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サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

サッカーにおける各国の1試合あたりの平均得点のお話

さて皆さん、こんにちは。Jリーグ開幕もいよいよ間近ですが、本日は、ちょっとした数字遊びネタでお送りします。内容的には、タイトルの通り、「サッカーにおける各国の1試合あたりの平均得点のお話」でありんす。


実は、ここ数日ほど、主要国の一試合あたりの平均得点を調べており、実際に調べてみたら、面白い事がわかったので、本日はそれをネタにしてエントリ立てた次第です。興味のある方はおつきあいください。本当は、ゼロックスカップのレビューでもしようかと思ってたんですけどね、ゼロックスの試合内容がなんとも書きにくい内容だったので、こっちに変えました。ルールダービーもレビュー対象としては、なかなか興味深い試合でしたが、ドルのレビューはこないだやったばっかですし。


もともとは「セリエAは本当にゴールが少ないリーグなのか?」ってのを調べていたんですが、それで主要リーグの数字を調べて散布図作ったので、その紹介になります。



さて、話の前に、ちょっと本の紹介になりますが、



サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか

サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか



こちらの「サッカーデータ革命」の紹介をしときます。このエントリの元ネタはこっちの本でして、こちらの本の「攻撃のイノベーションと防御のテクノロジー」の項目に、プレミアリーグブンデスセリエA、リーガの一試合あたりのゴール数のデータが載ってます。それをちょっとキャプして載せておきますが、


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こうなっています。しばしば、「世界のサッカーはこんなに違う」というのがネタにされますが、「一試合あたりのゴール数」という視点で眺めると、実は、プレミア、リーガ、ブンデスセリエAには大きな違いはありません。どこのリーグも一試合あたりのゴール数は2.5以上、3.0未満で、ここ15年間推移している事がわかります。



このデータで面白いのはプレミアの得点数の推移です。1960年代後半に急激に一試合あたりの得点数が落ちてるんです。この時期に何があったのかはよくわかりません。ちなみにプレミアで勝利のポイントが2から3に変更されるのは1970年代ですから、それは関係してません。




J1における一試合あたりのゴール数の推移

さて、まずはJリーグの話から入りましょう。Jリーグといえば、創生期にトルシエに「日本には守備の文化がない」とか言われたり、ピクシーに「来たばかりの頃はゾーンとマンツーマンの違いが正しく認識されていなかった(うろ覚え)」みたいな事言われてたリーグだったります。



で、実際どうだったのよ?という話になるんですが、Jリーグ公式サイトから「一試合あたりの平均得点数」のデータ取ってきて散布図作ると、



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こーなります。このデータで面白いのは、2007年の断絶です。2007年以降、J1では、一試合あたりの得点数が3.0を上回る事がなくなったんです。これはイングランドで起きた事と良く似ているんですけど、ある時期を境に一試合あたりの得点数が3.0を超えなくなってるんですね。



J1ってのは、創生期、かなり点がはいりやすいリーグでした。一試合あたりの得点数が3.0を上回るシーズンが立て続けにあり2000年あたりまでは、かなり「ザル」な部類にはいる得点数でした。ただ、2007年以降は、逆に「欧州主要リーグ並に点が入らない」状態でして、ゴールは貴重になり続けています。



これがJ1における攻撃の質の低下によるものとするか、守備の質の上昇によるものとするかは議論があるでしょう。ただ、はっきりと言えるのは、2007年以降、J1では攻撃と守備の進歩はほぼ拮抗しており、大きな変動がなくなってきているという事です。



一応、J1においては、計算すると1年で0.03ずつゴールが減り続けている訳なんですが、他の主要国のリーグを見る限り、2.5以下に落ちることはまずないので、J1もある意味では成熟してきたと言えるのかもしれません。


例外的にフランスのリーグアンは一試合あたりのゴール数が2.3となっており、調べた限りでは、フランスのリーグアンが最小のリーグです。





セリエAにおける一試合あたりのゴール数の推移


さて、次いきましょう。イタリアのセリエAに話をうつします。よく、「セリエAは守備的でゴールがなかなか入らないリーグだ」と言われます。アンチェロッティなんかは著書でモロにそう発言してます。ただ、実際に調べてみると、そうでもないという事がわかります。


wikipediaで数字調べて、それで散布図作ったので載せておきますが


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こうなります。これ、自分で作って驚いたんですけどね。


イタリアは、戦術的な話をすると、1980年代後半のサッキのミランの登場前と登場後で、大きな断絶があります。サッキのミラン前は、カテナチオのマンツーマン、5バックが主流でしたが、サッキのミラン後4バックのゾーンに切り替わってます。



で、なんですが、サッキのミランの登場後、イタリアでは一試合あたりの得点数が伸び続けてるんです。プレミア、J1、ブンデス、リーガを調べましたが、1980~2014の期間で、一試合あたりの得点数が上昇トレンドを持っていたのはセリエAのみです。


一体、何でこんな事が起きたのか、それはよくわかりません。ただ、はっきりしているのは5バックのマンツーマン、カテナチオやってた頃のほうが、イタリアでは点が入らなかったって所です。4バックのゾーン始めた頃から、イタリアはずーっと点が入りやすくなり続けています。実に興味深い。



でもって、現在なんですが、イタリアに関して言えば、「セリエAは守備的でゴールがなかなか入らないリーグ」というのは神話と言って良いと思います。というのも、2014-15シーズンでも、セリエは一試合当たりのゴール数が2.6となっており、これはプレミアやリーガと変わりません。ブンデスは2.8、リーグアンが2.3、エールが3.0、J1が2.53となっているので、エールやブンデスよりはマシだが、リーグアンのほうが点は入りにくい。そんな所です。


ぶっちゃけ、2014シーズンで比較すると、J1とセリエAは、一試合あたりの得点数は、ほとんど同じです。差は無いと言っていいレベルです。



イタリア人監督のコラムとか読んでると、彼らってセリエAは点が入りにくいリーグだと本気で思ってるようなんですが、数字的には、セリエAは「極めて普通に点が入る」リーグです。彼らは、他のリーグと比較したことがないだけだと思います。



そして、ゴールが貴重なのは、どこのリーグも変わりません。エールは例外でそうでもないみたいですけがね、一試合平均3ゴールみられる珍しいリーグですから。




ブンデスリーガにおける一試合あたりのゴール数の推移


次はブンデス行きましょうか。ここもデータ的になかなか興味深いんです。特にセリエと比較すると興味深い。


散布図載せますが、


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こうなってます。まず、1980年代のブンデスはとんでもないザルリーグでして、この頃のブンデスはマンツーマンが主流だったんですけど、とにかく一試合あたりのゴール数が多かったんです。年間の数値が3.5のシーズンが3つあり、これはかなり酷い数値です。マンツーマン時代のほうが点が入らなかったセリエAとは対照的です。



そして、ブンデスの戦術上の転換期は90年代に入ってからで、90年代あたりからブンデスでもゾーンが導入され始めるんですけど、ブンデスではゾーンの導入以降、一試合あたりのゴール数が減り続けてるんですね。イタリアとは、この点で正反対の傾向を示しています。



ちなみにブンデスなんですけど、ここ10年ほどは一試合あたりのゴール数は2.8前後で安定しており、欧州主要リーグの中では、「比較的ゴールが多い」リーグになってます。他のリーグが2.6前後くらいなんで、若干点が入りやすいリーグです。



リーガにおける一試合あたりのゴール数の推移


最後にリーガ・エスパニョーラに行きましょう。散布図を作ったんですが、



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こうなりました。「何とも言えない」という推移を見せておりますが、リーガについては、1980年代後半は点が入りにくいリーグでしたが、他のシーズンは、ほぼ2.5前後で推移してまして、ひじょ~に一試合あたりのゴール数が安定しているリーグです。ここ20年ほど、ほとんど変化がありません。




ここで、何がわかったのか?

まとめに。


「サッカーデータ革命」でも言及されているが、J1、そしてプレミア、セリエA、リーガ、ブンデスでは、一試合あたりのゴール数は大差ない。どのリーグも最終的に2.5以上、3.0未満に落ち着く。



例外は、フランスのリーグアン(2.3前後で安定)とオランダのエール(3.0以上になることがある)。


プレミアは1960年代後半に急激に得点数が減少しており、それ以前は3.5前後だったが、それ以降は2.6前後になった。原因は不明。一試合あたりの得点数が減った事は、その後、勝利の勝ち点が2から3に変更される原因の一つになる。


セリエAは、カテナチオ時代(マンツーマン)のほうが点が入りにくかった。だがゾーン導入以降、点が入りやすくなった。昨今、セリエAから「ワールドクラスのFW」が消えて久しいが、それでも一試合あたり2.6~2.8点は入っている。FWの質は間違いなく低下しているのに、一試合あたりの得点数が変わらないというのは、やっぱり(以下自粛


ドイツはマンツーマン時代は点が入りやすかったが、ゾーンになってから点が入りにくくなった。セリエAとは逆のトレンドが現れている。


リーガはここ20年ほど、一試合当たりのゴール数が極めて安定している。


J1は年を経るごとに点が入りにくくなっている。それがJ1において反則外人が取りにくくなったせいなのか、守備戦術の向上によるものなのかはわからない。両方なんだろうと思う。多分ね。




番外編 浦和は勝負弱いのか?

ゼロックスで浦和さんが、また「試合後半での失点」で負けたので、番外編でやっときます。


Jリーグ時間帯別失点 総得点 1~15 16~30 31~終 46~60 61~75 76-終了 延長前半 延長後半 76~終了の失点率
J1 ベガルタ仙台 315 28 44 49(4) 50 55 84 2(0) 3(0) 0.2666666667
J1 モンテディオ山形 146 19 22 33(2) 24 18 30 0(0) 0(0) 0.2054794521
J1 鹿島アントラーズ 609 65 80 100(3) 101 108 145 5(0) 5(0) 0.2380952381
J1 浦和レッズ 615 90 91 76(6) 91 98 154 10(0) 5(0) 0.2504065041
J1 大宮アルディージャ 483 71 62 69(6) 89 80 112 0(0) 0(0) 0.231884058
J1 ジェフユナイテッド千葉 549 52 84 97(0) 89 97 117 7(0) 6(0) 0.2131147541
J1 柏レイソル 635 89 69 109(6) 98 107 156 6(0) 1(0) 0.2456692913
J1 FC東京 619 71 84 82(4) 108 112 156 3(0) 3(0) 0.2520193861
J1 東京ヴェルディ 413 56 50 60(0) 57 72 106 6(0) 6(0) 0.2566585956
J1 川崎フロンターレ 532 59 66 83(5) 95 102 127 0(0) 0(0) 0.2387218045
J1 横浜F・マリノス 573 67 76 103(1) 92 86 140 7(0) 2(0) 0.2443280977
J1 横浜FC 66 6 8 16(0) 5 14 17 0(0) 0(0) 0.2575757576
J1 湘南ベルマーレ 216 26 26 42(1) 28 42 49 2(0) 1(0) 0.2268518519
J1 ヴァンフォーレ甲府 264 31 45 37(4) 47 45 59 0(0) 0(0) 0.2234848485
J1 アルビレックス新潟 512 58 63 93(1) 68 98 132 0(0) 0(0) 0.2578125
J1 清水エスパルス 723 83 79 116(4) 111 131 196 5(0) 2(0) 0.2710926694
J1 ジュビロ磐田 676 77 91 80(3) 123 122 175 5(0) 3(0) 0.2588757396
J1 名古屋グランパス 698 76 87 121(7) 106 127 170 7(0) 4(0) 0.2435530086
J1 京都サンガF.C. 453 45 59 72(0) 83 76 108 7(0) 3(0) 0.238410596
J1 ガンバ大阪 690 86 86 102(6) 103 121 180 9(0) 3(0) 0.2608695652
J1 セレッソ大阪 612 70 86 87(2) 91 123 150 2(0) 3(0) 0.2450980392
J1 ヴィッセル神戸 699 78 91 123(7) 106 128 157 8(0) 8(0) 0.2246065808
J1 サンフレッチェ広島 632 54 72 93(6) 105 139 155 9(0) 5(0) 0.2452531646
J1 徳島ヴォルティス 74 10 10 16(1) 11 11 16 0(0) 0(0) 0.2162162162
J1 アビスパ福岡 294 32 37 52(3) 46 55 61 7(0) 4(0) 0.2074829932
J1 サガン鳥栖 135 8 21 16(4) 20 27 43 0(0) 0(0) 0.3185185185
J1 大分トリニータ 377 36 46 74(1) 66 63 92 0(0) 0(0) 0.2440318302


これは公式サイトから数字ひっぱてきた奴です。オールタイムだと、浦和さんは別に「試合終了直前の失点が多いチーム」って訳じゃありやせん。試合終了直前の失点が多いチームってのは、実は鳥栖さんです。鳥栖さんが勝負弱いってイメージがないのは、鳥栖さんの場合、J1で先制点とった試合では大概勝ってるからです。


ちなみに、2014年だと、


J1 時間帯別(失点)(2014)
総失点 1-15分 16-30分 31-前終 46-60分 61-75分 76-終了 76~終了の失点率
仙台 50 3 5 11(2) 7 11 13 0.26
鹿島 39 2 6 7(1) 8 9 7 0.1794871795
浦和 32 5 5 3(0) 2 7 10 0.3125
大宮 60 7 13 5(0) 14 8 13 0.2166666667
40 3 9 7(2) 6 9 6 0.15
F東京 33 3 3 5(1) 8 6 8 0.2424242424
川崎 43 5 7 6(1) 6 6 13 0.3023255814
横浜M 29 2 2 9(0) 5 3 8 0.275862069
甲府 31 5 8 3(1) 8 4 3 0.0967741935
新潟 36 4 4 7(0) 5 8 8 0.2222222222
清水 60 11 8 10(1) 9 10 12 0.2
名古屋 48 7 7 3(0) 7 10 14 0.2916666667
G大阪 31 6 2 4(1) 2 7 10 0.3225806452
C大阪 48 6 5 6(1) 6 10 15 0.3125
神戸 50 4 10 10(3) 8 9 9 0.18
広島 37 6 6 4(1) 5 7 9 0.2432432432
徳島 74 10 10 16(1) 11 11 16 0.2162162162
鳥栖 33 1 3 4(1) 6 7 12 0.3636363636

こーなります。2014に限っては、浦和さん、悪い数字ですね。終了間際の失点が30%を超しております。ただ、ガンバや鳥栖も超してますので、「勝負弱い」ってイメージは、ガンバと鳥栖が先制した試合の8割強勝ってるのに対して、浦和は6割強しか勝てなかったせいだと思います。


ミシャが就任してからの浦和さん、先制した場合の勝率は0.672、前半リード時は0.750となってます。通算データだと、浦和の先制した場合の勝率は0.748ですんで、悪いといえば悪いですが、この数字については、運次第な所もありますから何とも言えません。


去年はガンバに逆転優勝食らってますが、去年のガンバは先制した場合の勝率0.850、前半リード時0.909っていう頭おかしい数字なので、継続不可能な数字です。ガンバは通算では先制した場合の勝率0.716です。昨シーズンほどの数字は出せないと思いますよマジに。


なので、これは、そんな悲観する必要はありません。(と、開幕戦、湘南は浦和さんとやるんですが、ACLから中二日+長距離移動という状況なんで、ワンチャンあると思っている湘南サポは申しておりましたとさ。



ではでは