読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

ガンバと日本代表と浦和の今後のお話

サッカー

ちょっと思う所があり、今日は題名通りのお話でも。結構、とりとめのない内容ですが。

と、その前に、欧州サッカー批評で、 スーペル・デポルを作り上げた名監督、ハビエル・イレルタのインタビューがあったんで、そいつをちょいと引用します。黒字がインタビュアーです。

現代のサッカーの戦術をどのように分析していますか?

「数年前までカウンター戦術が勝利のために有効と思われてきたが、ユーロ2008とスペイン代表の優勝と昨季のバルセロナの三冠で、現在はポゼッション戦術への評価が高まっている。
 戦術というものは守備をベースに真価してきており、現代のトレンドは『最高の守備はボールをもって攻撃すること』というポゼッション戦術的な考え方だ」

ただ、ポゼッション戦術を採用するためにはシャビ、イニエスタのような選手を抱える必要があるので、普通のチームがやろうと思ってできるものではありません。


「その通り。スペイン代表もバルセロナもシャビのような選手がいるからこそ、ポゼッションサッカーができる。ただ、ここ10年、15年で戦術の流れを振り返った時、スペイン代表とバルセロナが方向をドラティックに変えたことがわかる。
 以前は、技術的に優れた選手を何人も同時に起用することは”リスク”と考えられていた。中心選手は一人で十分で、他の選手は中心選手のためにプレーしていた。
 例えば、中盤にシャビ、イニエスタ、シルバ、セスクといった体格に劣る小柄な選手を同時に起用することはリスクと『魅力的だけれど守備面でリスクが高すぎる』と言われていたに違いないし、実際そういうリスクを背負ってまで勝利を求める監督はいなかった。その壁というか制限をスペイン代表のルイス・アラゴネスバルセロナグアルディオラの二人が取り払ってしまった。」


例えば、以前の戦術や監督の考えからすると前線右にメッシがいて、中盤同サイドにシャビを置くということはありえないわけですね?

「そういうこと。以前の考え方であれば、監督はメッシを中心に中盤にはボール奪取能力に優れた選手を起用していたはず。
 でもグアルディオラはボールを奪い返すことでなく、ポゼッション率を高めることを考えてチームを作った」

もしバルセロナグアルディオラでなく、モウリーニョが来ていたら中盤は屈強な選手で構成されることになったと考えますか?

「それはわからないが、ヤヤ・トゥーレ、ブスケツ、ケイタの中盤3人になっていた可能性もあるだろう。」

で、なんですが、近年、ポゼッションサッカーで名を馳せたチームは、アンチェロッティのミランと、グアルディオラのバルサ、日本では、ガンバ、セレッソ、広島なんかがポゼッションサッカーやってます。系統的には、日本代表も、ポゼッションサッカーです。


で、ちょいと「アンチェロッティの戦術ノート」から引用しますが、

一般的にいって、ヨーロッパの多くのチームは、CBにはテクニックよりも高さや強さ、あるいは速さを備えた選手を置いているし、中盤センターにも守備的なキャラクターの強い選手を起用する傾向が強い。こうしたチームは、最終ラインからパスをつなぎポゼッションを通して攻撃を組み立てるのではなく、前線へのロングパスとそのセカンドボールからの展開、あるいはプレッシングによるボール奪取からの切り替えの早い速攻を柱にすえたサッカーを志向している。


 逆説的に聞こえるかもしれないが、ポゼッションによって主導権を握り攻撃を組み立てるよりも、ロングパスや速攻によるカウンターアタックを基本に据えるほうが、失点のリスクはずっと小さい。ポゼッションは、ボールを支配できる反面、すでに見たように組織のバランスを崩しやすいため、ボールを失った後に逆襲を喫する可能性が高い。守備を固めて、攻撃に人数をかけないカウンターの方が、攻守のバランスはずっと保ちやすいのだ。


 例えば、歴史的にディフェンスとカウンターアタックを基盤に置く事で発展してきたイタリアでは、ボールポゼッションを重視する考え方は昔も今も支配的ではない。イタリアのチームの大半は、ポゼッションにも試合の主導権を握ることにもこだわらないし、逆に主導権をにぎっていないことに満足しているだろう。それが、リスクを冒さずに結果を手に入れる近道だからだ。


というのがあります。


現在のサッカーの流れ的に、ポゼッションをやるチームと、トランジションサッカー(攻守の切り替えの早いサッカー)という二つの流れがあります。ポゼッションサッカーは、バルサが代表格。で、トランジションサッカーは、モウリーニョが代表格になってます。


トランジションサッカーは、攻守の切り替えを極限にまで早くしたサッカーで、ボールを奪ったら素早く攻撃にうつり、8秒以内にフィニッシュまで持ち込むのが理想です。なんで8秒かっていうと、トップレベルのチーム相手だと、ボールを奪われた後、9秒あれば、大体、守備組織を復元してしまうからです。最近のサッカーの流れでは、とにかく攻守の切り替えがどんどん早くなっていて、ボールを奪われた後に、守備組織を瞬時に復元できるチームが増えているため、カウンターには、とにかくスピードが求められる時代になっています。というか、カウンター戦術をとるなら、攻守の切り替えが糞みたいに早くないと、得点力不足に見舞われます。

ガンバ大阪西野朗、そして遠藤保仁のお話

で、なんですけど、まずは、今日はガンバのお話になるんですが、ガンバ大阪といえば、日本におけるポゼッションサッカーの代表格であり、そして、そのサッカーの中心には、日本代表のゲームメーカーである遠藤がいるわけです。


で、なんですけど、西野監督アトランタ五輪の時、守備的なシステムを使って批判された時のあてつけなのかって位、ガンバのサッカーでは反動的な事してます。


ガンバの特徴は、最終ラインのメンバー構成です。山口智中澤聡太といった、フィードの良いCBを常に起用します。シジクレイなんて、その代表格でした。GKの藤ヶ谷もフィードは良い方です。なんで、最終ラインにフィードの良い選手を起用するかって言うことになるんですが、こいつは、遠藤に良い形でボールを持たせるためで、はっきりいって、遠藤用にカスタマイズされた最終ラインといって差し支えないレベルです。後ろによいフィードが出せるCBを置いて、遠藤に良い形でボールが持てるように設計されてるわけです。だから、多少の守備の悪さには目をつぶって、フィード能力が高い選手が起用されてます。


ポゼッションサッカーをやる場合、傑出したゲームメーカーの存在と、それを支える最終ラインのCBやGKがボールを扱えることは、とても重要になります。ここで、がっつりボール回せないようだと、ゲームメーカーがタイトにマークされて終わりです。遠藤はフィジカル的に優れた資質をもってるわけじゃないので、CBやGKの足下は非常に重要になります。


こういってはなんですが、ガンバの最終ラインは、ボールを奪い返す為でなく、ボールをポゼッションするために設計されてるといっても過言じゃありません。その目的は、傑出したゲームメーカーである遠藤の能力を活かすためで、彼のために設計されてるようなモンなんです。


アンチェロッティのミランには、フィードと守備力を完備したネスタとマルディーニ、そしてピルロがいました。あそこが、ポゼッションにおける出発点であり、彼らがいたから、あのサッカーが出来たとも言えます。同時に、バルサにはピケとプジョルが、シャビの影として存在しています。共に、守備力とフィードを兼ね備えた選手で、彼らの存在なくして、あのサッカーは成立しえません。


日本代表でもそうなんですが、遠藤のゲームメイクの影には、今野と吉田という二人のCBがいます。二人とも、MF並の足下をもつ選手で、彼らがしっかりボールを持てるから、遠藤までいい形でボールを運べる。そして、遠藤が良い形でボールを持てるから、前線の選手のオフザボールが生きてくる。最終ラインのフィードの良さが、ゲームメーカーを助け、ゲームメーカーは前の選手を助ける。そういう訳です。

ザックのCBの選手起用について。ガンバ化?

で、なんですけど、やっぱり日本代表の話になるんですけど、ザックが、日本代表監督に就任した時に、まず手を加えた所がCBだって事です。原監督代行の時のパラグアイ戦では、中澤と栗原でした。が、ザックが最初にやったことは、CBに今野を起用。その後も、彼への信頼は変わらず、ずーっとスタメンのまま、全試合出場中です。


そして、もう一つ。アジアカップでは、栗原でもイワマサ先生でもなく、マヤと今野を組ませたって所です。マヤは長身CBですが、高さという面では、前の二人には劣ります。その代わり、MF並のフィードができる選手で、これで、CB二人が足下を完備してる事になりました。


こういう形でのCB起用は、ポゼッションサッカー向けのやり方です。正直、「ザックってガンバばっか見に来てるけどガンバ好きなのか?」とか思ったり。最終ラインの組み方がガンバ的なんですな。


さらにもう一つ、決定的だったのは、遠藤の位置です。アジアカップ初戦のヨルダン戦では、遠藤が右にいたんですけど、シリア戦からは遠藤が左に入ってました。通常、左に香川、遠藤という並びは、『魅力的だけれど守備面でリスクが高すぎる』って形で敬遠されるような配置です。その上、サウジ戦からは、長友を頻繁にオーバーラップさせるようになりました。


ただ、冒険ではありましたが、サウジ戦で大勝し自信を深めたのか、その後も、こいつが基本形になりました。


つまり、最終ラインにフィードの良いCBを起用し、遠藤が良い形でボールを持てるようにし、また遠藤のゲームメイクを助ける。遠藤が左サイドで良い形でもったら、長友をオーバーラップさせ、香川を中に絞らせて崩しに移行するって形です。ボールを奪い返す為でなく、ボールをポゼッションし、そこから崩すためのチーム作りで、そういう意味では、全く理にかなった人選だったりします。積極的なゲーム支配のための人選で、ザックも結構冒険してるわけです。


タジキスタン戦ではケンゴがトップ下に入ってるので、その傾向はさらに強くなっています。「ボールを持って攻撃することで守備の機会を減らす」っていうポゼッション戦術をザックは日本代表でとっています。だから、多少、高さを犠牲にしてでも、CBに足下の良い選手を使い、ボールを奪い返す力が不足してても、香川や遠藤を同時に左サイドで使ってます。

遠藤がいなくなったら。ガンバと日本代表のケース

で、なんですけど、これは多分、僕も含めて、多くの人がどうするよ?って思ってることだと思うんですけどね。


まず、ガンバ。遠藤がいないようだと、最終ラインに、足下のよいCBを使う意味が薄れます。長い事、ポゼッションサッカーをガンバはやってますが、あのサッカーは、中盤から後ろは、遠藤用にカスタマイズされた人選で、フィードのよいCB,遠藤の影として守備を支えるマケレレロールを引き受ける明神と、完全に遠藤ナイズされてます。


しかし、遠藤の調子が悪かったり、不在だったりすると、ボールを奪い返す力の無さが、そのままチームに降りかかる。マイナス面がモロに出てしまう。チームのバランスが崩れると、失点が多くなる。そういう設計のチームなんだからしょうがないっちゃ、しょうがないんですけどね。しかし、遠藤がいいコンディションなら、一方的にポゼッションを行い、ゲームを支配し、圧倒的な攻撃力で相手を蹂躙します。そーゆーサッカーでチーム設計です。


これは日本代表でもそうなんですけど、今の日本代表は、遠藤を中心としたボールポゼッションを軸に据えたチーム設計です。最終ラインも、CB二人に足下に優れた選手を使い、それをポゼッション面から支える設計になってます。


しかし、遠藤不在になると、ボールを奪い返す力の無さがそのままチームのバランスを崩してしまいます。あの最終ラインの人選は、遠藤あってのもので、遠藤がいないなら、違う人選をしたほうが良くなります。それに伴って前のメンツも変える必要が出てきます。


ガンバにしろ、日本代表にしろ、あのレベルのゲームメーカーを失えば、チーム設計そのものを変えなきゃいけないレベルです。


いずれは避けられない問題とチームの刷新

遠藤がいなくなったらどうするか?それはガンバと日本代表の今後の問題です。特にガンバについては、切実で、遠藤の力を活かすために設計されているため、チーム設計そのものをかえなきゃいけなくなる。


トランジションサッカーに切り替えるというのも手ですが、はっきりいって、それはそれで難しい問題です。引いて守ってロングカウンターにしろ、前から行ってショートカウンターにしろ、トランジションから良い攻撃を仕掛けることが出来るのが絶対条件で、それ無しに安定して勝つ事は無理です。


そして、実際問題として、近年のJリーグでも、カウンターするために必要な時間はどんどん短くなってます。むかーしは、「ボールを奪ってから15秒でフィニッシュしろ」なんて指導が流行った時期もありましたが、今のJじゃ、15秒あったら、守備ブロックががっちがちに整ってます。ボールを奪ってから10秒以内にフィニッシュできないようだと話にならない時代です。そして、そういう攻撃が出来ないチームも多いのが実情です。J2から上がって来たチームが、最初に戸惑うポイントでもありますが、J1のトップチームって、守備組織の再構築が速い!!J2ならカウンターにいける時でも、相手の帰陣が速くて、出来ない事がよくあります。スピードが違うんですわ。


ベルマーレサポやってますが、J1とJ2だと、やっぱり、そのあたりに違いがあります。J2だとカウンターにいけたのに、J1のチーム相手だと、それすらさせてくれない事が多かった。カウンターで、J1のチームと戦うのは難しいなあと感じたもんです。もっとも、ベルマーレの問題は、結局、金がないって所なんですが。貧乏人には貧乏人なりの戦い方があるし、悩みがあります。代表とかJ1のトップチームの問題とは違った悩みです。

ここで浦和の得点力不足について。カウンター出来ない浦和。

現在、J2降格に片足つっこんでる浦和のサッカーをみて思うことですが、ポジション固定のサッカーなんで、相手にがっつりブロック作られてしまうと、厳しいです。そういう時は、原口がドリブルでゲームを壊してくれないときつい状態です。ですが、ポジション固定で、中央からボールがでてこず、SBからしか原口にボールが入らない状態なんですよねあそこ。柏木から原口にボールが出れば、原口はもっと良い形で前を向けるんですけど、そういうビルドアップもない。右SBからはじめるのが異様に多い。何で左からはじめないんだろう?柏木がいるのに。


SHやウィングって、SBから縦にボールを入れられると、後ろ向きでボールを受けざるを得ない為、すぐに相手のSBとSHに挟まれてしまい、どうにもならなくなってきてます。というか、そこで潰されてカウンターの起点になっちゃう事が多いです。SBからSHに繋ぐのは相手が読みやすいので、パスカットしやすいし、潰しやすい。日本代表でも、遠藤が左に流れるのがデフォじゃなかった時期、長友から香川に縦パスいれるのを何度も見ました。


が、あんなん、相手にしてみれば、おっそろしく読みやすいので、潰し放題です。長友は、左サイドの底から、本田に縦パス通せる選手じゃないし、サイドチェンジなんて出来ない。だから、パスコースは必然的に香川の所しかないわけで、香川の所で潰されるに決まってる。なんで、遠藤が左に流れてきて、長友をオーバーラップさせ、遠藤に、長友、香川、本田、サイドチェンジと4つのパスコースを確保させてビルドアップがようやく安定し、崩しにいけるようになりました。


ただ浦和はそういうことはしてません。柏木を左に流れさせて、左SBをオーバーラップさせ、左SB、原口、山田直輝へのパスコースを造ってやれば、ずっと点とりやすくなるとは思うんですけどね。そういうポジション流動化サッカーは、あそこはやらないんで。主に監督が。もっとも、そういうサッカーは守備が崩れやすいから嫌だっていうのは理解できるので、それなら、トランジションを早くすべきなんです。


結局、ああいうポジション固定のサッカーの場合、攻守の切り替えを早くしてのカウンターが重要になります。カウンターが出来ないようだと、得点力が当然不足してきます。トランジションサッカーをやるしかない。


なんですけど、今の浦和って、ものすっごくカウンターがヘタなんですね。前からいってボールを奪ったのに、その後、何故か、最終ラインにボールを戻してしまう。前に走り込んでパスコースを作る奴がいない。後ろでボールを奪っても、前でボール収められないので、ロングカウンターにも行けない。J1では、ただでさえ、攻守の切り替えが速くなってきてるのに、あれじゃ、カウンターなんか出来るはずがない。ボールを奪った後の展開が遅すぎる。猛然とゴールに向かうべき所でちんたらボールを回してしまう。


あそこのサッカーは不思議な所ばっかりですが、あのメンツで、リーグ戦5試合くらい無得点なのは、正直どうかしてますよ。ビルドアップはともかくとしても、カウンターが出来ないとか、どうかしてる。カウンターが出来ないチームが点とれるわけがないんです。結局、ポゼッションサッカーでも、カウンターは重要な得点源なので、カウンターをする時の方法が、きちんとチームで出来てないのは致命的です。それとも、チームの方針として、カウンター禁止か何かなんでしょうかね。


点とれなきゃ勝てないのがサッカーです。これは永遠の真理。残留しようとしたら、点はとらないといけない。ポゼッションサッカーしろとはいいませんが、カウンターが下手すぎるのは致命的じゃないかと。


思うに前でボール収められるワシントンとポンテを失ってから、浦和の迷走が続いてるんですけど、遠藤失った後の日本代表とガンバもあんなんになるんでしょうかねぇとか、色々と思う事もあるんです。一つの時代が終わって、次のサイクルに移行するときの生みの苦しみみたいなモンですけど。西野さんもザックも名監督ですけど、遠藤を若返らせることは出来ないので。


キープレーヤーを失った後の黄昏。


次に誰を基準にするのか。それが浦和からは見えてこないんですよね。