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海外のGK達のお話、プレミア、リーガ、ブンデス、セリエA。

皆さん、こんにちは。代表戦期間ですが、本日もGKネタです。


本日のお題は、海外のGKのお話です。なんで、まずは、海外のGKのスタッツを見ていきましょう。


2011〜2012年、プレミアリーグのGKのスタッツ

まずは、プレミアリーグから行きましょう。表つくったので載せておきます。大体、30試合前後出たGKのものです。

EPL – starters by club
club Keeper Games goal Saves Save %
Arsenal Szczesny 38 49 84 0.632
Aston Villa Given 32 45 98 0.685
Blackburn Robinson 34 96 71 0.425
Bolton Jaaskelainen 18 40 77 0.658
Bolton Bogdan 20 37 63 0.63
Chelsea Cech 34 39 84 0.683
Everton Howard 38 40 95 0.704
Fulham Schwarzer 30 37 102 0.734
Liverpool Reina 34 35 79 0.693
Man City Hart 38 29 97 0.77
Man United De Gea 29 29 102 0.779
Newcastle Krul 38 51 114 0.691
Norwich City Ruddy 37 63 137 0.685
QPR Kenny 33 59 107 0.645
Stoke City Begovic 22 31 79 0.718
Sunderland Mignolet 29 33 94 0.74
Swansea City Vorm 37 49 136 0.735
Spurs Friedel 38 41 114 0.735
WBA Foster 37 49 117 0.705
Wigan Al Habsi 38 62 119 0.657
Wolves Hennessey 34 73 165 0.693


ソースはEuropean Goalkeeper statsからです。ここのページは、ESPN Soccernet's Player stats からデータを引っ張ってるようですが。


さて、プレミアリーグの、GKセーブ率は0.683となっています。


これだけみると、そんなにJリーグと違わなくね?って思うかもしれませんが、プレミアには文字通りの「モンスターGK」がいます。Jリーグだと、GKセーブ率で最高なのは、曽ヶ端の75%と楢崎の74%なんですけど、プレミアリーグだと、セーブ率75%を超えるGKがちょくちょく出るんですね。


2011/2012シーズンでは、セーブ率でイングランド代表のジョー・ハートが77%、スペイン代表のデ・ヘアが79%を記録してます。これは、ちょっと尋常じゃない数字で、J1だと、ここまでセーブ率が高いGKは滅多にでません。というより、セーブ率平均68%のリーグで、セーブ率75%超えるのって、尋常じゃないGKなんです。



ちょっと箇条書きしますが、近年、プレミアでセーブ率75%を超えたのは、知ってるだけで、


ペトロ・チェフ Petr Cech
2010〜2011シーズン、Chelseaにてセーブ率78%を記録。言わずとしれた世界最高のGKの一人。ただし、2011〜2012シーズンは、調子が悪かったのか、セーブ率68%ほどだった。自身の調子が悪かったのか、チームの調子がアレだったのか、AVBが気に入らなかったのかは謎。



ブラッド・フリーデル
2009/10シーズン、Aston Villaにて、セーブ率80%を記録。打たれた枠内シュートは157本。元アメリカ代表GK。現在、41才にも関わらず現役続行中。トッテナム・ホットスパーFC所属。


エトヴィン・ファン・デル・サール
2009/10シーズン、マンUでセーブ率80%を記録。説明不要の近年最高のGKの一人。2011/12シーズンにて引退。引退の年の成績は、セーブ率73%だった。多分、まだやれる。


マーカス・ハーネマン
2009/10シーズン、ウォルヴァーハンプトンにて、セーブ率80%を記録。アメリカ出身のGKで、現在40才。現在、エバートンに所属。


などの他に、アスミル・ベゴヴィッチ、クレイグ・ゴードン、エウレリョ・ゴメス、ベン・フォスターと、結構な数がいます。


プレミアの特徴なんですが、世界中から、良いGKをリクルートしてくるんで、GKが笑えるほどハイレベルです。まあ、そのせいか、イングランド出身のGKが肩身が狭い状況でもあるんですけどね。つーか、世界中のスーパーGKと競争したら、イングランドのGKなんて、ほとんど出場できるわけないでしょっていう。


プレミアは世界のリーグから、セーブ率75〜80%くらいのGKをコレクションできる訳で、あそこのGKは反則すぎます。イングランドのGKで凄いのはハートくらいのモンですが、プレミアは世界中からいいGK集めてくるから、反則的にいいGKが揃ってます。あと英語が公用語ってのもでかいですね。GKは言葉できないと駄目だから。


ちょっと不思議なのは、アーセナルです。もっと良いGK取れると思うんですけどね。ヴェンゲル、何してん・・・と思ってます。シュチェスニーで、本当にいいのかい?と。デビッド・シーマンイェンス・レーマンの後継者がシュチェスニーというのは、ちょっと解せない最近です。


あと、ユナイテッドで、ファンデルサールの後継者と目されるデヘアは結構やらかすので、アレだと思う人もいるかもしれませんが、セービングの技術そのものはズバ抜けていいです。キャリアを見ても、ここ2シーズンほど、セーブ率が79%ほどあって、やらかし癖があっても、使われるのは当然かなと。ユナイテッドのGKって、セーブ率80%が求められるチームですから、デヘアには頑張ってもらわないといけません。


それと、ハイレベルなGKが多いのに、セーブ率の平均が68%と低めなのは何で?と言われたら、これ、プレミアはオープンな展開になりやすいってのがあげられます。


セリエAやリーガと比較すると、プレミアは縦に早く、オープンな展開の試合が多いんです。そのため、試合によっては、かなりGKノーチャンスな時もあるわけです。これは、ブンデスにも似たような傾向があります。

リーガエスパニョーラのGK達

さて、次がリーガのGKです。同じく、2011/12シーズンのものです。30試合前後でたGKを抜き出してあります。

La Liga – starters by club
club Keeper Games goal Saves GAA Save %
Athletic Bilbao Iraizoz 37 52 147 1.405 0.739
Atletico Madrid Courtois 37 41 87 1.108 0.68
Barcelona Valdes 35 28 59 0.8 0.678
Getafe Moya 36 48 124 1.333 0.721
Levante Munua 37 50 128 1.351 0.719
Malaga Caballero 28 35 84 1.25 0.706
Mallorca Aouate 37 44 124 1.189 0.738
Osasuna Fernandez 37 61 126 1.649 0.674
R. Santander Tono 25 33 89 1.32 0.73
Real Betis Casto 22 31 82 1.409 0.726
Real Madrid Casillas 37 31 84 0.838 0.73
Real Sociedad Bravo 37 51 132 1.378 0.721
Real Zaragoza Gago 38 61 142 1.605 0.7
Sevilla Varas 25 35 76 1.4 0.685
Sporting Gijon Colinas 37 65 147 1.757 0.693
Valencia Panadero 26 25 71 0.962 0.74
Villarreal Diego Lopez 37 50 118 1.351 0.702


こうなります。セーブ率の平均は70%ほどです。セーブ率の平均が高いってのが特徴ですね、ここは。


こないだ、マラドーナが「バルセロナは偉大なチームだ。あのメンバーに囲まれれば、GKまですごい選手に見えてくる。実際、バルデスはひどいGKだからね」 なんて言って、バルデスを酷評してましたが、2011/12シーズンのバルデスの成績は、お世辞にも良いとは言えないので、しょうがないと思います。セーブ率66%じゃね。


ただ、バルセロナに関しては、ラインが高いので、一回裏取られるとGKノーチャンスな一対一になりがちです。最近のバルセロナはハイプレスがあんまし機能してないから、バルデスのセーブ率が悪くなるのは仕方ない事かと。


現実問題として、2010/2011シーズンでは、バルデスは82%のセーブ率を記録しており、リーガ最高でした。まぁ、あそこのチームは、ちょっとでもポゼッションとハイプレスが機能しなくなると、単なるザルになる可能性が高いチームなんで、バルデスのセーブ率に関しては、今後も不安定になると思います。チーム的にしゃーないす。


もっとも、このあたりは、ガンバの藤ヶ谷さんについても同じ事が言える訳ですがね。ただ、藤ヶ谷さんについては、もともとセーブ率が良くないってのもあるので、何ともいえない所です。バルデスにしろ藤ヶ谷さんにしろ、とても評価に困るGKです。いずれにしろ2011/12のバルデスにしろ、藤ヶ谷さんの成績にしろ、酷評されるのはしょうがない成績だってのは間違いありません。GKは難儀な商売です。


リーガは、平均的にセーブ率が高いんですけど、30試合以上でて、セーブ率75%以上ってGKは近年、あんまし出てません。デヘアくらいじゃないかな、最近だと。理由はよくわかりません。もっとも、僕の記憶違いかもしれませんけど。


セリエAのGK達

さて、次がセリエです。2011/12シーズンのものですが、

Serie A – starters by club
club Keeper Games goal Saves GAA Save %
AC Milan Abbiati 32 26 81 0.813 0.757
AS Roma Stekelenburg 29 40 81 1.379 0.669
Atalanta Consigli 35 36 97 1.029 0.729
Bologna Gillet 30 32 94 1.067 0.746
Cagliari Agazzi 36 46 112 1.278 0.709
Cesena Antonioli 30 48 116 1.6 0.707
Chievo Verona Sorrentino 37 45 106 1.216 0.702
Fiorentina Boruc 36 41 100 1.139 0.709
Genoa Frey 38 69 136 1.816 0.663
Internazionale Cesar 33 43 85 1.303 0.664
Juventus Buffon 35 16 79 0.457 0.832
Lazio Marchetti 31 37 95 1.194 0.72
Lecce Benassi 29 38 117 1.31 0.755
Napoli De Sanctis 37 46 98 1.243 0.681
Novara Ujkani 24 37 79 1.542 0.681
Parma Mirante 30 47 81 1.567 0.633
Udinese Handanovic 38 35 112 0.921 0.762


こーなります。ここもセーブ率の平均は70%ほどです。


えーと、セリエなんですが、ここは、ビッグクラブにモンスターGKがいます。ミランのアッビアーティとユーヴェのブッフォンです。特にブッフォンがやばい。セーブ率83%とか頭オカシイ。最近は、ジュリオ・セザールがぱっとしませんけど、全盛期は凄かったです。


ブッフォンは怪我が多いのが難点ですが、とにかくセーブ率が糞高いのが特徴でして、セーブ率80%近いシーズンがかなりあります。アンチェロッティが「ブッフォン以上の才能をもつものなど存在しない」なんて言ってますが、セーブ率のみで言えば、現在、世界最高のGKは彼です。ただ、怪我が多いのがホント難点ですね。


又、セリエAの場合、試合がオープンな展開になることはまずありません。そーいうリーグです。だから、GKノーチャンスな局面は滅多に生まれにくいリーグです。そのため、GKの能力に関しては、ちょっと高めにでてる可能性があります。そこんとこ、よろしくお願いします。


ブンデスのGK達

さて、最後がブンデスのGK達です。ここは、ちょいと注意が必要ですね。

Bundesliga – starters by club
club Keeper Games goal Saves GAA Save %
B. Leverkusen Leno 33 42 99 1.273 0.702
Bayern Munich Neuer 33 22 58 0.667 0.725
B. Dortmund Weidenfeller 32 22 74 0.688 0.771
B. M'gladbach ter Stegen 34 24 103 0.706 0.811
Koln Rensing 32 71 113 2.219 0.614
Hamburg Drobny 32 55 120 1.719 0.686
Hannover Zieler 34 45 129 1.324 0.741
Hertha Berlin Kraft 36 64 127 1.778 0.665
Freiburg Baumann 33 57 107 1.727 0.652
TSG Hoff'heim Starke 33 47 115 1.424 0.71
VfB Stuttgart Ulreich 34 46 120 1.353 0.723
VfL Wolfsburg Benaglio 32 56 97 1.75 0.634

さて、こうなりました。シーズンは2011/12シーズンのものです。これだけ見ると「ノイアー低くね?」とか思われるかもしれませんが、ちょいとブンデスの特徴を。


ブンデスリーガは、実はGKの枠内シュートセーブ率がよくありません。平均で64%ほどで、プレミア、リーガ、セリエと比べると、かなり低い値です。


だから、これだけ見ると、ブンデスのGKってレベル低いとか思われそうですが、そうじゃないんです。


ブンデスの試合を見れば、飛び抜けてGKのレベルが高いって事に気づきます。笑えるほどGKのレベルは高いです。ただし、守備は、基本的に「一対一重視」のやり方でして、アタッカーには、かなりスペースがあるリーグです。そのため、オープンな展開になりやすいリーグでして、見ている分には面白いのですが、GKとしてはたまったモンじゃないリーグです。GKノーチャンスな展開がかなりあるからです。


なので、ブンデスのGKのセーブ率については、他のリーグのGKの数字と同列には比較できません。リーグの傾向上、低めにでます。セーブ率5%ほど、他のリーグより低めにでると思ってください。


それで、なんですけど、ドルトムントのヴァイデンフェラーがセーブ率77%、ボルシアMGのテア・シュテーゲンが81%なんて数字を残してる訳ですけど、ドルトムントとボルシアMGに関しては、ブンデスリーガらしくない守備をやるチームです。つまり、オープンな展開になるような守備やりません。ソリッドで組織的です。なんで、この二人については、数字的に下駄履いてると思ってください。


勿論、二人とも、とてもいいGKなんですけどね。ただ、この2チームに関しては、ブンデスらしくない守備やってるので、その辺りを含んでおいてください、という話です。


ブンデスの場合、数字的には、リーグ平均が64%ですから、70%超えてたら、とてもいいGKだと思ってください。つまり、ハノーファーのツィーラーとか、シュッツトガルドのウルライヒとか、レバークーゼンのレノとかね。とてもいいGKです。三人とも。


まあ、ブンデスのGK性能からいって、セリエAみたいな守備してたらGK無双のリーグになりかねないと思ってるので、あのままでいいです。


理由は見てて面白いから。


ゾーンディフェンスって、サッカーの試合をつまんなくさせがちだと思うんですよ。昔のNBAみたいに守備方法はマンツーマン以外禁止にしたら、サッカーは、もっと面白くなると思うのは僕だけでしょうか。


NBAもゾーンディフェンスを部分的に解禁したら、なんだか、面白くなくなった気がするし。ブンデスはみる分にはホント面白いです。オープンな展開多いしね。まあ、どうでもいい話ですけど。

日本と海外のGKで差はどれくらいあるかって話


最後に、この話になるのですがね。


ここまで、海外のGKのスタッツ見てきましたが、大体、J1だと最高のGKでもセーブ率は75%程度です。ただ、海外だと、80%くらいの化け物がいるんですよ。コレが最大の違いでしてね。


海外産のGKをよく使うリーグがプレミアになります。プレミアは、海外から超いいGKをリクルートしてくるリーグでして、GKにモンスターみたいなのが結構います。


イングランド人のGKとなら、楢崎でもいい勝負できるでしょう。ハートみたいな化け物は別ですけど、それ以外なら勝負になる。ただ、プレミアリーグで楢崎が勝負しないといけないGKって、イングランド人でなく、各国リーグの№1のGK達なんです。こうなると、流石に厳しい。


各国リーグのGKのセーブ率みてきましたが、正GKでもセーブ率70%下回っている奴はいるわけです。ただ、問題は上なんですわね。上位クラスになるとセーブ率75%超えてる化け物が君臨してて、J1では滅多にでないセーブ率75%超えのGKってのが、結構いるわけです。


いわゆる、世界との差、という意味では、こーいうモンスターGKの有無って所だと思います。つまり、トップレベルのリーグで、セーブ率75%を超えるようなモンスターGKを日本は持ってないって所です。


まあ、これはしょうがないっちゃしょうがないんですけどね。GKはサイズが要求されるポジションだし、日本だと190センチで機敏に動けるアスリートなんて、極めて希少だから。


日本人だと、室伏とかがサッカーやっててくれたら、理想的なGKになったと思うんですけどね。まあ、室伏なら、どのスポーツやってても、超一流になれたでしょうけど。だから室伏はさっさと子供つくってくれ。メダルはもういいから、子供はやくたのむ。


今日はこのあたりで。ではでは。