチームでして、攻撃では、両SBをあげて自由奔放な攻撃を行い、後ろは、CB二枚の能力の高さに任せてカウンターを潰すみたいな所がありました。そのため、非常にエンターテイメント性の高いサッカーで、見てる側としては面白いのですが、一方で、J1の各チームに研究されてくると、両SBの裏を使われてのカウンターに弱いという問題を抱え続けることになっていました。


しかし、ソアレス監督就任後は、両SBを上げず、最もスタンダートなスタイル、つまり、SBはつるべの動きが基本で、片方が上がったら、もう片方は下がってバランスを取るという形に変化してます。


また、SBがあけたスペースは、ボランチが埋めるというのが基本形となっており、ダブルボランチがカバーしなければならない範囲は、去年よりも広いのですが、ボランチ二人がボールを奪ってさばけるので、ボランチがボールを奪ってからの速攻は非常に迫力があるモノになっています。


そんな感じなんで、今年のセレッソに関しては、バランス重視のサッカーになったという感じでまとめたいと思います。攻撃と守備のバランスは、去年よりも良くなっており、守備のやり方が非常に組織的なサッカーになっています。攻守の切り替えも速いです。


つまり、コレクティブな守備からボールを奪ってカウンターというのが、現状のセレッソでの一番の得点源になりそうな気配です。ただ、新潟みたいに、セレッソにボールを持たせてカウンターを狙ってくるチームとは、ちょいとかみ合わせが悪くなってます。まだ、セレッソは、ボールを持って攻撃する事に関しては、幅を誰が作るのかってことが、チームとして整理されてないので。


では、今日はこのあたりで。


ちなみに今週は頑張って、バイエルン対レアルマドリードの試合のレビューもやりたいと思ってますので、暇だったら読んでくださいな。ただ、守備の話が中心になると思います。これから、しばらくは、あんまり需要はなさそうですけど、サッカーにおける守備の話でもしたいと思ってるので。あと、今年は、Jリーグでは、サガン鳥栖と大宮、セレッソ、ガンバを中心的にみてるので、そのあたりのレビューも、継続的にやっていきたいと思ってます。


ではでは。