2015JALチャレンジカップ 「日本対ウズベキスタン」のレビュー
さて皆さん、こんにちは。本日は先日行われました「日本対ウズベキスタン」のレビューをお届けします。有り難い事に、ブログ書きやすい試合でして、サッカーブロガーとしては助かります。アギーレ・ジャパンの時は何とも書きにくい試合ばかりで困ってましたのでね~(遠い目
まず試合内容からなんですが、試合は5-1で日本が勝ちました。
有り難い事にyoutubeにフルマッチ動画がupされてたんで貼っときますですよ。ちょっと画質悪いですけどもね。とりあえず、フルマッチ動画を紹介した上で、試合内容のレビューに参ります。有り難い話ですけど、ハリルホジッチ監督は、結構システマチックなサッカーやるようで、レビュー書きやすいタイプです。ホントに有り難い話です。
日本対ウズベキスタン、ハリルホジッチのサッカーの攻撃パターンの話
さて、まずは新監督さんのサッカーの話から行きましょう。まだ就任して間もないハリルホジッチ監督ですけど、攻撃面では、かなりシステマチックな攻撃やってまして、どういうサッカーやるのかってのが試合から大体わかる人なんです。
前回のエントリで、ハリルホジッチのチームの前線のコンビネーションの話をしましたけど、今回の試合を見て、前のコンビネーションの狙いは大体理解できたんで、「ハリルホジッチサッカーの前のコンビネーション」について、ざっとまとめておきます。
図でやりますけど、ハリルホジッチさんのサッカーですが、
1,WGが降りてくる
まず、こーいう感じで、ボランチが前を向いてボールをもてるとWGがSHとボランチの間に降りてきます。ここから、ハリルホジッチ・サッカーの攻撃はスタートします。CBがボールもって持ち上がったり、SBが前むいてボール持てた所でも、基本はWGが降りてくるトコから、前の選手が動き始めます。
でもって、前回のエントリで紹介した事ですが、
2,WGのフリックからトップ下、もしくはSBへボールを流す
こーいう攻撃は前回の試合でやってました。ボランチが降りてきたWGにボールを当てて、WGがボールをフリックしてトップ下に落とす、もしくはオーバーラップしたSBに落とすって形です。前回のエントリで「フリック」って何?という人がいたので説明しておきますが、「パスされたボールを少しかすらせ、ボールを後方へ送る技術」って所になります。これによってDFを引きつけて、DFの裏のスペースに人とボールを送り込むってのが狙いになります。
前回のエントリの流用ですいませんが、
流れとしてはこういう形になります。チュニジア戦の後半は香川と本田でこれやってましたね。
で、ウズベキスタン戦になるのですが、このやり方の発展系が幾つか見られたので、それを説明しときますが、まず、
3,トップ下の動きで相手のボランチを動かし、中央へ楔のパスを打ち込み、ポストプレーからの展開
この形。これは前半5分の日本の先制シーンがこのやり方です。前半15分にも同じやり方でやってましたが、キャプでやると、
これは前半15分の時の奴です。この時は岡崎が挟まれちゃいましたが、前半5分の奴は、
この形で楔を入れて、そこからシュートまでいけてます。この後、日本はCKから青山のダイレクトボレーが炸裂して先制しました。この日の試合なんですが、前回のチュニジア戦でWGがフリックでトップ下にボール落とす攻撃を多用したせいかウズベキスタンはそっちを警戒しており、ボランチがトップ下の香川にぴったりついてくる事が多かったです。ただ、香川にボランチがついてくるなら、こーいう風に動けば、中央に楔入れる事が出来るようになります。この形の攻撃で、いきなり先制できたのはホントにラッキーでした。ついてます。相手がこの攻撃に慣れる前に点とれたのでね。
ちなみに、降りてくるWGにSBがついて来ない場合、
4,WGにSBがついてこないなら、WGが前向いて、好きにやればよい
こーなる訳ですが、あそこのスペースでWGが前向けたら、後はWGが好きにやればいいだけなので割愛します。普通は、あそこでは前向かせてもらえませんけど、たまーに相手がポカして前向けることがあります。この日の試合だと、前半28分に本田があそこで前向けてます。キャプ載せときますけど、
このシーンですね。ここは日本のCBから降りてきた本田にパスが通って、あっさり本田が前向けたので拍子抜けしたシーンです。
さらに、もう一つやっておきますが、
5,サイドチェンジせず、SBの裏に流れて来たCFにボールをつける
こーいうのもありました。キャプでやると前半31分のシーンなんですけど、
こーですね。このシーンで面白いのは、うっちーからサイドチェンジするんでなく、縦にいっちゃうんですわ、このチーム。「ほえ~、サイドチェンジはあんまし使わないのねえ・・・WGが中に入る訳だ・・・」という感じです。ここでサイドチェンジせず、SBの裏に流れて来たCFにボールつけるなら、WGが中にガンガン入ってきても良い訳ですわね。
ちなみに、オーソドックスな攻めですけど、
6、WGの裏への抜けだし
こーいうのも当然やってます。前半13分の乾の裏抜けがそれです。ここはキャプでやらんでもいいですよね。
これで、大体、この2試合で見られたハリルホジッチの攻撃パターンを説明し終えたのですが、攻撃面で特徴的だと思うのは、大きなサイドチェンジをあんまし使わないって所です。この試合の3点目はサイドチェンジからなんで、全く使わないってサッカーではないんでしょうけど、サイドチェンジを多用するタイプのサッカーではない感じです、ハリルホジッチ。もっとも2試合しかやってないので、もうちょっと見てみないとわかんないんですけどね。
一応、サイドチェンジをしてるシーンもある訳なんで、もうちょっと見てみる必要はあります。
ざっとまとめてしまうと、ハリルホジッチのサッカーの攻撃は、「縦に早く」なので、下がってくるWGと、サイドに流れてくるトップ下、CFのオフザボールでDF動かして、前に縦パスをつけていく形みたいです。それと、この2試合みる限り、サイドチェンジの優先順位はあんまし高くないっぽいです。理由はそんなに沢山サイドチェンジしてなかったのと、WGがやたらと中に入ってくるのをみたからです。なんで、ザックみたいな「WGは外に張ってろ」ってタイプじゃないみたいですね。
あと、もう一つ、セットプレーなんですけど、この試合、「素早いリスタート」を日本代表は使ってまして、前半21分、前半41分に素早いリスタートから、良い攻撃出来てます。ここも前任者との違いが出てまして、セットプレーの時、相手が整う前に始めちゃう方が良い派ですね。
さて、ここまで攻撃の話ばかりしてきましたが、
攻撃の話の〆として、各ゴールの解説を。
1ゴール目は青山のダイレクトボレー。これはゴラッソでした。
2点目は、ちょっと説明が必要で、日本陣内での日本のスローインからなんですけど、この時、何でか青山から香川へのパスが通って、逆サイドの乾までボール運ばれちゃってるんですね。これはウズベキスタンのミスで、相手陣内からのスローインを簡単に逆サイドに運ばせちゃダメなんです。基本的に、相手陣内でのスローインの場合、ボールサイドに全体をスライドさせる訳ですから、あんな風に簡単にサイドチェンジさせてしまうとピンチになるのは必然なんです。
3点目もウズベキスタンのミスです。セットプレーからですけど、ボールより後ろに二人しかおらず、その上、ミスがでて、ボールより後ろに一人しかいない状況が出来た時点で、もうアレでした。その上にGK飛び出したんで・・・・
4点目は宇佐美の個人技です。この選手には前から期待しておりまして、やっと代表初ゴール決めてくれて嬉しい限りです。こーいう風に一人で点が取れるから、僕はコイツを別格扱いしてるんです。
5点目、これは嬉しい川又の代表初ゴール。前回のエントリでも扱いましたが、川又って選手、「点を取ってチームに貢献するタイプのFW」でして、守備がんばるとか、ポストプレーとか、そっちでは、それほど役に立つタイプじゃありません。なんで、とにかく点が欲しかったんですけど、結果が出せて良かったです。点が取れたので、次回も呼んでもらえると思います。
日本対ウズベキスタン、日本代表の守備の話
さて、今回の試合なんですが、日本が5-1で大勝しました。なので、あんまり守備の細かい事をネチネチ言うような試合ではないのですが、やっぱり気になった点があるので、その点について述べておきたいと思います。気になった部分ってのは、主にこの試合の後半の話でして、ウズベキスタンが後半開始から攻勢にでてきた事と関係があります。
えっとですね、この試合の後半の開始から、ウズベキスタンはSBを積極的にあげて来るようになってます。で、攻撃時に4231でなく、3421に変形して攻撃してました。日本は442で守備をセットしてましたので、3421に変形されるとフォーメーションのミスマッチが引き起こされます。
この試合、後半始まってから、0:36に左サイドで裏を取られているのですが、この時は、上がってきたSBのマークを乾が外してしまった事が原因になってます。前半はSBはあまり上がってこなかったんですが、後半になると積極的に上がってきてました。
そして、後半2:04の時は、青山がマーク外して裏取られてますし、後半4:45の時は左SBに入った太田が一対一でやられてクロス上げられてます。これ、全部左サイドでやられました。
これね、相手チームが攻め方を変えてきた直後で混乱してましたし、最初はしょうがないんです。こういう風に後半から攻め方を変えられると、守備で混乱しちまうのはしょうがない事です。
この試合の場合、後半8分に日本がウズベキスタンのミスもあって、2点目を入れる事が出来たから良いんですけど、その前に点取られてたら、面倒な事になってました。もっとも、この試合の場合、後半のゴールラッシュは、後半からウズベキスタンがSBをガンガン上げて攻撃してきてくれたおかげな部分もある訳で、ウズベキスタンがやった事は諸刃の剣的な部分もあるんです。
この試合、日本代表は危ない部分もありましたが、まあ、そこそこ守れてはいました。ただ、見逃せないのが、後半19分と、後半29分のシーンなんです。
まず、後半19分の日本の守備の話なんですけど、日本陣内の左サイドでウズベキスタンがスローイン取った所からなんですけど、サイドの3対3であっさりやられて、PA内でシュート打たれてます。この時はウズベキスタンが外してくれたからよかったものの、3対3で簡単にやられてしまうのは頂けません。左サイド、ちょっと簡単にやられすぎてるんですよね、ここまで。
ただ、一番気になったというか、「やっぱり、あーなっちゃうか・・・」と思ったのは、後半30分に起こった事なんですけど、バイタルでフリーでウズベキスタンの10番にシュート打たれたんです。この時の流れなんですけど、
まず、ココになるんですけどね。日本の右サイドが攻められている時、左サイドの宇佐美は、あんまし中に絞らないんです。この問題は、攻撃性の強いサイドアタッカーを使うチームで頻繁に生じるんですが、実質的にFWといって良い選手をサイドで使う場合、逆サイドを攻められている時、その手の選手は中央に絞るって行動をあんまり取らない傾向があります。その結果として何が起こるか?というと、
こういう流れになるですよね。ここなんですけど、442相手で、つけ込みやすいポイントでして、44ブロックの逆サイドのWGの絞りが甘い場合、壁パス使って逆サイドのWGとボランチの間のギャップにボール運んで、そこからフィニッシュってのが狙い所の一つになります。実は、これ、宇佐美の得意なプレーの一つでもありまして、自分が得意な攻撃を相手にやられた格好なんです。
ちなみに、その後、宇佐美なんですが、ウズベキスタンに全く同じ形でやり返してるんですけど(ココが今回のエントリの肝)、
これなんですよね。こっから先は宇佐美がドリブルで切り込んでゴール。まさに宇佐美というゴール。強力なアタッカーなら、あのエリアで前向けたら一発で持っていくよ、という典型例みたいなゴールでした。
なんというか、ウズベキスタンの10番に宇佐美が格のの違いを見せつけた、みたいなシーンでして、宇佐美が、「ねぇねぇ俺は一発で決めたけど今どんな気持ち?今、どんな気持ち?」とか相手の10番煽りに行ったら面白かったんですが、言葉わからないでしょうから無理ですわいな。
冗談はさておき、こういった守備の問題は、実はJ1の鹿島だったり、川崎が抱えている問題だったりもします。鹿島と川崎の話は、日を改めてやりますけど、要は、サイドに攻撃性の高い選手を起用すると、4-4でブロックを組む際に、こういった問題が生じやすいって話なんです。
ただ、宇佐美のゴールみればわかる通り、強力なアタッカーを持ってるチームなら、壁パスから、あのエリアにボール運べば、一発で決めてくれる可能性もある訳です。例えばですけど、宇佐美の代わりに、湘南の高山使えば、守備の問題は生じません。高山は全くサボらずサイドで上下動しますが、高山は宇佐美みたいなプレーは絶対できません。
さあ、どうします?ここは考える時間です。
ここで守備はどうでもいいから、とりあえず点取れるアタッカーをサイドにぶっ込むと川崎になります。サイドは点取ってるけどCFが点取れない・・・となると鹿島になります。サイドで攻守に走り回れるけど点は取れないってのが、湘南の高山です。
守備できて、宇佐美並の個人技持ってて、点も取れる、そんなウィンガーがいたら、どんなに素晴らしいでしょう。でも、そんな奴、絶好調時のリベリーくらいですわ。
そりゃ、WGの不味い守備で負ける事があるかもしれませんよ。でもね、FWが点取れなくて負けた試合ってのも多いんですよ、サッカーって。UAE戦なんて、モロにそれでした。サッカーってスポーツじゃ、FWがチャンスに点取れなくて負ける試合、これ、多いんですよ。
宇佐美については、色々欠点はありますよ。でもね、あそこで前向いて、個人技一発で1点取れるアタッカーなら、守備に目をつぶって使う価値があります。間違いなく。点取れる選手ってのは、ようするに「チャンスに点が取れなくて負ける試合」を減らしてくれるんです。(チャンスがほとんどないのにチーム勝たせてしまう化け物もいますが)
この試合、柴崎が途中からトップ下に入ってましたが、柴崎くんね、これから、多分、宇佐美とは日本代表で長くつきあっていく二人になると思うのよ。
でね、宇佐美は守備できないの。柴崎ね、トップ下に入ったら、宇佐美の尻ふきお願いね。宇佐美は、守備ホントダメで、宇佐美をサイドで使う場合、バイタルのカバーはトップ下がやらないとダメなの。つまり、柴崎がボランチの位置まで下がって守備やらないといけない。
でね、宇佐美は周囲に守備で絶対かけるタイプの選手だから、点とらないとダメなんだよ。だから点とれ宇佐美。宇佐美については、ホントにそんだけ。点取ればいいのさ。
これから先、日本代表でサイドで宇佐美使うなら、宇佐美のお守りをボランチとトップ下がしていく事になると思うけど、それだけの価値がある選手なんだ。だから、よろしく頼みますわ。(ちなみにガンバの場合、今ちゃんとサイドの二人が宇佐美の尻ふきやってます。)
今日はこの辺りで。ではでは。
今回に関しては、まとめは特にありません。川崎と鹿島の話は、又、別の日にやります。