2014W杯前夜、日本代表対ザンビア代表のレビュー 「良い知らせと悪い知らせ」
良い知らせと悪い知らせがある。
良い方は、今回の日本代表はどんな相手だろうと点を取れるって事だ。
悪い方は、今回の日本代表はどんな相手だろうと点を取られるって事だ。
はい、みなさん、こんにちは。本日は先日行われた日本対ザンビアの試合のマッチレポートをやりたいと思います。試合内容は皆さんご存じでしょうが、4-3で日本が勝ちました。救いようがない馬鹿試合でした。3-2だったらガンバスコアで片付く話ですが、4-3は予想の斜め上でした。
日本代表は、2013年東アジアカップ以降↓
7月21日 東アジア杯 △3―3 中国
7月25日) 東アジア杯 ○3―2 オーストラリア
7月28日) 東アジア杯 ○2―1 韓国
8月14日) キリンチャレンジ ●2―4 ウルグアイ
9月6日 キリンチャレンジ ○3―0 グアテマラ
9月10日) キリンチャレンジ ○3―1 ガーナ
10月11日 親善試合 ●0―2 セルビア
10月15日 親善試合 ●0―1 ベラルーシ
11月16日 親善試合 △2―2 オランダ
11月19日 親善試合 ○3―2 ベルギー
2014年↓
3月5日 キリンチャレンジ ○4―2 ニュージーランド
5月27日 キリンチャレンジ ○1―0 キプロス
6月3日 国際親善試合 ○3―1 コスタリカ
6月7日 国際親善試合 ○4―3 ザンビア
14試合で、33得点、24失点となっており、9勝2分3敗となっています。J1も現在、第14節終わった所なんですが、14試合で24失点というのは、徳島の33失点の次くらいに悪い数字です。ちなみに14試合で33点取ったチームはJ1には存在しませんので、今の日本代表の攻撃力は過去最強レベルです。直近3試合ほど本田の調子が悪いのにコレですよ。
ここまで来たら、もう割切るしかないのですが、このチーム、絶望的に守れません。イタリア人監督連れてきて、出来たチームがガンバを超える超攻撃サッカー(ザル守備の婉曲的表現)だったというのは、ひじょ~に香ばしいものがあるのですが、ここまで来た以上、もう腹をくくるしかありません。
点とって勝ちましょう。以上。戦績的に、アジアにもアフリカにも南米にも守れてないので、どこの国の代表とやっても守れません。ただ、点だけは取れていますので、殴り合いに持ち込むしかありません。
「点を取ることしか出来ない日本代表」というのは、正直、初めてお目にかかるのですが、とりあえず、エンターテイメントとしては正しいと思うので、このままで良いと思います。14試合中8試合で3点以上とってるので、本大会でも、このテンションで行けばいいと思います。3点とれば勝てると思います。3点とって勝てなかったら、それはそれでいいのです。割り切りも必要です。3点必須ジャパン。
ザンビア戦の前半のマッチレポート
さて、本題に入りたいと思います。ちなみにザンビア戦のフルマッチ動画はyoutubeに複数上がってますから、見たい人は、youtubeで検索してみてください。他の動画サイトにもフルマッチ動画は転がってます。
とりあえず、ロングハイライトの動画だけ貼っときます。
スタメンですが、
こうなっていました。GKに浦和の西川くんが入っている位で、他のほぼベスメンと言って良いです。
さて、この試合なんですが、
大久保「トラップしてバーンと打った」 ザンビア戦後、選手コメント
こっちの選手の試合後コメントで今ちゃんと西川くんが言ってますが、ザンビア代表は非常にサイドチェンジが上手く、日本はプレスが空転してました。特に右から左へのサイドチェンジが上手いチームで、日本の三失点はいずれも右から左へのサイドチェンジからやられてます。
この部分ではザンビア代表を褒めるしかないのですが、特に僕が気に入ったのが右CBのスンズで、この選手、滅茶苦茶サイドチェンジが上手い。
フルマッチ動画(つべに転がってます)で、前半5分のところの彼のサイドチェンジを見て欲しいのですけど、40メートルくらいのサイドチェンジを通してるんです。このサイドチェンジが出来るCBはレアです。アーセナルが以前、スンズを獲得しようとしていたのも納得です。
でもって、前半8分の日本の失点シーンでも、スンズのサイドチェンジからでして、これはキャプでやっときますが
こうなりました。スンズ、2本連続で、このサイドチェンジを通してて、ボランチも出来るんじゃないの?って位です。
ちょっとコートジボワールの話もしときますが、あそこのCBはこのサイドチェンジ出来ません。ボランチは40メートル級のサイドチェンジできますが、CBはそこまで足下上手くないです。
このシーンですけど、スンズのサイドチェンジの後に、本田と岡崎がマークの受け渡しが失敗したのと、遠藤と本田が揃って一人に抜かれてしまったのが痛かったです。特に遠藤なんですが、あそこで簡単にマッチアップに前向かせて抜かれるようだと困ります。
でもって、8分の時点で、この右CBのサイドチェンジがやばいとわかったので、柿谷が必死こいて、その後CBを追っかけ回したり、パスコース切ったりするようになるんですが、他の選手もサイドチェンジ上手でして、27分の失点シーンでも右から左へのサイドチェンジやられてCK取られ、そこから失点しました。ちなみに、この二失点目につながるCK取った時のザンビアの攻撃は秀逸でして、右からの左へのサイドチェンジ、そこからボランチに戻してFWに楔いれて今ちゃんを引っ張り出し、今ちゃんが空けたスペースにザンビアの選手が走り込む。この動きには遠藤がついていくしかないんですけど、遠藤が開けたスペースにザンビアの選手が入ってきて、FWの落としを受けてミドルって流れでした。ココは相手が見事でした。日本を良く研究してるなあ、と。
これで早い時間帯で2点リードされ、完璧に負け試合ムードになりました。というのも、相手は早い時間でリードできたので、無理せず自陣ハーフウェーラインあたりから442でブロック組んで守るようになったんですが、
こんな感じですが、ボランチの所をFW二枚で抑えられてしまい、日本はビルドアップにボランチ使えない状況でした。また、FW二枚とSHが献身的に守備やってくる。コスタリカと違って、日本のボランチをFWが見てるんです。でもって、ボランチはがっちりバイタル固めているのでバイタル使えない。SHも真面目に戻ってくるので、ボランチをサイドに引っ張りだそうにもそれがなかなか出来ない。
コートジボワール戦で、早い時間帯の先制点を避けたい理由がコレでして、早い時間帯に先制された場合、コートジボワールは間違いなく442でブロック組んで、ボランチをFWが見て、SHをしっかり引かせる形の守備をやってくると思います。そうなったら日本は厳しいです。
もっとも、ザンビア戦は、こんだけがっつり守備やられたのに何でか4点取れるというイミフな試合だったんですけどね。ホントに今回の日本代表は点取れます。信じられない程に点取ります。ザンビアはコスタリカより明らかに守備が良いチームでしたが、何故か日本に4点とられました。サッカーってのは不思議なスポーツです。
話を試合内容に戻しますが、ザンビアの守備には手を焼かされたんですけど、段々と日本代表もわかってきます。左サイドのチェックは早いけど、その分、吉田の所が空くんですね。左サイドは今ちゃんはSHが出てくるし、遠藤はFWが一枚きっちりつくし、香川はボランチに見られて、長友はSBがつくみたいな感じで、ぴったり抑えられてしまうけど、その分、吉田の所は空くんです。
だから、吉田の所からのビルドアップで状況の打開を狙い始めます。17分の岡崎とGKの衝突は、吉田の裏へのフィードからです。
吉田はやらかし多いですが、左おさえられた時は吉田の所からのフィードが重要になるので、彼のフィード力は捨てられないんですよ。栗原じゃなくて吉田なのは、ココなんです。
でもって、38分、今ちゃんのボールカットから日本がショートカウンターに持ち込んで、相手のハンドでPKもらいます。また前半40分あたりからか、ザンビアに疲れが見え始め、香川とか遠藤がフリーになり始めてました。
ザンビア戦、後半のマッチレポート
さて、後半に参りましょう。後半から柿谷に代えて大久保が入ります。でもって、後半15分の選手交代が重要でして、ここで今野がアウト、森重がイン、岡崎アウト、大迫イン。右にモリゲが入り大迫がCFに入ります。ザンビアは右CBの所には、そう早くチェックに出てこないので、そこにモリゲを入れたってのは、「ふーむ」という感じでした。また岡崎を外して大迫入れたってのは、完全な戦術変えです。
で、すぐ効果は出るんですけど、
これ、60分のシーンなんですけど、モリゲがボール持って持ち上がった時、誰もチェックに来ない。向こうさん、モリゲが足下良いの知らないんだなァと。流石にサブの特徴までは把握してなかったか・・・という感じです。
で、さらにザックが交代カード。内田に代えて酒井ゴリ。酒井ゴリのほうはうっちーよりクロスが上手いです。で酒井ゴリは高い位置取り始めて、モリゲは空いてる訳だから、
こんな感じで右サイドでゲーム作れるようになってきます。モリゲにゲーム作らせて、右の酒井のクロスでっていう采配です。ここをキャプで解説したのは、次のモリゲのゴールに繋がるからです。
ただ、日本の同点ゴールなんですけど、これはモリゲ関係なくて、左からでしたが、
これ、日本のゴール直前のシーンですけど、遠藤をフリーでここまで持ち上がらせてはいけなかった。遠藤がフリーでハーフウェーラインまで持ち上がれたの、この試合で初めてくらいだったと思います。で、その後のザンビアの対応も良くなくて、
ココですけど、香川に展開された後、香川がカットインできるスペースがガラ空きになってるんです。なんで、香川のカットインからオフサイドっぽいゴールが決まって日本が同点。で、この時のポイントなんですけど、ゴールよりもCFの動きに注目してほしくて、ココ、大迫がファーに逃げてるんです。それで大久保がニアに入ってくる。「ほえー」という感じだったんですけど、こっちのオプションを用意してるのかーと。
でもって、メインディッシュのモリゲのゴール。これはキャプでやっときます。
こーですね。
ここで、モリゲと大迫の交代の話を詳しくするのは、ザックはここで戦術変更してるからで、右サイドのコンビネーションとファーに逃げるCFを使った攻撃に切り替えてるんです。こいつは、CFをファーに逃げさせてニアにスペース作って決めるやり方でして、いつもの日本代表とは違うやり方なんす。
というわけで、ザック、本戦見据えてBプラン用意してたのね、と。やっぱり、奥の手は用意してたんですねえ、と感心致しました。
ただ、この後、日本代表はすぐ失点してます。もうアホな失点だったので、これについては割愛します。他所でも言われてますが、大久保、きちんとSBについていってくれ。もっとも、その後、青山のスーパーパスから大久保のスーパーゴールで帳尻してくれたので別にいいんですけどね。
最後にW杯に向けて
まとめに入りますが、この試合では、ザックのBプランが一番の見所でした。岡崎のいる時は、左から右へ、ニアでCFが潰れ役やって斜めにゴール前に入ってくる右WGでフィニッシュって形でしたが、大迫とモリゲが入ってから、右から左へ、ファーに逃げるCFを使った攻撃っていうBプランですね。ファーに逃げるCFでニアにスペース作って、そこを攻めるって形で、「ほほ~」という感じでした。
で、これを奥の手で用意するなら、豊田を連れてっても良かったのになあ、と。
ただし、心配なのは、この手を見せちまうと本番で警戒されちゃうんじゃ・・・というのがありまして、コートジボワールが気がついてない事を祈るのみです。
ザックがも一つ、何か用意してくれてたら、もっと面白いんですけどね。
今日はこのあたりで。それでは。