2015ロシアワールドカップ二次予選 日本対カンボジアのプレビュー
みなさん、こんにちは。本当は今日はJリーグの話でもしようかと思ってたんだけど(いい加減、J1も佳境なので盛り上げていかないといけない)、ハリルホジッチがドジッ子かまして、
カンボジア戦のスタメンと戦術が漏洩…ハリル、急いで隠すも間に合わず
こんな感じで、3日のカンボジア戦のスタメンと戦術を漏洩して下さったので、本日はプレビューやっとこうと思う。風で戦術ボードがめくれて、試合のスタメン漏洩とか、どんだけ不用意なんだと思うけど、ハリルホジッチは体脂肪ネタの時にも前科があるので、あれはあれでワザとやってるのかもしれない。
ちなみに、スタメンのほうなんだけど、
その戦術ボードからカンボジア戦のスタメンと見られるメンバーが判明した。それによるとGKは西川周作(浦和レッズ)、最終ラインは右から酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル/イタリア)、ダブルボランチは山口蛍(セレッソ大阪)と長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)、トップ下に香川真司(ドルトムント/ドイツ)、ウイングは右が本田圭佑(ミラン/イタリア)、左が武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)で、1トップに岡崎慎司(レスター/イングランド)。対するカンボジア代表はメンバー発表会見でハリルホジッチ監督が口にしていたように5バックで、中盤は3ボランチ+トップ下に1トップを配した布陣を想定している模様で、人やボールの動きを想起させる矢印も記入されていた。これがカンボジア戦の狙いということなのだろう。
こーなっているので、図にすると
こうなる。ポイントとしては、やはりボランチだ。山口蛍と長谷部のダブルボランチ。どちらもゲームメーカータイプではない。攻撃に関しては、前へ走り込む、追い越す動きに特徴のある選手なので、中盤でボールを動かす気はあまり無いようだ(長谷部も山口もアシストは多くない)。これまでの試合もそうだったけど、中盤でボール動かしてたのは、山口がサイドチェンジ連発してた中国戦くらいなんで、ポゼッションにはそんなに拘ってるスタメンに見えない。
正直いって、カンボジア相手なら、ボランチには柴崎使いなよ、と思う。山口か長谷部、どっちか片方でよくて、もう一人はもっと捌ける選手つかないよと思う訳だ。
もっともスタメン選考は代表監督の特権だし、それについてグダグダいってもしょうがないので、プレビューに移ろう・・・・とその前に、前回のシンガポール戦の時にでた問題と、本来やるべきだった攻撃の話をしておく。
前回のシンガポール戦で出た問題と、本来やるべきだった攻撃の話
まず、この話から。シンガポール戦はレビューやったので、
2015ロシアワールドカップ二次予選、日本対シンガポールのレビュー
こっちのエントリにまとめてあるけど、あの試合の場合、
1,右サイドで大渋滞が起こっている
2、左サイドで縦パスが入らない
って問題が起きていた。この話は以前のエントリでまとめたので、今回は詳しくは触れない。今回のエントリでは、前回のような試合では、どういう攻撃をすべきだったかという話をしておく。
前回、シンガポールが日本にやった守備方法というのは、
こうなるのだけれど、サイドではシンガポールのSBとSHがマンツーマン気味に日本のWGとSBを捕まえる。中央はボランチ3枚がスペースを消すのを優先し、中央の岡崎に楔がはいらないように守っていた。その代償として、日本のボランチがシンガポール陣内でフリーでボールを捌けるという状態になった。
相手がこういう守り方をしている場合、どういう風に攻めれば良いのかって話になるんだけど、これ、実は簡単で、
こんだけやってればよかった。「え、これだけ?」と思われるかもしれないけど、こんだけ。このやり方なんだけど、レーブのドイツ代表が好むやり方だ。ドイツ代表はWGとSBを目一杯サイドに張らせる。狙いとしては、相手チームを横に広げることで、SBとCBの間、SHとボランチの間のギャップを作り、そこをボランチ、トップ下に使わせるっていうもの。ドイツ代表を見ているとケディラがやたらとSBとCBの間に走り込んでくるのを見かけると思うんだけど、あれはチーム戦術として必須の動きで、サイドにWGとSB張らせるチームの場合、SBとCBの間のギャップに走り込む動きをボランチが担うことが大事になってくるんだ。
実は、これ、試合中、1度上手く行ったことがある。キャプでやると、
シンガポール戦の前半11分、この状態ができた。この時は、攻守の切り替えの場面からのスタートだったんだけど、本田がサイドに張ってる状態だったので、シンガポールのSBとCBの間にギャップが出来ていた。で、そのスペースを香川が使ってシュート打ったシーン。
シンガポール戦の場合、アンカーはスペース潰すのを優先し、香川にマンツー気味にはついていなかった。この場合、ボールを左右に動かしてSBとCBの間にギャップを作り、そのスペースをトップ下に使わせてしまえば良いだけなんだ。あそこに走り込んでもシンガポールのアンカーはついてこないので、本来であればトップ下はあそこのスペース使ってやりたい放題できる。
ところが、あの試合の場合、それは出来なかった。理由は、右サイドの場合、本田が常時中に入ってきていたので、SBとCBの間にスペースがなかった事。左サイドの場合、SBとCBの間にギャップが出来ていて、香川が走り込んでいるんだけれど、ボールが出てこなかった事。この二つだ。
あの試合の場合、根本的に攻撃の順番を間違っていた。本田は相手のアンカーが香川についてきてない時点で、サイドに張ってるべきだった。そして、SBとCBの間にスペースを作り、そこを香川、あるいは走り込むボランチに使わせるべきだった。この動きを続ければ、そのうち、アンカーが香川にマンツー気味でつきだす。そうなったら、香川の動きでアンカー動かして、空いたスペースを使うために中に入ってもいいんだ。ところが、それが起きてないのに本田は中に入りっぱなしだった為、右サイドでの大渋滞が引きおこされてしまった訳だ。
ここからがカンボジア戦のプレビューになるんだけど。
さて、こっからは3日のカンボジア戦のプレビューになる。スタメンとカンボジアのフォメは、ハリルホジッチがドジッ子してくれたので、すでにわかってるわけだ。日本は4231、カンボジアは5311だ。基本的に、5311ってのは、守備面で問題があるフォメであり、デフォで3の両脇が空いており、日本のSBが浮いてしまう。
こうだな。なので、あの○で囲ったスペースを上手く使う事、浮いてるSBを使った攻撃が大事になってくる。
ただし、単純にSBの足下にボールが出しても、
この形での対応されて終わる。インサイドハーフがサイドに出てSBに対応。ボランチのマークはトップ下に受け渡し、CFがCBのマークについて作り直しをするのを防ぐという形だ。
勿論、532でドン引きしてくる可能性もある。つまり、噛み合わせとしては、
こうなる。デフォだと、これ、やっぱり日本のSBが浮いてるんだけど、SBにボールが出たら、
この形で対応してくる可能性が高い。中盤3枚のスライドでSBには対応。日本のCBは放置でボランチを2トップに捕まえさせて、ボランチ経由のビルドアップを封じる。CBに戻してビルドアップをやり直させるのはオッケーくらいの形だな。
さて、こういったフォメの相手と対戦する場合、どうやって攻めたら良いの?って話になるんだけど、この手のフォメに対する定石としては、
この三つになる。
繰り返しになるが、デフォだとSBが浮いてるんだけどSBの足下にボール出すと、ほぼ確実に相手のプレスに捕まるって所だ。なので、単純にSBにボールつけるのは悪手。これやっちゃうと、相手の思うつぼになる。
戦術については、順をおって説明すると、5311の泣き所は3の両脇で、あそこがデフォで空いている。なので、あそこで起点を作りたいのだけれど、SBに単純にボールつけても、
こんな感じで相手のプレスに捕まって詰まる。だから、基本は降り来てたWGを利用する。3の両脇のところにWGを下ろす。ここでフリーでボールうけて前むけるなら、
あとはあそこからWGが好きにやればいい。
ただ、普通はWBが出てくる。そうしたら
この形でWBの裏にSBを走り込ませ、トップ下はフリックでSBにボールをあわせるって形を取る。もしくは、
この形でWGがフリックしてトップ下をWBの裏に走り込ませる形でもよい。
これが2~3回成功すると、相手のCBかアンカーがトップ下にぴったりマークにつくようになる。CBがトップ下についてくる場合、
この形を狙う。相手のCBがトップ下やCFにぴったりついてくる事を利用して、相手の3バックを中央に寄せて、サイド深くへのパスコースを作り出す。その上で、そこにSBとボールを送りこむって形だ。あるいは、
この形でもよい。これは相手のCBがトップ下やCFにぴったりついてくる事を利用して、相手の3バックの間隔を広げて、ボランチが走り込むスペースを作るってやり方になる。
ちなみに、アンカーがトップ下にマンツーマンでついてくる場合、これは一番簡単で
こうなる。トップ下の動きで相手のアンカーを動かして、空いた中央のスペースを岡崎に使わせる。つまり、岡崎に楔打ち込んで、本田が岡崎の落としを受けて、あとは本田が好きにやればいい。
ただし、これらのやり方は、相手が541で守ってくる場合には意味がなくなる。541相手だと、SBがオーバーラップしても相手がついてきて対応されてしまうので、SBのオーバーラップはさほど有効ではないし、中央がダブルボランチなので、かなり面倒な事になる。個人的には報道通り、カンボジアが5311なら、かなり嬉しい。スペースがあるからだ。一方で、541でドン引きされるとかなり面倒くさくなる。
ここで大事なのが、相手の出方だ。相手チームがどういう守り方をするのか、それで攻め方は当然変わってくる。今回のエントリで、シンガポール戦の話を絡めたのは、シンガポール戦の場合、相手のDFの動きをみて、攻撃方法を変えるって事が出来ていなかったからなんだ。本田は最初っから中に入りっぱなしでDFの守備方法に関わらず、常に中に入っていった。
当たり前の話なんだけど、WGが中に入ったほうが良い局面と外に張ってたほうが良い局面がある。その判断が本田は出来てなかった。
次の試合もそうなんだけど、5311相手の場合、相手のWBがどこまでWGについてくるか、インサイドハーフがSBについてくるのか、アンカーはトップ下についてくるのか、トップ下とCFが交錯する動きをした時に、CBはどう対応するのか、それによって攻め方は変えなきゃいけない。
前回のシンガポール戦なんだけど、前4人の動きがちぐはぐでチームとして動けてなかった。なので、カンボジア戦ではしっかりやって欲しい。きちんとチームとしてサッカーしてくれって事。
とまあ、ここまで色々書いたけど、実はカンボジア相手なら、戦術云々でなく個人技でねじ伏せて欲しいってのもある。実力差がある相手とやるときは、戦術でなくて純粋な個人の能力差で押し切って欲しいし、「格下のこざかしい戦術なんぞ力でねじ伏せろ」という脳筋思考、嫌いじゃないのだ。
プレビューで、あまり多くかいてもアレなんで、この辺りで。
ではでは。