読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

2012年の湘南ベルマーレのお話

サッカー

さて、本日もフットワーク軽く更新でございます。内容は、やっとこさ、ベルマーレの話が出来ますよ。やっとですね。来年はJ1なんで、J2時代よりも注目集まりますし、レビューやっても読んでくれる人多いだろうし、来年は楽しみですわー。



さて、今年の湘南ベルマーレなんですけど、J2でも、かなり特殊な事やってました。以前に、ベルマーレの話をした時にも話しましたけど、今年のベルマーレの基本戦術は、ハイプレス+ショートカウンターです。大概のチームは、ハイプレス+ショートカウンターをやる場合、ベーシックな442でやるんですけど、ベルマーレの場合、3421の3バックでやってる所に特徴がありました。なので、今日は、3バックでのハイプレスのサッカーの話になります。



イタリアにおける3バックの再流行のお話

さて、ベルマーレの話に入る前に、今日は3バックの歴史とか変遷から入ろうと思います。最近、イタリアにおいて、3バックが流行っているんですけど、これについては、WSDの最新号で、ロベルト・ロッシがまとめているので、ちょっとそこから引用しますね。

3バックを採用するセリエAのチームが増えたのは、昨シーズンからだ。ゾーンディフェンスが一般化した1990年代以降のヨーロッパでは、常に4バックが絶対的な主流を占めており、3バックは極めて少数派だった。唯一の例外がイタリアで、そのきっかけとなったのが現日本代表監督のアルベルト・ザッケローニが編み出した343システムだ。当時ウディネーゼを率いていたザッケローニは442の最終ラインから一人を前線に回し、97−98シーズンのセリエAで三位に入る。続く98−99シーズンは新天地のACミランでスクデットを勝ち取った。その後、しばらくは、トップ下を置く3412システムがセリエでは主流になった。


”流行”は数年で廃れたが、イタリアには独自の立場で3バックのシステムを発展させてきた指揮官がいる。ワルテル・マッザーリ、ジャンピエロ・ガスペリーニ、フランチェスコ・グイドリンといった監督だ。


というのがあります。


えっと、まず3バックで1990年代後半、イタリアで流行ったのがトップ下を置くタイプの3412です。こーいうのです。



これがトップ下を置くタイプの3412です。ただ、これは数年で廃れました。このフォーメーションの根本的な問題の一つなんですが、



ここの青で囲った場所になります。中盤のフィルターを行うのがボランチ2枚なんです。サッカーの世界では経験的にわかっている事なんですが、ピッチの幅をカバーするには、最低でも3枚必要で、それでも3枚の場合、相当な運動量がある選手を使わないと、幅をカバーしきれません。4枚だと安定、5枚使うと完璧になります。


トップ下を置くタイプの3412の場合、中盤のフィルターが二枚ってのが大きな泣き所で、先日、大分が「5−2」になっているとザルになるって話をしましたが、この問題を恒常的に抱えてしまうんですね。勿論、トップ下に下がってきて守備やらせれば問題ないのですが、大概のトップ下って選手は、守備にはあまり積極的ではありません。だから、3412ってのは、中盤の守備でどうしても枚数が足りず、ピッチの幅をカバーしきれないって問題を抱えてしまいます。個人的には、これ、廃れたのは当然だと思います。今の時代に、「5−2」のブロックで守りきるとか、狂気の沙汰です。


こないだのインテル対パルマの試合でも、「あー、やっちまったインテル」ってのがあったんですけど、



これです。試合は、インテルが負けたんですけど、この試合、インテルは352を採用していました。ただし、1990年代のイタリアで流行った352とは違います。トップ下でなく、アンカーを採用した352です。図にすると、



こんな形での352です。トップ下でなく、アンカーを採用しているのがポイントで、中盤を3枚でカバーするのが特徴です。トップ下でなくアンカーが採用されている為、中盤をカバーするのがかなり楽になります。3枚でのスライドで守れる為です。先日のエントリの大分の352の時にも扱いましたが、相手のSBにボールが出た時、中盤三枚がボールサイドにスライドして守るのが特徴です。こーいう形です。



先日のエントリの使い回しですいませんが、こういう形で3枚のDMFがスライドすることによって、サイドで数的不利に陥らないように守ります。中央の守備に関しても3枚でやる分、比較的やりやすい布陣です。


で、なんですけど、インテル対パルマの試合、試合が動いたのが73分で、インテルの監督のストラマッチョーニが、中盤3枚のうち、アルバレスに替えてコウチーニョを投入してます。これで前の人数増やして、中盤のフィルターの枚数を減らしたんですね。結果として、これ、裏目にでました。3枚で守っていた中盤のバランスを崩して二枚にした途端、いきなり中央をドリブルでぶち抜かれて失点したわけです。


この時のインテルのDMFの一人、グアリンの守備はひでーもんですけど、もともと、グアリンの守備が酷いはわかっていたわけで、ちょっと中盤のバランス崩すの速すぎただろーストラマェ・・・なんて思ったシーンです。もともと、3枚でも守るの難しいのに2枚にしたら、やられるのはしゃーないっつーか。


先日、大分が5−2のブロックになってるときは脆いって話をしましたが、インテルだろーと、どこだろーと、5−2の守備ブロックなんて今時のサッカーで通用しやしません。イタリアだろうとJだろうとね。もっとも、点が欲しい場合、リスクを取って前の人数増やして後ろ削るってのは、常套手段なんで、ストラマはどうしても点が欲しかったんでしょう。裏目にでちゃった訳ですけどね。


先日のJ1昇格プレーオフの試合では、田坂さんがギリギリまで後ろの人数削って前の枚数増やす采配を待ったのは、逆に中央かち割られる可能性が高いからでして、これ、非常にリスキーな采配なんです。逆に相手に点を取られる可能性が高いやり方でして、最初から、5−2でやるチームがほとんど無いのは、それだと守りきれないからなんですね。


現在、イタリアで流行っている3バックは、大概がこのタイプの352でして、ウディネーゼのグイドリンなんかが採用しているのも、このタイプです。中盤の守備は3枚のDMF、最終ラインは5バックで守るってタイプの奴で、前に二人残します。攻撃の主戦術は勿論、カウンターです。イタリアって感じですね。また、2トップの役割も変わってます。CFが一人、もう一人はトップ下兼セカンドトップな感じの選手が使われます。インテルを例にするとわかりやすいのですけど、CFがミリート、トップ下兼セカンドトップカッサーノみたいな感じです。トップ下とセカンドトップを一人の選手が兼任してるわけです。


大分のサッカーは、セリエっぽいなーなんて思ってるのですが、基本的な仕組みはセリエで流行ってるタイプの3バックと同じでして、中盤を3人のMFがカバーし、5バックで守り、2トップを使ったカウンターで仕留めるみたいな感じです。ちょっと特殊なのは、デカモリシの存在です。フィジカル的にはCFタイプなんですが、足下が非常に上手い。一人で、CFとトップ下、ストライカーを兼任できる希有な存在です。あーいう選手がいると、カウンターの時、ホント便利なんですよね。下がってきてボール受けて前に配球できるストライカーって、なかなかいるもんじゃありません。代表的なのはイブラとかトッティですけど、あーいうタイプがいるとホントにカウンターやりやすい。


デカモリシについては、数年前まで、ちょっと問題のある選手でして、素晴らしい才能を持ちながら、それを浪費させているフットボーラーの代表格の一人みたいな感じでしたが、こないだ発売された「サッカーマガジン」のデカモリシのインタビュー読んだら、「ありゃ〜すっかり大人になったなデカモリシ」と思っちまいました。大人になりましたわ、彼も・・・・


興味のある人はサッカーマガジン読んでみてください。数年前の彼を知っている人から見ると、「何このキレイなデカモリシ」ってインタビューが読めます(笑)しょーもない糞ガキで天狗やってた頃とは、随分と変わっちゃいました。田坂さんが腐りかけてたデカモリシにかけた言葉、「お前が点を取る最高の場所を用意してやる。俺の与えた時間で120%の力でやれ!」とか、デカモリシの「僕はそういうところで、調子に乗るのはやめたんです。それより、自分の仕事を黙々とこなしたい」とかね。調子こきまくってたデカモリシが、こんな言葉を言うようになったとはねー。田坂さんへの絶対的な信頼感を感じるインタビューでして、田坂さん、癖のあるデカモリシをすっかり心酔させているようで、いい監督さんですわ。来年、楽しみですね。


と、話がそれたんで、元に戻します。3バックの話でしたね。イタリアの3バックの話をしてきたんですけど、現在、イタリアで流行っているタイプのそれは、3人のDMFと5バック、それとトップ下兼シャドーストライカー、CFで構成された2トップになります。後ろを5−3で守り、前に二人残してカウンターってタイプが多いです。


このタイプのサッカーの場合、3人のDMFと、2人のWBに過大ともいえる運動量が要求されます。なので、この5人の運動量頼みな所があって、必要な運動量を確保できないと機能不全に陥ります。3人のDMFでピッチの幅をカバーしきるというのは非常に難しいし、WBが90分間サイドを上下動できないと、ピッチの幅を広く使った攻撃が出来ないからです。インテルにしろ大分、ユヴェントスにしろ、僕が危ういなあと思っているのは、3人のDMFで中盤のピッチの幅をカバーしきろうとしている所で、現行のセリアAの3バックであったり、大分の3バックの欠点は、あそこにあります。中盤3枚なんで、ピッチの幅をカバーしきるのが難しい、中央で数的不利に陥りやすいって所です。


中盤3枚が走れなくなると、これ、単なるザルになります。インテルなんかもカンビアッソなんかが元気なうちはいいんですけど、カンビアッソが疲れてきてたり、フィジカルコンディションが低い時なんて、ホント悲惨になります。ユヴェントスもそうなんですけど、ピルロが年齢的にフィジカルコンディションをシーズン通して維持できないんで、ピルロの両脇がどうしてもウィークポイントになりがちです。


フォーメーションごとの相性もあるんですけど、それは以前したので、今回は割愛します。

湘南ベルマーレの3421、ハイプレス+ショートカウンター


さて、やっとこ本題にはいります。いつも前振り永杉ですいません。こっからがベルマーレの3421の話になります。


ベルマーレが採用している3421なんですけど、大分とかセリエAで流行ってるタイプの3バックの奴とは、ちょっと毛色が違います。こいつは、3バックでハイプレスなんて、珍しい事やってるせいでもあるんですが、守備の時の役割が、セリエや大分の3バックとは、かなり違います。今回は、そっちの話がメインです。あとは、来期のベルマーレで僕が心配してる所の話にもなります。ちょっと長いですけど、興味のある人は読んでみてください。


あと、シーズン前予想では、ベルマーレはてんで期待されてないチームでしたが、一番、ネガってたのがベルマーレサポだったんで、シーズン前の下馬評の低さについては、特に何とも思ってませんでした。サポーターが一番、今期の躍進に驚いてます。開幕前は「JFL降格なんて事にはなりませんように」ってのが正直な所で、チームの立て直しに5年くらいかかるだろうなあ・・・とか思ってました。そのくらい、開幕前は絶望的な状況でした。


開幕前のベルマーレの下馬評の低さについては、まずストライカーがいないこと、チームの心臓だったアジエルがチームを離れた事、CBが20才かそこらの選手しかおらず、経験が一番必要なポジションに、若手しかいない事なんかが上げられます。CBが19才の遠藤航、23才の大野、鎌田となっており、この中で180超えてるCBは大野だけです。「これ、J2でやっていける訳ないじゃん」というのが正直な感想でした。点はどうやって取るんだ、経験不足な上に、高さがない最終ラインでどうやって守るんだと。で、開けてびっくり玉手箱、J2で一番点とったチームになった上に、高さのない最終ラインで、そこそこ守れたんだからサポもびっくりです。


さて、まずは、ベルマーレのプレッシングの話から入ろうと思います。例として使うのは、第21節の千葉戦で、この試合を使うと、大分のプレスと湘南のプレスの違いがわかって面白いんではないかと。


第21節の千葉戦なんですが、ベルマーレが3421、千葉は4231です。これ、典型的なミスマッチが生じる対戦です。どーなるかというと



これです。サイドでは千葉が数的優位、中央ではベルマーレが数的優位って奴です。さて、この対戦だと、デフォだと、千葉はSBが浮いてますので、SBの所で起点を作りやすいんですが、ベルマーレはハイプレス+ショートカウンタのチームなんで、そこを潰さないと話になりません。さて、ベルマーレは、こういう相手にはどうやってハイプレスかけるかって話になるんですが、こーいう形になります。







こーいう形ですね。これがベルマーレの対4231でのプレッシングになります。流れとしては、


1,CFとシャドーで連携して、相手のCBにプレスをかけてSBにボールを出させる。
2、SBにボールが出たら、速攻でボランチとWBでSBを囲い込む
3、ボランチとWBがプレスに出たら、ボランチはマークをシャドーかCFに受け渡し、最終ラインは4バックに変形して数的同数で守る
4、ボールを奪ったらショートカウンターに移る


という奴です。大分との違いは、SBにボールが出た場合に、大分はボランチが一枚、前に出てきてプレスをかけますが、湘南の場合、WBとボランチがサイドに出てきて囲い込みます。二人来るので、ボールへの圧力が大分より強く、ボールを奪いやすい訳です。千葉のボールサイドのボランチについては、CFかシャドーが一枚、下がってきてマークを受け取ります。


こういったハイプレスは、最終ラインでの数的同数というリスクを背負ったやり方です。今回のキャプみてもわかると思うんですけど、最終ラインでは数的同数になってるのがわかると思います。プレスを突破された場合、最終ラインは数的同数なので、失点のリスクはもの凄い高いです。以前話した事ですけど、2005年にオフサイドルールが改定され、オフサイドに関しては、攻撃側が超有利になってます。なので、こういうやり方をするチームが少ないのは、ハイプレスを交わされた場合、最終ラインで数的同数というリスクを背負わねばならず、プレスを交わされたら高確率で失点するという問題を抱え込むからです。現在、ハイプレスを主戦術にするチームが少ないのは、そういう理由によります。


しかもベルマーレの場合、3バックですから、4231に対してハイプレスをかける場合、最終ラインでのマークの受け渡しとスライド、シャドー、CF、ボランチ間でのマークの受け渡しとスライドという煩雑な事をやる必要があります。どれか一つ、ずれただけでも、ハイプレスは簡単に突破されてしまいます。


ぶっちゃけ、451系に対しては、同じ451でハイプレスやるのが、面倒がなくて良いんです。ただね、ベルマーレはシーズン中4バックに4回挑戦して、4回失敗しておりまして、来シーズンも、この形でやる事が濃厚です。J1だと、451を採用しているチームが結構あるんで、来年は面倒な事になりそうだなあ・・・と思っているわけです。1ミスが致命傷になるやり方なんで、怖いなあ・・・と。



ベルマーレは3バックでライン高くしている上に、451相手だと、マークの受け渡しを頻繁にする事になるので、そこでミスが出ちゃうと一発で裏取られる事があるんですわ。千葉戦でも、一発で裏取られそうになること何度かありまして、これ、リスクが大きいんです。J1だと、まず確実にSBの所から、高いラインの裏を狙われますんで、あそこでミスでないといいなあ・・・と。J2でならなんとかなってましたが、J1だと、あそこでミスせずに裏へのフィード出せるSBが結構いるんですよ。テクニカルなSBがJ1には多いし。


どーゆー時に怖いかっていうと、





こういう時なんですよね。ボランチに一回当ててからSBに展開されると、ベルマーレのプレス方法からして、SBへの寄せが遅れちゃうんですけと、浮いてるSBの所から裏に出されて抜け出されるリスクがある訳ですわ。それと、どうしても逆サイドのSBが空いてしまうのでSBから逆サイドへのサイドチェンジも厄介です。この日、千葉のLSB武田から藤田へのホットラインで先制点取られているんですけど、どうしてもSBへの寄せが遅れちゃう事が多いんで。フォメ的に。


とまあ、ハイプレスに関しては、こういう形でベルマーレは451に対して行ってます。大分の3バックとの違いは、大体おわかり頂けたでしょうか。最大の違いは、シャドー二人とCFのアクティブな守備参加です。ボランチとのマークの受け渡し、SBへのプレスをアクティブに行います。CF、シャドーはプレスバックも頻繁に行いますので、前3人に過大な運動量が要求されてます。ベルマーレの場合、運動量が要求されるのが、CF、シャドー、WBで、前3枚とWB2枚は守備のタスクが非常に多いのが特徴になってます。


このやり方、前3枚の運動量に依存してやり方でして、前3枚の運動量が落ちてくると、どうしてもプレスが機能しなくなってきて、ベルマーレはザルになる傾向があります。これ、数字にもでてまして、前半の失点は16失点と堅い方なんですが、問題はシャドーとCFの運動量が落ち始める後半でして、後半だと27失点してます。これは、どうしようもない問題でして、来年も後半でかなり失点してしまうのは避けられないと思います。


J2でも、対戦チームはわかってるもんで、前半はロングボール蹴りながら、湘南を走らせといて、プレスが緩くなる後半から繋ぎ出すってチームが多かったです。J1でも、これ、散々やられると思います。ハイプレスをするチームに対する基本ですしね。


ベルマーレの3421、遅攻編

さて、基本、ベルマーレはハイプレス+ショートカウンターのチームなんですけども、遅攻もそれなりに出来ます。実は、千葉戦では、遅攻からも結構、決定機作れてましたし、同点弾もそうでした。さて、ベルマーレですが、4231とやるとき、どういう風に遅攻やるのかって話になります。


これ、以前も磐田やドイツ代表の話をした時、説明しましたが、シャドー、ボランチのフリーランニングをキーにした攻撃をよくやります。流れとしては、








こういう形です。千葉は4−4−1でブロック作るんですが、ボランチが割とシャドーの動きについてきてくれるチームです。なので、それを利用した攻撃をやってました。シャドーのポジショニング、フリーランニングでボランチを最終ラインに引っ張り、ボランチが開けたポジションにWBがカットインしたり、そこに湘南のボランチが入ってきてボールを受けるって形です。


もともと、ベルマーレの3421は、4231に対して、中央で数的有利を作りやすい布陣でして、そこを積極的に利用してた訳です。似たようなシーンをもう一つ出しますが、





こういう奴です。サイドの高い位置でWBの高山が前を向いたら、千葉のSBが出てきますから、SBとCBの間が空きます。なので、そこにシャドーの菊池が走り込む。これやると、千葉のボランチが菊池についてくるので、バイタルエリアがぽっかりと空きます。そしたら、そこに湘南のボランチが入り込んでボールを引き出すと。あそこでボール受けたら、ミドルシュート打ってもいいし、千葉のDFは中央に絞らざるを得なくなりますので、そこからサイドに展開してクロスを入れてもいいです。コンビネーションしても良し。あそこでボールを受けて前むければ色々できるので、ベルマーレはあそこを執拗に狙ってました。


ベルマーレの遅攻は、おまけみたいなモンなんですが、ボランチにぴったりマーカーがついている時は、CBがドリブルで持ち上がるってのもよくやります。なんで、遅攻もそこそこ出来るチームに仕上がってます。CBのドリブルでのボールの持ち上がり、シャドー、ボランチのフリーランニングをキーにした攻撃が特徴的と言えます。


ちなみに、この試合における湘南の同点なんですが、こーいう流れでした。







ここも基本的には、シャドーの動きで千葉のボランチ動かしてーの、千葉のボランチがあけたポジションに、湘南のボランチがあがってきてーのって流れなんですけど、これ、千葉にとっては非常に不運でした。なんで不運かってーと、湘南のWBの高山は、シュート滅多に入らないからです。高山って選手、湘南のキープレーヤーの一人で、スタミナとスピードが素晴らしく、90分間サイドを上下動できるし、守備も生真面目にやってくれるし、SBみたいに中央に絞って守備をやってくれます。


ただ、問題はシュートとクロスの精度が非常にビミョーって所でして、特にシュートはよく打つんですけど、これが滅多に入らない。WBでシーズン108本シュート打つ選手なんて、そうそういませんが、ぶっちゃけ「入らないからアイツに打たせろ」みたいな所がありました。決定的なのも結構外すんで。


ただねー、彼、シュート精度とクロス精度が上がってくれば、海外から声かかっても、僕は驚きません。そのくらいスピードとスタミナはズバ抜けていますし、シュートを打てる場所に入ってくるハートの持ち主なんですよ。WBなのに、あんだけシュート打てる選手なんて、そうそういませんからね。来年はせめて、枠に蹴ってくれ薫。シュートが枠にいけば10点取れるだろお前。


うちの左WBの高山はシュート108本打って6点という意味のわからなさ、右WBのコバショーこと、古林将太は221本クロスあげて5アシストと、お前ら、ホントなんとかせーやという。高山は来年10点、コバショーは10アシスト稼いでもらわないと困ります。あんだけWBがシュート打ったり、クロス上げてるのに、数字稼げてないのは問題なんで。J1で残留するなら、そのくらいやってもらわんと。


あと、ここでクロス上げた永木なんですが、彼、ベルマーレの№1プレーヤーです。ぶっちゃけ、チームの調子は永木の調子とリンクしてる所があって、永木が駄目だとベルマーレも駄目になります。今年の永木みてて、「J2でやらせとくのは勿体ないプレーヤーになったなァ」なんて思ってたので、来年はJ1で永木が見れてうれしーです。彼がベルマーレに来たとき、「なんでこんな良い選手がベルマーレに来たんだ!?」とびっくりした選手でして、ホントにいいボランチなんです。ベルマーレ見る時は、彼に注目して見てくださいな。とても良い選手です。もっとも、彼がベルマーレに来た理由は、大体、わかってるんですけどね。これ、岩上もそうでしたが、身長170ちょいの軽量右利きプレーヤーって、J1のチームは、あんまし積極的には取りにいきません。大抵、J1の上位チームだと、170ちょいの右利きプレーヤーで、永木や岩上より良い選手がいますんでね。それも化け物みたいなのが。なんで、170ちょいの右利き選手って、たまーに超当たりをベルマーレみたいなチームでも引ける事があるんです。ベルマーレは、こういう選手を集めてチーム編成しているので、平均身長がひじょ〜に低いです。180超えがキリノ、GKのアベノブ、CBの大野、ボランチのグギョンしかいないなんてチームでして、チームに2〜3人しか180超えがいないというチビッ子チームです。


でも、これはしょうがないんです。身長180超えのいい選手なんて、大概、ビッグクラブが取っちゃいますからね。ベルマーレは、そういうクラブが「チビだからいらね」といった選手の中から、使えそうな選手を選んでいく道を取ってます。それでいいんです。貧乏クラブには貧乏クラブなりのやり方があるって事です。ベルマーレは身長で選手を選びません。というか、選べません。今ではU19日本代表にも選ばれているCBの遠藤航ですが、177cmのCBです。子供の頃、他のユースの試験うけて落ちたこともある選手です。あと5センチ、背が高かったら、ベルマーレは、とてもじゃないが、彼を取れなかったでしょう。永木や岩上も同じ。あと5センチ、背が高かったら、ベルマーレには来なかったでしょうね。CBの鎌田翔雅については、172センチですぜ。


ベルマーレの失点パターン編

さて、次は、あんまりやりたくないですが、これもやっときます。ベルマーレの失点パターン編です。シーズンも終わりましたし、これ、やってもいいでしょう。といっても、シーズン中頃には、ベルマーレの守備上の欠点は、すでにほとんどのJ2チームに分析され終わってて、しつこく狙われる事になってました。


J1のスカウティング部隊が、あそこを見逃してくれるわけないし、J1にベルマーレの守備上の欠点を見破れない選手なんておりません。だから、絶対に狙われるし、ぶっちゃけてもいいだろって事で書いときます。


ベルマーレの守備システム上、どうしてもエアポケットになりやすいのが、



この三つの赤で囲ったエリアになります。あそこがフォーメーション上のエアポケットになります。


先日のエントリで、「5−2はザル」って話をしましたが、ベルマーレってチームも同じでして、5−2の状態だと、とてもじゃないけど守りきれません。なので、シャドーが下がってきて、赤で囲ったスペースを埋める事で、フィルターの枚数を増やし、スペースを埋める訳なんですけど、湘南のシャドーは前プレ頑張って、さらにサイドとバイタルのスペース埋めたりしないといけないわけで、負担が大きくて、戻りきれないケースも多いんです。


で、その結果として、特に多いのがバイタルエリアのカバーで人数足りなくなるって現象です。こーいう奴です。






このシーン、完全にやられたーーーと思いました。なんとか防げましたけど、これ、完全に一点モンのシーンでPA内でフリーの選手作られた訳で、ここで千葉に追加点入れられても、全然おかしくありませんでした。


ベルマーレは5バックに2ボランチなので、シャドーが戻りきれてない場合、ホント簡単にバイタルエリアでフリーの選手ができます。ボランチが一人、カバーかマークでポジションを動かしただけで、バイタルに残っているのは1ボラになるわけで、バイタルスカスカって現象が頻繁に起こるんです。千葉戦でも、ここのエアポケットは散々狙われてました。あそこ、ベルマーレの守備の構造上、空きやすいんです。


J1だと、バイタル使って違いを作れるトップ下を持ってるチームが数多くあるんで、そういうチームとやった時、やべえなあ・・・と。浦和の柏木、マルシオ、広島の萩、セレッソの3シャドー、大宮の東、磐田のペクソンドンと松浦、FC東京の梶山、ガンバの二川とか、勘弁して欲しい選手がかなりいるんですよ。ああいう選手がいるチーム相手に、あそこ開けたら、まず助かりません。


今年のベルマーレ、熊本と相性が非常に悪くて、二戦して1分1敗、5失点してるんですけど、熊本には散々、あそこ狙われてやられましてね。ちょっとキャプでやりますが、2012年J2、第5節湘南対熊本の試合の奴です。






こういう流れでした。あそこね、ベルマーレの構造上、絶対空くんですわ。サイドにボールが出ると、WBとボランチとシャドーで囲みにいくんですけど、その際に中央が1ボラになるので、1ボラの両脇にスペースが出来ちゃうんです。そこを狙われると、ベルマーレはホントに脆い。


あと、3失点目の前にも「あーやられた、同じパターンで何度もやられんなーーーー」と思った奴なんですけども、





こういう奴ですわ。ベルマーレの場合、ボランチが一枚サイドに出てくると、中央に残っているのはボランチ一枚になります。本来はシャドーが一枚、カバーに回らないといけないんですけど、それが間に合わないケースも結構あるんです。特に、シャドーが疲弊してくる後半になると、1ボラの両脇がぽっかり空いている事が結構多くて、そこ使われると大概、大ピンチに繋がってました。


2012年、J2第五節では、熊本さんには、ここを執拗に狙われまして、「五試合目でもうウィークポイント見抜かれてるよ!!J2の弱点ネチネチサッカーなんとかして!!」と心の中で叫んだ次第です。


で、ここね、最終節の町田戦でも、ネチネチと狙われてましてねー・・・町田が最後の精度が低く、ミスが多かったので助かってましたが、見ててヒヤヒヤもんでした。

javascript:;




こーいう流れだったんですけどね。これね、ベルマーレとしてはやられるとホント嫌な攻撃で、SBからFWに当てられて、ボールをボランチの間にポジショニングした選手に落とされ、そこから裏へ出されるって攻撃されると、ホントきっつい。


他にも






ここでも「あー、又やられた!!」ってのがありましてね。あそこ空くんですよベルマーレ。2ボラの間と両脇狙われると、ベルマーレとして非常に困る。


ただ、このシーンだと、あそこで繋ぎのミスが出たおかげで、この後、ベルマーレはカウンターにいけたんですけどもね。ちと、ここでベルマーレの選手のインタ、【ボイス:11月18日】ハン グギョン選手の声から引用しますけど、

「J1とJ2は、選手のスピードやパワーが違う。J2は、ミス自体も多いし、相手のミスに乗じて自分たちの得点のチャンスもつかめることも多い。J1は、そういうミス自体が少ない。
 リーグは替わったけれど今年は、個人的にプレーの質が上がったと思う。試合をしながらゲームを観る目も変わってきたし」


ってのがあります。


J2だと対戦チームのミスが多いので、相手のミスからカウンターにいける事が多いんです。ベルマーレは、しばしば、これで得点してました。ただ、J1だと、町田戦のキャプみたいなミスがでないんです。あそこでミスがでないから、バイタル使われてシュートまで持ち込まれる。


僕は、J2とは敗者のゲームで、J1は勝者のゲームだと思ってます。プロのテニスとアマのテニスだと、違いがあって、プロテニスだと、スーパーショットでゲームが決まりますが、アマのテニスだと、スーパーショットが出る前に、ミスで得点が入ります。J2だと、ミスからの失点がホント多くて、ミスを少なくし、相手のミスに乗じてチャンスを掴んだ方が勝利に繋がりますが、J1だと、そもそもミスが少ない為、誰かが違いを作らないと点はなかなか入りません。



なので、J1に行くと、一気に難しくなるんですよ。誰かが違いを作り出せないと点は入らなくないし、ミスなんかしようもんなら、高確率で失点に結びつくって世界になります。J1だと、相手のミス待ちだと、ジリ貧になるケースが珍しくありません。



アルディレスの町田は、今年、ポゼッションサッカーやってましたが、やっぱり選手のミスが多くて、そこから失点ってのが多かったです。あのですね、アルディレスの町田が、ベルマーレのバイタルエリアを狙っていたのは間違ってないんです。あそこ、ベルマーレは空きますから。


ただ、中央にいれて、そこでミスが出ちゃうと、ベルマーレ得意のカウンターの餌食になっちゃうんです。J2下位のチームが、ベルマーレのバイタル狙おうとして、逆にカウンターの餌食になるケースがよくありましたが、J2下位だと、あそこでミスが出ちゃうので、逆にベルマーレのチャンスになるってのが多いんですね。中央でボール取れれば、ベルマーレ得意のカウンターが発動します。


70分のシーンだと、この後、どーなったかというと、





こうなりました。ベルマーレお得意の高速トランジション(攻守の切り替え)からのカウンターでございます。あそこでボール取れたら、一気にWB2枚とシャドーがポジション上げてカウンターに来ます。自陣内でのボールゲインから、8秒後にはラストパスでます。相手チームが守備組織を構築し直す前にシュートまで持ち込む。これがベルマーレのサッカーです。



最後にベルマーレの育成の話

かなり長くなりましたが、最後は戦術とかの話でなく、ベルマーレの育成の話になります。ぶっちゃけ、育成の重要性と比べたら、戦術なんて糞みたいなモンです。戦術とか、育成に比べたら、どうでもいいレベルの話なんです。代表でもそうですが、代表の強さは、戦術でなく、育成の差が一番大きいんです。ブラジルが強いのは、戦術のせいじゃありません。世界で最も優れたサッカー選手を常に生み出してきたからです。最近、ドイツが強いのも、2000年あたりから、毎年、継続的にユースに投資を行い、その成果が出てきているからです。



で、ベルマーレの育成の話は、うちの監督のチョウさんのインタが一番わかりやすいので、そっちを引用しときます。興味のある人はリンク先読んでください。

【ボイス:6月1日】者貴裁コーチの声


下部組織に託した夢
今ある実りは2005年にまいた種

 2005年にJr.ユースの監督を務めて以来、ベルマーレに在籍し、7シーズン目を迎えた。

「俺が来た2005年に、2015年には育成出身の選手がトップチームの半分を占めるという『Future2015』というのを作って始めました。それもその時には夢みたいな話だった。どこのクラブのユースでも、トップチームに行ける選手が何人もいるわけじゃないですから。でも、そういう言葉を発することで、自分にも、周りの見る目も含めて、良い意味でのプレッシャーがかかって、そこに関わる人全体のモチベーションが上がった。
 南アフリカワールドカップの時に岡田さん(前日本代表監督)が『ベスト4をめざす』って言って、ほとんどの人が『無理だよ』って思ったかもしれないけど、結果を見ればリーダーである人がそういうことを言うのは大事なんだなって思います。やっぱり、夢を持たないと現実になっていかないのかなって、最近は感じますから」


 当時は、ユースからトップチームに昇格できる選手は、多くて1人。誰も昇格することなく、そのまま卒業していった年も多かった。


「当時はまだ大神にいて、グラウンドもクレーのグラウンドしかなくて、照明も暗い中でやっていたんですけど、その時僕が見た中学2年生の代が古林将太(現ザスパ草津)の代ですよ。鎌田(翔雅)もその時は高校1年生で。その上に猪狩(佑貴)がいて、大介(菊池)が入ってきたり、その次に航(遠藤)が出てきたり。彼らが子どもから大人になるところを僕はずーっと見てきた。彼らの歴史をずっと見ていて思うのは、俺がというより、クラブが育成を本当に大事にやっていくんだという気持ちがなかったら、今の現実はたぶんないということ。俺ひとりがそう思っても無理ですもん。みんなで感じていかないと」


 ここ何年かは、高校生ながら2種登録され、リーグ戦に出場する選手が毎年いる。今シーズンも、河野諒祐選手が登録された。


ベルマーレで僕がユース時代に関わった選手もいるし、永木(亮太)や薫(高山)みたいに、俺が指導者として駆け出しの時に(川崎)フロンターレで預かった選手もいる。あの頃は、正直、こんな世界があるなんて夢にも思わなかった。自分が預かった選手がトップに上がって、一緒に戦うなんてことは、それこそ夢みたいな話なんですよ。
 下部組織といってもプロになれない選手の方が多い。だからユースの指導をしていた頃は、サッカー選手としてというより、人間として絶対にしなければいけないことをずーっと言ってきた。期間の大小はあれ。特にフロンターレでは、ドイツから帰ってきて指導者を始めた最初の3年間だったから、今考えると、よくあんなに厳しくしたなっていうくらい厳しくしていた。今彼らと会って思うのは、『もっとこういうことを教えてあげれば良かった』というのももちろんあるし、『こういうことができるようになったんだ』という驚きもある。共通していえるのは、二人は独立していて、自立して、それでこのチームを選んだということ」


 永木選手や高山選手と再び同じチームで戦う縁。彼らの選択について者コーチは、自分の影響はないという。しかし、永木選手が入団を決める前には、


「選択というのは、自分自身で決めるべきだけど、このチームはお金があるからとか、強いから、かっこいいからとか、見た目のところでは絶対に決めるなと。お前のことを本当に必要としてくれて、お前が成長できるということをフラットに並べて考えて行けと。他人が、『なんでここに行かなかったんだ』と言うかもしれないけど、最終的にお前の人生はお前が決めるのだから、そういう選択の仕方で決めてほしい。お前がどこのチームを選んでも俺はその選択を尊重するし、うちにきたら一緒に頑張れば良いしっていう話はしたことありますね」


ってのがあります。うちの監督はユース畑を歩いてきた人なんで、そりゃもー、色々あったんでしょう。


今年のベルマーレの躍進は、ベルマーレユースの出身者無しにはなしえない成績でして、馬場ちゃん、菊池、鎌田、遠藤航、小林と、ピッチに5人のユース出身者が並ぶ事もありました。他にも、高山と永木はチョウさんがユースの頃にみてあげた子達です。


ベルマーレは、県内にマリノスユースってスーパーな組織がある上に、強豪校との選手の取り合いになるので、なかなか良い選手が集まりません。ただ、2005年から積み重ねが、ようやく実って、ここまで来たんだなァ・・・とホント、感慨深いものがあります。


ベルマーレの編成方針は明確でして、ユース出身者と大学生、韓国人選手の三本柱になってます。大学生選手に関しては、一部リーグの良い選手はまず取れないので、二部なんかに埋もれている選手を探してきてるようです。岩上とか大槻とかがソレです。


ベルマーレはお金のないクラブですが、プロである以上、それは言い訳にできないので、貧乏なりにやり方を考えて編成やってるわけです。リッチなクラブと同じやり方してたら、絶対に負けてしまうので、他の方法を模索しているわけです。


今年、京都さんは昇格逃してしまったわけですけど、僕は京都さんに関しては心配いらないと思ってるんですよね。だって、あそこはユースが機能しているからです。育成が機能しているなら、絶対にいつか華は咲きます。逆に、育成が駄目なクラブってのはジリ貧だと思ってます。ブラジル人ストライカーには、もう頼れないんです。もう値段的に高すぎる。


今年、広島さんは、僕、駄目だろうなーと思ってたんですが、見事優勝してのけました。広島って野球もそうですが、育成が上手い地域で、育てて使うってチームです。育成がしっかりしているチームは、やっぱり強いなあと思った次第です。鹿島も、今年、低迷とか言われてますけど、高卒の大迫と柴崎を使って育ててる訳ですから、偉いと思いますよホント。鹿島は高卒選手とってきて育てて使うチームカラーもってますけど、それで常勝チーム作ってるんですから。



本日は、このあたりで終わろうと思います。糞長いエントリでしたが、読んでくれた方、ありがとうございました。