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2013年、名古屋グランパスの展望 及び、週末の「名古屋対湘南のプレビュー」

さて、みなさん、こんにちは、代表戦明けてすぐですが、週末にはJ1も再開されますんで、週末の湘南の試合のプレビューもかねて、今回は、2013年の名古屋グランパスの事を扱おうと思います。



えっと、今回、名古屋グランパスの話をするにあたり、ホントに困ったのは、このチーム、ホントに書きにくいチームなんです。なんで、今回の記事はホントに書きにくかったです。以前、バルサのピケが、「バルサのピケ「レアルは滅多打ちされている時ほど危険」」なんて言ってた事がありますが、これ、名古屋もそうなんですけど、あのチーム、滅多打ちにされてる時ほど危険です。J1第三節の甲府戦とか、ある意味で名古屋の典型的な試合なんですけど、甲府のほうがいい試合していたのに、終わってみたら名古屋の勝ちという身も蓋もない名古屋な試合でした。


名古屋サポの方にはすいませんが、名古屋の試合みてると、なんか異次元に引き込まれるような、そんなチームでして、「名古屋相手にいいゲームをすると勝てない」というのが僕の感想です。名古屋が滅多打ちにされてるように見えるのに、終わってみると名古屋が勝ってる。名古屋の試合みてると、そんな事がよくあるんです。J1第一節の試合も磐田が押し気味で進めてたんですが、先制したのは名古屋のほうでした。磐田は山田のゴラッソで追いついてましたけど、「典型的な名古屋のゲームだなあ」なんて録画した試合をチェックしながら思ったほどです。



名古屋については、弱い所は割とはっきりしてるチームですし、守備のやり方や攻撃の方法も割とはっきりしてるチームではあるんですが、ゲームの進め方については、「意味わかんねえ・・・」と思う事が多いです。「さっきまで劣勢だったのに何で先制したのは名古屋なんだ?」と思う試合が結構あって、「名古屋は滅多打ちされている時ほど危険」というのが週末の試合の前の感想です。



週末は出来たら名古屋遠征したいのですが・・・時間つくれそうにないので、今回は自宅観戦の予定です。





で、名古屋の話になるんですけど、まず、このチームの攻撃の話から始めます。

こっからが名古屋グランパスの話になるんですけど、このチーム、湘南がJ1に上がって、はじめて出会う「中央突破」が強力なチームになります。今まで、ベルマーレは、マリノス、鳥栖、清水、大宮と試合をしてきましたが、どこもサイドアタックメインのチームでした。ただ、名古屋の攻撃は、ちょっと毛色が違っていて、ここは中央突破が強力なチームです。



中央突破のバリエーションでいうと、去年の場合、永井と藤本のワンツーだったり、CFのケネディや闘莉王のポストプレーからの中央突破、ダニルソンのミドル、玉田、金崎絡みのコンビネーションなど、中央突破のバリエーションが結構豊富なチームでして、ゴール集だけみると、サイドアタック、センターアタックを使いこなせるチームだなあ、という感じです。


ここがベルマーレが今までJ1でやったチームと違う所でして、名古屋さんは、攻撃で豊富な中央突破のバリエーションを持っています。ただ、金崎と永井が移籍し、藤本が怪我なんで、センターアタックのバリエーションは、週末の試合では少なくなるでしょうけども。



ちなみに、サイドからクロスを上げる時は、ファーに高さがある闘莉王を待たせて、闘莉王の折り返しを決めるパターンと、闘莉王が直接決めるパターンの二つがあります。SBも結構、高い位置を取ってくる事があるので、サイドアタックもしっかり出来るチームです。



ただ、これは去年までの話であって、ここ二試合ほど、名古屋はちょっと攻撃のバリエーションを変えてきてます。主にナビスコカップで確認された形なんですが、これ、ナビスコの時の名古屋のフォメからになるんですけど、週末の試合、



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こんな形で来る可能性が高いです。これ、いわゆる玉田のゼロトップです。この布陣の特徴なんですけど、



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狙いとしては、こういう形になります。玉田は前線で張ってることもありますが、基本はフリーロールで中盤に降りてきたり、サイドに流れてきます。で、玉田の動きでCBを動かして、空いたスペースにヤキモフスキーやキショーさんが入ってくるという形です。玉田が下がってくると、442系のフォメだと中盤で数的有利を作られやすいので、単純にそこで起点を作ってくることもあります。



これ、ナビスコカップの第二戦の鳥栖戦で、綺麗に決めたゴールがあるので、それで説明しますけど、



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こういう形でした。このゴールの前の12分にも似たような形でヤキモフスキーがラインの裏に抜ける形を名古屋は作っていて、こういった動きを練習しているんでしょう。



これ、セレッソ戦でも似たような事してたんで、ケネディが戻ってくるまでは、玉田のゼロトップで行く気なのかもしれません、ピクシー。



このフォメの狙いとしては、降りてくる玉田と田中輝の動きで相手のDFを引っ張り出し、空いたスペースにヤキモフスキーやSBを上がらせるって形になります。こういう動きをボランチのヤキモフスキーに繰り返させても大丈夫なのは名古屋にはダニルソンという強力なアンカーがいるからで、ワンボラで守れるんですよね、名古屋は。だから、ボランチのヤキモフスキーが攻撃の時、ボールより前にいてもカウンターは何とかなるって計算なんでしょう、ピクシー。



とまあ、ナビスコで玉田のゼロトップをピクシーが試してたんで、週末の試合はそっちで来ると思ってはいるんですけど、相手が高さがない湘南相手ですので、単純に闘莉王のCFでキショーさんと闘莉王の所に放り込んでくる可能性も大なんですが。。。



えっと、闘莉王がCFの場合、名古屋の攻め方は変わってきます。こっちの場合、



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この形を狙ってくると思います。こっちの場合、闘莉王をファーに置くことで、湘南の3バックの注意をそっちに引きつけます。でもって、キショーさんの所にボールを放り込んでWBの裏にヘディングでフリック。そこにヤキモフスキーを走り込ませるって奴です。闘莉王をファーに置いとけば、そっちに湘南のDFは絶対に引っ張られるので、図で赤で囲ったスペースが生じやすいです。だから、そこ狙いの攻撃ですね。単純に闘莉王に放り込むだけでも湘南の右CBの宇佐美の身長(171㎝)を考えると脅威すぎるんですけども。湘南に闘莉王に競り勝てるCBはいないんで、これはしょうがないっちゃしょうがない。



とりあえず、名古屋の攻撃に関しては、闘莉王のワントップか、玉田の偽のCFかで、全く違う形になります。なんで、こればっかりは週末の試合にならないと、どうなるかはわかりません。玉田の偽のCF、ナビスコ見る限り、結構機能してるので、今年の名古屋はケネディが復帰しない限りは、こっちメインで使うかもしれません。




次に名古屋の守備の話になるんですけど、こっちはかなり特徴があります。


さて、こっからが名古屋ってチームの一番の特徴になります。名古屋というチームなんですが、守備のやり方が一番の特徴です。このチームのやり方は、J1で一番、特徴的だなあ、と思うんですが、これ、どういう事かというとですね。




これ、僕が書くより、元日本代表の秋田さんが、著書の「センターバック専門講座」の中で、名古屋の守備方法について述べているので、それから引用します。


名古屋グランパスは、監督がヨーロッパ出身ということもあり、最終ラインはゾーンで守る。そして、バイタルエリアはある程度取られたとしても、サイドからGKとSBの間にクロスをあげさせない、ということをセオリーとしていた。


いまでもそうだが、当時から名古屋には背の高いCBが多かった。そのため高さには強かったが、相手の細かい動きに対応するのは少し苦手な面があった。そこで、バイタルを取られることにはある程度目をつむり、DFラインの背後を取られることを回避することに比重が置かれていたのだ。


もし、ドリブルで入ってくる選手がいれば序序に間隔を狭めシュートブロック、もしくはゾーンの間に立っている選手のマークをわざとぼかしておいて、パスが出たらインターセプトする、ということを狙っていた。


ただし弱点もあった。


ゾーンディフェンスの場合、一人ずつが担当する守備ゾーンがどうしても重ならない部分ができてしまう。そこに精度の高いクロスボールを落とされたら、もう相手を讃えて拍手するしかない。名古屋グランパスもそうだが、イングランドのチームが失点する場面をみていても、そういった場面は多い。CBとCBの間に走り込まれ、そこにスピードがあるクロスが入ると守るのは難しい。




センターバック専門講座

センターバック専門講座


というものです。これは、名古屋の守備の特徴をわっかりやすく説明してくれてると思うんで引用しました。これ、秋田さんが著書で述べてることですが、これと対照的なのは鹿島の守備方法で、鹿島のほうはバイタルを取られることを絶対許さない守り方をしてます。また、バイタル取られても、そこで前を向かせない守備を徹底してました。最近の鹿島はバイタル緩めですけど、一昔前は、あそこがホントに堅かったです。



名古屋はこういう守り方をするチームでして、J1の多くのチームとは、そのあたり、ちょっと毛色が違います。「DFラインの裏を取られてGKと一対一」とか「GKとDFの間にクロスをあげられる」って事を何より嫌うチームです。その代償としては何ですが、バイタルを取られる事には、ある程度目をつむってる部分があります。バイタル取られてミドル打たれても、GKには日本一の楢崎がいるわけだし、何とかなる。しかし、裏を取られたり、SBが縦に抜かれてGKとDFの間に早いボールを入れられると背の高いDFの優位を活かせない。だから、SBは縦を切って中にいかせて、インスイングのクロスを上げさせるって形を取ってます。これなら、CBは前を向いたまま対応できるのでクリアしやすいし、バイタルからシュート打たれても最悪シュートブロックは出来るという計算です。とにかく、DFの前のスペースで相手に勝負させ、DFの裏を取らせない。それが名古屋の守備の原則になってます。



で、こういう事書くと、名古屋の守備ってグダグダになってても、相手の攻撃を狙い通りの形に持っていかせてるわけで、問題ない・・・・って事になるんですが、ぶっちゃけ、穴があります。これ、システムじゃなくて、プレーヤーの話なんですけどね。



穴がどこかって話になると、ぶっちゃけ、右SBのトコです。磐田戦ではジュビロの山田に右サイドからやられてますし、鳥栖戦でも右サイドで田中がハイボールの競り合いで負けた所から失点してます。



去年の名古屋の全ゴール集でも、「うわー名古屋の右サイドゆるゆるやん、ゆるゆるやんか」って呆れてたんですけど、名古屋の失点って、右サイドからの失点がホントに多いんです。


去年、名古屋さん、新潟に0-5で負けるという珍事をやらかしてるんですが(去年の新潟は得点力不足が酷かった)、その時、新潟に徹底して右サイド狙われてましてね。新潟は去年、全得点が29点なんですが、そのうち、6得点が名古屋相手でした。アウェー新潟戦では、名古屋産、右サイドを抉られまくって失点を積み重ねてます。



これ、去年の名古屋の失点で、右サイドからやられた回数数えてたんですけど、2節二回、10節二回、12節二回、20節、21節二回高木にやられる、26節、27節、29節、33節、これ全部右から失点してます。



去年の場合、名古屋は右サイドが弱いって所が終盤になると完全にバレていて、他チームに徹底して狙われてました。実は、ここ、今年もそうなんですけど、名古屋さん、右サイドの裏がぽっかり空いてる事、とっても多くて、試合チェックしてみましたが、今年もあそこは緩そうだなあ・・・と。


なんで、今年も名古屋さん、右サイドからの失点が多そうな気配です。湘南としては、間違いなく、名古屋の右サイドを狙ってくると思って頂いて結構です。チョウさんがあそこを見逃すとは思えません。




最後になりますが、週末の名古屋VS湘南のプレビューになります。


さて、最後に週末の試合のプレビューやっときます。



まず、名古屋さんになりますが、攻撃面では、闘莉王のCFか、ナビスコでテストしてた玉田の偽の9番かで、攻め方が変わってきます。闘莉王のCFなら、まず間違いなくロングボールになります。湘南のDFは高さがないので、これは単純に有効です。鳥栖と清水は徹底してました。一方で、玉田の偽の9番、ゼロトップの場合、田中輝と玉田の引く動きで湘南のDFを引っ張り出して、空いたスペースにヤキモフスキーやキショーさんを走らせて、湘南の高いラインの裏を狙うって形でくると思います。これはピクシーがどっち選ぶか次第って話になるので、ピクシー次第です。



一方で、守備面なんですが、多分、4バックだろうと思います。名古屋さん、ナビスコでライン上げる試みをやってましたが、湘南戦では、そんな上げてこないんじゃないかな、と思ってます。守備面では、名古屋さんは、3バックも試してましたけど、週末の試合ではそっちはやってこないと見てます。といっても、ひょっとしたら3バックでシステムかみ合わせてくるかもしれないので、ここもピクシー次第なんですけどね。



そんな訳なんで、週末の試合は名古屋さんに関しては不確定要素が高いってのが正直な所です。



一方で、湘南の方なんですが、こっちもいつもの3421でしょう。ただ、場合によって4141で来る可能性もあります。今回の試合なんですが、湘南としては、J1に上がって、はじめて強力な中央突破をもってるチームとの対戦になるので、チョウさん、出方を変えてくる可能性があります。



ただ、フォメがどうあれ、基本、ハイプレスショートカウンターってのは変わらないので、湘南のやることは、どの相手でも変わらなかったりするんですが。湘南にとって助かるのは藤本がいないことで、彼がいない分、ラインの裏への精度の高いパスは出てこないし、コンビネーションの質も下がるので、ホント助かります。



名古屋の攻撃に関しては、わかっていても止められない場所が幾つかあるので、そこは目をつぶるしかないな、と思ってます。個人能力の差の部分は如何ともし難い部分です。



一方で、攻撃面では、狙いは簡単なんです。左WBの高山、ボランチの永木、左シャドーの梶川か武富がキーです。名古屋の右SBは田中隼磨が使われると思うんですが、彼、かなり食いついてくるので、右SBの裏がぽっかり空いてること多いんです。名古屋ってチーム。



これまでの試合、湘南の試合では右WBのコバショーが目立つ試合多かったですが、あれは、今までやった相手の左SBが狙い目だったからでして、今回の名古屋戦では、左WBの高山がキーになります。名古屋の右サイドは守備が緩いんで、右SBの裏、右SBと右CBのギャップを狙った攻撃を狙ってくると思います。高山の見せ場が遂に来たなあってのが僕の見立てです。彼の良いプレーが遂にJ1でみれそうだな、と。スピードとスタミナは、本当に凄い選手なんです。




とりあえず、今日はそんな所で。それでは、皆様、ごきげんよう。ではでは。