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2015年東アジアカップ、日本対中国のレビュー 「例えミスマッチだったとしても」

はい、皆さん、こんにちは。本日は先日行われました東アジアカップ、日本対中国のレビューをやりたいと思います。今回の東アジアカップは一勝も出来なかったので、日本代表は公式戦でアジア相手に4戦勝ち無しという状態になっております。



今回の中国戦は前二つの試合と違って、割とこのブログでレビューする事がある試合でした。この試合の後、案の上、ハリルホジッチは色々と叩かれてますが、試合内容のレビューはそんな出回ってない感じですんで、一つ書いとこうと思った次第です。


日本対中国のスタメンとハリルホジッチの基本戦術の話から


さて、まずはスタメンから入りましょう。中国の選手は名前知らないので、日本のスタメンとフォメの紹介から入りますが、


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基本はこんな感じでした。日本は4231、4バックは米倉、槇野、モリゲ、ニワ、ダブルボランチが山口と遠藤航、WGが宇佐美と永井、トップ下に浦和の武藤、CFが川又となってました。一方で中国なんですが、


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こんなフォメが紹介されましたが、試合見る限り、4141でブロック組んで守る感じでした。この試合なんですが、ハリルホジッチは何もせずに試合に臨んだという訳ではなくて、中3日あったんで、きちんと戦術練習は出来たみたいです。そうなると、どういう攻撃してたかって話になるんですが、コレは、キャプでやりますね。


まず、遅攻のほうだと、前半から積極的に狙ってたのが、


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こーいう攻撃になります。このパターンはハリルホジッチが日本代表監督になってから、よくやってる奴です。海外組がいた試合でもフツーにやってました。この時の武藤の動きはなかなか秀逸でした。中国のアンカーを動かして川又がポストプレーをするためのスペース作る所から、アンカーのマークを上手く外す所まで完璧。


図にすると



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こうなるんですけど、トップ下が左右に動く事で、相手チームのアンカーを動かして、中央にスペースを作り、そこをCFに使わせて楔を打ち込んで行くってやり方です。この日は浦和の武藤がトップ下やってましたが、前半から左右に動き回ることで、中国のアンカーを動かしていました。中国のアンカーは馬鹿正直に武藤についていってくれたんで、川又がポストプレーする為のスペース作るのは偉い簡単な試合だったんです。


そんな訳で、この試合の前半から後半になるまで、川又のポストプレーの独演会みたいな感じになりました。その結果、何が起きたかってのは、川又の話の項目でやります。




次に、ハリルホジッチがやりたくてしょうがない速攻なんですけど、これは後半開始直後のプレーで説明するのが良いと思うのでキャプでやりますが、


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こーですね。このシーンの場合、最終ラインはPAから10メートル程度の位置でした。この位の高さだと、WGはハーフウェーライン前後まで戻ればいいので、カウンターになったら即CFのフォローに入れます。なので、このシーンだとモリゲ→川又→宇佐美→武藤という流れで一気に敵陣深くまでボール運べました。最後のクロスは合わなかったんですが、ここのカウンターの流れは非常に良かったです。




ここまでハリルホジッチのサッカーを5~6試合ほど見たわけですけど、遅攻では、ボランチ、トップ下のオフザボールで相手チームの中盤を動かして、CF・WGが降りてくるスペースを作り、そこに楔を打ち込んでいくってスタイルです。速攻では奪ったら出来るだけ速く前に当てようとしてます。



このハリルホジッチのスタイルそのものは何の問題もないですし、この試合でハリルホジッチが取った攻撃戦術ってのも、特に間違ってません。中国のアンカーは、日本のトップ下をマンツーマン気味で捕まえるスタイルでしたから、「トップ下のオフザボールでアンカーを動かしてCFに楔を打ち込んでいく」ってのは常識的な戦術です。W杯のギリシャ戦でもザックが似たような事やってます。



ただ、この試合の問題となったのは、戦術より選手の人選の方でした。



名古屋の川又のポストプレー祭り

こっからは、この試合における選手個別のレビューになるんですけど、まず川又の話から入ります。この試合の川又のプレーを見て、



うわあ、何て下手な選手なんだ・・・・
何でこんなポストプレー下手なCFに楔打ち込み続けてるの?


という感想を抱いた人は多いと思うんです。気持ちはわかりますよ。ええ痛いほどわかります。


例えば、前半25分、槇野がボールをもって持ち上がりました。ここでトップ下の武藤が左サイドに流れる動きで 相手のボランチを一枚動かして川又が使うスペース作ってます。次に、槇野が川又に楔のパスいれたんですが、何故か川又がボールにさわることもできずに、相手ボールになっちゃいました。


前半37分には 「モリゲが前を向く→武藤が動き出して中国のアンカーを動かす→川又が降りてきて、モリゲが楔を入れる→川又がポストしたボールは綺麗に中国の選手の前におち、カウンターの起点に。」なんてドリフみたいな流れもありました。まあ、この時は中国の選手がミスしてくれたので助かりましたけどね。


この試合、川又についてなんですが、残念ポストが複数あって。モリゲが川又に楔入れたら、何故かモリゲに帰ってきたり、ターン出来そうな所でターンできなかったり、処理が難しい山なりのボールを落としてみたり、相手にパスをプレゼントしたみたりと大車輪の活躍でした。これはキャプでやると、川又に気の毒になるんで止めときます。見たい人は録画見直すなりして下さい。



前半から、こーいう残念ポストをやっていたので、この試合みた人が「川又下手すぎね?」と思ってしまうのはしょうがない部分があります。僕なんか、画面の前で爆笑しちゃったシーンもありましたし。「なんでモリゲがいれた楔のボールがモリゲに帰ってくるんだよ~」と笑い死にしそうになった事を懺悔しておきます。



じゃあ、なんでこんな事になったのかといえば、ハリルホジッチが川又をCFで使ったからです。そもそも論になるんですけど、川又のポストプレーがビミョーだってのは、初戦の時点で明らかだった訳ですよ。なのに、なんで川又がポストプレーをせざるをえない攻め方してんの?って話です。「トップ下のオフザボールで相手チームのボランチ動かし、空いた中央のスペースを使ってCFに楔を打ち込む」サッカーやるなら、川又じゃなくてコーロキじゃね?という奴なんです。



CFの人選とやるサッカーのミスマッチが起きてるんですよ。川又はポストプレーでのし上がった選手じゃないのに。



川又なんですが、名古屋だとCFやってます。ただ、現在の名古屋は3421でワントップ2シャドー、守備時は永井と川又の二人前残しするサッカーです。1トップ2シャドーなら、CFは裏取りとフィニッシュに専念してればいいので、川又のポストプレーのアレさ加減がひどく目立つサッカーにはなりません。トップ下が二人いるので、CFはポストプレーはそんなしなくていいシステムなんです。ライン間に引いてきて楔受けるのはシャドーがほとんどやります。ついでに、川又と永井の二人前残しでカウンター狙いのチームなんで、CFが前で時間作る必要がそんなありません。二人残しなら、二人で持っていってしまえるので。具体的には、カウンターになったら、一人が下がってボール受ける動きしてDFを引っ張り出し、空いたスペースをもう片方が使えばいい。


クラブレベルだと、西野さんが苦労して永井と川又を併存させる方法作ってますが、ハリルホジッチは、どうもよくわかってないっぽいです。プレーヤー同士の最適解を見つけるってのは割と大変な作業で、アンチェロッティがキャリアの話でよくネタにする話ですけど、


 もちろん、何度も何度も失敗を重ねながら。たとえばパルマ時代には、あの4-4-2の中でジャンフランコ・ゾラという天才を外してしまうという決断を下しているし、ユベントスに移ってからの私は、98-99シーズン、あのティエリ・アンリを右のウイングで使うという大失敗を犯している。あれこそが私の監督としてのキャリアで最大の汚点だ。


【ロングインタビュー】カルロ・アンチェロッティ、勝者の戦術論(中編)


こーいう話ですけどね。川又って選手はレフティで、ちょっと癖のある選手です。ボール受けて前むける位置が極端に限られてます。つまり、左サイドから出てきたボールを左足でトラップするため、左サイドからのパスが来ると本当に残念なプレーしか出来ません。この試合でも一回ありましたが、レフティの典型的な欠点です。ただ、点とる事についてはサラブレッド的な能力があります。いやマジで。馬鹿とハサミは使いよう的な話なんですけど、使い方を誤るとアレですが、点はホントに取れる選手なんです。もっとも、その使い方が難しい訳ですけども。西野さんも名古屋で散々試行錯誤してますし。


山口の評価が割れている原因の話

次にこの話をしましょう。この日、ダブルボランチは、セレッソの山口と湘南の遠藤航で構成されてました。ただ、この試合では山口の評価が結構割れてました。この試合なんですけど、山口を褒める人と山口のポジショニングに文句を言う人とで、二極化してる感じでした。



ここで山口の評価が何故割れてしまうのかって話になるんですけど、この日、山口は最初から最後までよく走り、広大な範囲をカバーしてました。前への攻撃参加も結構やってましたから、そういう所を評価する人は、「山口って良いボランチだねえ・・・・」となるわけです。




一方で、山口に文句いってる人も多かったんですが、この理由もよくわかります。どういう事かというと、これもキャプでやっときますが、




こんなのが前半開始直後に見られましたし、


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そのすぐ後も似たような事やってました。


この3試合で、山口の評価が割れてしまっている原因がこれで、ダブルボランチがカバー&マークの関係を作れておらず、相手にバイタルを使わせる原因になってしまってました。僕が思うに、ハリルホジッチが433にシステム変更する理由の一つがコレです。前から行くなって支持だしてる時もあるみたいですが、ダブルボランチが揃って前に出てしまうのが散見されるので、非常に危なっかしい訳です。433なら、インサイドハーフが両方前にでてしまってもアンカーが残ってる計算ですから、食いつき癖があるボランチ使う場合には433のほうが向いてるっちゃ向いてるんです。


この日、簡単な1本のパスで裏取られたり、ダブルボランチが二枚一緒に前にでてしまったりと、ホントに単純なミスが散見された訳ですが、チームとして練習できてないので、しょうがない部分があります。だから、そこは多めにみてあげて欲しいです。



つーか、そもそも湘南の遠藤航はクラブだと3バックの右CBですので、この手のミスがでちまうのはしょうがない部分があるんです。元々遠藤航は、チョウさんにもの凄い便利屋的に使われており、湘南でも状況に応じて色んなポジションやらされてるんですが、ボランチ本職でやってる選手じゃないのでミスが出ます。この試合の場合、クラブシーンでは本職じゃないポジで使われる選手があまりに多く、小さなミスについては、多めに見てやる必要があります。もっとも、パス一本で裏取られるのは勘弁してくださいと言いたいですが。



それと、日本が失点したシーンでの話もしときます。


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こーですが、前半9分の日本失点。日本陣内からのスローインから始まる流れです。よくある失点パターンの一つなんですが、壁パスから逆サイドのWGとボランチの間のギャップを取られて、そこから失点という流れでした。本当によくあるタイプの失点の仕方で、これで点取られるのは色んなチームで見られます。ハリルホジッチの日本代表でも、頻繁にあそこのスペースが空くのを見てきたので、この得点については「まあしょうがないか」位で多めに見てやって欲しい所です。



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ぶっちゃけ、現在の守り方、WGの人選では、あそこには絶対スペース出来ます。壁パス使われて、あそこのスペースにボール運ばれた場合、バイタルミドルは覚悟したほうがいいです。あそこのスペースなんですけど、このチーム、マジで空きます。ウズベキスタン戦の時もキャプで解説しましたけど、


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あっこのスペースがぽっかり空いてて、壁パスからあそこのスペースにもちこまれた事がありました。あそこのスペース空けてしまうのは、色んなチームで見られる現象です。後半57分も、あそこのスペースがぽっかりあいてて、あそこのスペースからミドル食らってます。


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このシーンです。ここは宇佐美が中に絞ってないから、あそこのスペースぽっかり空いてしまい、そこからミドル食らいました。ただ、宇佐美が高い位置取っていた分、この後に良いカウンターが出来てるわけで、諸刃の剣的な部分があります。

永井が残念プレーを連発した件なのですが・・・・


最後に永井の話もしときます。永井については、元々サイドの適正は高い選手で、彼にとっては右WGってのはそう悪くないポジション・・・・と言いたい所ですが、今シーズンの名古屋じゃ色々やらされてます........最近は左のシャドーやってたハズです。


この試合、ハリルホジッチの狙いとしては、速攻でも遅攻でも、川又に楔いれて、左の宇佐美かボランチにボールを落とし、右の永井の裏への動きにパスを出す、ってトコだと思います。この人選だと、これ以外に最適解が見あたらないので。


ただ、これがあんまり上手くいかなかったんですね。


ちと名古屋の話しときますが、最近は永井と川又を前に残してのカウンターサッカーみたいな事やってるチームになってます。どういう事かってーと、わかりやすいのがコレ、浦和戦なんですけど、



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この動画の1:30からの森脇がレッドカード食らった時の流れが、今の名古屋のやり方を象徴してるんですが、守備時には永井と川又を前に残して、この二人を使ったカウンターです。この場面だと、ボールを奪ったら、川又が引く動きでCBを釣り出して、空いたスペースに永井が斜めに走り込む。これで森脇ちぎってます。この後、後ろから永井ひっぱった件で森脇にレッドカード。この日は永井が二回スピードで裏にボール持ちだして2点とったといっていい試合でした。ハリルホジッチが永井気に入ってもおかしくないです。速攻には向いてる選手ですから。


現在の名古屋は川又と永井使ったカウンターのチームになってまして、前節はそのキーマン二人がいないので、どーしょもない試合やってました。



話を東アジアカップに戻しますが、大会期間中、「ライン間でボールを受けようとする永井」という全く永井のストロングポイントが全く出ない事を永井がやってまして、それが永井の悪印象に繋がってるんだと思います。勿論、裏を狙って良いプレーした時もあるんですけどね。



ぶっちゃけ、川又の動きでCB引っ張り出して、その裏に永井走り込ませて、そこにパスだすべきなんじゃね?川又にポストさせても何も起きない気がするし、永井引いてボール受けさせても、やっぱり何も起きないと思う。


後半頭にあった川又の残念ポストプレーのキャプやりますけど


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こーいう流れだったんですけど、川又のポストプレーの精度を考えると、


「CBから川又への楔→川又がポストしてボランチに落とす→ボランチからサイドの永井か宇佐美に展開してフィニッシュ」


は、あんまり上手くいきそうにないんです。なんで、もう面倒だから、


「CBがボールもったら、川又が下がって来てボール受けるフリをしてCBを引っ張り出し、そのスペースに永井を特攻させて、そこにパス出す」


で良いんじゃね?って話です。選手の特徴考えると、そっちの攻撃やったほうが生産性高いと思うのですけどもね。この試合なんですけど、選手の特徴と、やってる攻撃のミスマッチが酷くて、「なんでこの選手にこんな事やらせてるの?」と不思議な感じで試合を見ていました。まあ、その分、新鮮で面白い試合だったんですけど。



最後に試合の感想


かなり長くなってしまいましたので、そろそろ感想書いてまとめておきます。



と、その前に、日本の同点ゴールについて、簡単に触れておきますが、前半40分、日本先制。これは見事なゴールでした。槇野の持ち上がりから、宇佐美が中に入ってSBを中に絞らせて、空いたスペースに米倉が突撃。米倉のクロスからニアで武藤が合わせてゴール。ここまで、中国は川又への楔を散々入れられていたので、そっちにDFは気が取られていたっぽいです。その分、サイドが空いちゃった感じです。なので、川又のポストプレー祭りも、あながち無駄じゃなかったのかもしれません。



今回の試合なんですが、僕の感想としては、「選手のストロングポイントが全然出ない攻撃を延々とやってる・・・」というものでした。まあ、その分、川又の面白ポストプレーとか、2ライン間でプレーしようとする永井とか、ゲームメーカー山口蛍とか、左SB米倉とか、SBの位置まで戻ってきて守備やってる宇佐美とか、リーグ戦では滅多に見れないプレーが見られて、新鮮みがあって面白かったです。いや、マジで。試合自体は面白かったです。ストロングポイント出てるか?と言われると、全然出てないよ、と答えますが、見てる分には面白かったです。



この試合、ハリルホジッチにとってのテストだったのか、それともガチだったのかは知りません。収穫があったのは、浦和の武藤(寿司)は使えそうだって事と、湘南の遠藤はどのポジションも無難にやれてた事くらいかと思います。月並ですいませんがね。この試合がテストだったのか、それともハリルホジッチが選手の適正見誤ってるだけなのかは、今後の試合でわかると思います。



最後に。今回のエントリでくり返し述べている事ですが、川又のポストプレーは残念なアレです。川又って選手は癖がある選手でして、ポストプレーはアレだし、テクニックもそれほどありません。ただ、FWに一番必要な「点取る能力」だけはもってます。そういう選手です。FWってのは面白いポジションでして、「決定力」ってのは練習してもあがりません。シュート練習を沢山しても、ゴール数が増えるかというと、増えないんです。そのため、「下手糞だけど点だけは取る」って人種の名FWが歴史的に何人も存在してます。その系譜に連なる選手です。僕はこのタイプ結構好きでしてね。なんで、湘南戦以外だと、川又を応援してるクチです。面白い選手ですよ。



今日はこのあたりで。ではでは。

日本対韓国雑感 「速攻したいんだろうけど」

今回の話はレビューじゃなくて、先日行われた東アジアカップ、日本対韓国の試合の雑感的なものです。あの試合も又、レビューとか書きにくい試合で、というより書くこと殆どない試合でした。


試合内容そのものは、日本代表がガン引きで守って、韓国がポゼッションして攻めるというモノ。



https://www.legendsstadium.com/eaffeastasiancup-mens/match/821666/stats/



こっちでスタッツ見られるけど、ポゼッション36:64で韓国が大幅にポゼッションするってゲームになった。前回の東アジアカップの時もそうだったけどね。前回と違うのはカウンターがきまんなかったってトコである。前回は柿谷がシュート2発で日本を勝たせてたけど、今回は柿谷に相当する選手はいなかった。



今回の東アジアカップなんだけど、北朝鮮戦、韓国戦と日本のパス成功率が異様に低い。今回の韓国戦では68%、前回は64%と、これまでの日本代表とは思えないほどパス成功率が低いし、ポゼッションも低くなってる。



今回の韓国戦でこうなってしまった原因は、日本が前半、完全にドン引きで守っていたからで、前にコーロキ一人残して9人でブロック組んでいたので、カウンターが非常に難しい状態だった。それどころか、前にボール当ててもセカンドボールも拾えず、押し込まれっぱなしみたいな状態だった。ココ弐試合でよく見られたのが、奪ったら前にすぐ当てようとして、逆に相手にボールを渡してしまい、二次攻撃、三次攻撃食らうって傾向だ。



今回も速攻の話になるんだけど、ザックも言ってたけど、日本のサッカーは横パスが多い。特に奪った後。奪った後にバックパス、横パスをいれてしまうと、相手は守備陣形を整る時間をもらえる事になるため、効果的な速攻ができなくなる。



ただそうなってしまうのは、良いCF持ってないチームが多く、前でキープして時間を作れないチームが多いってのがある。J1の場合、前に一人残して9人で守備をするチームが多いんだが、この場合、速攻が極めてやりにくいという欠点がモロにでる。奪った後、前に一人で残っているFWにボール入れても、FWがキープしきれずボール奪われて二次攻撃を受けるなんて事になりかねない。そういうのが嫌なんで、一回横パス、バックパスいれてからボール運ぶ傾向は確かにある。



Jリーグでは、「ボールキープ、ポストプレーが上手くて、空中戦が強く、得点感覚に優れたセンターフォワード」ってのが少ない。そのため、前に一人しか残さない守り方をしてしまうと、速攻が非常に難しくなってしまう。それにも関わらず、日本の多くのチームはボールより後ろに9人下げる守り方を好むので、押し込まれてしまうと効果的なカウンターを繰り出せなくなるチームが多い。




【サッカー日本代表】 韓国戦 1−1 ハイライト 山口蛍 東アジアカップ2015 - YouTube


今回の試合の動画はっとくけど、今回の試合でモリゲがPK取られたシーンとか、その典型例なんだが、日本の両WG、この試合だと永井と倉田なんだが、PAギリギリまで下がってしまっているんだ。両WGの位置がここまで下がってしまうと、まともにカウンターを繰り出すのは非常に難しい。そう言わざるを得ない。この試合、永井はさっぱりだったけど、中2日でサイドを上下動させられたら、まともなプレーは出来ないと思う。モリゲがPK取られたシーンで日本の選手は9人が深い位置まで下がってる。動画で確認してもらえば、この試合では両WGが守備の度に深い位置まで戻ってることがわかると思う。



こういう風に、WGを下げず、カウンターの為に前残りさせてるのが、フィッカデンティのFC東京で、前に2人ないし3人残して守るスタイルを取っているので、あそこはカウンターが凄くやりやすい。奪った後の縦へのパスコースが断然多いからだ。勿論、前に残す人数が多い分、中盤でギャップを取られやすいって泣き所はあるんだけど、そこではフィッカデンティさんはリスクを負っている訳だ。



個人的に、カウンターサッカーやりたいなら、前に人残せよ、と思う事が多い。負けてるのに、前に一人しか残さず、9人で深く守ってるチーム見ると、「やる気あんの?」とか思う。負けてるなら、せめて二人前に残せや、一人じゃカウンターできねぇだろ、と突っ込みたくなるのだ。


前に一人しか残さず、それでもカウンターを成立させるのは非常に難しい。この役割は、「ロンリーストライカー」と呼ばれるけれど、完璧なCFでない限りは、まずつとまらない。



今回の試合の場合、浦和のコーロキがロンリーストライカーの役割を任されることになった。コーロキはポストプレーがとても上手い選手なんだけど、それでも、この試合では完全に前で孤立状態になっている事が多かった。こうなると、一人でボールキープして、コーロキが両WG押し上げる時間を稼がないといけないのだけれど、それは流石に辛そうだった。



こういった問題は、ラインを高い位置に保ち、ボールを高い位置で刈り取れる限りにおいては、別に問題でもないんだけれど、そういつもいつもボールを高い位置で取れるなんてことはないし、相手によってはどうしても押し込まれてしまうってのがある。そうなったら、低い位置から速攻を繰り出せないと、チャンスを作れないんだけど、日本のチームってのはコレが苦手なんだな。理由は先にも述べた事だけれど、質の高いCFが非常に少ないので、「前で一人でキープしてWGの上がる時間を作れるCF」ってのが、どこのチームもなかなか取れないんだ。



質の高いCFがいない以上、前に一人残して9人で守るやり方は速攻には不向きだ。そうなると、日本では前に二人ないし3人残してまもるやり方のが速攻サッカーではベターなんだが、前に2人以上FW残すやり方は守備で不安が出てくる。その兼ね合いになる訳だな。ちなみになんだけど、効果的にカウンターできてる訳でもないのに、日本対韓国の試合では、山口のゴラッソで追いつけてしまった。サッカーってのはこれがあるから面白い。速攻も遅攻も機能してないのに、ゴラッソ一発で追いつけたり勝てたりするのがサッカーってスポーツでもある。




今回の話も速攻の話ばっかりになってしまったけれど、ラインを高くして、ボールを高い位置で取れる限りにおいて、CFってのは守備とフィニッシュだけに専念してりゃあいいんだ。問題はラインを高くできず、押し込まれ気味になった時で、そうなると、CFが前でボールキープして、全体を押し上げる時間を作れないと、速攻は極端に難しくなる。後者の仕事が得意なCFってのは、とても貴重で、点が取れなくても、「チームにとって必要」という理由で使われたりする。さらに得点力までも兼ね備えているCFの場合、大概、移籍市場で途方もない値段がつく。存在そのものが戦術になる選手なんだ。そんな選手がいれば、誰も苦労しない。ハリルホジッチのサッカーに関しては、ドログバが日本にしれば、全部解決すると思うんだけど、それがいないから困ってるのである。



ま、今日はこの辺りで。ではでは。

2015年 東アジアカップ 日本対北朝鮮のレビュー

さてみなさん、こんにちは。久々の更新になりますが、本日は先日行われた2015東アジアカップ、日本対北朝鮮のレビューでもしようと思います。内容は、レビューというより単なる愚痴に近いですけれど、暑い上に男女ともに逆転負けを食らって、どうもイライラしてるんで、その辺りはお察しください。





ハリルホジッチとフランス・サッカー


今回の話、レビューと題うってますけど、実際のところ、レビューする内容はそんなありません。てのも、今回の試合は、代表として練習できたのは一日のみだったんで、たいした事は出来ないだろうな、とやる前から思っていたからです。


今回のスタメンなんですけど、


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こうなってました。日本はいつもの4231。ただし、ダブルボランチは山口と谷口というコンビになってまして、いわゆる「中盤でボール動かす気がない」ダブルボランチです。二人とも守備のほうに特徴がある選手です。それなりにボール裁ける選手ですけどもね、二人とも。



ここで、ハリルホジッチとフランス・サッカーの話になるんですが、僕は、ハリルホジッチのサッカーをよく知らなかったので、就任当初は「東欧系、旧ユーゴなサッカーやる人なんかな?」と思ってたんです。ところが、試合を何試合か見るにつれて、「旧ユーゴじゃなくて、ガッチガチのフランスサッカー系だ」という結論に達しました。



どういうことかってーと、これね、アンチェロッティが、


アンチェロッティの完全戦術論

アンチェロッティの完全戦術論



この本の中で、PSGの監督やってた時の話をしてるんですけど、そこでフランス・サッカーについて、


ピッチ上で展開されているサッカーに関していえば、ペースが速いフィジカルなスタイルが特徴だ。採用されるシステムはバリエーションに富んでるが、カウンターアタックへの志向が強いという共通点がある

という形で簡潔にまとめてます。ハリルホジッチ監督については、就任以降、しばしば「速攻の重要性」と「フィジカル」について触れてるんですけど、「ペースが速いフィジカルなスタイル」と「カウンターアタックへの志向の強さ」ってのは、ハリルホジッチのサッカーの特徴なんです。つまり、ハリルホジッチさん、フランスサッカーの人であり、旧ユーゴ系のサッカーって訳じゃなかったんですね。


ペースが速いフィジカルなスタイル」ってのは、よーするにボール奪ったら素早く前に当てる。そこでボールがこぼれたらセカンドボールの拾い合い、つまり肉弾戦をするって事です。セカンドボールの拾い合いは、体のぶつけ合いですからね。



そこでなんですが、今年、フランスサッカー界から日本サッカー界に入ってきた人が二人います。つまり、日本代表監督ハリルホジッチ、そしてもう一人が、横浜Fマリノス監督、エリック・モンバエルツさんです。この二人、知り合いで、かつては師弟関係だったみたいです。ハリルホジッチに関しては、旧ユーゴの人ですけれど、サッカーのキャリアのかなりの部分をフランスで過ごしており、選手としても監督としてフランスでタイトルをいくつか取っています。


この二人、今現在、とっても難しい立場に置かれてます。ハリルホジッチはアジア相手に勝てておらず、モンバエルツさんもJ1で勝ててません。もともと、J1にはフランス人監督、フランス人選手は少なく、フランスサッカーは馴染みが薄いサッカーであり、彼らの印象がそのままフランス・サッカーの印象になってしまう状態なんです。ちょっと大げさにいえば、彼らはフランスサッカーを代表する立場といってもいい。ところが、彼らは、現在の所、勝ててない訳で、このままだと「フランスサッカーは日本人には向いてない」って流れが出来ちまうんです。


ちとJ1の話をすると、J1で結果を出している外人選手・外人監督ってのは、圧倒的にブラジル系で、それに次ぐのが旧ユーゴ、ドイツ位の順番になってます。今の所、「日本人とは相性悪い」と言われてる最右翼がオランダサッカーでして、こいつは近年、日本でオランダ式サッカーやった監督が次々と撃沈されてしまったのが原因になってます。正直、オランダサッカーが悪いというより、連れてきた監督が悪かった気がせんでもないのですが、サッカーというのは非情な結果の世界。浦和の旧ペトロビッチ監督のやらかしのせいで、オランダサッカーはJリーグから駆逐されたも同然の状態になってしまいました。とにかくオランダ式433は評判が地に墜ちました。



話をフランスサッカーに戻しますけど、モンバエルツさんにしろ、ハリルホジッチさんにしろ、この二人が失敗しちまうと、日本におけるフランスサッカーの威信が地に落ちることになるので、後進の為にも、頑張って結果だしてくださいとしか言えません。ちょっとモンバエルツさんの話をしますが、この方、現在三門をトップ下にして前プレタイプのサッカーしたいみたいんですが、あんまり上手くいってません。フォメみる限り、三門トップ下にして守備時は442のハイプレスタイプのチーム作りたいみたいんですが、あのチームで一番良い攻撃の選手は俊介とアデミウソンなんで、「それなんか違わないか?」感がすごいんです。


実は、今回のハリルホジッチのチームみてて、西川君にひたすら川又めがけて放り込ませたり、川又にポストプレーを散々やらせたり、宇佐美にオフザボールの動きが少ないと言って雷落としたりと、「それちょっと違うだろ・・・」感が凄く、フランスサッカーってそーゆーモンなのかね・・・と思う次第であります。



あんま書くことなんですけど、試合内容について

こっからは試合内容について簡単にレビューでまとめておきます。繰り返しますが、今回は試合前に練習できたの一日だけなんで、多くは求められません。


今回の試合ですけど、ハリルホジッチはやり方そのものはいじってません。攻撃は4231、守備は442、もしくは4411です。


攻撃に関しては、西川君から川又への放り込み、川又のポストプレー、引いてくるWGにボール当てて相手のSBを引っ張り出し、そのスペースにトップ下orSBが突撃ってのが多かったです。最後のは図にすると、


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こーいう奴です。これはハリルホジッチが就任してからずーっとやってる攻撃です。逆にいうと、速攻とこれら位しか現状、攻め手がないというのもあるんですが、ハリルホジッチはチームつくりの時間を十分に与えてもらってない状態なので、攻め手が少ないのはしょうがない部分があります。モンバエルツさんは、もうちょいバリエーションがある攻撃やってるので、時間をあげれば、もうちょい攻撃のパターンは増えると思います。(そう信じたい)


ちと動画はっておきますが、



ハイライト 日本代表VS北朝鮮 東アジアカップ2015 Japan North Korea Goals ...



先制点の流れは、北朝鮮のパスミスを日本が拾って、右の遠藤に展開、遠藤のアーリークロスから武藤(寿司)がゴール。これは綺麗な得点でした。


動画にある前半23分の攻撃はハリルホジッチになってから、よくやってる攻撃で、モリゲの縦パスを引いてきた永井がフリックして武藤、川又とつないでフィニッシュって流れでした。



日本代表なんですが、ハリルホジッチになってから、そんなに中盤ではボール動かさなくなってます。でっかいサイドチェンジ使って攻撃したのは前半19分くらいだったはずです。基本、縦にさっさとボールつけてしまうことが多く、サイドチェンジ多様する試合は今までなかったはずです。



こっからは、ちょっと戦術うんちくな話になるんですが、いわゆるサッカーにおける「速攻」の話をします。


ハリルホジッチになってから、日本代表のサッカーは「速攻」を強く打ち出すようになってます。この「速攻」に関しては、現在日本代表が守備時に採用しているフォーメーション、つまり442なんですが、442は速攻に関して、構造的な欠陥を抱えているフォメです。


ここで「えっ!?442って速攻の代名詞じゃないの?」と思う人がいるかもしれませんが、ちょっと違うんです。


これについては、先に紹介した「アンチェロッティの完全戦術論」でアンチェロッティが説明してるので、それを引用しますが、


一般論として言えば、442は現在もなお、守備に関しては最良のシステムであると私は考えている。それは、サイドと中央の両方をバランスよくカバーすることが出来るからだ。実際私自身、「クリスマスツリー」をはじめとする他のシステムにおいても守備の局面にはこのシステムを採用することが少なくない。10人のフィールドプレーヤーを3つのラインに配置するこの布陣は、陣形をコンパクトに保ちやすく、したがって敵陣においてもバランスを崩さず相手に効果的なプレッシャーをかけることを可能にする。



他方、3ラインによって布陣が構成されているという事実は、攻撃に転じた時には多少の避けがたい問題をもたらす。前線のフォワードに直接ボールを送り込むか、そうでなければサイドバックとサイドハーフの縦の関係を利用し、サイドのスペースを使って攻撃を組み立てなければならない。これは横パスを多様せざるを得ないことも意味している。もちろん、例えば、サイドハーフが敵の2ライン(中盤とディフェンス)間に入り込んだり、フォワードが手前に引くなど、選手の動きによってパスコースを作り出すことは可能だ。しかしそれを機能させるためには動きとパスのタイミングをぴったりと合わせる必要が出てくる。

黒字強調は僕のモノですが、442ってフォメは3ラインで構成されるため、ボールを奪った直後のパスコースが非常にに少ないという欠点を持っています。4411もそうですが、そのために、ボールを奪った後、FWにボールを放り込むか、サイドに横パスだしてSBとSHの縦関係でボールを運ぶかの二択になりがちです。後者はどうしても横パスが多くなるため、速攻には不向きなんです。もちろん、選手の動きによってパスコースを作ることは可能なんですが、そのためには組織的なシンクロニズムを磨かないといけなくなります。つまり、結構時間がかかるんです。チームとしてのポゼッションの強化に時間がかかるのは有名ですけど、442の速攻にかんしては、結構、習熟に時間がかかったりするんです。上手くいってない442ってのは、ボールを奪った後に横パスがやたらと多くなります。(無論、ハイプレスでDFかボランチからボールを奪えれば話は別ですよ)



今回の試合の話に戻しますが、速攻の際、「ボール奪ったけど前に川又一人しかいない」って状況が多く、しかも川又はボールキープとかポストプレーで天下取った選手じゃないんで、速攻が上手くいかない状態でした。ハリルホジッチは、後半途中から433に布陣を変えてボール奪った後のパスコース増やそうとしてた節がありますが、後半は北朝鮮に放り込まれて、ラインがずるずる下がり、左右のWGも低い位置まで押し込まれてたんで、あんまり意味がありませんでした。


442、もしくは4411みたいな布陣から速攻に転じる場合、横パスを使わずに縦パスのみで速攻しようとすると、FWのキープ力、ポストプレーに強く依存し、または、組織的なシンクロニズムを必要とするので、一朝一夕で出来るもんじゃないって話です。だから、時間を与える必要はあります。




今回の話のまとめになりますが


今回の話は、きちんとしたレビューというより、サッカーうんちくばっかりになってしまいました。すいません。



今回の北朝鮮戦に関しては、暑くてイライラしてたところに、なでしこの敗戦、男子の敗戦と続いたので、イライラが爆発してしまい、twitterのほうではハリルホジッチをかなりクソミソに言ってしまいました。ただ、冷静になってみれば、結構同情すべき点も多いし、なんだかんだで、シュート数、枠内シュート数は多かったので、時間をあげれば、きっちりチームを作ってくれるかな、とは思っております。僕は基本的に代表監督寄りのスタンスでブログ書いておりますので、代表監督の仕事を貶すつもりはそんなにないのです。



ただ、選手の起用法については、ちょっと文句があって、川又を本物のポストプレーヤーとして使うのはやめといたほうが良いです。川又は日本一のポストプレーヤーじゃありません。それと宇佐美についてなんですけど、「オフザボールの動きが悪い」って雷落としたみたいですが、宇佐美をサイドで使って「オフザボールの動きが悪い」って文句をいうのは、根本的に宇佐美を理解してません。宇佐美ってプレーヤーなんですが、基本的にスタミナに不安のある選手で、サイドを上下動できないタイプなんです。



これはドイツで原口なんかもぶち当たった壁なんですけど、彼の最近のインタから引用しますが

ヘルタは守ってカウンターというサッカーなので、サイドの選手は守備の際、サイドバックの位置まで下がるんですよ。そこまでいって(味方が)ボールを奪うと、今度は爆発的なスピードを駆使して50~60m走って前に出て行くんですが、ゴール前で受けたときには、もうフィニッシュのパワーが残っていない。相当きつくて、これで活躍するのは大変だなって思いました



原口元気、ドイツでの苦悩「こんなに自信を失ったのは人生初」

宇佐美、これが出来ないんですわ。「守備のときにはSBの位置まで下がって守備やって、攻撃になったら50メートル走ってゴール前に入る」、これだけのことなんですけど、ドイツ系の監督は、しばしばサイドの選手にこれを求めます。ハリルホジッチのサッカー見てても、サイドの選手は相手のSBが上がってきたら追っかけないとダメなんで、これが出来ないといけない。特に4231の時はそうです。



宇佐美はこれが出来ないんです。というか、宇佐美がサイドで使われているときは、宇佐美抑えるのはある意味じゃ簡単でしてね。対面のSBガンガンあがって、宇佐美の位置を下げてしまえばいい。宇佐美は守備やってからフルパワーで攻撃に移れないから、これやってれば宇佐美は全然怖くなくなる。それに走りっこに持ち込めば、後半ちょっとで宇佐美はガス欠です。健太さんが、宇佐美をサイドじゃなくて中央にコンバートしたは正解だと思いますよ。宇佐美自身「僕はサイドアタッカーじゃなかった」って話をしてますが、宇佐美は現代のサイドアタッカーには向いてないんです。中央で使うべき選手で、サイドで上下動させたら、良さがでません。そもそも、中央で使っても運動量が少ないので、試合終盤にはガス欠起こすことが多く、ガンバの試合終盤の得点の少なさの原因になってしまっている位なんですからね。




宇佐美の話はコレくらいにして、ハリルホジッチに話を戻しますが、ここまでの試合みる限り、ハリルホジッチはホントに速攻系のサッカーの人です。ハイテンポでフィジカルなサッカーを志向してるようです。これ自体は何も問題はありませんし、サッカーには正解なんてありません。基本的にサッカー文化というのは、「隣の芝は青い」の世界でして、イングランドは負けると「技術がない」と嘆き、ブラジルは負けると「守備が弱い」と嘆き、日本が負けると「決定力がない」と嘆き、そして違うサッカー文化の世界に憧れるもんなんです。


ただし、負けた監督が「フィジカルガー」とか「日本の育成ガー」とかいうのは問題外なんです。


今回、試合後のハリルホジッチのコメント読んで脱力し、イライラマックスになってしまったのはそのせいもあるんです。ちょっと前に、鹿島のセレーゾ監督(こないだ松本に負けて解任された)が、ACLで負けたときに


「現日本代表監督のハリルホジッチ監督は率直に感じたことを述べたと思うが、日本人選手はコンタクト(接触)を避ける、嫌がる。(ハリルホジッチ監督が)勇気を持って言っただけで、それはずっと前から分かっていた事実。18歳の高校生、22歳の大学生が入団してきたとき、大半の選手がヘディングの技術、空中戦で競り合うテクニックを身に付けていない」


 こうした現状の背景として、日本と海外の間の文化の違いを挙げた。「他の国では貧富の差があり、1日を生きる、生き延びるためには自分で頭を働かせないといけない。水がなかったり、食べ物がなかったり、それはだれかにもらえるわけではなく、自分でどうするかを考えないといけない」。ブラジル人監督はそう持論を展開し、サッカーに話を移す。


「(ブラジルでは)7歳から10歳ですでに競争の世界に身を置いている。同じ街のチームには負けてはいけない。勝つか、負けるか。そこにどういう意味があり、重みがあり、責任があるのか。それを小さいときから分かっている人と、プロになってから分かる人とでは大きく異なる」


 球際の競り合いや1対1の勝負。勝利にこだわる執着心。「日本には争いをしないという文化、習慣があり、話し合いで解決するという素晴らしい文化がある」と、日本の文化を尊重したうえで、「だが、それは極端に言えば、素手でケンカをしないということ。接触することも嫌がる。日本人選手の大半はヘディングが大嫌いではないか。競り合いになると、できるだけ自分だけは競らないようにしている」と指摘した。


日本人選手の“弱さ”嘆く鹿島セレーゾ監督「接触を嫌がる」


こんなコメント出して、僕を猛烈に脱力させてくれたことがありました。



言ってることはもっともでございますよ。ええ、もっともでございます。



ただね。



アジアで勝てない監督がこんなこと言っても何も説得力がないんですよ。




というか、負けた監督が何いっても負け犬の遠吠えなんですわ、サッカーの世界では。結果が全てですから。



それに鹿島が負けたら原因は日本の育成、勝ったら自分の功績にするようじゃ、下の人間ついてこないでしょう。セレーゾさんは、松本に負けて解任されましたが、J1ですらろくに守れないチームなのに、鹿島の守備の酷さを日本の育成、文化のせいにされてもね。




ハリルホジッチさん、今回の試合の後、「日本の危機だ」とか言って会長に直談判してたみたいですが、負けた原因を「日本の育成のせいだ」とか言いはじめて、その後、解任されちまった監督がつい最近、一人でてますので、そういうのは止めといたほうが無難でござると、僕は申し上げておきます。



ぶっちゃけ、モンバエルツさんも最近J1でかててねーし、ハリルホジッチさんもアジアで勝てないようだと、フランスサッカーってダメなんじゃねぇの?って声が先に出ますわマジに。



今日はこのあたりで。ではでは。