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川崎フロンターレと風間サッカーのお話 「守備の文化とか糞食らえ」

さて皆さん、こんにちは。本日は前回のエントリでもちょっと触れましたが、J1の川崎の話でもしとこうと思います。



僕はtwitterやらブログやらで、「川崎の守備はジョーク」とわめき続けている訳なんですが、「守備崩壊」してるチームの話するなら、2015年の川崎か鹿島を例に使うのが妥当なトコだと思います。特に川崎は、J1のガンダルフこと風間監督に率いられた革命サッカーをやってる訳で、あれほど愉快なサッカーやるチームはそうそうありませんし。



あのですね、「日本代表は守備ガー守備ガー」という人がたまーにいますが、風間ターレのアレに比べれば何てことはありません。それに、ぶっちゃけ、守備の本場と言われるイタリア代表の守備だって、W杯はひでーモンでした。守備やらないバロテッリと守備できないピルロ抱えてるんだから、どうしようもなかったとも言えますけどね。




なんで川崎の守備が崩壊してるのかってーと


まず、この話なんですけど、僕は去年から「川崎の守備はジョーク」ってわめいてる訳です。なんでかってーと、川崎ってチームは、「ギャグ漫画みたいな裏の取られ方をする」、「バイタルの守備をそもそもやる気がない」という2点の特徴を持ってるからなんです。



これねえ。今年のJ1でも早速発揮されてるんですけど、



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これは2015年J1第一節の横浜対川崎の動画なんですけどね。これの川崎の失点シーンは「何で!?」という奴です。ええ。これ、どーみてもおかしい。何がおかしいのかってーと、このシチューエーションで、一か八かのオフサイドトラップを狙ってるんですよ。



動画の1:14秒のとこからなんですけど、川崎陣内でマリノスのCBの中澤がボールをもって前を向く。この時、マリノスの右SBの小林が裏を取る動きを見せてます。その時点では、川崎の左WBはボールと小林を視界に収めており、この動きに対応できてます。問題なのは、その後。ボールはオープンな状態で、中澤は裏へのパスを出せる状態が継続するんですが、ここで川崎の左WBが体の向きを変えます。この時の体の向きが間違いって訳ではないんですが、この体の向きになった事でボールとマークする相手を同時に見ることができなくなってます。そのため、ここでは安全第一のプレーしかできません。


ところが、ここで川崎の左WB、オフサイドトラップ使ってるんです。「ファッ!?」って場面でして、意味がわかりません。「中澤にプレスかかってない+マリノスの右SBの小林を視界に収められていない」の二重苦の状況で、なんでオフサイドトラップ?という奴です。



その結果、何がおこったかというと、盛大にマリノスの小林に裏に抜け出されて(中澤のパス一本で)、GKとの一対一を作られて川崎は失点という流れでした。せめて、マリノスの小林が視界に入っている状況なら、オフサイドトラップやるのも理解できるんですが・・・マリノスの小林が視界にない状態でオフサイドトラップというのは・・・やっぱり風間サッカーは魔法つか(以下自粛。




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次にこっちの第2節の神戸戦の川崎の1失点目なんですけど、動画の1:03秒のところ見てくださいな。



川崎のバイタルに誰もいねぇんです。で、その後、無人のバイタル使われて川崎は失点しました。



このシーンなんですけど、神戸がやったのはひどく単純な攻撃で、川崎のSBとCBの間にフリーランかけて、相手のボランチを動かし、バイタルにスペース作って、そこを攻撃するってやり方です。ただ、この時、何故か川崎のダブルボランチの片方が戻ってきておらず、ボランチが一人動かされただけでバイタル無人という状態になってました。



これね、去年からそーだったんですが、川崎ってチーム、バイタルの守備が異常に緩く、相手チームにどうぞバイタル使ってくださいといわんばかりの守備をやります。「そんな馬鹿な、プロのチームが?」とか思う人がいるかもしれませんが、ガチです。


さらにCKの守備がこれまたジョークで、この試合の2失点目がCKからなんですけど、何でもないファーへのボールなのに、ファーで誰も相手選手をマークせず、そのままヘディングでゴール叩き込まれてました。これまた意味がわかりませんハイ。



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これは、今年のナビスコでの名古屋戦の動画ですけど、CKの守備でまた失点。この失点の仕方なんて、CKをゾーンで守るチームのテンプレ通りのやられかたです。ゾーンの隙間に斜め後ろから走り込まれてヘディングで叩き込まれる。



その他の失点も酷くて、カウンターから最終ラインで数的同数、数的不利って形で失点してて、「リスクマネジメントという単語は風間サッカーには存在しねぇの?」という疑問がわき出てきます。第4節の新潟戦でもそうだったんですが、数的同数カウンター食らって失点しており、カウンターに対するリスクマネジメントってのが、ひどく適当になる時間帯があるんです、風間サッカー。



ここまで、川崎の失点シーンの話をしてきましたけど、今シーズンに限った話でも、


1,カウンターに対するリスクマネジメントに問題がある(数的同数カウンターから失点)
2,CKでの守備で守れてない(前年度から引き続き)
3,バイタルスカスカ
4,意味がわからない裏の取られ方をする


という感じで、守備面に限って言えば、守備崩壊以外の何者でもない状況で試合やってます。



で。



問題なのは。


このチームが開幕4試合で勝ち点7を取っているという事実なんです。




スポーツの世界のマントラには「守備を制するものが試合を制す」なんてのがある訳ですが、川崎に限って言えば、これは当てはまりません。というより、Jリーグに関して言えば、ガンバ、セレッソ、現在の川崎みたいに守備が崩壊気味なのに強いチームってのが存在してきた訳ですよ。




ちょっと寄り道して川崎のレナトの守備に見るWGとSHの違い


ここで、ちょっと川崎の10番、レナトの話をしましょう。彼、私的評価だと、J1で一番良いレフティのWGです。一方で、守備面ではJ1で最低クラスの選手でして、WGとして最低限の守備しか頼めません。



前回のエントリで、「守備が出来ないってどういう事なの?」という質問が来たので、いい機会なんで、WGとSHの守備の違いについて話をしようと思います。



僕個人の分類だと、WGとSHの違いは守備面でして


WGの守備 SHの守備
攻から守の切り替えが遅い 攻から守への切り替えが速い
中央のスペースのカバーはしない 中央のスペースのカバーをする
ワンツーされるとマークを外してしまう ワンツーされてもマーク外さない
対面のSBを見るのが精一杯 対面のSBをケアしつつ、CBへのプレスにも出れる

とまあ、こんな感じになります。SHタイプのプレーヤーというのは、WGタイプより攻撃で出来ることは限られるのですが、その分、守備がんばってくれる選手です。アンチェロッティ的な表現を使えば、WGはスピードと突破力を備えた選手、SHはボランチ的な守備力を備えた選手と定義しても良いです。現在のJ1だと、ガンバの阿部浩之とか、サイドハーフとして良いプレーヤーだと思ってます。




いくつか、キャプで説明しますけど


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これは2015年J1第四節の川崎対新潟のキャプですが、新潟がサイドで数的有利作れてます。この原因になっているのがレナトの守から攻の戻りの遅さで、典型的なWGプレーヤーの守備なんですね、ココ。WGタイプのプレーヤーって、大概は「守から攻の切り替え」が遅いので、純正のWGタイプを使うチームは、こういうシーンがどうしても増えます。



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これも同じ試合からです。このシーンについては、前回のエントリでも説明しましたけど、実質FWといって良いWGプレーヤーって逆サイドを攻められているとき、中央に絞るって行動をあまりやりません。つまりバイタルのカバーはまず行わず、対面のSBにサイドチェンジされるまでは守備らしい守備はやらない傾向があります。二枚目のキャプではボールが中央にあるのに、やっぱり中央のスペースのカバーはやらねぇんです。だから、あそこのスペースがスッカスカになる傾向があり、あそこのスペース使われて失点ってのが珍しくありません。






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ココも同じ試合からですけど、ここレナトは守備を途中まではやってるんですが、ボランチとSBがワンツーしただけでマーク外されてしまっているんですね。WGタイプのプレーヤーって、守備ではホントに単純な事しか頼めません。簡単なコンビネーションでマークを外されてしまうからです。




ちと、先にあげたガンバの阿部のプレーを使ってSHの守備の話をしますが、



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ガンバの阿部ちゃんの場合、ここまでやってくれるんです。ココ、ガンバの中盤の守備の要である今ちゃんが前にでた状態でロストが起こったので危なかったんですけど、阿部ちゃんが素早くバイタルのカバーに入って事無きを得ました。このシーンだと、今ちゃんが前にでており、バイタルが無人だと見るや全力でバイタルのカバーに走ってます。


それ以外にも、ボールが逆サイドにある場合、きちんと中に絞りますし、マッチアップ相手のマークも外しません。前回のエントリで、「ガンバでは、宇佐美の尻ぬぐいを今ちゃんとサイドの二人がやってる」って話をしましたが、その理由がココなんです。宇佐美が守備やんない分、サイドの選手がSH的なプレーをしてます。阿部ちゃんの守備時のポジショニングだとか、切り替えの時のスピード見てれば、あのチームで誰が汗かき役なのかはすぐわかります。




ここでフツーのチームの中盤の構成の仕方について

で、なんでけどね。



ここでガンバの阿部ちゃんの守備と、川崎のレナトの守備の違いについて説明してきましたけど、川崎ってチームは、かなり珍しいチームの組み方してるんです。一方で、ガンバのほうは、実はかなり常識的なチームの組み方をしてます。


どういう事かというと、まずガンバ大阪の話をしますけど、あのチーム、宇佐美が守備出来ません。せいぜい頼めるのはマッチアップの相手をみる事くらいです。攻守の切り替えも遅いし、カウンター食らった時、バイタルのカバーにすっ飛んでいくなんて宇佐美には無理です。なので、長谷川監督は、カウンターストッパーとして今ちゃんをボランチに使い、さらに保険として右に阿部ちゃん使って、切り替えの時の守備の頭数が足りるように、そしてバイタルが無人にならないようにやってます。宇佐美がボランチの前のスペースを潰してくれないので、その仕事はパトリックに振ってます。ハセケンさんってのは、この辺り常識的なレベルの配置をする人で守備を結構考えた布陣を敷くタイプなんです。




一方で、なんですけど、川崎の風間さん。これが凄くて、守備を全く考慮してない布陣を引いてくるんですわ。



まず、ダブルボランチが大島僚太と中村ケンゴ。この二人な時点でバイタルの守備が羽毛みたいな軽さになってしまうのは当然なんですけど、それに加えて右サイドにレナト、小林悠までぶち込むんですよ、風間さんって人は。小林にしろレナトにしろ、実質FWといって良い選手で、中盤をFW二枚と軽量ボランチ二枚で構成したら、最終ラインとGKはたまったモンじゃありません。まあ、今年からエウシーニョ取ったり5バック試したりしているので、多少はバランスも考えているのかもしれませんが、それでも中盤の守備を軽視しすぎてます。 中盤の守備が小林、レナト、大島、ケンゴじゃバイタル使われまくります。無理ゲー。



フツーだったら、ボランチの片方に守備できる奴いれて、サイドのどっちか一人はSHタイプを採用してバランス取るモンなんです。風間さんの場合、それをやる気配がない。すごい。


まあ、この辺は鹿島もそうなんですけど、小笠原と柴崎のダブルボランチに金崎と遠藤の両翼とか、守備でバランス取れる訳ねーんですよ。鹿島が失点多くなるのはスタメン的に当然の話で、あのメンツで守りきれる訳ないがな・・・という奴です。



ただ、それでも川崎は勝つ、という話

えっとですね、ここまで川崎のサッカーについてネタにしてきた訳ですが、「じゃあ川崎って今年ダメなんじゃないの?」という話になりそーな訳ですが、そうはなってないんですわ。



第四節までに、川崎はすでに勝ち点7取ってますし、失点は相変わらず多いんですが、得点数ではJ1ぶっちぎりの9得点。正当なるガンバサッカーの継承者的チームとなってます。いわゆる「ノーパンサッカー」です。



これ、去年の話になりますが、去年の時点ですでに川崎は最高にザルでした。ザルザルザルなサッカーやってました。ただ、そんなザルチームでしたが、イタリア人に率いられ、カッチカチのサッカーやってるFC東京より順位は上だったし、直接対決では1勝1分で川崎がFC東京に勝ち越してるんですよ。




結局ですけど、J1で「守備を制するものが試合を制す」って言いたいなら、まずはJ1で川崎ヤヒロターレより上の順位を確保し、直接対決で川崎をぶちのめしてくれないと説得力がないんです。ちょっと前まではガンバがこの役割を担っていたんですがね。去年からJ1で一番のオススメは川崎の試合でして、理由は沢山点が入るから、なんですが、今年もやっぱり川崎がJ1でオススメです。




ちょっと煽らせてもらうと、僕が今期、注目してる一戦は川崎対FC東京です。何と言っても、サッカーにおけるイデオロギー対決になってるのが素晴らしい。川崎は風間監督率いる革命サッカーでモットーは「守備の文化糞食らえ」です。一方でFV東京はフィッカデンティ率いるイタリアサッカーでモットーは「守備を制するものが試合を制す」。片方は、チームづくりで守備から入るオカマ野郎どもに鉄槌を!!という連中で、もう片方は守備組織がないアホになんぞ負けられるか!という連中なんですからね。



この2チームが激突するのは、5/2(土)となっているんですが、究極のホコタテ対決、サッカーにおけるイデオロギーの代理戦争となる予定ですので、東京近辺にお住まいの皆様、是非スタジアムまでお越し下さい。



今日はこのあたりで。ではでは。