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2013年、オフサイドルール改正のお話

さて、皆さん、こんにちは。本日は、地味~な話ですが、オフサイドルールの改正が行われたんで、そっちの話をしたいと思います。めっちゃ地味な話なんですが、これについては、以前だとオフサイドになっていたプレーが、今回のオフサイドルールの変更によって、これからはオフサイドにならなくなるため、ちょっとしたうんちくでも垂れときたいと思います。



2013/2014年 競技規則の改正について (第11条-オフサイド競技規則の解釈の変更)


すでにJFAのほうで、告知と動画による解説が出ていますが、ちと、それぞれについて、個別に説明しときたいと思います。オフサイドはわかりにくい反則なんで、ちょっとアレな話になりますが、興味のある人だけおつきあいください。


オフサイドのルール


で、まずオフサイドのルールなんですが、こいつは「ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、次のいずれかによって積極的にプレーにかかわっていると主審が判断した場合にのみ罰せられる」ってものです。


ここでのポイントは、「味方競技者によってプレーされた瞬間」って所です。オフサイドって反則は、味方競技者がボールをプレーした瞬間にオフサイドポジションにいた選手に適用される反則であり、相手競技者のプレーには適用されません。ですから、オフサイドポジションにいたFWがGKへのバックパスをかっさらってゴールしてもオフサイドにはなりません。たまーにオフサイドポジションにいたFWがバックパスかっさらった時にオフサイドにする審判がいますけどね(プロの試合でも、極希に発生します)。よく言われる「バックパスはオフサイドにならない」って奴です。



さて、なんですが、オフサイドルールで面倒なのはココじゃないんです。まず、原則としてオフサイドポジションにいること自体は反則になりません。



オフサイドって反則が取られるのは、選手がオフサイドポジションにいることに加えて、、


1、プレーに干渉する
2、相手の選手に干渉する
3、オフサイドポジションにいることによって利益を得る


のいずれかのケースが起こった場合に限られます。


で、今回のオフサイドルールの改正なんですが、1と2に大きな変更は入ってませんし、協会の解説読んでも、現行と変わってません。ただし、明確に変更されたと言えるのが、3の部分です。



今日はそっちの話がメインになります。



オフサイドにおいて試合において解釈が難しかった部分について


さて、こっからが試合の中で審判が困るシチュエーションなんですが、最初に述べた事ですが、サッカーにおいては、「バックパスはオフサイドにならない」というのがあります。オフサイドポジションにいるFWが、DFのGKへのバックパスをかっさらってゴールしても、それはオフサイドにならないんです。



ただし、相手DFに当たって跳ね返ったボール、あるいはGKがセーブしてこぼれたボールをオフサイドポジションにいたFWがゴールしたら、これはオフサイドになります。「オフサイドポジションにいることによって利益を得る」って項目にひっかかるからなんです。



以前にもお話しましたけど、これが面倒な所で、審判からみて、「DFがバックパスしたのか、DFの足に当たって跳ね返ったボールなのか、よくわからない」ってシチュエーションが極希に起こるんです。しかも、そのボールをオフサイドポジションにいたFWが拾ってゴールしてしまう事がある。面倒なのは、これが起こった時で、審判が一番困るシチュエーションです。さあ、どうしましょう?と。


この判断が難しいのは、これからも変わらないと思います。こればっかりは本当に困るシチュエーションです。



ただし、今回の変更で、一定の範囲で、そういったプレーに線引きが行われました。


オフサイドポジションにいることによって利益を得る 」プレーについて

さて、こっからが本番なんですけどね。


変更が大きいのはココなんですが、従来までは

“その位置にいることによって利益を得る”とは、既にオフサイドポジションにいて、ゴールポストやクロスバーからはね返ってきたボールをプレーすること、または既にオフサイドポジションにいて、相手競技者からはね返ってきたボールをプレーすることを意味する。


という文章でした。ココに変更が入りまして、新ルールでは

“その位置にいることによって利益を得る”とは、次のようにボールをプレーすることを意味する。
(ⅰ) ゴールポストやクロスバー、または相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。


(ii)相手競技者が意図的にセーブすることで、はね返った、方向が変わってきた、またはプレーしたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。


相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない。

と、なりました。えーっと、1と2については、従来と変更がありません。基本的に、ポストやバーに当たって跳ね返ったボール、相手選手に当たって跳ね返ったボール、GKがセーブしてから跳ね返ったボールなんかをオフサイドポジションにいるFWが拾ってシュートしたらオフサイドです。



ただし、条文の三つ目が問題なんです。



相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない。




コイツです。これが今回の改正で、一番大きな奴で、これが明確にされた結果、従来であればオフサイドになっていたプレーが、オフサイドにならないと明確化されました。


えっと、これは最初にはったリンク先のJFAのページの動画の最後の奴をみてもらうとわかりやすいのですが、柏対鹿島戦での奴ですが、レアンドロのクロスを鹿島のDFがヘディングでクリアしたんですけど、クリアが中途半端でオフサイドポジションにいたジョルジ・ワグネルに渡ってしまい、それをワグネルがシュートした奴があります。動画だと、これオフサイドになってますが、これからは、これがオフサイドになりません。


理由はってーと、「相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない」ってのが明確化されたからです。


ココがポイントでしてね。


つまり、これからは、DFがインターセプト、もしくはヘディングでクリアしようとしたボールが運悪くオフサイドポジションにいたFWに入ってしまった場合にはオフサイドにはならないって明確化された格好なんです。


守備側競技者が意図的にプレーした場合(それが思いどおりのプレーでなかったとしても)、そのボールを既にオフサイドポジションにいる攻撃側競技者が受けたケースでは利益を得たという判断をしない」ってのが、今回の改正で明確化されたので、これからはクリアミスやインターセプトのミスをオフサイドポジションにいたFWがかっさらっても、オフサイド取られなくなります。この部分が明確になりました。


で、ルール改正で何が変わるのか?という話


さて、今回のルール改正なんですが、これ、以前話をしましたが、


2005年のオフサイドルールの改正とモダンサッカー


2005年にオフサイドルールが改正されて以来、サッカーではラインを高く保ち続けるのが非常に困難になりました。プレーに直接関わっていない限りは、オフサイドポジションにいてもオフサイドを取られないルールになり、プレーへの関与についても明確化された為、疑いようがないほどに、オフサイドルールについては攻撃側が有利になっています。



今回のルールの変更なのですが、近年におけるオフサイドルールの変更については、とにかく攻撃側が有利になるような変更がほとんど常に、といって良いほどに行われていまして、今回の改正も、疑いようがないくらいに攻撃側が有利になる変更です。


以前であれば、クロスが入ってDFがヘディングしたが、クリアミスになり、それをオフサイドポジションにいたFWがシュートしたらオフサイドでした。JFAの動画にある甲府対広島での寿人のシュートがソレです。


ところが、これからは、これはオフサイドになりません。「守備側競技者が意図的にプレーした場合(それが思いどおりのプレーでなかったとしても)、そのボールを既にオフサイドポジションにいる攻撃側競技者が受けたケースでは利益を得たという判断をしない」ってのが明確化されたからです。



で、この結果としてですが、このルール下だと、クロスへの対応一つとっても、若干の変更が必要になりそーです。従来であればオフサイドポジションにいたFWがDFのクリアミスを拾ったら戻りオフサイドでしたけど、今回からは、戻りオフサイドになりません。



また、ますますハイラインプレスが難しくなりました。パスをインターセプトしたら、オフサイドポジションにいたFWにボールがこぼれて、一気にGKとの一対一になる、みたいなケースが増える事が多そうだからです。



今日はこの辺りで。ではでは。