サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

今シーズンのジュビロ磐田研究〜4231の色々〜

皆さん、こんにちは。突然ですが、

      ,. < ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
    /               ヽ   _
   〈彡                Y彡三ミ;,  ケンペスさん申し訳ありませんでした
   {\    \|_ \>ー 、  ト三三ニ:}
   人{ >、,___.>、/三 ヾ\ |わ三彡;!
  /./ トミ;,_       Y/  \>ノー〜=- "
  V / /!   ̄ ̄ ゝ  |   /  _
  し/'┴──----─''|  ン}\-ヾ彡
              ヾ、___ノー'''`


と土下座から入ろうと思います。磐田の話なのにアレでございますが、まさか、セレッソが名古屋にケンペスさんのゴールで勝つとは思いませんでした。知らない人の為に補足しますが、セレッソはクルピ時代から名古屋が大の苦手でして、全く勝ててませんでした。神戸と名古屋はセレッソが最も苦手としていたチームで、ハイプレスと名古屋の高さはセレッソの天敵だったんですけど、今回は見事にケンペスの一点を守りきって勝ちました。(1人少なかったにも関わらず!)


というわけで土下座タイムでございます。本当にすいませんでしたケンペスさん。

ジュビロの話に入る前にウィングを使うサッカーの話

さて、ジュビロの話に入る前に、ウィングというポジションの話をしましょう。こいつについては、ジョナサン・ウィルソンの「サッカー戦術の歴史」の中で、ウィングを使うフォメのうち、現在最もポピュラーな4231についてまとめられています。ちょいと引用しますが

90年代終盤のヨーロッパを活性化した4231を誰が発明したかはわからない。1996年と2000年の欧州選手権のあいだにその発展がはじまったと見るのが論理的だろうし、確かにそのときに一般的となった。だが、ある意味では442でやっていたどんなチームでも、下がり目のセンターフォワードと前目のワイドプレーヤーが二人いたなら、そのチームは4231でやっていたと言えるのだ。

(中略)


4231は、センターフォワードの一人を下がり目にしたチームでは必然的な発展系だったと言える。もともとは守備的ミッドフィルダーはその選手をマークするために配置され―――そこで90年代終盤、「マケレレ役」のできる選手がブームになった―――それによりトレクァルティスタはスペースを見つけるためにワイドに流れる。守備的ミッドフィルダーが彼を追いかけたら、中盤にスペースが出来るので、余っている選手がカバーのために下がり、より攻撃的なミッドフィルダーたちにもそれに伴う影響が及ぶ。


というのがあります。


現代のメガクラブで、4231を採用していると言えるのがバイエルンとレアルマドリーになります。



役割的にはこんな感じです。このタイプの4231はもっともベーシックなタイプです。攻撃方法も、サイドチェンジから両サイドに張っているWGの突破から崩しに移ります。バイエルンは両サイドに張っているロベリー、レアルはクリロナとディマリアです。


ちなみに、アゼルバイジャン戦の日本代表もそれに近く、中央のボランチ+トップ下のポゼッションから、両サイドに開いたWGに展開し、WGの突破からのクロスって崩しを延々とやってました。ただ、右WGが岡崎なんで、左のみの片肺飛行みたいな感じでした。


現在、ウィングを使うサッカーをする場合、433か4231を使う監督が多いです。343でも使えますが、343を欧州4大で使っているチームはプレミアのウィガンくらいです。ガスペリーニとザッケローニの代名詞でもありますが、ガスペリーニはインテルで解雇されたし、ザックは日本で代表監督してるんで、セリエでは現在、343使ってるチームはいません。


アンチェロッティがウィング使うメリットとデメリットを「アンチェロッティの戦術ノート」でまとめているので引用しますが、

現代のサッカーにおいて、ウィングが存在できるシステムは限られている。代表的なのは、1トップと2人のウィングを置くシステム、すなわち433と4231だ。433は中盤を3人で構成している為、ウィングは守備の局面でも自陣深くまで戻らずに、高い位置を保つことがしやすい。4231も、トップ下が中盤まで下がって守備に参加する分、ウィングの守備負担は相対的に小さくてすむ。この二つに比べると442は両サイドに攻撃的なウィングを置くと中盤の守備が薄くなりすぎて攻守のバランスが失われる為、通常は置くとしてもどちらか一方のサイドに限られる。もちろん、守備力と攻撃力の両方を備えた強力なウィングを左右両サイドに擁することができれば話は別だが・・・・

(中略)


現代のサッカーにおいて、ウィングを置いたシステムで戦うことには、どのようなメリットとデメリットがあるだろうか。


最大のメリットは、ウィングを置くことによって、ピッチの幅をワイドに使った攻撃が容易になることだ。ウィングを置かないシステムでサイドのスペースを使うとすれば、SBの攻め上がり、MFやFWの外に開く動きが必要になる。こうした動きはチーム全体のポジションバランスを崩すものだけに、攻守のバランスを保つためには組織的なメカニズムを磨き上げる必要がある。しかしウィングは最初からサイドの高い位置ポジションを取っているため、バランスを崩すことなく常に組み立ての基準点として活用することが出来る。


一方のデメリットは、そのコインの裏側ともいうべきだが、攻撃の展開がスタティックで次のプレーが予想しやすく、したがって意外性や組織的なダイナミズムに欠けるという点にある。組織的なメカニズムや連動性よりも、個人能力に攻撃を依存する側面が強くなることも、ある面からみればデメリットだ。ウィングが一対一でDFに勝てれば決定的な状況を作り出すことができるが、勝てなければそれで攻撃の可能性は大幅に限定されてしまうことになる。守る側から見れば、ウィングへの対応は組織的な攻撃への対応よりずっとシンプルだ。一対一に強いDFを対面に置き、さらにMFをダブルマークに動員することで突破を封じ込めればいいのだから。


また守備の局面においてウィングの背後のスペースを相手に突かれやすいことも、デメリットの一つだ。常にワイドのポジションを取るウィングは、守備の局面でもサイドバックと連動して動く傾向を持っており、セントラルMFとの連携に注意を払って中央に絞ることをあまりしないものだ。したがって、中盤で相手に数的優位を与えることになりやすい。


こうしたデメリットをカバーすることができるのは、ウィングに求められる攻撃力、すなわち一対一の突破力とスピードを備えながら、運動量と戦術センス、そして献身的な姿勢をも備えたユニバーサルなサイドハーフだけだ。そして、一人のプレーヤーにこれら全てを要求することは、現実として無理難題そのものなのである。


というのがあります。


よく、僕は日本代表で香川が中に絞りすぎるってぶーたれますが、ワイドに張ってるWGがいないと、ピッチの幅をワイドに使った攻撃がしにくくなるからなんです。WGがいれば、サイドチェンジ一発で高い位置に起点を作れる訳ですから、中に絞っちゃうとフォメ的に問題がでるんです。


ただ、アンチェロッティが述べているように、サイドチェンジからWGに展開するサッカーは対策がひどく簡単です。WGの対面に一対一に強いDFをおいてMFをダブルマークに動員すれば、よほどの化け物でない限りは普通に止まるからです。


たとえば、日本代表は先日の試合で、左の香川、宮市、長友の突破からのクロスにほぼ依存した攻撃をしてましたけど、オマーンの監督が、右SBと右SHに一対一に強い選手を置いて、ボランチを一枚カバーにまわらせ、左サイドを消しに来たらどーすんだ?というのは当然のように残る疑問なわけです。ドルトムントなんて、バイエルンとやる際、大概、これで完全にロベリーを消しに来ます。バイエルンのサッカーは、最後はロベリーで来るってわかってるわけですから、次の展開を読みやすいわけですよ。リベリで詰まったら、サイドチェンジでロッベンロッベンが詰まったらサイドチェンジしてリベリ。意外性があんまないんですね。だから、攻撃方向をDFに読まれやすい。もっとも、それでも何とかしちゃうからロベリーなんですけどね。


さて、現在の4231や433は、トップ下やボランチのフリーランニングが非常に重要になってきています。これが出来るかどうかで、チームがもつ攻撃の選択肢が一気に増えるからです。



これも図でやるとわかりやすいんですけど、サイドのWGにボールが出た時に、トップ下かボランチがSBとCBの間にフリーランニングを入れて相手の「マケレレ役」を最終ラインに引っ張ります。もし、マケレレがついてこないなら、そのままSBとCBの間でボールを受けて裏に抜け出せば良いだけです。


4231は、センターフォワードの一人を下がり目にしたチームでは必然的な発展系だったと言える。もともとは守備的ミッドフィルダーはその選手をマークするために配置され―――そこで90年代終盤、「マケレレ役」のできる選手がブームになった―――それによりトレクァルティスタはスペースを見つけるためにワイドに流れる。守備的ミッドフィルダーが彼を追いかけたら、中盤にスペースが出来るので、余っている選手がカバーのために下がり、より攻撃的なミッドフィルダーたちにもそれに伴う影響が及ぶ。


ジョナサン・ウィルソンの本で最初に引用しますが、ボランチは大概、片方がトップ下を捕まえてます。しかし、これは逆手に取れます。トップ下に相手のボランチがついてくるなら、トップ下のポジショニングで相手のボランチを一枚、自由に動かせるという事だからです。つまり、トップ下のオフザボールで、相手のボランチのポジションを操れるんです。


これは、中盤の潰し屋、「マケレレ役」を葬るための最もオーソドックスなやり方です。


ボランチやトップ下のフリーランニングで、相手のボランチを最終ラインに吸収させ、空いたスペースにウィングがカットインする。


現在のサッカーのトップシーンで、逆足のウィングがもてはやされているのは、これのせいなんです。左サイドに右利きのウィング、右サイドに左利きのウィングをいれ、トップ下やボランチのフリーランニングで相手のボランチを最終ラインに吸収させ、空いた中央にウィングがカットインしていく。この攻撃は非常に厄介で止めるのが難しいんです。


最近のウィングを使ったサッカーの復活は、こういった背景があるわけです。

ハンドボールレジェンド、リシャーソンの5−1DFを葬った戦術とマケレレ殺し


さて、ここでちょっと脱線しますが、この話を関連するのでご紹介。



5:1DFの進化
フランスの5:1(5:0+1)の凋落


詳しい話は、こちらのブログ記事を読んで欲しいのですが、ハンドボールの守備戦術において、フランスの5−1は重要な一角を占めています。



リシャーソンとフランスの5−1DFの話なんですけどね。


ハンドボールの戦術上、リシャーソンとフランスの5−1DFは避けて通れません。フランスの5−1DFは、1の所にいるのがリシャーソン。彼は並外れたDFで、一人でバックコートの3人を相手に出来るほど優れた能力の持ち主でした。


そして、一人で3人のパス回しをリシャーソンが邪魔できるので、後ろの5人は相手の3人のアタッカーをみることが出来ます。フランスは5−1のディフェンスからボールを奪い速攻に繋げるハンドボールを完成させました。


このフランスの5−1守備を破る方法を編み出したのがロシア。ロシアは、「ボールを持っていない状態のセンターバックコートがトップの背後を通ってポストに切っていく」というやり方で、リシャーソンを葬る事に成功します。CBのフリーランニングを軸とした攻撃の前にリシャーソンは葬られます。このやり方が何で巧妙だったかは、上記の記事を読んでください。


でもって、いわゆる一つのマケレレ殺しの戦術も、これと非常に似ているんです。


かつて、レアルの銀河系軍団を支え、その後はモウリーニョのチェルシーの中盤を支えたのがマケレレです。


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動画張っときますが、彼の守備力は尋常でなく、一人で中盤のエリア全部カバーできるんじゃないかってくらい半端無い選手でした。こんな化け物じみた運動量と守備力を併せ持ったボランチは、みんな見たことありませんでした。


どのくらい凄まじいかというと、レアルの銀河系軍団時代がわかりやすいのですけど、銀河系はジダンフィーゴ、ロナウドがあんま守備やってくれませんでした。当然、前でプレスがかからない上にスペースだらけなわけですよ。


ところがマケレレが中盤にいるので何とか守り切れちゃうんです。ありえないって話じゃねぇぞってレベルです。尋常じゃない運動量と守備力で中盤のカバーに走り回り、何とかしてしまう。それがマケレレでした。マケレレを失ったレアルが、一気に崩壊に向かったのは皆さんご存じの通り。ジダンに「このチームは彼がいないと成り立たない。」と言わしめ、レアルのチームメイトから「彼こそが自分たちのバロンドール」という言葉が出たのは、彼の能力無しには、あのチームは存在しえなかったからです。


普通、前3枚が守備さぼってたら、そのチームは確実に守備崩壊します。だけど、マケレレがいれば話が別だった。それほどに次元の違うボランチなんです。前3人が守備さぼってくれたら、普通は落ち着いてパス回しができるもんです。ところがマケレレがいると、それが出来ない。相手としてはたまったもんじゃりません。


マケレレの大ブレイクをみて、トップ下潰しとしてマケレレ役がブームになったんですが同時に、マケレレ潰しの戦術も又、発達しました。それが上で書いたやり方です。つまり、トップ下やボランチが相手のSBとCBの間にフリーランニングをかける戦術です。


相手の中盤にマケレレがいる限り、基本、何をやっても無駄なんです。彼に絶対パス回しを邪魔されるから。フランスの5−1において、リシャーソンが前にいる限り、何やってもリシャーソンにパス回しを邪魔されるので無駄だったと同じです。


ただ、ロシアが見いだしたように、リシャーソンは前にいるから怖いのであって、バックラインに吸収させてしまえば怖くありません。そしてCBのフリーランニングによってリシャーソンをバックラインに吸収させ、一時的に相手を6−0にさせることで、ロシアはリシャーソンとフランスの5−1を葬りました。


マケレレも同じなんです。中盤にいればマケレレは怖い。マケレレがいるだけでバイタルが使えない。しかし、最終ラインに吸収させてしまえば背は低いので怖くない。ボランチやトップ下がSBとCBの間にフリーランニングかける事で、マケレレを最終ラインに吸収させてしまえば中盤から一時的にマケレレの脅威が消え、バイタルを使えるようになります。


4231になってからの磐田の攻撃について

さて、ここからが磐田の話になります。メインディッシュですね。今シーズンから、磐田は442を捨てて4231にフォメを変えてます。また、メンバーにも変化がでています。



前節の大宮戦ではこうでした。去年と比較すると新顔なのが松浦とペクソンドンです。もはや磐田の不動の2列目となった感じです。磐田には山崎 亮平って才能豊かな選手がいるんですが、2列目は山田、松浦、ペクが機能しまくってるので、ちょっと厳しい感じです。山崎が試合出れないとか、ほんと恐ろしいチームです。


それでなんですが、今年の磐田の話をする前に、上記のよーな話を長々としたのは、今年の磐田って、上記のような攻撃が非常に上手なチームになってるからです。今日は、主に磐田を題材にして如何にバイタルにスペースをつくるかって話をしようかと思ったわけですよ。


それでなんですけど、こないだの第13節、磐田対大宮の試合で磐田のいい攻撃があったので、それを使ってキャプでやりますね。


ちょっと、このキャプの前のシーンから説明すると、ジュビロは最終ラインからビルドアップで右ボランチの小林がボールを低い位置でもらいます。その際に、右WGのペクが引いてきてボールを受ける。右WGのペクが相手のボランチの前をドリブルで横切って、一度、山田にボールを当てます。この時、大宮の守備ブロックが山田のサイドにスライドしてきてました。で、山田は一度、ペクにボールを戻します。そこからが以下のキャプです。










流れ的にはこんな感じでした。このシーンは本当に見事な遅攻でして、最終ラインからボールを繋ぎ、最後は見事な中央突破で前田がゴールを決めました。


で、こういう攻撃に対して、ボランチがトップ下についていかなければいいんじゃないの?と思う人もいるでしょうけど、それは難しい判断なんですよ。もし、ボランチがトップ下やボランチのフリーランニングについていかないと、以下のキャプみたいな攻撃食らうからです。






こうなるんですけどね。このシーンの新潟のボランチの身になって、ちょっと皆さん考えてみてください。新潟のボランチとしては、ここで偉い難しい判断を強いられているです。


どういう判断かというと、新潟のボランチとしては、ここで前もってSBとCBの間のスペースを消すポジショニングを行うとジュビロの山田が中央へドリブルでカットインしてくるのは目に見えてるんです。自分しか中央のスペース潰しているDFはいないんだから。しかし、相手のボランチのフリーランニングについていかないと山田のスルーパスで裏に抜け出される。さて、どうしますか?まー、究極の選択です。答えはありません。どっちにしても詰んでます。だから、この攻撃は厄介なんです。


ボランチが前もって最終ラインのカバーに入ってしまうと、ジュビロにどういう攻撃されるかっていうと、これは磐田対ジュビロの3点目のシーンなんかでわかるんですけど、これもキャプでやりますね。








こうなるわけですよ。このシーンもボランチがニアの前田につくか、それともサイドのヘルプに出て行くかって、非常に難しい判断を強いられているんです。ここで、ボランチはニアの前田につく判断をしたんですが、それが裏目にでました。山田に中央に軽くドリブル入れられて、そこからのクロスで失点と。中は人数揃ってはいたんですけど、こうなっちゃうわけです。


ここ3試合の磐田は攻撃が非常に機能していて、チームとして攻撃の形が出来てきています。チームとしての連動性が素晴らしく、サイドからの中央からも良い攻撃が出来ています。


漫画「スラムダンク」に

「桜木という強力なリバウンダーがいるから
三井は思い切りよくスリーポイントをうてる
結果よく入る
外が入るから 当然 ディフェンスも外に気が向く
すると 今度は中を攻められる
こうして いいリズムが生まれていく

まず止めるべきは 
桜木のリバウンドだった」

ってのがあるじゃないですが。山王戦の奴ですけどね。


ここ3試合、磐田の攻撃が上手くいってる原因は、どこにあるかっていうとジュビロの選手のタイミングの良いフリーランニングなんです。


ジュビロには山田っていう強力なウィングがいます。化け物じみてるといっていい選手です。宮市みたいなスピードこそありませんが、オフザボール、両足のシュートの精度、クロス、スルーパス、パワフルなドリブルと全てがハイレベルです。これほどバランス良い攻撃能力をもってる選手はそうそういません。A代表に選ばれないのが理不尽に感じるほどの選手で、ナビスコとリーグ戦合わせて、現時点で10点とってる選手なんです。


ただね、山田だけのチームなら、山田の対面に1対1に強いSBおいて、MFをダブルマークに動員すれば、山田だろうと止まるんですよ。ところが、SBのオーバーラップだけでなく、ボランチやトップ下まで、いいタイミングでフリーランニングかけてくるから、それが出来ないんです。相手チームとしては非常に厄介です。組織的な攻撃を仕掛けてくるので、個の能力だけでは対応しきれません。


もう一人厄介なのが、トップ下に入ってる松浦で、ポジショニングやフリーランニングの質が超高い。絶妙なタイミングでフリーランニングかけて、相手のボランチを動かしてスペース作り、時にはドリブルでしかけてスルーパスを通し、点まで取ってます。個人的な評価では、現状、J1で最高のトップ下だと思います。その位、今の松浦は質が高い選手になってきてます。


あと、もう一つ、今年のジュビロはカウンターが強力です。


カウンターと関連しますが、今年のジュビロなんですけど、守備方法は二つのやり方を使い分けてます。簡単に言えば、前からボールを取りいくときは442でプレスをかけてきます。一方、引いてまもる際には9枚でブロック固めます。




図にするとこんな感じです。ポイントとなるのは松浦です。前からのプレス交わされた時には、かなり引いてきてブロックでの守備に参加します。ボランチの前のスペースに陣取って、そこのスペースを消してサイドチェンジさせないようにしてます。


さて、引いて守ってる時に、どういう形でカウンターにもっていくかってのがポイントになります。前は前田一人ですから、攻守の切り替えの際、ちょっとした組織的なメカニズムが必要になります。


ジュビロの場合、前田はボール収まるので、単純に前田に当てるのが強力です。こんな感じです。






このシーンですけど、ジュビロは前田を右サイドに残して、残り9人で後ろでブロック作ります。で、ボール奪ったら1タッチで前田にボールを預けて、松浦、山田、ペクが一気にポジションを上げてカウンターをかけてきます。こういう時の磐田のスピード感は異常で、新潟戦の二点目とか、すごいカウンターでした。ゴール前までボール運んだ時、ジュビロのアタッカーの数の方が多いとかどんだけやねんと。


もう一つは、山田、ペク、松浦がボールを運ぶドリブルいれてのカウンターになります。






こんな感じですね。今年のジュビロの2列目はドリブルでボール運べるので、ロングカウンターもかなり凶悪です。4411で引いて守る際には、ボールを奪った際に、トップ下とボランチを中継役にして、速攻に繋げてます。


もうちょい皆さん、Jリーグ見てくださいって話

そろそろまとめに入りますが、今年の磐田さんなんですけど、非常に攻撃が強力です。右の山田、左の駒野を使ったサイドアタックだけでも厄介なんですけど、松浦が入ってから中央突破も強力なチームになっています。リーグ開幕当初は、前田が1トップになじんでなかったのと、まだ攻撃の形が出来てなかったので、なんだかよくわからないチームだったんですけど、ここにきて、森下仁志監督が作ったチームの形が出来てきており、ようやく、今年の磐田が目指すサッカーってのが見えてきました。


現状、磐田はJリーグで4231を使うチームの中で、一番、機能している4231のチームだと思います。ぶっちゃけ、代表の4231より、磐田の4231のほうが組織的には上です。もっとも、クラブチームなんですから当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。速攻、遅攻ともに、磐田のほうが遙かに良いです。


アレな話ですけど、クラブチームのほうが組織のレベルでは大概上なんです、今の時代は特に。そんな訳ですんで、もうちょいJリーグ見に来てくれるお客さん、増えてもいいんじゃないかなと。代表の試合より、磐田の試合のほうがずっと機能してる4231を見れますし・・・。いやホントにもうちょいお客さん増えてもいいんじゃないですかな・・・。jリーグ、力がついてきてるんですよ。今年の磐田とか見てるとそう思います。これだけ良い4231出来るチーム、そうそうありません。


あのですね、ここ3試合の磐田の攻撃見てると、ホントに見事な攻撃が出来ていて、これだけ機能している4231は海外でもそうないんですよ。攻守の切り替えが速いので、速攻は迫力満点だし、遅攻も実に見事で、連動した攻撃、パスワークも見事です。大宮戦の中央突破とか、海外のチームでもやれるチームは、そうそうないですよ実際。唯一、欠点といえるのが、ボランチがちょっと不安定になる所で、セレッソにそこを狙われてました。


代表より、そりゃ個の能力は磐田は下です。ただ、組織とか連動性とかは磐田のほうがずーーっと上です。これマジです。磐田より機能してない代表とかどうなの?と思う人もいるかと思いますが、代表なんて一緒にやれる時間限られてるわけですから、しょうがないんです。磐田だって、機能しはじめたの、ここ数試合の話だし。2列目3列目の連動した攻撃は見事という他ないです。ボランチがタイミングよくフリーランニングかけるから、ホント、どこからでも点が取れるし、攻撃に厚みがあります。攻守の切り替えも速いです。ほめ言葉ばっかですが、実際に見事なんですよ。ここ3試合の磐田の攻撃は。


大宮に関しては、鈴木監督、解雇されるんじゃないかと心配してます。4−0で負けたのは不味かった。ただね、単純に今の磐田が良すぎた部分があるので、ちょいと気の毒ではあるんですよ。今年の磐田、あと何人、監督の首飛ばすんでしょうか。ガンバのセホーン、新潟の黒崎と連続で解任の引き金を作ったので恐ろしいチームです。前田の呪いってのもありますが、磐田さんに負けたチームって、直後に監督が解任される事が多くて、恐ろしいチームなんです。


そんな訳で、もーちょいJリーグに興味をもってくれる人が増えてもいいんじゃないかなと。代表は人気あるし、TVでも視聴率取れますけど、連動性や組織性のあるサッカーってのはクラブチームでしか見れない所が多いんです実際。いろんなジンクスとかもあって楽しいリーグです。


この間のFC東京対浦和の試合も凄い試合でして、こんだけ良い試合できるんだから、もっとJリーグ人気出て良いはずだと思うわけです。そんな訳で、みなさん、もっとスカパー入ったり、スタジアムまで観戦にいってみてください。今年の磐田はとてもお勧めのチームです。


ただし。


株の世界で「日経に載ったら終わり」なんていう格言じみたのがあります。


で、サッカーの世界だと、サッカーマガジンかサッカーダイジェストで、好調チームが特集組まれると、その後に、特集組まれたチームが急激に成績落とすことがあります・・・・


今年の清水とかそれですが、清水、ここ3試合ほど、相手にガッチガチに対策されて、大前と高木の両看板を徹底して試合から消されて、苦戦してます。仙台戦がターニングポイントだったと思うんですけど、あの試合みたら、Jリーグの監督さんは、「清水から前でボール取るのは無理だ」と判断しまし、後ろでブロック作って清水の良さを消しに来ます。セレッソ、浦和、Fマリノスは清水の良さを消すサッカーやってました。


結局、強いチームだと判断されたら、いわゆる「相手にリスペクトされたサッカー」をされるようになるんです。仙台もそうですけど、新潟なんてホームで仙台にボール持たせて守備ブロック作るサッカーやってました。去年、仙台がよくやってた事をそのままやり返されはじめてるんです。皮肉といっちゃ皮肉ですが、これは強いチームの宿命なんです。


正直、今の磐田も、とても強いチームです。まともにやるのは結構難しいです。速攻も遅攻も強力で、ピッチを広く使った攻撃が出来る為、厄介きわまりないチームです。


ただ、9枚でブロック作れば何とかなる部分があるため、中断期間が終わった後は、どこのチームも9枚でブロック作って磐田の良さを消すサッカーしてくるんじゃないかと。そんな気がしますですよ。鹿島、新潟、大宮戦を見る限り8枚までなら磐田は崩せます。ただし、9枚でブロック作られるとおそらく厳しくなります。(あともう一つ、ハイプレスをかけて磐田のパスワークを破壊してしまうという手もありますが、これからは暑くなってくるので難しくなります。)


残念ですけど、相手がそういうサッカーしてくるようになると、試合自体は大概、あまり面白くないものになります。けどね、しょうがないんですよ。だって、Jリーグには降格という制度がありますからね。スペクタクルだけ考えて試合するわけにもいかんのです。現実的なサッカーってのも必要になってきます。じゃないと降格します。あるいは監督が解任されます。


仙台、清水、磐田あたりの上位チームは、相手チームにリスペクトされたサッカーをされ始めているので、これから厳しい戦いが待ってます。これから、これらの上位チームは「相手の良さを消すサッカー」との戦いになります。J1にしろJ2にしろ、強いと判断されたチームはそーゆーサッカーされる運命です。ここからどうするかですね。楽しみです。


今日はそんな所で。


ではでは。