サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

2022年カタールW杯、日本対ドイツのレビュー

4年ぶりの更新になりますが、twitterでレビューやってくれという要望が多かったので4年ぶりにサッカーレビューでもやってみようかと思います。


正直な話、最近のネットのサッカー系レポートについてはもう文章の時代じゃなくて動画の時代になってましてね、youtubeとかでサッカーの解説動画作ってる人も多くて、そっちが50万再生とか稼いでる時代なので「もう文章でサッカーの解説する時代じゃねぇなあ」と思ってるんですよ。文章で解説やってもW杯でもせいぜい2~3万ですし。


ここ数年、ネットも動画時代で動画配信できねえ奴は用無しなんじゃねーかと思ってる所もありましてtwitter位しかやってませんでした。自分は時代の流れに完全に取り残された男です。



これも時代の流れですからね、しょうがないです。愚痴ってもしょうもないので、本題に入りたいと思います。


この試合の動画についてですが、abemaで全部動画でみれますので、それへのリンクを貼っておきます。



abema.tv



基本的に、この動画の時間にそって説明していきます。正直言って、この試合の戦術解説に関しては解説で本田さんが全部喋ってくれてるので、それを図をいれつつ補完する形になります。


この試合の展開から始めますと、





基本的にはフォーメーションは双方4231同士でした。ただ、これはあくまで初期配置です。ドイツは攻撃時にフォーメーションが変わります。日本は試合開始10分くらいはハイプレスしてたのでドイツのフォメチェンは問題になってなかったんですが、日本がハイプレスを止めて自陣内でのプレスに切り替えた辺りからドイツのフォメチェンが問題になり始めます。


ドイツは試合当初、ポゼッション時にWGを中に絞らせて1トップ2シャドーの形を取って、両SBを高い位置に上げてトップ下のミュラーを頻繁に中盤に落としてきてました。


ちょっと極端な図になるんですが、



こんな感じで日本が6バックになってるような状況に陥りました。



このポジションチェンジが日本に二つの問題を引き起こしました。一つは日本のWGの二人が最終ラインに吸収されて6バックの状態になってしまっていた事。これではボール取れてもWGの位置が低すぎてまともに攻撃につなげることが出来ません。日本の最大の武器である伊東の良さが消えてしまう。



そしてもう一つ。中盤中央で2対3の数的不利が出来てしまい、ドイツの中央でのポゼッションを止める事ができなくなった事。ここの所、ドイツが本当に上手くてですね、中盤中央に1トップとWG、トップ下のミューラーがポジションチェンジを繰り返しながら中盤に降りてくるんですね。そこを日本が上手く捕まえることが出来ておらず、日本代表は完全にドイツに中盤を制圧される事になります。そして中盤中央を制圧されて、今度はサイドに散らされてサイドもやられるという悪循環にハマって前半は完全にサンドバック状態になりました。


この問題については、abemaの動画で12分くらいの所から本田がすぐに気づいて日本の守備の問題について詳しく解説してます。


本田3「前田さんと鎌田さんがだんだん最終ラインにプレスかけれなくなってきたんですよ。で伊東さんが最終ラインにいって6バックみたくなってるんですよ。タケも最終ラインまで引いてほぼ6バック。こうなってくると低いんですよ位置が。でエネルギーがないんですよ、そしてホラ、また拾われるんですよ」


ってね。前半12:27の動画のシーンj確認してもらうとわかるんですが、日本は本当に6バックになっちまってます。



もう一つ、日本代表は前半、CKの守備でも苦戦してましてね、abemaの動画だと前半15:55の所のドイツのCKなんて、ドイツはスクリーンプレイを上手に使ってリュディガーをフリーにして、ヘディングにつなげてます。日本はCKの守備をマンツーマンでセットするんですが、マンツーマンはスクリーンプレイでマークずらされるとフリーでシュートされてしまう危険性が常にあります。ここね、完全にリュディガーがフリーでヘディングしてます。これは戦術的にはドイツの一点です。ここで日本は先制されてもおかしくなかった。日本が失点しなかったのは運が良かったからとしか言えません。スクリーン上手いチームにマンツーマンで守備セットするのは怖いんですよね。




次、前半19:37分からです。ドイツのポゼッションなんですが、ここもギュンドアンがずっと上手いんですよ。ギュンドアンがこの日の日本にとって最大の問題だったってわかるシーンなんですが、まず最終ラインまで降りてきてボールを受けてズーレにはたく。その後、すぐにポジションを中盤に戻してます。ドイツはズーレからミキッヒに繋ぐんですが、ここで最終ラインから中盤に戻ってきたギュンドアンがフリーになってるんです。ミキッヒ→ギュンドアン→ムシアラ→ラウムと流れるようなパスワークで中盤を制圧してサイドに展開。そこからギュンドアンは相手のバイタルに走りこんでラウムからパスを受けてヒールでムシアラに落としてムシアラがカットイン。ムシアラはDFが止めたんですが、最後はこぼれたボールをキミッヒに弾丸ミドル打ち込まれました。権田のセーブで助かりましたが、ここも失点しててもおかしくなかったです。


ここねえ、ギュンドアンは最終ラインに降りて行って、そこからゲームメイクからフィニッシュのお膳立てまで全部ひとりでやってるんです。たまんねえですね、こんな事されたら。ギュンドアンがボールに触っちゃうとそこからゲームを作られてしまうので、ずーっと日本代表にとって頭の痛い選手でした。


前半15分、前半19分だけで2失点してもおかしくなかった。日本にはツキがあった。これはこのゲームの前半で一失点で済んだ事からも明らかです。



前半21分、日本は久保が良い位置でボール奪った所から速攻に繋げるんですが、本田も言ってましたが「タケ、右(足)やから、左だったら確実にアシストしてたシーン」でした。レフティの選手は逆足が苦手な事多くてですね、ああいう決定的なシーンでも逆足だと決めきれない事多いんです。これは最後の伏線でしたね。浅野は最後の決定機、純足だったからノイアーのニア抜きました。




前半の22分、ここでまた本田が「ここなんですよ、ミュラーが(右サイドに)降りて来るんですよ、ミュラーがタイミング良くは受けれてないんですけど、でもちょっと気にはなってます」って解説いれて、その後に「タケがプレスに行ったらミュラーが開きます、ホラ」って言ってますよね。よく見とるなーと感心してたんですけど、このミュラーの動きが厄介でしてね、この後も本田が続けて解説してるんですけど、「それが結構厄介でしてね、田中さんがどんどん引っ張られていくので、ホラ、サイドに開いてから戻ってきてるんで凄い走らされてるんですよ」って解説してますけど、22分のところも田中碧がサイドに引っ張り出されて中央が1ボランチになり、遠藤の両脇をドイツに使われて中盤からサイドに展開されちゃってるんです。それで日本は余計に走らされて体力削られ続けてんですね。


この試合の後、選手が「ミュラーのポジショニングが厄介だった」って言ってましたけど、この動きが本当に効いてて日本がドイツに中盤を制圧される原因になってました。


皮肉な話ですが、この厄介なミュラーギュンドアンが後半22分に交代してから日本の時間がやってくるわけです。ただそれはずっと先の話。



前半23分にもギュンドアンから始まる攻撃で危険なシーンを作られ、前半25分にもサイドに流れてきたミュラーから攻撃作られ、前半27分には3バック気味になったドイツのポゼッションからギュンドアンのミドルに繋げられと、もう完全にサンドバックです。ドイツのポゼッションに全く日本は対応できてません。


前半28分。ドイツはこの時間帯、CB二人とSB一人の3バックポゼのスタイルでこのあたりからドイツの狙いが明確にわかるようになります。図にすると、



日本がズーレをボールの取りどころを定めているってのを逆手にとったやり方です。3バックポゼでズーレにボール預けて久保を引きつけ、久保がいなくなったスペースにミュラーを落とす形。ここもズーレ→ミュラーからゲーム作られ、ニャブリのカットインから最後はギュンドアンのミドル。


ドイツがやり方をちょっと変えたので日本の守備は混乱してて誰が誰みるのかわかんくなってる状態です。


ここで本田が「いや四枚じゃ厳しいよ、だって相手五枚に、ヒロキとユウトがミュラーみたりニャブリみたりで、WGがアレやから、これはキツイすね」と解説いれて、このあたりから5バックにしたほうがいいと気づき始めた感じでしたね。



この試合ね、本田さんの解説はどれももっともな事しか言ってないんですよ。だからこの試合については俺がどうこういうより、本田さんの解説だけで事足りるって試合なんです、本当に(’この記事書く意味あるのかって話)。



そして前半30分。日本代表が失点したシーン。ここもそうなんですが、結局ズーレにボールが入ったところからです。ズーレにボールが入ったところで久保が行ってしまうと背後をミュラーに取られるってのを繰り返していたんで、久保はここでは行っておらず、背後のミュラーをケアしてます。ズーレがドリブルで日本陣内に入ったところで久保は寄せるんですが、この時にドイツのCFが降りてきてズーレからの楔を受けてミュラーに落とします。これでミュラーがフリーでボール持てました。ここも結局ミュラーからゲーム作られたんです。


で、ミュラー→キミッヒと繋いで逆サイドに走りこんだラウムに展開。これでペナルティエリア内で正真正銘のGKとの一対一が出来てしまいました。戦術的にはもうこれでドイツの一点です。PA内でGKとの一対一作ったんですからね。この後、権田がラウム倒してしまってPKを取られ、ギュンドアンに決められて日本は失点。


もうこの時点で運が悪ければ3点取られててもおかしくない、一方的な試合展開でした。ここまでは。



前半の試合の話はこれの繰り返しです。右サイドはギュンドアンから始まる攻撃で凹られ、左サイドはミュラーから始まる攻撃で凹られるの繰り返し。日本代表は悲惨なほどに凹られっぱなしで前半のスタッツは壊滅的としか言えない内容でした。1失点で済んだのは運が良かったから、ドイツ代表に決定力がなかったからとしか言えません。それほどに酷い内容でした。



前半はドイツのゲームプランに全く日本は対応できておらず、本当に何もさせてもらえませんでした。


本田さん、前半から「5バックにしたほうがいい」って繰り返してましたが、これは至極真っ当な指摘で、後半、日本代表は5バックに変更し、3421フォメでドイツに挑むことになります。




さて、こっからは日本代表が盛り返した後半の話です。前半は一方的に凹られた日本代表でしたが、後半頭から久保に代えて冨安を投入。3421としました。






こうですね。これは初期配置であり、守備時には



こうなって541でブロック作る形になります。前から行くときは343ですね。


ただ、この守備がすぐ機能したわけじゃなくて、後半開始直後いきなりドイツに決定機作られてます。さらに後半5分にもムシアラのカットインからシュート打たれてて、最初からフォメチェンが上手く行ってたというわけでもないのです。ぶっつけ本番での3421です。最初から上手く行くわけないんですわ。


そして、この試合を動かす日本の選手交代が始まります。長友に代えて三苫、前田に代えて浅野。最終的に日本代表を勝たせた二人がここで投入。



後半12分に日本は後半最初のビッグチャンスを迎えます。ドイツの楔を吉田がインターセプトしたところから一気に速攻。ドイツのDFと日本のFWで3対3の数的同数での勝負でした。ここはニアの浅野で勝負したんですが、残念ですが浅野のヘッドは枠に飛ばせず。



この後もドイツペースは変わってなくて、後半15分には又ギュンドアンにバイタル取られてそのままPA内に入られてシュート。ここもドイツの一点もののシーンでした。なんでドイツのシュートは入らないんでしょうかね。あんな綺麗にバイタルで前向けてるのに。見返すと本当に不思議なほどです。



ただし、この後の後半15分あたりからドイツも怪しくなってくるんです。後半12分に引き続き、再び日本の攻撃で最終ラインの所で3:3の状況作られました。ここでも浅野がシュートふかしてしまいました。逆足のシュートでしたからしゃーない。でもここ決めれなかったので個人的には「3:3の状況で勝てんかーきっついなあ」と思ってました。三苫、はたかず自分で行ってもよかったのになあ、と。



その直後、15分のシーンでもドイツのパスをインターセプトして日本のショートカウンター。ここも残念な攻撃で終わってしまったのですが、このあたりからですね。


見返してみると大体このあたりからドイツがどんどん怪しくなっていって、日本がペースを引き寄せ始めるんです。この辺りの時間帯から日本はポゼッションできるようになり、守備でもドイツのパスをひっかけることが出来るようになってきます。守備も攻撃も機能しはじめるんですね。


ドイツの監督はそれをみてか、後半22分にミュラーギュンドアンの二枚替え。ギュンドアンに代えてゴレツカ、ミュラーに代えてホフマン投入。結果論ですが、これは悪手でした。日本代表にとって最大の問題といっていいプレーヤーがいなくなったんです。この試合、「ドイツは選手を代えるごとに弱くなり、日本は選手を代えるごとに強くなっていった」と言われる事になる采配でした。ドイツ監督としては守備が怪しくなっていて、最終ラインで同数になるような場面を二回作られていたのでそこを何とかしたかったんでしょうけども。



本当にこの辺りからドイツは守備怪しくなっていて、後半22分にも吉田のロングフィードから酒井に抜け出されて最終ラインの所で二対二の状況を作られる羽目になってます。ドイツ、守備を何とかしないといけないって状況でした。最終ラインのところであんなに数的同数になるようだといずれ失点してもおかしくありません。一本のフィードで裏を取られてしまうような状況になってたんですドイツ。


ドイツは後半12分、15分、22分と三回も最終ラインで数的同数の守備を強いられており、テコ入れが必要な状況だったのは間違いない事です。



後半24分、本格的にドイツが怪しくなったのがココでした。ミュラーギュンドアンがいなくなって日本の守備がハマりはじめたんです。この時間帯以降、ドイツは効果的なビルドアップが出来なくなっていきます。日本の守備にドイツの選手は捕まってしまい、それ以前のような攻撃が出来なくなってしまったんです。


後半24分にドイツは立て続けに決定機を迎えますが、ここが本当に最後のドイツの決定的なチャンスでした。ここを凌ぎ切ったのが本当に大きかった。


ここから攻撃は手詰まり、守備も怪しい、ドイツはそんな状況に陥ってしまいました。要するに遂に日本の時間が来たんです。そしてそれを見てか、森保監督はここで畳みかけるように攻撃のカードを切ります。後半26分、田中碧に代えて堂安を投入。


そして後半27:35に日本に決定機が訪れます。遠藤のふわっとしたフィードをドイツのSBとCBの間でボールを受けた伊藤がPA内でシュート。これは本当に決定的なシーンでしたが、ノイアーに防がれ、こぼれたボールに詰めた酒井はシュートをふかしてしまいます。ここドイツの最終ラインが酷い守備やってて、右SBのズーレと右CBのリュディガーの間におかしなスペース出来てんですよ。なんでそこ開けた?という感じです。ドイツの最終ラインの守備がおかしいんですよね、ずっと。


これも後から見返してわかったんですが、ドイツの右SBズーレはこの後ドイツの2失点に関与することになります。


そんでもってここでリプレイみた本田が「ほらズーレが穴なのよ、わかる?もっとそこ狙っていけって」と仰っておられますわね。本当に的確な事しか言ってないんですわ解説者本田。攻撃でも守備でも真っ当な指摘ばかりです。



後半29分、森保監督は酒井に代えて南野を投入。ここで両WBが三苫に伊東、浅野のワントップに南野と堂安のシャドーという形に変更します。超攻撃的な布陣すぎて草という奴です。



そして日本が同点に追いついたのが後半29分35秒からの攻撃です。本田はこのシーン「三苫さんいける三苫さん」って三苫さん連呼オジサンになってるんですが、この時ね、ドイツがよくわかんない守備やってくれたんですね。ドイツのWGが日本のCBのプレスに前に出てくれたんです。動画で確認して欲しいのですが、これが決定的な結果を招くことになります。


ドイツのWGが前にでて、三苫は左サイドの高い位置でボール持てました。この時、ドイツのWGが守備ブロックにいないんです。これが何を意味するか。図でやるとこうなるんですが




WGが守備ブロックにいれば、あの場面ではWGとSBのダブルマークすればいいだけの場面でした。しかしWGは前に出てしまった。つまり三苫のカットインするスペースが開いたんです。そして三苫は空いた中央にカットイン。ここ、ズーレは三苫に振り切られているのでミキッヒは南野のマークをリュディガーに受け渡して三苫の対応に行くしかありません。


ここからドイツのマークが一個ずつずれていくんです。これはどうしようもない問題を引き起こすのですが、


リュディガーは南野をマークする

シュロッターベックは浅野をマークする

ラウムは堂安と伊東を同時にはマークできない


そう、ラウムが一人で二人を見ないといけなくなるんです。これはどうしようもないのです。


そして三苫は一人でズーレ、ミキッヒ、ゴレツカを引きつけてから南野へのスルーパス。この時、動画で確認するとわかるのですが、29:40のところでドイツの最終ラインの所でDFは三枚。一方で日本は4人なんです。もうどうしようもない。


かつてないほどの決定機になりました。そして南野のシュートはノイアーが前に掻き出すしかなかった。ファーに伊東が詰めていたのでファーに反らせば伊東に決められる。でも前にこぼれた所には堂安がいる。詰んでいたのです。あの時、あの瞬間の状況では。


びっくりするくらい綺麗なゴールを決めて日本は同点においつきました。



ところで自分はこのゴール決めた後、「ドローでいい」と思っていたのです。というのも、あんなゴール決めた後に三苫が空くことはもうないからです。あれをみたらドイツは三苫には絶対にWGとSBのダブルマークを動員して何もできなくさせます。もちろん、ダブルマークをやればドイツも攻撃の時にWGが上手く使えず、日本代表の前半みたいな事になるのですが、それはそれでいいのです。日本は同点で勝ち点1でも十分だったし。



ところが日本代表は同点で良しとしなかったんですね。というか、単純にドイツの穴と本田が連呼してた右SBのズーレが又やらかすんですが。



後半38分ですね、浅野が一本のロングフィードで抜け出すんですけど、誰が不味い守備やってたかというとズーレでした。



これです。ドイツの最終ラインは後半ずっと怪しい状況だったんですが、ここで右SBのズーレが最終ラインを崩してしまい、それが浅野の飛び出しが成功した原因です。


この後は皆さんご存じの通り、抜け出した浅野はノイアーのニアをぶち抜くスーパーシュート決めて日本は逆転に成功したんです。



日本に勝ち越された後、ドイツには試合をひっくり返す力はもう残ってませんでした。「ドイツは選手交代をする度に弱くなり、日本は選手交代をする度に強くなった」という試合評の通りです。ドイツの選手交代はまるで機能せず、日本の選手交代はドンピシャでしたから。


試合終了の笛が吹かれるまでもうドイツは前半のような攻撃は出来なくなっていた。一方で日本が逆に3点目いれるチャンスまであったほどです。


試合を見返してみて、やはりこの試合は本当に厳しい試合でした。前半で試合が壊れていてもおかしくなかったし、後半の24分くらいまではドイツが圧倒的でした。しかし、そこを一失点で凌いで日本の時間が来るまで耐える事ができた。そして日本の時間が来た時に少ないチャンスをモノにしてドイツより美しいゴールを二つ決めて日本は勝ったわけです。



サウジアラビアがアルゼンチンを倒し、日本はドイツを下した。今回のW杯は史上かつてないほどのジャイアントキリングが吹き荒れる大会となっています。

2018年FIFAワールドカップ、日本対ベルギーのレビュー「日本が史上最もベスト8に近づいた日」

非常に残念ですが、日本のベスト8への夢は潰えました。


本当にあと少しでベスト8という所だったので気持ちの整理に時間が必要だった人も多いんじゃないでしょうか。


本日はそんな日本対ベルギーの試合のレビューをお送りします。結果は2-3で日本は逆転負け。あと20分守れたらベスト8という所まで来てたんですがね・・・。気持ちが落ちてついてから見返してみると色んな事がわかりました。今日はそんなレビューになります。




日本対ベルギー、スターティングメンバーとフォメ


まず、日本対ベルギーのスタメンですが、


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こうなってました。日本は4231で、大迫のワントップに2列目は乾香川原口、ボランチは長谷部柴崎、4バックは長友昌子マヤ酒井の並びです。ちなみに試合が行われる前にポーランド戦でのスタメン流出が問題となり、長友と本田がメディアに「情報流出止めて!」的なメッセージを出す異常事態が起きてます。このメッセが出た時には「あれ?まさかスタメンとフォメいじってくる?」とか思ったんですが、試合前日の会見で昌子を連れて西野監督がインタビューをやったので、「あら昌子が出るなら4231のままだ」という感じでした。もし3421にするなら槇野使うでしょうしね。



一方でベルギーのほうはいつもの3421です。スタメンは完全に予想通り。コンパニがCBで復帰した位ですかね。



この試合なんですけど、試合前に西野サンが言った通りの試合でした。つまり、「日本がここのラウンドに入ったということで、(日本の)チームスタイル、個人のスタイルはすべて分析されているうえで戦う。両チームがそういう中での戦いになると思う。もちろんストロングの部分がベルギーにあるが、されどウイークポイントもたくさんあると感じているので、全面に日本のストロングを出して対抗したい」という奴です。


これ、プレビューで書くつもりだった事でしたが、プレビューさぼってtwitterで書き込みした奴張っときますが、



これですけど、ベルギーってチームは守備で極めてわかりやすい穴があるチームです。ベルギーの試合をチェックしてみて、すぐに「あ、これなら点は取れる相手だ」と思いました。具体的に言えば、左WBのカラスコは本職がMFなんで裏狙えます。右WBのムニエもそんな大したことないです。その上にSBのオーバーラップにベルギーのシャドーがついてこない事が非常に多いのでサイドでは2対1作りやすいです。ベルギーのシャドーは守備意識が薄くて、中盤はフィルターが効かない事が多いです。中盤のフィルター能力が低いチームなので、日本にとってはとんでもなくやりやすい。中盤で簡単に前向けますからね。そもそも中盤の4枚がアザール、デブルイネ、ヴィツェルメルテンスなんですが、守備がキチンとできるのヴィツェルくらいです。


1試合みただけで欠点が大量にみつかったんで、点は取れるなって確信しました。サイドの守備でも中盤の守備でも、ハッキリ言って穴が多い。試合後、カペッロがベルギーの守備に対して「なってない」と断罪してましたが、守備はGKのクルトワとCBの3人、ヴィツェル頼みな所があります。この5人がやられるとベルギーは失点します。



しかし日本も守備は良くないのでお互い様なんですがね!!!



という訳でして、この試合なんですが、日本もベルギーもお互いに相手の弱点を狙って試合を進めていました。お互いに誘い受けみたいなサッカーやってるのでね。突いてくれと言わんばかりの穴があるチーム同士の対戦です。


西野さんは試合前に「ベルギーには弱点があるので対抗できる」と言ってましたが、本当にわかりやすい弱点があるチームです。



試合開始~前半20分まで。日本の時間


ここからは試合内容に進みましょう。


ベルギーの守備上の欠点に関しては開始6分で露わになるんですけど


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このシーンです。このシーンの問題なんですけど、ベルギーが前プレかけた時、アザールとデブルイネが被ってしまってるんですね。そして酒井ゴリがフリーになってしまった。そしてそこから大迫への楔入れられて香川に落とされ、香川から柴崎に繋がれた。これで日本は前プレ突破できました。アザールね、前プレの時も引いて守る時も、守備では本当に適当です。


そしてそこからサイドに展開されてからが最大の問題なんですが、長友が中央にフリーランかけたとき、そこにルカクは当然ついていってません。WBが対応してます。だから乾にフリーになる。


このシーンを取りあげたのは、ベルギーの守備の問題点である「中盤のフィルター能力の低さ」と「サイドで2対1を作られやすい」ってのがモロに出たシーンだからです。前半開始6分でコレですよ。


ハッキリ言って、こんな守備やってたらブラジル相手だと無理ゲーだと思ってたんですが、本日のベルギー対ブラジル戦では流石にスタメンいじって中盤のフィルターを増やし、フェライニヴィツェル、シャドリの3枚にしてブラジルのサイド攻撃の際には中盤1枚サイドに送ってました。


基本的に、このチームはメルテンスアザール、デブルイネの守備に大きな問題を抱えてます。中盤でこの三人がフィルターにならないといけないのに、フィルターとして機能してません。日本の中盤に割と好き勝手にプレーされた原因は、この三人の守備が適当だからです。(ブラジル戦では流石にスタメンいじりましたが)


さらに言えば、開始直後は大迫への楔の対応は最悪に近く、


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これは開始7分のシーンですけどね。開始7分でCBからCFに楔打ち込まれてトップ下に落とされるとか、ヌル杉です。見ててアホかと思った程です。どうかしてるぜ。開始7分でCFに楔打ち込まれてトップ下に落とされてサイドで2対1作られる守備やってたら、試合後にカペッロに「守備はなってない」と言われて当然でござる。


もうひとつロングボールへの対応も酷くて、


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これですよ。この布陣じゃセカンドボール拾えないし、中盤2枚じゃ相手にセカンド取られた後にフィルターが効きません。実際、この後、日本にショートパス3939繋がれて、ヴィツェルの脇で簡単に香川に前向かれて乾にはたかれました。長友は即座に乾を追い越す動きいれて(勿論メルテンスはついてこない)、相手のWBが長友に釣られた瞬間を見逃さずに乾はクロスあげました。原口は斜めにニアに入ってきてヘディングを試みますが、惜しくも合わず。原口は完全にマーク外してコンパニの前に入ってた訳で、あってたらここで日本が先制してました。


完璧な日本の攻撃でしたが、ベルギーは本当に「守備はなってない」。



これがFIFAランク3位のチームの守備です。


ベルギーのサッカーを日本が真似したら、W杯で間違いなくボコボコにされてます。絶対に真似しちゃ駄目。日本じゃ無理。日本じゃガチで無理。最低でもクルトワクラスのGKがいないと無理。


この守備でも何とかなってるのはカウンターが糞強力で帳尻できてるからです。カウンターは世界のトップ3に入ります。ブラジル、フランス、ベルギー、これがカウンターアタック三強です。調子扱いて攻撃してると前3人のカウンターで沈められます。岡ちゃんは試合前に「ベルギーはカウンターでしか点取ってない」って言ってましたが、それが彼らのストロングポイントです。基本的に前3枚はあんまり守備せず攻め残ります。


日本は明らかにベルギーを研究しており、アザール、デブルイネ、メルテンスが守備そんなにやらないという所を狙っていました。アザールメルテンスのスペースが常時空いてる状態だったし、SBがオーバーラップすればついてこない。そこを利用することで日本はチャンスを作り出すことができました。


大体前半20分あたりまでは日本が良い感じで攻撃できてたんですが、ベルギーもやられっぱなしにはなりません。FIFAランキング3位のチームなんですから。


日本対ベルギー、前半20分以降のアザールを中心としたポジションチェンジ


ここからは前半20分以降のお話になります。前半20分あたりからベルギーの時間が始まります。ベルギーはスロースターターな所があって、大体このあたりの時間帯からギアあげてきます。この試合の場合、前半20分あたりからアザールが動き始め、FIFAランキング3位の実力を見せ始めます。



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ここですけどね。アザールが降りてきてデブルイネが上がってますが、ベルギーの攻撃はアザールが中心となってポジションチェンジが起こります。アザールカラスコ、デブルイネがぐるぐるとポジションチェンジしながら攻撃してきます。これに日本はかなり苦労する事になります。図にすると


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こんな感じなんですが、ベルギーとやるチームはどこもアザールを警戒します。アザールに前向かせないように徹底してます。当然、マークも集中します。そういった場合、アザールはマーク引き連れてボランチの位置に降りたり、サイドに流れたりして、空いた自分のスペースをカラスコやデブルイネに使わせます。これが実に厄介でどこのチームも苦労してます。単なるドリブル馬鹿なら対策方法簡単なんですがね(ダブルマークつければ良いだけ)。アザールは周りの使い方も上手いんです。だから厄介なんです、この選手。



そしてもう一つ、長谷部と乾の間のスペース問題。前半20分、22分と立て続けに長谷部と乾の間の所でメルテンス、ムニエに前向かれてます。

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これは前半20分のシーン。

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こっちは前半22分のシーン。


多分、ココでベルギーの選手達は「あ、ここの守備緩い」と気付きました。あそこのスペースだと前向ける、とね。もしくはスカウティングの段階でわかっていたんでしょうが、乾の守備はお世辞にもよくありません。長友との縦の関係はともかくとして、長谷部と乾の関係が悪い。中央のスペースをケアする事に関しては酷いもんです。そのためベルギーに長谷部の左脇のスペースを使われてしまう。この問題は特に後半に酷くなります。


長谷部の左脇のスペース。ここが、この試合における日本代表の最大の問題となったスペースでした。ただ、前半、乾の体力が残ってるうちはまだ良かったんです。後半ですね。本当に深刻な問題となったのは。



この後、前半40分くらいまではベルギー優勢の時間となります。左はアザールカラスコ、デブルイネのポジションチェンジ、右はメルテンスとムニエがポジションチェンジをくり返してきて、日本はマークを掴みづらくなり苦労するようになります。この時間帯は両WGと香川まで下がって来て守備する時間帯が多かったです。


攻撃面でも、最初は通っていた大迫への楔に対して、ベルギーが慣れてきてCBとボランチで挟めるようになってきており、難しい時間帯でした。


尚、前半43分にはクルトワのお笑い未遂、前半44分にはムニエのお笑い守備があったんですが、残念ながら日本は決めきれず。前半は0-0で折り返すことになります。ムニエについては時々アマチュアみたいな守備やります



後半開始,日本の先制点と2点目

さて、日本全国をエクスタシー寸前まで追いこんだのが後半の立ち上がりでした。ベルギーは立ち上がりが緩いんですね。


これはキャプでやる必要もないでしょう。日本の左サイドでメルテンスとムニエがワンツーを試みますが、乾はこれを読んでおりパスカットに成功。ボールを柴崎に預けると同時に原口が右サイドを猛烈な勢いで駆け上がり、柴崎から原口へ。カウンターから3対3の状況が出来、最後は原口がベルトンゲンを外してシュート。クルトワでも止められず、日本が先制!!


このカウンターは3バック相手の基本です。WBの裏を使ってカウンター。基本中の基本ですが、素晴らしいカウンターでした。


ただ、この直後、ベルギーは決定機作ってます。この時、ちょっとベルギーは形変えてきてるんですが、

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これです。ここではベルギーはボランチ一人、WBの裏に落として、そこから組み立て始めました。これは前半には見られなかった形なんで日本はマークのズレが生じてます。そこから一気にアザールのシュートまで持っていかれました。この時、日本が失点しなかったのは運が良かったからです。これは完全に1点モンのシーンでした。


そして、後半から特に顕著になったんですが、ベルギーは執拗に日本の左サイドを狙うようになります。


ただ、ベルギーの左サイド狙いが報われる前に、ベルギーの中盤スカスカ問題が後半6分で出ます。中盤スカスカというか、単なるデブルイネの怠慢守備なんですが・・・・


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まあ、デブルイネが真面目に守備やらなかった罰です。ヴィツェルだけで最終ラインの前のスペースをプロテクトできる訳がない。こーいう守備やるから自分はベルギー相手には点取れると確信してたんです。本当に中盤でフィルターが効かないチームなんです。勿論、乾のシュートはゴラッソでした。アンくらいのシュートじゃないとクルトワの守るゴールは割れませんから。ブラジル戦では枠内シュート9本喰らって失点1のGKです。


中盤のフィルターが効かないチームなので、ベルギーってバイタルミドル対策はCBとGK頼みです。それを何とかしてるのがクルトワなんですよ。日本のチームは真似しちゃ駄目ですよ。あれはクルトワだから何とかなるんです。中盤のフィルター効かなくても守れていた日本のチームなんて全盛期楢崎の名古屋くらいです。そういうレベルのGKもってないならマジで真似しちゃ駄目。死にます。ガチで死にます。


ここでベルギーは2点差を追いかける展開になりました。


赤い悪魔の反撃

もうすでに長すぎるエントリになってますが、この後に起こった後半9分のシーンはとりあえずには居られないので取りあげときます。


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このシーンのカウンター対応ですけど、典型的な日本の守備です。数的同数のカウンター食らってるのに、いきなりボランチが相手のボールホルダーとの距離詰めるっていうね。よく「日本の守備はディレイ」っていう人がいますけど、ここボランチ二人が全くディレイ(ボールホルダーと距離を保ちながら併走)せず、逆に間合い詰めてます。ディレイなんてこれっぱかしもやってません。数的同数のカウンターの状況でね。しかも海外組の選手が、ですよ。


このシーン扱うのは、この試合、逆転された時の山口の対応が強く批判されてるからです。あの時に山口がやらないといけない守備はディレイでした。デブルイネのドリブルに併走する形でPAギリギリか3m手前位まで下がるしかないです。5対3のカウンターだったので、それ以外に選択肢ないんですが、やりませんでしたね。併走をやめてしまってる。でも、このシーンでもそうですが、長谷部も柴崎もディレイやってませんよね。


あの対応、別に山口蛍だけに限ったモンじゃないです。日本のボランチ、あーいうプレーをよくやります。これ日本のサッカー文化です。数的同数のカウンター受けて突っかける、数的不利のカウンター食らってるのにディレイしないとかいう。


ただ恐ろしい話なのはココからです。西野ジャパンはテストマッチ含めて7試合、海外の強豪と試合して13失点しましたが、カウンターからは二失点しかしてません。


SBが高い位置とる上にポジションチェンジ多用するので、いかにもカウンター食らいそうなサッカーしてるチームなんですが意外とカウンターからは失点してません。



そういう訳ですので、僕はこういった日本のボランチのプレーを容認することにしました。カウンターからはあんまり失点してない訳だし、別にええやろうと。イタリア人には「守備の文化がない」とか「日本は時間を稼ぐという守備の基本が出来てない」等と否定されそうですが。



話を戻しましょう。ベルギー戦ですが、皆さんご承知の通り、試合が動くのは後半19分、ベルギーがメルテンスに変えてフェライニカラスコに変えてシャドリを入れてきてからです。フェライニの投入については、攻撃では高さ。そして守備では長友のオーバーラップへの対応です。フェライニはきちんと守備でサイドのケアをやってました。シャドリ投入に関しては、直前のプレーでカラスコが香川と酒井のワンツーであっさり裏取られたので守備で不安すぎるのと、逆サイからのクロスに合わせる係。デカイですからね。攻撃では高さ勝負、そして守備強化という采配でした。


そして一番重要な事ですけど、フェライニ(194㎝)とシャドリ(187㎝)をいれた事でCKの際にルカクが守備やらないで良くなった事です。これ以降、日本のCKの際にルカクは前残りするようになってます。


これはその後のATでのベルギーの大逆転カウンター、ベルギー対ブラジルでのCKからのカウンターに繋がりました。相手のCKからのカウンターの時にルカク使えるのは大きい。もの凄く大きい。そして、日本の選手とベンチはこれに気付くのが遅すぎました・・・。ある意味ではブラジルも。高すぎる代償を支払うことになります。


ベルギーは後半16分,後半20分、後半22分と立て続けに日本の左サイドを狙ってきます。この辺りの時間帯、徹底して日本の左サイド狙いです。左サイドのどこ狙ってるかというと、前半言及した場所なんですよね。日本の左ボランチの脇。この時間帯は長谷部が右で柴崎が左だったんですが、柴崎の左です。


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これは後半16分のシーン。


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これは後半20分のシーン。


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ここは後半22分のシーン。



ここなんですけど、乾が疲れてきて動けなくなってきていたんで、この辺りで代えといても良かったんじゃないかなと思う訳です。左サイドの守備は本当に怪しくなってきてました。途中から長谷部右に出したのはアザール対策なんでしょうけど、左サイドに柴崎乾だと守備のバランスが・・・という奴です。右より左のが深刻な問題だった訳で・・・あそこに起点作られてやられてるのに西野さんの対策が・・・



それでこの後、ベルギーのCKから川島の非常に残念なプレーで日本は失点。川島はもう十分叩かれているので、あえて触れません。


この後もベルギーの日本の左サイド狙いは続いて後半25分の攻撃はやはり左狙い。ここ延々とベルギーの左狙いが続いてるの何も手を打たないというのはちょっと・・・という感じです・・・西野さんェ・・・・


そして問題の後半26分。日本はCK取ってショートコーナーを選択するんですが、柴崎がとんでもなく酷いロストかましてベルギーのカウンター発生。ルカクが前残りしてる状態で数的同数カウンター食らうとかいう罰ゲーム、ゲームオーバー寸前でしたが、デブルイネのシュートにギリギリで昌子のシュートブロックが間に合いました。しかしCKとなり、1度ははじき返したのですが、セカンドボール拾われて再度アザールからクロスあげられてフェライニのヘディングで日本は同点に追いつかれます。ちなみにカウンターのシーンで乾がシャドリにぶっちぎられているんですが、最後のベルギーのカウンターのシーンでもやっぱりぶっちぎられてたりします。


このシーンだとフェライニのヘディングにどうしても目がいってしまうんですが、それ以外にも問題が多すぎるシーンです。ショートコーナーからの柴崎の酷いプレー、ルカクが前残りしてる状態で数的同数カウンター、シャドリにぶっちぎられる乾と日本の三失点目に繋がる伏線出まくってます。



そして後半31分、ここでもベルギーは日本の左サイド狙いです。もう徹底して日本の左サイド狙いうちアザールまで左サイドにくるレベル。


続いて後半32分の攻撃は日本の左サイド狙うと見せてサイドチェンジ。
続いて後半34分の攻撃でも日本の左サイド狙うと見せてサイドチェンジ。


そして後半35分、ここで、ようやっと西野監督が動きます。原口に代えて本田、柴崎に代えて山口。え、左放置!?という采配でした。


ここまでの試合では西野さんの采配当たったんですがね・・・この日は・・・


後半40分、やはりここでもベルギーは日本の左サイド狙いなんですが・・・ちょっとここでの乾の守備はひどい。乾がきちんとマークついてないので・・・・


後半16分からベルギーは徹底して日本の左サイド狙いをしてました。本当に露骨に左サイド狙ってきてました。難しい判断だったのかもしれませんが、交代枠は乾だったんじゃないかなと思います。日本の左サイドに起点作られてやられた訳で、あそこ何かしないといけなかった。交代枠で山口を左ボランチに入れてきてましたけど、それでも足らない。乾の守備が中途半端になりがちなトコを狙われているので、ベルギーの左サイド狙いが明確化した時点で左WGに守備強化のカードをもっと早く切ってもよかった。延長までいけば、もう1枚カード使える訳だし。


そして問題の最後のシーンの話・・・


ただし最後に浴びたカウンターは左サイド関係ないのです。日本は残り30秒時間潰せば延長という状況でCKから5対3のカウンター食らって逆転負けしました。



本当にね、何であそこで本田はハイボール蹴り込んだのか問い詰めたい。心の底から問い詰めたい。



「残り時間30秒で延長戦で」

「ベルギーはカウンターが非常に強力と誰もが知っていて」

「CKからカウンター取れるようにルカクが前残りしてるベルギーに対して」

「エリア内に180後半~190超えの選手が6人守備でいるのに」

「ゴールから逃げていく軌道のハイボールをGKクルトワの守備範囲に蹴り込む」


とか理解できません。なんでやねんと。ショートコーナーで時間稼いで、時間ギリギリまで使ってからカウンター食らいにくいボール蹴る場面だろ常識的に考えて。



しかも、この失点後、自分のtwitterのTLでは「山口蛍氏ね」的なコメントが溢れかえりました。


この国のサッカー文化だと5対3のカウンター食らって失点するとボランチが戦犯にされるみたいです。怖いです。


それと、このCKの時ね、ルカクが前残りしてるのに昌子までベルギーのPA内に入ってるんですよ。後半29分の時は昌子がルカクについて残ってたから最後のシュートブロックが間に合った。でも最後の場面では昌子は上がってしまってて最終ラインに居なかった。恐ろしい早さで戻ってきて、最後の場面、スライディングしてたのは凄かったですけどね。昌子が試合後に死ぬほど後悔してましたけど、あそこでルカク前残りしてるのにPA内にはいった判断の悪さはね・・・・


なんで、あの場面であがっちゃんでしょうね・・・CB一人は残ってないといけなかった・・・後半29分のCKシーンでは残ってたのに・・・何故・・・・本当に本当に理解しがたいミスが幾つもあります、このシーン。


ショートコーナー使わない本田、シャドリにぶっちぎられる乾(2回目です。なんで替えなかったの西野はん・・・・)、何故かPA内に入ってた昌子、ディレイしない山口と立て続けに4つの不味いプレーです。そりゃ失点しますって。


くり返しますが、ショートコーナーで時間潰してれば何も問題なかったんですがね!!


試合の総評と日本代表の今後など

試合の総評なんですけど、このエントリはベルギー対ブラジルの試合またいで書いてます。ベルギーはブラジルのオウンゴールと、カウンターで2点取って2-1でブラジルを下しました。ベルギーのカウンターはCKでのルカク前残しからのデブルイネのミドルでした。ミランダとチアゴ・シウバは最終ラインにおらず、ベルギーのPA内に入ってました。だからカウンターになった時、ルカクのターンをブラジルは防げなかった。(ベルギーとブラジルの試合は面白かったし、レビュー書こうかと思った程です。あれはかなり濃い試合でした。)


この試合で日本が犯した過ちを王国ブラジルが綺麗に再現してて草生やしましたですわ。ベルギーはCKでルカクを前にのこしてんです。CBの一人は残らないといけない。


王国でもやらかすんですから、日本がやっちまったのはしょうがないと割切るしかないです。そうする事にしました。じゃないとやりきれない。


こうやって試合見返してみると、ベンチワーク含めて後半は残念な部分が多いです。後半69分まで完璧な試合でしたが、その後が残念すぎました。色々と。


ただグズグズ言ってても結果は変わりませんからね、この辺りにしときましょう。日本対ベルギーは極上のエンターテイメントでした。それだけで十分。



最後に日本代表の今後の話もしときます。皆さん、知っておられると思いますが、本田と長谷部、酒井ゴートクが代表からの引退を表明してます。一時代の終わり、という感じですね。


長谷部とゴートクの代役については、これはそれほどには困らない部分があるんですが、問題は本田の代役です。来年のアジアカップでは2列目乾香川原口で良いので問題ないのですが、その後が問題になります。香川と乾は年齢的に次は厳しい。本田は日本代表では極めて貴重なレフティでした。良いレフティ無しで良いチームは作れないっていう位、レフティは重要な存在です。いるといないのとじゃ使える攻撃オプションに大きな差がでるんです、本当に。俊輔、本田の次に控えているレフティが未だに出てきてないってのがちょっとした不安材料です。候補は何人かいるんですが、今の所使える算段がついてない。今の所、最有力候補は堂安なんですけどね。久保君はどうなるかなあ。今回のW杯では経験積ませてあげられなかったのが残念。



ここまで書いてきて1万2000字とかいう誰が読むんだよエントリになった事に気付きました。この辺りでやめておきます。ではでは。

2018年FIFAワールドカップ、日本対セネガルのレビュー「完璧な選手なんていません」

はい、皆さん、こんにちは。


本日は先日行われた2018年FIFAワールドカップ、日本対セネガルのレビューをお届けします。結果は皆さんご存じかとは思いますが、2-2での引き分けでした。


この試合内容はセネガルが勝ち越す度に日本が追いつくという本当に面白い試合だった為、海外でも好評だったようですね。試合事態は日本が勝ってても良かった試合なんですが、日本の守護神こと川島大明神が


「相手アタッカーに向かってボールをパンチングする」


という斬新なセービングを編み出した事から追いかける展開になってしまいました。知らない人の為に説明しておくと、日本のサッカー界には「ガヤる」という言葉がありまして、ガンバ大阪GKだった藤ヶ谷陽介さんのドラマチックなプレーの数々を指して使われるようになった単語です。


GKのやらかしというと代表的なのはシュートを前にこぼして相手FWへのアシストをしてしまうとか、飛び出したのにボールに触れる事が出来ず失点とかがあります。どっちもガヤさんの得意技でした。懐かしいですね。飛び出してボールをクリアしようとしたらキック空振りしてしまい大迫に決められた試合とかガヤさんの全盛期でしたね。


ちなみに日本の2点目なんですが、セネガルのGKがクロスをパンチングしようとして前に出て岡崎倒したあげく、飛び出したのに触れる事ができないという失態を犯し、結果が本田のゴールとなりました。この試合、日本はGKのちょんぼで先制され、セネガルはGKのちょんぼで追いつかれるというお互いに優しい事やってました。


先日の試合ではGKのGAYAプレイはお互い様だったので、川島のアレについては許してあげてもいいんじゃないかと思います。てか叩かれすぎです。サッカーを普段見ない人は日本人GKの真のお笑いを知らないんでしょう。



日本人GK ミス集|Funny Japanese Goalkeeper Fails and Mistakes ● Stupid Goalkeepers



この動画を見ればシュートを前にこぼしてしまうとか、飛び出したのにボールにさわることが出来なかったとか、良くある日本のGKのミスなんて笑って許してあげられるようになると思います。(どっかの島国の代表GKが動画の中にいるような気しますが気のせいです)



GKネタはこの辺りにして本題にはいりましょうか。この試合については有り難いことに書くことあります。前回の試合みたいに戦術面で殆ど書くことが無かった試合と違って扱える話題があります。うちみたいなブログでは本当に有り難い話です。




日本対セネガル、前半戦のレビュー

ちょっと前振りが長くなりすぎてしまいましたが、ここからが本題になります。この試合のスタメンですが、


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こうなってました。日本はコロンビア戦からスタメンは変わらず。一方でセネガルは433でセットしてきました。4231と433はマッチアップ的に、サイドと中盤が噛み合います。

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こうなりますが、基本的に誰が誰を見るのかがハッキリとするマッチアップです。その為、日本がボールをポゼッションする場合、一工夫しないといけません。一工夫いれないと香川、柴崎、長谷部、乾、原口はガチムチマッチョの黒人を背負った状態でボール受ける事になりますから何にも出来ずに終わります。この5人はマーク背負ってプレーできる選手じゃありません。今の日本でマーク背負ってプレーできるのは大迫だけです。最終ラインから何の工夫もなく中盤にボール入れられたらボール狩られて終わります。



一方でセネガルなんですが、攻撃面ではフィジカルゴリ押しのサッカーします。アタッカーにはマークついてようが構わずボール入れます。この場合アタッカーはそこからターンして違いを作り出せないといけないんですが・・・・これができる選手が前にそろってるんですよね。恐ろしい話ですが。前半38分にセネガルが作った川島との一対一のシーン、後半25分の日本の失点シーンのいずれもそうでしたがセネガルの選手がマーク背負いながらターン出来た事が引き金になってます。前半のは長谷部がやられ、後半のは柴崎がやられました。あれがセネガルのサッカーなんです。



基本的に、この試合は全く異なるアプローチを取るチーム同士のぶつかり合いでした。セネガルは極めて高いフィジカルを活かしたアタッカーによる単独の局面打開を試み、日本は中盤の選手が前を向いてボールを受ける為に流動的なポジションチェンジを試みることになります。



それでは試合で何がおきたのか、それを時系列で追いながら話を進めていきましょう。



まず試合の方なんですが、開始2分で日本が左サイド突破されかけるという衝撃的な展開からスタートしました。


セネガルのほうですが開始2分で

右サイドからのスローインを受けたCFのニアンが昌子を背負いながらあっさりターン決めて右サイドのサールにはたく


という凄まじいプレーをいきなり成功させてます。


試合を見ていて、「ねーーーーーよ」と思ったプレーです。昌子ってあんなに簡単にやられるCBじゃないんですけどね。W杯期間中でサッカー知らない人の為に言っておくと、「ゴールに背を向けてボールを受けたアタッカーを前向かせてはならない」というのが守備の基本中の基本です。これが出来ないなら守備組織なんて何の意味もありません。ゴールに背を向けてボール受けたアタッカーをあっさりターンさせちゃうようじゃ守れません。


昌子は体寄せてたんですが、本当にあっさりとニアンにターンされました。さらにサールは長友をスピードで上回ってて「やべえ、やべえよ」といきなり不安になる立ち上がりでした。


この後、前半4分にもサイドに流れたニアンにCK取られ、前半6分にはニアンがロングボールおさめてボランチに落とし、そこから左サイドのマネに展開。マネは酒井ゴリ抜いてクロスあげる事に成功しました。


開始6分すぎまで昌子が全くニアンに歯が立たず、ニアンにボールおさめられてサイドにはたかれてクロスあげられるというセネガルの攻撃を止める方法が事実上存在しない状況でした。中央でボールおさめられてしまうと4バックはそれに対応して中に絞らざるを得ません。中央突破を防ぐ為です。しかし中に絞ればサイドが空きます。そして空いたサイド使われるとマネとサールを止めるのは非常に難しい。これを止めるには中央のニアンなんとかしないといけない。まずニアンなんです。ニアンにボール納まってしまうと日本は本当に厳しい。


さらに守備では、この時間帯、セネガルは前から来ていて昌子の所にボール追いこんで取るっていう狙いが明白でした。まあ、このあたりは昌子もわかってたみたいで、


news.livedoor.com


こっちで記事にもなってますがね。


攻撃では昌子狙い、守備でも昌子狙いとセネガルは徹底した昌子狙いなのが開始10分までのゲーム展開です。この時間帯は日本は殆ど良い所なかったです。日本にも狙いはあったんですが、この時間帯は上手くいってませんでした。


そして前半11分、なんでもないクロスを原口が頭でクリアしようとしたんですが、これが中途半端になってセネガルボールになってシュート打たれ、川島がパンチングで前にこぼしたボールがマネの膝に当たって、ボールはそのままゴールへ。日本は前半11分でビハインドという大変有り難くない状況となりました。


正直に告白するとビルドアップも上手くいってねーし、昌子がニアンに勝てないようだとボコられてしまう・・・と思っていたんですが、潮目が変わったのが前半17分です。小さなプレーですが、「およ?」と思ったシーンでした。昌子がニアンに競り勝って日本がセカンドボール拾ったんです。「昌子、ニアンに勝てる?」という感じで希望が湧いてきたんですね。このあたりの時間帯からニアンがボールを納められなくなり、セネガルの攻撃が機能しなくなってきます。前半24分にはセネガルは二回、ニアン狙いのボール入れるんですが日本も慣れてきて逆に奪ってカウンターに持ち込み、セネガルの右サイド破って長友がクロスいれることに成功してます。


NHKでも解説の福西さんは前半23分あたりだと「(昌子がニアンに)苦労してますね・・・」と言ってたんですが、僕が昌子を見直したのがこの後の修正力です。最初はニアンにやられまくったんですけど、徐々に慣れてくるとニアンを逆に抑えこむ事に成功したんです。これは本当に感心しました。というか昌子がニアン抑え込めなかったらあのままボコられてたと思います。


ニアンが昌子に勝てなくなるにつれて、セネガルの攻撃は単発になり機能不全になっていきました。中央さえ使われなければ、マネは酒井が抑え、サールは長友で抑えられます。日本は後ろが安定するにつれて攻撃面も良くなっていきました。


日本のビルドアップと狙い所

さて、ここからは本日のメインディッシュ。


この日の日本のビルドアップについてです。コロンビア戦の場合、開幕3分でコロンビアが一人少なくなったのでビルドアップについてはどうにかなった試合でした。しかし、今回相手は11人揃ってます。相手は昌子の所にボール追いこんで、そこからボール狩ろうという意図でやってます。日本でDF背負ってプレーできるのは大迫だけで、他は背負ってプレーできません。マッチアップは噛み合ってるので足下へのパスだとまず前向かせてもらえません。しかし、日本のストロングポイントは中盤にあります。何とかして中盤の中央の選手、香川、長谷部、柴崎のだれか一人が前向いてボール持てる状況を作らないといけません。



さて、日本が最初にやってたのはオーソドックスなアレです。つまり長谷部最終ラインに落として3バックに変形しSB押し上げるって例の有名すぎるアレです。


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これは試合の最初のほうからやってました。狙いとしては長谷部のマッチアップの相手のボランチ1枚を前に引っ張りだし、空いたスペースを大迫、柴崎、香川に使わせるって感じでしょう。


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ここですな。相手のボランチ一人前に引っ張り出すとアンカーの脇のどっちかが空く事になります。そこを使えればチャンスになります。このシーンだと長谷部がドリブルで持ち上がって相手引きつけてから大迫使ってビルドアップしてました。


そして大体、前半の28分頃から日本のボランチが良い形で前向けるようになります。この形、香川が落ちる形が一番しっくり来るんですが、


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これ。香川ボランチの位置に落として乾絞らせるか、空いたスペースにボランチ一人走り込ませる形。前の選手が降りてきてビルドアップ手伝うようになると俄然ビルドアップがスムーズに行くようになりました。


そんでもって前半33分、日本が先制する流れですが、これはキャプでやっときますかね。

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この形なんですが、香川が降りてきてボランチ二人引っ張ってフリーになった柴崎からセネガルの右SBの裏へロングパス。これに長友が抜け出して、最後は乾が得意な角度からズドン!で日本同点という流れでした。


これ以降も2列目が降りてきてビルドアップ手伝って、空いたスペースを他の選手に使わせるという形で攻撃が機能しはじめました。大体、前半30分前後から日本は中央の3枚のいずれかが前向いてボール持てるようになります。こうなると、このチームはストロングポイントを発揮できるようになります。


この日の日本の狙いですが、まずセネガルのSBの裏。セネガルはラインの裏へのケアが甘く、マークの受け渡しも曖昧になる所がありました。この為、空いたスペースにボランチを飛び込ませるのと、裏へのロングフィードは非常に効果的でした。


日本対セネガル、後半戦。シセの修正と日本の対応


こっからは後半の話になります。日本は同点においつけたし、攻撃も守備も安定してるので特に変更はなく後半に入ってます。一方でセネガルのほうは攻守に不安定な状態になった為かシステムをいじってきてます。


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日本が最終ラインに長谷部落としてきてるって事からかP・アンディアイエを一列前に出して中盤をダブルボランチに変更してきてます。最終ラインへ落ちる長谷部をP・アンディアイエに捕まえさせて中央は横並びにし、アンカーの脇を狙われないようにした形です。


前半28分以降、日本が主導権を握りゲームを進める展開が続いてました。セネガルはポジションチェンジをくり返す日本の中盤を捕まえきれておらず、ここの修正は急務でした。最終ラインの裏へのボールにしろ大迫への楔にしろ、香川、長谷部、柴崎が圧倒的に多いわけですから、セネガルはまずココを何とかしないといけない。日本にとってのニアンは、セネガルにとっては香川、長谷部、柴崎でした。ここを抑え込まないとどうにもならない。


ただ、この修正の後もセネガルは中盤で日本の選手を捕まえきれませんでした。


後半3分の場面だと、セネガルがシステムを修正してきてるのは間違いない場面だったんですが・・・


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このシーン、何回見返しても意味がわからんのですが、この後、大迫はボール失わなかったんです。普通ボール失いますよ、こんなの。マジ半端ねぇ。セネガルの守備は間違ってないです。普通のCFならあそこでボール取れるし、そこからカウンターにいけてます。ところが大迫がボール取られない。意味がわからない。シセが大迫褒めてたのも当然ですわ。狙い通りの守備できてるのに大迫が個人で打開しちまったんだから。


ついでに後半5分のシーンでも大迫はDF背負いながら見事にボールおさめてカウンターの起点になってるし、大迫は背負ってプレーするの上手すぎますわ。


そしてここから後半14分位までは長谷部、昌子が痛んだりして、プレーが中断気味で進んでたんですが、後半14分あたりからセネガルに怪しい所が出始めます。


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ここでは長谷部が長友のところに降りてますけど、あそこだと誰もついてこない。だから長谷部の所から作られてしまうし、何より不味いのは柴崎の攻撃参加の時、マッチアップの相手が完全に柴崎のマーク外してしまってる点です。



更に言えば、この後、後半15分にも柴崎の飛び出しから大迫へのグランダーのクロスで決定機ってシーンがありましたが、あそこでも柴崎のマークの受け渡しにセネガル失敗してます。このあたりなんですよね、アフリカのチームだなあっての。裏のスペースのケアであったり、マークの受け渡しであったりと、細かい所でムラがある。香川が下がってボランチをバイタルに飛び込ませる形が機能しちゃうのは、こーいう所なせいですよね。


さらに後半17分なんですが、Aエンディアイエのマークが一瞬緩んだ隙を逃さず柴崎が左SBの裏へスーパーフィード。これに酒井ゴリが抜け出す事に成功します。この後、ゴール前のシーンになった時、柴崎がゴール前に飛び込んでくるんですが、Aエンディアイエは柴崎にマーク外されてしまい、柴崎がノーマークの状態でゴール前に入ってきてました。


この時間帯ね、もうちょっとチームとしての連携度が上がってたら、柴崎のゴールが生まれていたと思います。攻撃参加すると完全にフリーでしたからね。香川が開けたスペースに柴崎が飛び込んで来るってのを大迫がわかってプレーできてれば・・・という奴です。


この時間帯、柴崎とA・エンディアイエのマッチアップは柴崎が圧勝してる状態でした。この時間帯での柴崎のパフォーマンスは凄まじく、裏へのパスの対応に難があるとみるや裏への長いフィードを通し、マークの受け渡しに難があるとみるや果敢な飛び出しからチャンスメイクと、たった一人で日本の攻撃を引っ張ってる状態でした。



シセとすれば・・・当然交代カードの時間です。(ついでにカウンターから乾の決定機がひとつありました)


後半20分、セネガルはA・エンディアイエにかえてシェイク・クヤテを入れてきます。この交代は極めて妥当です。A・エンディアイエが柴崎のマーク外しすぎてました。


ここまでの時間帯、日本には決定機が二つありました。しかし、 「決めるべきところで決めないと罰を受ける」ってのがサッカーです。


後半25分、PA内でゴールに背を向けてボールを受けたサバリがマークについてた柴崎を見事なルーレットのターンで抜いて、股抜きクロス。これを飛び込んできたワゲが決めてセネガルが2点目。


まさか左SBがルーレットからのターン決めてくるとは思いませんでした。ワールドカップって本当に怖いですね。やばいのしかいねえ。あんましいいたかないですがね、柴崎が欧州でボランチとしては使ってもらえない理由がこのシーンには凝縮されてます。そしてハリルホジッチに冷遇されてた理由もね。ハリル的サッカーやる監督は「あそこでターンさせちゃうようじゃボランチとしては計算できねぇ・・・」となります。一方で西野朗はそこには目をつぶります。目をつぶってボランチで使います。やるサッカーが180度違うからです。


柴崎の良い所も悪い所も凝縮された10分間です。監督によって好き嫌いが大変分かれるタイプの選手です。この試合は柴崎の全てが出た試合でした。

西野朗のギャンブル

さてリードされた瞬間に西野朗が動きます。後半は上手くいってました。上手く行ってたんです。しかし勝ち越しを許してしまった。

後半27分、西野朗は香川に変えて本田投入。さらに後半30分には原口に代えて岡崎を投入し、システムを442に変更します。


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これ見たときの感想としては


「うわあ、ギャンブル始めやがった」


というモンです。後半ね、上手くいってたんですよ。マジで。しかし、ここで本田と岡崎を投入して442にしてしまうと、上手く行ってたバランスが崩れます。具体的には岡崎はビルドアップ助けてくれないし本田の右は中央のスペースに入りすぎる。これだとビルドアップが不安定になるし、柴崎が飛び込むスペースが前になくなる。ここまで上手く行ってたバランスが崩れる。メンバー交代後、チームが機能するかどうかは完全にギャンブルになります。下手すると変更後、チームが全く機能しなくなる恐れすらあった。


ところが何が起きたかというと、後半32分、セネガルのGKからのフィードを昌子が拾った所から岡崎に当てて、岡崎が大迫に流して大迫が得意のターンからクロス。これにGKが飛び出すが触れることが出来ずに岡崎倒して転倒!!!!乾が折り返して本田が同点ゴール叩き込んで同点となったのです。ここでまさかのGKやらかしですよ。GKのやらかし!!



西野朗本田圭佑はもってます。マジでこの二人はもってますわ。


この後は特にそれほど書くことなく試合は引き分けで終了しました。


試合の総評と西野ジャパンについて


試合そのものは本当に面白い試合でした。本当に本当に面白い試合でした。勿論勝てればそれに越したことはなかったのですが、十分に満足度の高い試合でした。


試合内容としては、先にも述べましたが、全く異なるスタイルを持つ二つのチームの戦いでして、セネガルはフィジカルを前面に押し出したスタイル、日本は流動的でテクニカルなスタイルで戦いました。どちらが優れているという話ではありません。セネガルにはそういうサッカーが合う選手が揃っていて、日本にはそういうサッカーに合う選手が揃っていたという話です。(正確にはそういう選手を西野朗が選んだのですがね)


西野朗という監督が就任して、ハリルホジッチの時とサッカーのスタイルを180度変えてしまいました。本番直前にやるサッカー変えちまったんです。ハリルホジッチはより静的でフィジカルなスタイルのリアクションサッカーやってましたから。これの恩恵を受けた選手もいれば、被害を被った選手もいます。恩恵を受けたのは香川、乾、柴崎、大島みたいな選手達。被害を被ったのは山口、井手口ですね。中盤でボール動かさないサッカーから、中盤でボール動かすサッカーに大変更したので必要な選手がまるで変わってしまいました。正直言って最初は「時間なさすぎるし無理なんじゃね?」と思ってました。


そして本番前のガーナ戦とスイス戦で完敗したので日本は葬式ムードでした。


ところがパラグアイに勝った辺りから風向きが変わり始め、グループリーグが始まるとコロンビアに勝ってセネガルと引き分け。チームの調子はどんどん良くなってるし、開幕前の葬式ムードが嘘のようです。選手の雰囲気も明らかに良くなってるし、すでに4ポイント持っててグループ首位で、次は敗退が決まってるポーランド相手なんで、本当に良い風が吹いてます。


現在、その良い風に乗れてないのが慣れない右サイドで窮屈にプレーしてる原口と2試合連続でやらかしてる川島ですけど、スタメンはいじらないでよいと思います。今のままで良いです。特にGK川島には批判が集中してますが、西野朗のチームはボランチとGKにファンタジスタがいないと面白くないのでね。このままで行きましょう。西野朗藤ヶ谷陽介で勝ちましたよ。川島永嗣でも勝つでしょう。


結局ね、完璧な選手なんていません。日本代表の選手はみんな美点もあれば欠点もあります。全部ひっくるめて受け入れてあげてください。


泣いても笑っても次の試合で全てが決まります。次のポーランド戦もレビューはしますんで4649。



書いててもうつかれたので、ではでは。