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2018年FIFAワールドカップ、日本対コロンビアのレビュー「大迫半端無いって」

はい、皆さん、お久しぶりです。皆さんハッピーですか?僕はハッピーです。先日の日本の勝利のおかげでな!!!!!


日本代表がコロンビアを下馬評を覆しての勝利をおさめたので、張り切ってレビューでも書くかと思い、書き始めたわけですけど、実にレビューしにくい試合です。ええ、とても書きにくい。理由は?


開始3分のレッドカード+PKで事実上試合が決まったからです。



ええ、もう、あのワンプレーで勝利を確信してtwitterじゃ「よしかったな!」と呟いた程度に決定的でした。西野監督ペケルマン監督も試合開始3分でゲームプランちゃぶ台返し喰らった格好でした。ちなみに逆の立場で日本がアレやってたら「はい解散」と呟いてたと思います。あれで西野監督は勝たないといけない試合になりましたし、ペケルマンはゲームプランも糞もねぇという状態でした。



このブログ、サッカーの戦術解説とかをメインでやってるのですが、先日の試合に関しては、本当に開始3分のプレーで全てが決まったと断言できる訳で細かい話はあんましできません。ですので今回のエントリに関しては試合経過を追いつつ、何がピッチで起きたのかについて解説する形でお送りします。


日本対コロンビア、前半戦で起きた事


両チームのスタメンからはいりましょう。


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まずこうなってました。コロンビアはエースのハメス・ロドリゲスが怪我でベンチスタート。キンテロが代わりにトップ下に入った4231。対する日本も4231で大迫のワントップに2列目は乾香川原口、ボランチは長谷部柴崎。4バックは長友昌子マヤ酒井ゴリの並びでした。前とボランチは予想通り。昌子はちょっとしたサプライズだったかなという感じでした。




さて、試合3分のアレの話になりますけれどキャプで解説する程のモンでもないので文章のみで言わせてもらいますが、


CとDのサンチェスコンビが同時にやらかすという奇跡


に恵まれました。大体あのサンチェス二人が悪い。いわばサンチェスの奇跡です。


具体的にいえばD・サンチェスがクリアボールの処理を誤って大迫に抜け出されてGKとの一対一を作られ、こぼれ球を香川が拾ってシュートしたのをC・サンチェスが手でブロックしてしまい決定機阻止で一発退場+PK。


これで日本の勝利がほぼ確定しました。完。


で終わると身も蓋もないので、もうちょっと書きます。


ペケルマンもコロンビアナインも抗議してましたがねー、枠に飛んだシュートを手でブロックしたら決定機阻止で一発退場+PKです。ルール上そーなります。


てかね、大迫がGKとの一対一決めてたらその後のC・サンチェスの決定機阻止からのレッドカードは無かった訳ですよ。


ほんっっっとうにサッカーってわからないモンですね。結果論ですけど「大迫が一対一外したのが正解だった」という意味不明な出来事でした。日本という国ではFWが外す度に、



決定力不足



と念仏みたいに大合唱されるのですが、FWの決定力不足が試合を決定ずける時もあるわけです。矛盾して聞こえますが、実際にW杯で起きた出来事なのでしょうがない。振り返ってみると本当にポルナレフな出来事でした。


この辺りで日本の最初のゴールの話は終わりにしましょう。香川がPK決めて日本は先制。日本はもう絶対的に有利な状況になりました。


ところがここからコロンビアは攻勢に出て日本は守勢に回ります。


まあリードしてるんだし攻めさせといてカウンターでも良かったんですけど、それやるなら柴崎いらねーだろ山口で良いって話で。


日本はリードした時点で二つのゲームプランが考えられました。コロンビアは追いつかないといけない訳だから攻めてきます。リードされた以上はブロック作って守ってる場合じゃない。点とらないといけない。だから攻めさせといてカウンター狙いってのが一つ。もう一つは数的有利な状態になった訳だからボール持てます。ボール持てるんだから徹底的にボール回してコロンビアを守備で振り回して体力削りながら追加点狙うってプラン。


日本代表のスタメンからみると狙うべきは後者です。トップ下に香川ボランチに長谷部と柴崎がいるんですからね。



ところがリードしてからの日本代表はいわゆる「後ろが重い」サッカーでした。これだけだと意味がわからないから具体的にいうと「ボランチもSBが攻め上がらない」サッカーやってました。攻撃で人数かけないサッカーです。カウンター食らうのが嫌だったんでしょうね。でもそれだとコロンビアは守りやすい。日本のほうは数的有利な状態なのにボランチもSBも攻め上がらないからコロンビアにとっては怖くない。


という訳でtwitterでも「たいくつだぜ!」とか呟いてたんですけど、前半5分~25分くらいは退屈な試合でした。日本はカウンター狙いのサッカーやっててコロンビアがボールもって攻めるみたいな試合でした。15分の日本のカウンターシーン以外、面白い事が何もなくて退屈でした。



大体、前半25分くらいまでは後ろが重いサッカーやってたんですが、26分あたりから日本のSBが高い位置取り始めます。具体的には長友です。



こうなると焦り始めるのがペケルマンです。長友が高い位置取り始めると、それをマークするのはクアドラートになるんですが、守備意識の低いクアドラートでは日本に左サイドを制圧される恐れがあります。前半31分、ペケルマンの修正は早くて、クアドラートを外してボランチバリオスを投入。そしてキンテロをサイドに出して長友とマッチアップさせました。



この辺りの時間帯、すでにコロンビアは日本のボランチ二人に対するプレスがかけられない状態になってました。コロンビア陣内で長谷部と柴崎がフリーで前むいてボールを捌ける状況でした。そこから両サイドに展開されたら、日本に中盤とサイドを制圧されてしまいます。なので中盤の守備力を強化してサイドのマッチアップを明確化させたかったんでしょうが・・・・これが思わぬ副作用を伴いました。



ただ、その副作用が出る前に前半39分コロンビアはファルカオが取ったFKからキンテロが決めて同点に追いついてます。



この後は特に何のドラマもなく前半終了のホイッスルとなりました。



日本対コロンビア、後半で起きた出来事


さて、後半の話に入りましょう。



開始直後から日本代表の狙いは明白で、両SBが高い位置を取り始めました。このあたりは選手のコメントからも伺えますけど、ハーフタイムにテグコーチが修正をいれたそうです。西野監督は「数的有利じゃなくてポジショニングをしっかり」と言ってましたが、


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これが後半3分の日本代表のポジショニングです。両SB張り出させて原口を中にいれるスタイルに変更してます。前半、リードした後のポジショニングとは違う配置になってます。



さて、前半の話のときボランチバリオス追加してキンテロをサイドに出した事で思わぬ副作用がでたって話をしましたが、後半から、割と深刻な状況になってます。


バリオスは香川にかなり厳しくマークについていて香川を試合から消すことには成功してました。ただ、原口が中に入ってきて酒井ゴリが高い位置を取るようになると、これが日本のボランチ二人を完全にフリーにしてしまう事に繋がりました。


一人少ない状況で香川にボランチ一人がマンツー気味でついてて、そこに原口が中に入ってきたらどうなるか?答えは日本のボランチにはだれもプレスにいけない。以上。


日本のボランチに全くプレスがかからない為、コロンビアはラインを上げることができず、ひたすら押し込まれ続けることになります。さら長友とキンテロのマッチアップなんですが、序盤から攻守に走り回ってたキンテロは長友の上下動についていけず、左サイドを日本が制圧しはじめてました。中央で数的不利、サイドでも数的不利な状態になったコロンビアを日本代表が一方的に押し込む展開になります。



そして、この試合での最大の悪手だと思われる采配が起きます。


後半14分、ハメス・ロドリゲスの投入。キンテロはガス欠気味だったから交代を決断したんでしょうが、これが本当に悪手でした。



この時間帯、コロンビアは守備の枚数が絶対的に足りてなかった訳です。中央でもサイドでも人が足りてない。なのにコンディションが良くなく、守備意識が低い選手をいれたら尚更それに拍車がかかってしまう。日本は両SBを高い位置においていたので、その裏を使えばカウンターに持ち込めますけど、キンテロだけでなくコロンビアの選手は殆ど疲弊していて、サイドが走れない状況になってました。サイドの選手が走れない以上、SBの背後をついたカウンターは難しい状態でした。ボール持って前向いても両サイドにアタッカーがいないんですよ。攻め上がるスタミナが残ってない。そして両サイドをコロンビアが使えない以上は日本は中央閉めとけば良いだけでした。


サッカーってのは疲労が伝染するスポーツです。FWが守備で走らないとその分MFが走らねばなりません。そしてMFが疲弊して走れなくなると、次はDFがその分走らないといけなくなり疲弊していきます。コロンビアの場合、疲労の伝染が深刻だったんですが、ハメスを入れた事でさらにそれが加速します。


ハメスは右サイドの守備に回らないといけない状態だったんですが、はっきりいって役にたってませんでした。そして立て続けに日本は左サイドからチャンスを作れるようになってきます。ハメスに関して言えば後半19分の守備はひでーもんで香川にハメスの守っていないといけないスペース使われるし、後半20分の時の乾のシュートに至る流れでも本当に何もしてません。23分にもハメスが守ってないといけないスペースを香川に使われてるしで本当に役に立ってませんでした。


そして後半24分に日本は試合から消え気味だった香川に変えて本田を投入。ペケルマンはすぐさまキエルドに変えてバッカを右に投入してハメスを左に回します。これは日本の左サイド対策でしょう。日本に右サイド制圧されかかってましたから。


ただ、これがねえ・・・ハメスが左にまわった事が日本の右サイドを一気に活性化させました。事実上、コロンビアの左サイドは守備者が一人減ったに等しい。本田も右サイドに流れてましたけど、あれは正解。コロンビアはハメスの守ってる場所が穴になるんですから。



そして後半26分、ハメスが左に回った副作用がモロにでるわけですよ。ここはキャプでやりましょうか。



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これですわ。


酒井ゴリの決定的なシュートに至る流れで、ハメスはただ突っ立って見てただけ。ファルカオですら戻るそぶりみせてたのにね。ずーっとこの調子だったんです。ハメスが埋めるべきスペース埋めてないから、そこを日本代表に使われてる。



そして、この後、CKから大迫が半端無いヘディング決めて日本は待望の追加点を獲得。これが決勝点となって日本は勝ち点3を手にいれましたとさ。



ちなみに、このCKは狙いがはっきりとわかるプレーでした。ゴール前の動きと配置を見る限り、コロンビアはマンツーでセットしてるので、吉田のマーカーに原口がスクリーンかけて吉田をフリーにしてズドンってのが狙いだったんでしょう。ただ、吉田でなく大迫がスーパーヘディング決めてしまいましたけどw



まあ、細かい事はどうでもいいのです。これで勝てたのでめでたしめでたしでございます。





日本対コロンビア、総括


総括・・・といきたいところですが、書くべき事はただ一つ。


前半3分のアレが全てでした。


結経アレがなければコロンビアは一人少なくなることは無かったんです。数的不利に陥ってなければ日本に中盤制圧される事も無かったし、サイドで数的不利に陥ることもなかったでしょう。ハメスを投入しても攻守のバランスは保てたはずでした。あれでペケルマンのゲームプランは全部破壊されてしまった訳で、あとはパッチワークみたいにつぎはぎあててく事しかできてませんでした。


一方でダンディー西野ですが、前半3分の幸運で相手の交代策をみてからカードを切れるという優位性を維持できた上に後半の修正も上手くいき、ペケルマンがハメス投入で自滅してくれたので「この人マジでもってるな」という感じでした。ここまでサッカーの女神に愛されたのはやはりダンディーだからでしょうかね?


最初にも書きましたが、本当にサッカーてな面白いスポーツです。FWが一対一外した事が良い結果を生んだ事例とかねえ・・・・こんなのがW杯で見られるとかねえ・・・・



そして各所で言われてる話ばかりですが、ペケルマンの失敗はハメスを入れた事でした。本当に本当に悪手でした。あそこまで守備が壊滅的ならば試合では使うべきではなかった。それでも使ってしまったのは・・・・4年前、ハメス投入で一気に流れを変えて勝利した記憶があったからなんでしょうね。以前の記憶を引きずってはいけなかった。過去は過去。現在は現在です。




今回の試合のMoMは勿論大迫半端無いです。2得点ともに決定的な役割を果たしているし、ハメスのシュートをブロックしたのも大迫でした。計3点分くらいの働きで勝利を決定づけたのは大迫です。この出来ならだれも文句はないでしょう。



正直いって、パラグアイとコロンビアをニタテにするという信じられない事が現在進行形で起きてます。アジアの代表チームは南米チームに本当に弱くて、日本がW杯で南米チームに勝ったのはこれが初、そしてアジア勢がW杯で南米に勝つのもこれが初という快挙でした。南米に勝ったので僕はもう胸が一杯なのですよ。



次のセネガル戦なんですが、非常に難しい試合になります。単純に強いです。ポーランドに勝ってますからね。今回の試合の場合、相手が早い時間帯で10人になった事でボランチ二人がフリーで前むいてボール捌ける夢のような試合でした。次の試合ではこんな事は起きません。絶対に起こりません。セネガルポーランドの試合を見ましたがセネガルは守備が良いです。ボランチはまず前向かせてもらえないと思った方が良いです。セネガルの守り方はCBとSBがボール持って前むいてもいいがボランチより前の選手は絶対前向かせないって守り方します。日本はボール持てるでしょうが、中央経由のビルドアップをする為にはビルドアップを工夫しないといけません。U字型のビルドアップやったらセネガルの思う壺ですかんね。あれは絶対だめ。



今回の勝利のおかげで後2試合は確実に楽しめます。W杯は四年に一度のお祭りです。存分に楽しみましょう。




ではでは。