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2013年W杯最終予選、日本代表対ヨルダン代表のプレビュー、「スローインの戦術」

さて、皆さん、こんにちは、明日はいよいよW杯最終予選のヨルダン戦です。明日の試合に勝てば、日本は世界最速でW杯出場が決まります。さっさと決めてしまって、あとは普段出れない選手に出場機会を与えてあげたいですし、ザックも「明日で決める」と言ってますから、明日のヨルダン戦は楽しみですね。久々のガチの日本代表を見れますから。


さて、そんな日本代表なんですが、ちょっと気になった記事が出てまして、こんな奴です。

 照りつける日差しの下で迎えた、ドーハでの直前合宿最終日。香川は練習後にザッケローニ監督と約5分間、緊急会談を持った。「ポジショニングとかサッカーのことを話しました。こういったところをつければいいのではないかとか…」。その「こういったところ」の一つが、スローイン時のヨルダンの守備の甘さだという。

 前日23日のミーティングなどで、香川は21日のベラルーシ戦を含めた相手の情報を入手している。「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」と指摘。「泥くさい得点でも得点は得点。どういう形でも、1点、2点取れるように」と、結果へのこだわりを見せた。



香川、W杯弾「どういう形でも取る」 練習後ザック監督と緊急会談


こういう記事でした。「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」って話をしたみたいで、どうもヨルダン代表、スローインの時に不味い守備があるようです。



そんな訳ですんで、本日はヨルダン戦のプレビューとして、サッカーにおけるスローインの話をしようと思います。スローインに関しては、サッカーにおいて、重要なセットプレーの一つでスローインからのゴールってのもしばしばあります。



えっと、今回のプレビューは、主にスローインの話になります。香川がどうもスローインからの展開でゴール狙ってるようなので、スローインの時の戦術の話でもしようかなっと。そういうわけです。多分、他にやってる人はいないんで、こっちなら割と新ネタっぽくなるかなと。



サッカーにおけるスローインのルールについて


さて、スローインなんですが、これルールとして、幾つか抑えておいて欲しいのが、


  • GKがスロアーをつとめても構わない
  • スローインからの直接ゴールは認められていない
  • スローインではオフサイドは取られない
  • スロワー以外の競技者はスローインが行われる地点から2メートル以上離れていなければならない


といったところです。特に重要なのはスローインではオフサイドは取られないって所です。ただし、これはお笑いなんですが、時々、アマチュアサッカーではスローインでオフサイドを取る審判がいたりしますwアマチュアサッカー名物、スローインでオフサイド。




20111127 松本山雅vsホンダロック えっ!? スローインでオフサイド? - YouTube


こんな動画もありますが、時々あります、こーいうの。まあ、ヨルダンアウェーなんで、ひょっとしたら、久々にスローインでオフサイドとか見れるかもしれません。ジーコの時にスローインでオフサイド取られたのはいい思い出です。


カナダ戦だと、前半26分に香川と長谷部のスローインからの素早いリスタートのシーンがあったので、それを例にして、スローインはオフサイドにならないってケースを説明しますが、


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こういうのでした。こういう時、オフサイドの位置にいる選手が素早くサイドに流れていくと、DFがマークを外してしまう事があります。オフサイドの位置にいるFWのマークはボケやすいんですから。スローインはオフサイドにならないので、相手陣内深い位置でスローインをもらった時、オフサイドの位置にいたFWが素早くボールサイドに移動するとマークが外れることがあります。



とまあ、スローインのルールで覚えて欲しい所は大体抑えたので、本題に参ります。




スローインの戦術、守備でのお話。


ではメインディッシュです。サッカーにおいて、スローインの際に覚えておいて欲しいのは、GKをスロワーにしない限り、味方一人がピッチの外に出た状態なので、数的不利になっているって所です。そのため、モタモタしてると相手に守備陣形と整えられてしまい、パスの出し所がなくなってしまいます。特に、自陣内からのスローインの場合、時間をかけてしまうと相手がボールサイドに人数集めてきて、パスの出し所を全部ふさがれてしまい、面倒な事になるので、注意が必要です。



カナダ戦だと、前半29分に日本の自陣内からスローインからカナダにボールを奪われて面倒な事になったシーンがありました。



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こーいうのです。自陣内からスローインを始めるとき、モタモタしてると相手チームがボールサイドに人数かけてパスコース全部塞いでしまうので注意が必要です。基本的に、自陣内からのスローインの場合、相手チームはボールサイドに全体を寄せる事で積極的にボールを奪いに来ます。スローインではボールが届く距離がかなり限定される為で、大概のチームはこれやってきます。




一方で、相手陣内でのスローインでは、ちょっと毛色が異なります。これもカナダ戦のキャプでやりますけど、前半17分のカナダが日本陣内でスローイン始めた時の日本の守備です。



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えっと、この後、遠藤のファウル取られて、日本はFK取られちゃうんですけど、ここでのポイントは香川がスロワーのマークにすぐ入ってる所です。(ホントはココ、スロワーへのパスコースを切りながらヤットと香川でサンドイッチにできたら、もっと良かったんですが)



これ、自陣内でスローイン取られた時の守備方法と関連するんですけど、自陣内でスローイン取られた時には、必ず一人、スロワーにもマークをつけます。あるいはマークできるように守備をセットします。「そんな事したら数的有利を活かせなくない?」と思う人もいるかと思いますが、これやらないと、相手チームは、スロワーにリターンパスすれば一人フリーの状態を作れてしまうわけです。でもって、ゴール前にハイボール蹴り込まれる危険性があるんで、自陣内でスローイン取られたらスロワーにもマークをつけるのが基本です。これ、やってこないチームには、スローインの後、スロワーにリターンパスしてゴール前にハイボール蹴り込むって形でチャンス作れます。



スローインの際の守備の注意事項として、ちょっと箇条書きしますが、


  • スローインではオフサイドは取られないのでオフサイドの位置にいるFWもきちんと見ておく。
  • 相手陣内でのスローインの際にはボールサイドに人数かけてボールを積極的に奪いにいこう。
  • 自陣内でのスローインの際にはスロワーにもきちんとマークをつけよう。
  • スロワーへのマーカーはボランチやSHと連携し、受け手の選手をサンドイッチしよう。

といった所になります。これは基本的な話なんで、僕が書くほどの事でもないのですが、うんちくとして書いておきます。


スローインの戦術、攻撃でのお話。


さて、こっからが本番なんですけど、スローインの戦術、攻撃編です。



最初に香川の談話載せましたが、どうもヨルダンのほうはスローインの際の守備に怪しい所があるようです。そこがどこかは、僕、この前のヨルダンの試合みてないので、よくわからないのですが、前回のヨルダン戦の時に、左SBの守備がほんとテキトーだったので、多分、狙いはこの当たりだろうなって事で、幾つか、スローインの戦術について紹介しときます。当たるかどうかは知りません。



えっと、まず一番ありそーなのだ、最初に説明した奴ですけど、「スローインの際にオフサイドの位置にいるFWのマークがぼけやすい」って奴です。スローインの時は、オフサイドは適用されないのでオフサイドの位置にいてボール受けても反則取られません(審判がスローインでオフサイド取る人だったら別ですがw)。ヨルダンの左SBはアレなんで、香川は、こーいうの狙ってるのかもしれません。つまり、こういうのです。



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これ、決まったら笑いますが、スローインはオフサイドにならないので、こういう動きしてもオッケーです。いくらなんでも、アマじゃないんだし、こんなんで裏取れる事はないとは思いますが。



んで、僕が思うに、ヨルダン戦で、ありえそーなのが、こーいうのです。これは、以前、サガン鳥栖の話の時に使った写真で説明しますけど、










こういうのや、










こういうのになります。この動きの基本形は図で説明すると、


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こういう動きです。これ、相手のボランチが飛び込んで来る2列目のマークを外しやすいチームには非常に有効です。もし相手ボランチがケンゴについてくるなら、長谷部のマークが空くはずなんで長谷部にスローイン入れればオッケーです。


あとは、スローインの時の動きとして考えられるのが


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こういう形でヤットをフリーにする方法と、



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こういう形で、相手のSBとCBのギャップの間のスペース狙う方法があります。個人的に、香川が狙っているのがこれじゃないかな、と思ってるんですが、ヨルダンの左SBは前回酷かったので、スローインからケンゴと岡崎の連携でSBとCBの間のスペースを攻略しようとしてるのかな、と。



あと、こういう動きを繰り返してると、DFとボランチが香川とケンゴ、ヤットに気を取られて、長谷部のマークがゆるくなることがあります。なんでそれを利用して、



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こういった、いわゆる「三人目の動き」を使った攻撃も狙えます。



幾つか、相手陣内でスローイン取った時のやり方を並べてみましたが、香川はこのどれかを狙ってるんじゃないかな、とは思います。ヨルダンの直近の試合をみることが出来れば、どれを狙っているのか、ある程度推測できるんですが、直近の試合を見てないので、結局のところ、どれ狙ってるのかまではわかりません。



今回の話、なんかスローインの話ばっかになっててすいませんが、香川が試合前に「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」なんてヒントをくれたので、いくつかスローインの時の動きをあげてみた次第です。


実際、どこがイージーなのかは、試合みてみないとわからないのですが、ヨルダン戦では、日本が相手陣内でスローインをする時、選手がどういう動きをして、どこにスペースを作ろうしているのかって所を注意してみていてください。観戦時に、ちょっとした楽しみが出来ると思います。



今日はそのあたりで。ではでは。