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日本対韓国雑感 「速攻したいんだろうけど」

今回の話はレビューじゃなくて、先日行われた東アジアカップ、日本対韓国の試合の雑感的なものです。あの試合も又、レビューとか書きにくい試合で、というより書くこと殆どない試合でした。


試合内容そのものは、日本代表がガン引きで守って、韓国がポゼッションして攻めるというモノ。



https://www.legendsstadium.com/eaffeastasiancup-mens/match/821666/stats/



こっちでスタッツ見られるけど、ポゼッション36:64で韓国が大幅にポゼッションするってゲームになった。前回の東アジアカップの時もそうだったけどね。前回と違うのはカウンターがきまんなかったってトコである。前回は柿谷がシュート2発で日本を勝たせてたけど、今回は柿谷に相当する選手はいなかった。



今回の東アジアカップなんだけど、北朝鮮戦、韓国戦と日本のパス成功率が異様に低い。今回の韓国戦では68%、前回は64%と、これまでの日本代表とは思えないほどパス成功率が低いし、ポゼッションも低くなってる。



今回の韓国戦でこうなってしまった原因は、日本が前半、完全にドン引きで守っていたからで、前にコーロキ一人残して9人でブロック組んでいたので、カウンターが非常に難しい状態だった。それどころか、前にボール当ててもセカンドボールも拾えず、押し込まれっぱなしみたいな状態だった。ココ弐試合でよく見られたのが、奪ったら前にすぐ当てようとして、逆に相手にボールを渡してしまい、二次攻撃、三次攻撃食らうって傾向だ。



今回も速攻の話になるんだけど、ザックも言ってたけど、日本のサッカーは横パスが多い。特に奪った後。奪った後にバックパス、横パスをいれてしまうと、相手は守備陣形を整る時間をもらえる事になるため、効果的な速攻ができなくなる。



ただそうなってしまうのは、良いCF持ってないチームが多く、前でキープして時間を作れないチームが多いってのがある。J1の場合、前に一人残して9人で守備をするチームが多いんだが、この場合、速攻が極めてやりにくいという欠点がモロにでる。奪った後、前に一人で残っているFWにボール入れても、FWがキープしきれずボール奪われて二次攻撃を受けるなんて事になりかねない。そういうのが嫌なんで、一回横パス、バックパスいれてからボール運ぶ傾向は確かにある。



Jリーグでは、「ボールキープ、ポストプレーが上手くて、空中戦が強く、得点感覚に優れたセンターフォワード」ってのが少ない。そのため、前に一人しか残さない守り方をしてしまうと、速攻が非常に難しくなってしまう。それにも関わらず、日本の多くのチームはボールより後ろに9人下げる守り方を好むので、押し込まれてしまうと効果的なカウンターを繰り出せなくなるチームが多い。




【サッカー日本代表】 韓国戦 1−1 ハイライト 山口蛍 東アジアカップ2015 - YouTube


今回の試合の動画はっとくけど、今回の試合でモリゲがPK取られたシーンとか、その典型例なんだが、日本の両WG、この試合だと永井と倉田なんだが、PAギリギリまで下がってしまっているんだ。両WGの位置がここまで下がってしまうと、まともにカウンターを繰り出すのは非常に難しい。そう言わざるを得ない。この試合、永井はさっぱりだったけど、中2日でサイドを上下動させられたら、まともなプレーは出来ないと思う。モリゲがPK取られたシーンで日本の選手は9人が深い位置まで下がってる。動画で確認してもらえば、この試合では両WGが守備の度に深い位置まで戻ってることがわかると思う。



こういう風に、WGを下げず、カウンターの為に前残りさせてるのが、フィッカデンティのFC東京で、前に2人ないし3人残して守るスタイルを取っているので、あそこはカウンターが凄くやりやすい。奪った後の縦へのパスコースが断然多いからだ。勿論、前に残す人数が多い分、中盤でギャップを取られやすいって泣き所はあるんだけど、そこではフィッカデンティさんはリスクを負っている訳だ。



個人的に、カウンターサッカーやりたいなら、前に人残せよ、と思う事が多い。負けてるのに、前に一人しか残さず、9人で深く守ってるチーム見ると、「やる気あんの?」とか思う。負けてるなら、せめて二人前に残せや、一人じゃカウンターできねぇだろ、と突っ込みたくなるのだ。


前に一人しか残さず、それでもカウンターを成立させるのは非常に難しい。この役割は、「ロンリーストライカー」と呼ばれるけれど、完璧なCFでない限りは、まずつとまらない。



今回の試合の場合、浦和のコーロキがロンリーストライカーの役割を任されることになった。コーロキはポストプレーがとても上手い選手なんだけど、それでも、この試合では完全に前で孤立状態になっている事が多かった。こうなると、一人でボールキープして、コーロキが両WG押し上げる時間を稼がないといけないのだけれど、それは流石に辛そうだった。



こういった問題は、ラインを高い位置に保ち、ボールを高い位置で刈り取れる限りにおいては、別に問題でもないんだけれど、そういつもいつもボールを高い位置で取れるなんてことはないし、相手によってはどうしても押し込まれてしまうってのがある。そうなったら、低い位置から速攻を繰り出せないと、チャンスを作れないんだけど、日本のチームってのはコレが苦手なんだな。理由は先にも述べた事だけれど、質の高いCFが非常に少ないので、「前で一人でキープしてWGの上がる時間を作れるCF」ってのが、どこのチームもなかなか取れないんだ。



質の高いCFがいない以上、前に一人残して9人で守るやり方は速攻には不向きだ。そうなると、日本では前に二人ないし3人残してまもるやり方のが速攻サッカーではベターなんだが、前に2人以上FW残すやり方は守備で不安が出てくる。その兼ね合いになる訳だな。ちなみになんだけど、効果的にカウンターできてる訳でもないのに、日本対韓国の試合では、山口のゴラッソで追いつけてしまった。サッカーってのはこれがあるから面白い。速攻も遅攻も機能してないのに、ゴラッソ一発で追いつけたり勝てたりするのがサッカーってスポーツでもある。




今回の話も速攻の話ばっかりになってしまったけれど、ラインを高くして、ボールを高い位置で取れる限りにおいて、CFってのは守備とフィニッシュだけに専念してりゃあいいんだ。問題はラインを高くできず、押し込まれ気味になった時で、そうなると、CFが前でボールキープして、全体を押し上げる時間を作れないと、速攻は極端に難しくなる。後者の仕事が得意なCFってのは、とても貴重で、点が取れなくても、「チームにとって必要」という理由で使われたりする。さらに得点力までも兼ね備えているCFの場合、大概、移籍市場で途方もない値段がつく。存在そのものが戦術になる選手なんだ。そんな選手がいれば、誰も苦労しない。ハリルホジッチのサッカーに関しては、ドログバが日本にしれば、全部解決すると思うんだけど、それがいないから困ってるのである。



ま、今日はこの辺りで。ではでは。