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サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

2013CL決勝トーナメント、レアルマドリー対マンチェスターユナイテッドのレビュー

サッカー

さて、皆様、こんにちは。今回はCL決勝トーナメント、レアル対マンUのレビューと行きたいと思います。例によって例の如く、今回も又、レビュー書こうと思ったら、そこいらでボンボンと書いている人が出てしまい、もう書くこと残ってるのかよ、という状態なんですが、まあ、気にせずに書くことにします。


結果のほうなんですけど、レアルのホーム、サンチャゴ・ベルナベウで行われたこの一戦は1−1となりました。レアルとしては、かなり痛いドローです。というのも、今年のレアルなんですが、ホームでは11試合で9勝2分、36得点、9失点となっており、相変わらずホームでは無敵状態です。モウリーニョが異常にホームで強いのは有名で、モウリーニョはリーグ戦ではホーム戦連続無敗記録のギネスもってます。


一方で、アウェーだと、今年のレアル、さほど強いチームじゃありません。12試合、5勝2分5敗程度で、22得点、13失点と振るわない成績となってます。今年のレアルに関しては、アウェーで勝てないってのが際だってます。


まあ、そんな訳なんで、ホームでは9割方勝つレアルに対してドローに持ち込めた訳ですから、マンUにとっては悪くない結果です。アウェーゴールも取れたし、次はオールドトラフォードですんで、今年のアウェーのレアルの不甲斐なさ、第二戦の前にクラシコがある事を考えると、現状、マンU有利といった所だと思います。

レアルマドリー対マンU、フォーメーションとレアルの守備のアレ


さて、本題。ここからが今回の試合のレビューになります。まずは、スタメンから。



こうなってました。双方、4231ですので、フォーメーションはミラーマッチになります。レアルのほうは、キャプテンであるカシージャスが怪我で離脱中な以外はベスメンです。マンUのほうなんですが、ちょっとスタメンいじってまして、右ボランチに本来はDFのジョーンズが入っており、見るからにクリロナ対策ってのが丸わかりの布陣になってます。で、左にウェルベック、トップ下香川、右がルーニーとなっていて、「おや?」という感じの並びです。右にウェルベック、真ん中ルーニー、左香川で来るかと思ってたので意外でした。まあ、これも、あるかなーとは思ってたんですが。


ちと、レアルマドリーの守備の構造的なアレになります。レアルに関しては、攻撃は言うことないチームですが、守備はベンゼマとロナウドがそんなに守備に戻ってこないのですし、ロングボールの時のカバーなんかに問題があるチームになってます。


えっと、図で説明しますが、レアルの構造的な問題の一つに、クリロナがあんま守備やってくれないってのがありまして、そのため、右SBのラファエルがオーバーラップし、ルーニーがSBとCBの間にフロートしたポジショニングをすると、



こういう形で、ルーニーがフリーになりやすいんです。SBは、この場合、ルーニーをマークしようとすればラファエルをフリーにしてしまうし、ラファエルにつけばルーニーをフリーにしてしまう。これは、WGがSBのオーバーラップについていかないチームが抱えてしまう問題で、レアルはこの問題を構造的に抱えています。



もう一つが最終ラインの連携で、ここも明らかに欠陥があります。簡単に言えば、4バックの連携に問題があるチームでして、個人能力には問題がないんですが、カバーが適当です。これ、CLグループステージで、クロップに狙われる事になりました。CLグループステージ、ベルナベウで、ドルトムントがレアルから二点目とったシーンがそれなんですが、これ、キャプでやりますね。






こういう奴なんですけど、最終ラインがロングボール入れられた時のカバーの関係が割と適当な所があるんです。この日、クロップにそこを狙われてまして、「最終ラインからのロングボール→WGが1度プルアウェイの動きを入れてマークを外す→レバンドフスキがWGにボールを落とす→一気にゴール前までWGがボール持ち込んでフィニッシュ」って流れで二点を取ることに成功してました。最終ラインの守備は基本的に個人能力とGKに頼る所が多く、組織で守るってチームではありません。これについては、レアルのチームカラーみたいなモンになっていて、あそこはプレーヤーが自由にプレーするってチームですから、かなり個人能力頼みのサッカーを攻撃でも守備でもやります。


まとめると、レアルは守備において、クリロナがSBのオーバーラップについていかない所と、4バックの連携が適当という二つの問題を抱えているチームです。特に、左SBの絞りが適当なんですよね。マルセロとコエントランをメインで使っているってのが原因なのかもしれませんけど。



マンチェースター・ユナイテッドの攻撃とロングボール・ストラテジー

さて、ここからが今回の試合の話になります。今回の試合は、レビューに時間がかからない内容だったんですけど、理由はってーと、マンUのほうが、攻撃においては、極めてシンプルな手段を選んだからです。それは何かってーとロングボール。試合前から「やるんじゃねぇかな」と思っていたのですが、やっぱりロングボールでした。香川スタメンでしたけど、繋ぐ気はほとんど皆無でした。それは香川がポゼッションを助けるというより、ロングボールの為のポジショニングをしていた事から明らかです。


レアルは前半、ハイプレスをかけてきていましたが、こういう時、香川は下がってきてポゼッションを助けるってのをよくやります。ただ、この試合は、そういう動きは前半はほとんど見せてませんでした。その代わりに、ずーっとロングボールの為のオフザボールを繰り返してました。ドルトムントがロングボールで、ベルナベウの試合でレアルから二点取ったので、マンUもやるんじゃないかな、と思っていたんです。


えっと、これまでは、うちのブログでは、ショートパス主体の戦術とかコンビネーションとかばっか話してきたので、本日はロングボールの戦術について扱います。


これ、去年のJ1だと、サガン鳥栖がロングボール主体の戦術をとっていたので、サガン鳥栖の話の時に書こうとおもっていた事なんですが、今回の話で扱おうと思います。内容的には、サガン鳥栖のサポの方には「あ、これ、うちでやってる攻撃と一緒じゃん」と言う奴なんで、親しみを感じるかもしれません。




まず、一番、基本的なロングボールでの戦術ですけど、「CFのフリック(ボールを少しかすらせ、ボールを後方へ送る技術。)」って奴になります。図でやると、



こうなります。これ、一番基本的な奴で、ロングボールやるなら、CFが、これ出来ないようだと話になりません。これは基本中の基本になります。今回の試合でも、これはユナイテッドが多用してまして、






これ、前半12分の奴です。まあ、一番、基本的なロングボールの動きです。CFに当てて、CFがフリックして、その裏にトップ下が抜け出すって奴です。レアルは左SBのコエントランが、ココ、あんまし中に絞らないので、上手くいけば、一気にGKと一対一になれます。このシーンでもそうなんですけど、レアルは最終ラインのカバーリングの関係があんま良くないんです。CBとSBの関係があんまし上手くいってないのでCBとGKの個人能力任せの所があります。


前半18分、ユナイテッドの先制ゴールに繋がるCKを取ったときも、この形でして、




こーいう形から香川がCKとって、その後にウェルベックがCKをヘディングで叩き込み、ユナイテッドが先制しました。


さてもう一つ代表的なロングボールの戦術が、SHのヘディングでのフリックになります。これも図でやりますが、




こうなります。これもシンプルですが、効果的なやり方でして、あそこでトップ下がボールを持てたら、CBが一人、出てこざるを得ないので、ボールをフリックしたSHは素早くCBが空けたポジションに走り込み、トップ下からのリターンかクロスに備えるって動きが大切になります。







こっちは前半14分のユナイテッドのロングボール攻撃です。これ、二番目にポピュラーなやり方で、こっちはヘディングをフリックするのがSHの仕事になります。下がってくるSHにロングボールを当てて、SHが裏にフリックします。そして、相手SBの裏にトップ下が走り込み、そこでボールを受けるってプレーです。


もう一つ、やっときますが、前半33分の奴ですね。








こういう奴でした。これ、ロングボール戦術のもっともベーシックの一つで、シンプルだけど効果的なんです。SHにロングボール当てて、その裏にCFかトップ下が入ってフリックしてもらったボールを受ける。これやると、CBが一枚必ずサイドに出てきますから、SHは素早くCBが空いた中央に走り込んで、リターンのパスもらうか、クロスをあげてもらうって流れです。


これ、ウェルベックっていう選手の話になるんですが、僕の評価だと、彼、典型的なイングランドの選手です。つまり、オフザボールとかボールの持ち方、プレーの選択がロングボールタイプの動きで、ショートパスを使った組み立て、コンビネーションはあんまし得意じゃありません。ただ、ロングボールだと、ホントにいい動きをします。このあたりはイングランドのサッカー文化の問題で、小さい頃から、こーいうサッカーで育つ訳ですから、しょうがないと思ってます。結局、イングランド人は実用的なロングボールなんです。最近はショートパスとポゼションも必要だと思ってるみたいですけど、イングランドはロングボールでいいんじゃないかなあ、なんて思ったりすることも多いです。だって、そういう国だし。こんなサッカー文化の国で、なんでルーニーなんてのが育ったのかは、はっきりいって謎です。


あと、もう一つ、ポピュラーなのが、上記二つの合わせワザで、これはドルトムントがレアルから二点とった時に採用してたやり方でして、図でやりますが、




こういうのです。今回は、これ、ユナイテッドは、あんましやってませんでした。こっちは、ドルとレアルの試合の奴のキャプで説明しますが、






こういうのですね。ロングボールの代表的な戦術としては、この三つがあげられます。


ロングボールといっても、それが苦し紛れのロングボールか、戦術レベルできちんと整備されているロングボールなのかで、まるで話が違ってきます。きちんとロングボールからの展開が考えられているなら、それは立派な戦術でして、ハイプレスをかけられたときには、こういったロングボールからの展開を行った方が効果的な事が多いです。ハイプレス相手にショートパスで攻めるとか、バルサかブラジル代表でもなきゃ、危なっかしくてやってられません。


ライン上げてプレスかけてくる相手には、こういった形での展開を狙った方が手っ取り早い事が多く、ロングボールも立派な戦術だって事です。


これら三つですが、今年のJ1でサガン鳥栖が散々繰り返した動きでして、ロングボールの最も基本的な動きになります。この試合において、前半、マンUが散々繰り返したのは、前二つで、もう「これしかないんだ!」って位、こればっかやってました。呆れるくらいに、これやってました。


後半も、しょっちゅうこれやってて、「やりすぎだろ・・・読まれてきてるぞ」と正直思いました。だって、後半開始、しょっぱなからもやるんだもん。



こういう奴ですけど、





これ、前半終了直前から、レアルは誰がどうカバーに向かうか、かなり整備されてきていて、モウリーニョが途中から、このあたりの関係をなんとか整理しようと頑張ってました。というか、最初からしっかりやっとけよとか思うんですけど、まあ、レアルってチームは、こーゆーとこ、適当なカラーのチームですんで、しょうがないかなと。


この日のユナイテッドなんですが、前半は、もうロングボールばっかやってました。延々とこの形です。レアルがライン上げてハイプレスをかけてきていたので、てっとり早く、裏に抜け出す香川にロングボールとか、ロングボールをSHやCFに当てて、フリックして裏へ抜け出すって攻撃を繰り返してました。


これ、ドルトムントがCFのフリックで、レアルから二点とっていたので、それほど意外って訳でもありません。まあ、ドルはあれで上手く行ってたわけだし、この形で点取れるなら、そりゃ真似するよねって話で。このやり方だと、レアルにショートカウンターかまされる危険性も低いですし、アウェーの戦い方としては悪くありません。ロングボール使って、点取れれば最高、CK取れれば上出来って感じで割切ったプレーを前半はやってました。


ユナイテッドに関しては、53〜60分あたりでは、ちょっと色気だしてポゼッションしようとしてた節がありますが、やっぱり60分以降はロングボールからの攻撃を選んでまして、71分のファン・ペルシの決定機の時もやっぱりロングボールでした。もうとにかくロングボールです。


ユナイテッドの守備とレアルの攻撃、ユナイテッドの守備の穴


さて、こっからは、ユナイテッドの守備とレアルの攻撃に移ります。


これは、まず説明になりますが、ユナイテッドは今回、ハイプレスとかまるで考えておらず、ボールを持つことにはほとんどこだわってませんでした。だから、ラインは低めだし、攻撃もロングボールでした。カウンターも狙ってはいましたが、如何せん、ラインが低すぎるので、ペルシが一人で孤立してました。



マンUの守備なんですが、基本的に441の9枚で自陣内にブロックを作る形です。



こんな形です。白い円で囲った場所はゾーンというよりマンツーマン気味の所で、香川がシャビアロンソ、ルーニーがコエントラン、ジョーンズとラファエルの二人でクリロナを見るという形です。


このやり方、ちょっとした問題があって、



サイドでレアルのWG、クリロナがボール持つと、マンUのボランチが一枚、カバーに出てくるんですが、その時、赤で囲ったスペースがどうしても空いてしまう。あそこをどうするかって問題です。あそこをケディラやエジル、コエントランに使われると面倒な事になります。これ、前半4分の時にやられていて、








こういう流れでした。これ、構造的に空いてしまうので、どうしようもない所だなあ、どうすんだろ・・・と思ってたんですが、このスペースの埋め方が面白くて、香川が下がってきて埋めたり、場合によってウェルベックが埋めるというアレさっぷりでした。前半、41分にケディラが走り込んできたとき、ウェルベックがついてきたのには呆れましたが、




こんな感じです。これには笑いましたが、レアルとマンUの違いですが、守備において、マンUのほうは、徹底的に血を流すことが求められるチームです。ルーニーもそうですけど、笑えるくらい守備やらされます。これはイングランドのチームの特徴でもあるんですけど、基本的に自己犠牲のスピリットが求められる文化がありまして、アタッカーだろうと容赦なく守備やらされます。自己犠牲とハードワークの文化はイングランドの選手の大きな特徴、美点でもあります。イタリアとかブラジルにはこれがありません。


試合見てて思った事ですが、マンUはスペースの埋め方はしっかりしてました。というか、もう身も蓋もない人海戦術だった訳ですけど、厄介だったのはケディラが攻撃参加してきた時で、ケディラが右サイドに上がってくると、マンUの守備がかなり混乱してたので、あそこはセカンドレグで整理しとかないと不味いと思います。構造的に、ケディラは空きやすいので、ケディラの所のマークで混乱が起きやすいんです。


どういう時かってーと、





こういう時で、ケディラが上がってくると、マンUの左サイドでマークの混乱が起きていて、後半ディマリアがフリーになる原因になってたり、単純にケディラがフリーになったりすることが何度かありました。あそこにケディラが上がってくると、誰がケディラ見るのか混乱してました。ケディラのフリーランが始まると、結構マンUとしてはきつくて、






このシーンでも、全く同じ形なんですけど、ケディラがSBとCBの間にフリーランかけてくるせいでマークが混乱してて、ディマリアがフリーで前むける状態でした。このあたりの時間帯、左サイドのマークが混乱してまして、左サイドにケディラが上がってきたら、誰がディマリアを見るんだ?って所で混乱が起きてました。まあ、そんな訳で香川は交代で、ギグスが入り、その間にマークの確認みたいな作業っと。


ただ、これだけケディラを上がらせると効果的なら、なんでケディラの上がりを自重させてたの?って話になるんですけど、そりゃケディラ上げて攻撃参加させ始めたら、一気にカウンターに脆くなるかでござる。70分にペルシの決定機が訪れてますが、そんとき、ケディラがお疲れモードになってたんですね。あんだけ攻撃参加すれば当然ですけど、カバーが甘くなってました。


あと、まあ、結局、左サイドの混乱は最後のほうまで続いていて、



こんときもケディラが左サイドでフリーで、マークが混乱しちゃってるですわ。ケディラがあの位置に上がってくると、マークの混乱が起きていて、この前にも、香川が左サイドでケディラフリーにしちゃたのがあったし、セカンドレグ、あそこ狙われると思います。


これ、図でやっときますが、なんでケディラがエブラの所にフリーランをかけてくると問題になるかってーと、



こうなるからです。これ、構造的な問題で、クリロナ対策に右サイドにルーニー、ラファエル、ジョーンズを配置し、ジョーンズにクリロナをケアさせている関係上、シンプルなディマリアとケディラのポジションチェンジで、ディマリアがフリーになれます。図をみればわかると思うんですが、キャリックはエジルがいるから出れないし、ウェルベックは対面のアルベロアがいる。エブラはケディラが自分のゾーンに入ってきたから出れない。香川はシャビアロンソ番。こうなると、ディマリアが浮いてしまうんですね。


まあ、そんな訳ですので、次回のセカンドレグまでに、この問題は整理しておく必要があると思われます。整理されてなかったら、モウリーニョにやられるでしょう。


セカンドレグに向けての展望

最後にセカンドレグに向けての展望を。今回の試合で、双方、大体、弱い所はわかったと思います。ファーガソンは、セカンドレグでは戦い方を変えるって入ってましたが、オールドトラッフォードでは、もう少しボールもって戦うと思います。今回の試合で、クリロナがラファエルのオーバーラップについてこないって情報が手に入ったので、ボールもって攻撃するなら、レアルの左サイド狙い打ちになります。ファーストレグでは、ファーガソンはほぼロングボールオンリーで、レアルのクリロナサイドを攻撃はしませんでしたが、オールドトラフォードでなら、さほど難しくはありません。こっち狙いは多分、間違いないでしょう。今回、それを見せませんでしたけど、次回は確実に狙ってくると思います。


一方で、モウリーニョのほうは、ファーガソンが、クリロナ対策にジョーンズ+ラファエル+SHを使ってくるって情報が手に入ったので、次はわりかし方向性を立てやすいです。上で詳細は書きましたが、相手がクリロナにジョーンズを貼り付けてくるなら、ケディラとディマリアのポジションチェンジで、ディマリアをフリーに出来ます。そこから崩す攻撃を練習しとけば良いわけで、次回はマンUにブロック固められても突破口はあります。



とまあ、そんな情報を双方が手に入れたのが、今回のCLファーストレグ、レアル対マンUの試合だったと思います。



次戦だとお互いに、その辺りをつっつきあう楽しい試合になったらいいな、と願いつつ、今日はこのあたりで終わろうと思います。試合の予想としては、オールドトラッフォードなんで、7対3でマンU有利ってトコにしときます。0−0でもマンUは良いわけだしね。



それでは皆様、ごきげんよー。