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サッカーのマッチレポートなどを中心に。その他サッカーのうんちく系ブログ。

2015年、ポイチのサンフレッチェ広島のお話

皆様、こんにちは。だらだら書いてたら、こんな中途半端な時期になっちまいました。



本日はサンフレッチェ広島メインのお話です。現在、11節終了時、勝ち点22の四位。今年はACLもないので優勝争いするんじゃないでしょーか。


森保一さんの広島にかんしてはJ1の2連覇チームでありながら、あんまり扱ってこなかったんですけど、今回はポイチさんの広島について扱いたいと思います。


まず、ポイチさんなんですが、2004年の現役引退後、即S級コーチライセンスを取得。そのあとは広島、新潟と渡り歩き、2012年から広島のトップチームで監督やってます。ポイチさんの詳しい略歴については、



森保一



こちらでどーぞ。



今回はポイチさんの広島メインのお話ですんで、まず広島ってチームの話から始めます。



サンフレッチェ広島ってチームとポイチさん


今回の話をする際には、まず広島ってチームの話から始めないといけないのですが、まず、広島さんの場合、大体の目安ですが、「1シーズンあたり年間平均52得点、平均46失点」位のチームだって事を覚えといてください。この数字は広島のJリーグ通算成績なんですが、若干攻撃寄りのチームとなってます。



広島のチームの歴史でいうと、いわゆる「守備的なサッカー」を指向していたのは、1997~2000の間に指揮を執っていたトム・ヤンセンまで遡らないといけません。ただ、トム・ヤンセンの時代は、広島の経営難が表面化してた時代なのでしょうがない所もあります。ヤンセン以降は、どちらかというと攻撃的な指向を持っている監督を選んできてます。(一時的に守備的サッカーしてた時期は勿論あります)



もう一つ、チームとしての特徴の一つにエースストライカーが日本人ってのが上げられます。久保竜彦、佐藤寿人と、Jリーグを代表する日本人ストライカーを擁してきました。広島ってのはカープもそうですが、このあたり上手なんですよね。土地柄なんでしょうか。チームを代表するエースストライカーがほぼ日本人ってのは珍しいです。現在売り出し中で代表合宿にも呼ばれた浅野拓磨は、この後継者になれるかどうか。彼は先輩達が偉大すぎるので大変です。



ここからは、最近の広島の話になるんですが、2007年から監督に就任したミシャ・ペトロビッチ監督の下、いわゆる「ミシャ式サッカー」という特殊なサッカーを継続してます。攻撃時は415になり、守備時は541っていう変わったシステムです。



このミシャ式サッカーなんですが、今じゃ広島の代名詞にもなっており、ペトロビッチ監督が退任して、ポイチさんが監督になってからもミシャ式サッカーを継続しています。


そして、こっからがポイチさんの広島の話になるんですが、ポイチさんは広島の監督に就任した時、やってるサッカーには特に手をいれませんでした。ただし、チームとして見ると、いくつかの点でマイナーチェンジしてます。


ポイチさんが手をいれたポイントとしては、守備です。有名所では、セットプレーの守備練習をやるようになりました。ミシャ時代はセットプレーの守備練習とかやってなかったんですが、ポイチさんにかわってから、セットプレーの守備の練習をきちんとやるようになってます。これ、しっかり結果が出てまして


www.football-lab.jp


ここのページで年度別の数字を調べると分かりますが、


2012 セットプレーからの失点 7
2013 セットプレーからの失点 7
2014 セットプレーからの失点 5


となっており、極端にセットプレーから失点しないチームです。年度別でいえば、ポイチの広島よりセットプレーで失点しなかったのは2012年の仙台のみです。ポイチの広島相手にはセットプレーではまず点とれません。



もう一つは、攻撃にかける人数の調整です。これは後述しますが、ポイチさんに変わってから、広島は前がかりになることがなくなりました。ボールより前にいて良い人数が制限され、ミシャ時代みたいに前がかりになってカウンターでやられるって事がほとんどなくなったんです。もともとミシャ式はCBのオーバーラップを使うので、前がかりになりやすいシステムなんですが、ポイチさんは、この部分には明確な線引きをしてます。「前がかりになってカウンターくらう攻撃はやらない」系の人です。これも後述しますが、ミシャの浦和と比較すると、PAに入って良い選手の数が一人少ないです。


結果としてなんですが、ポイチさんになってから、セットプレーとカウンターで食らう失点数が減りました。この二つは現代サッカーでは失点の7割を占めるため、チームの総失点が一気に減ってます。具体的に数字を出しますが、

広島通算成績    1シーズン平均52得点 46失点 
ペトロビッチ時代  1シーズン平均50得点 43失点(J2除く)
ポイチ時代     1シーズン平均52得点、33失点

こーなってます。クラブ平均より失点数が13点ほど少ないです。2013年のリーグ年間29失点ってのは、クラブ最少失点で、ポイチ時代になってから失点は40を上回った事がありません。現時点(11節終了時)でも失点数7はリーグ最小です。今年も一年33失点前後でまとめてくるでしょうから、年間で55得点以上を取ることができれば、まず確実に優勝争いしてくると思います。


先にも述べました、広島ってチームは、基本的にやや攻撃的なチームカラーをもっていたんですが、ポイチさんはそこに修正を加えてまして、今の広島は守備寄りのバランス型チームになってます。攻撃で前にかける人数はペトロビッチ時代より減っており、その為、攻撃ではFWやWBの個人能力に多くを頼るチームになっています。例として挙げますと、サイドでWBがボールをもった時、ミシャ式の場合、CBが追い越す動きを入れる事がよくありますが、ポイチさんはそれほどコレをやりませんので、WBは単独での突破が求められるようになってます。


また、前の選手でもそうなんですけど、ミシャ時代より前に人数かけなくなってるので、どうしても攻撃では前の選手が単独で局面打開しないとならない場面が増えています。




週末のガンバ対広島を例にして、ポイチの広島の攻撃の話


ここからは、先週末に行われたガンバ大阪対広島の試合を使って、ポイチさんの広島の詳しい話をします。試合は1-0でガンバが勝ちました。ハセケンさんのガンバは去年からポイチの広島に相性が良く、去年からここまで1度も負けてません。一番凄かったのは去年のナビスコカップの決勝で、2点ビハインドからひっくり返してました。あれにはびっくりしました。



話を戻して、この試合のスタメンですが、



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こーなってました。広島のスタメンの話になりますが、長年広島を支えてきたミキッチ、佐藤寿人なんですが、昨年あたりから衰えが見られるようになってきました。トップ下の高萩も移籍しちまったので、広島さんも世代交代が必要な時期にさしかかっています。



こっからは本題に入ります。ポイチさんの広島なんですが、基本ミシャ式ですので、


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攻撃時はこうなります。ただし、本家のミシャ式と比較すると違いがあって、攻撃の際、



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こうなります。本家と比べると、あんましCBは攻撃参加させてきません。単に槇野が攻撃参加しすぎだ、という話もありますが。


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広島は、この試合でも前半14分、前半15分の攻撃でもWBに展開してドリブルしてクロスみたいな攻撃を使ってまして、ボール持たされたらサイドチェンジしてWBのクロスって攻撃を続けてます。ここもキャプでやりますけど、



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こうなります。サイドに開いたら、そこからはWBが単独で突破してクロスが基本です、このチーム。当然、ここで負けてボール失うとカウンター食らう・・・と言いたい所ですが、後ろの5人がきちんとカウンターに備えたポジショニングしてるので、そう簡単にはやられません。




ちなみに、最近は本家のほうもリスクマネジメントをきちんとやるようになってて、本家と分家の差がなくなってきてる部分も多いです。(昔の適当だったミシャ・サッカーが懐かしい)



簡単にまとめとくと、ポイチの広島はポゼッションサッカーなんですが、無用なリスクは犯しません。ポゼッションによって組織的なバランスが崩れ、カウンターを受ける危険性の高い攻撃はそれほどやってはきません.特にはやい時間帯ではそうです。CBはボールをもってもちあがる所まではやるんですが、追い越す動きはそれほどやってこないです。ここが湘南や浦和とは違います。


ポゼッションの最終地点は、序盤は、多くの場合でWBで、WBの突破からのクロスを狙ってきます。WBがサイドで一対一になったら、PA内に入るのは3~4人までで、他の5~6人はカウンターに備えたポジショニングを行う。ここのリスクマネジメントは極めて整然と行われてます。



攻撃を簡単にまとめると、ポゼッションしつつ、じりじりと前進し、サイドチェンジからWBの突破に繋ぐか、中央が開いてたら中央のコンビネーションみたいな感じになってます。後ろのCB、ボランチは追い越す動きはそれほどやってきません。ポジションバランスが崩れにくい攻撃に終始することが多いです。



ガンバ戦の場合、後半に先制されてしまったので、そこからは攻撃にかける枚数を一枚増やしていました。ただ、そうはいっても、ぽいちさんのチームというか、前がかりにならないように戦う癖がチームに染み付いてしまってたり、普段前がかりにならない分、いざ前がかりになってしまうと脆かったりするんですが。


攻守の切り替えにおける人数問題

ちょっとポイチの広島の話に絡めて、攻守の切り替えの時の人数問題の話をしときましょう。




攻守の切り替えに関する人数問題なんですが、守備型は図にすると


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(灰色はボール。白が攻撃側、青が守備側)

こうなります。基本的に、切り替えに備えたポジションは6人が取ってると極めて安全です。ボールより後ろに3-3で人を残す形ですね。ただし、これだとPA内に送り込めるのは2~3人が良い所です。


FC東京なんかは基本こうです。守備的なチームの場合は、こういう形を取ることが多いです。こうすれば、カウンターでの失点はまず起きません。というのも、カウンターの枚数ってのは、どんなに多くても5人までなんで、切り替えに備えたポジションを6人が取ってる限り、数的同数、数的不利でのカウンターをもらう事はないからです。


当たり前ですが、この手のチームにはカウンターは有効じゃありません。不毛な試合になりやすいのが、お互いが守備的なチーム同士で、カウンターしたいけど、相手がボールより後ろに人残してるのでカウンターできない、という状況になった時です。



次が


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こうなります、こっちは切り替えに備えたポジショニングを5人が取る場合。これはガンバや広島あたりのバランス型のチームの布陣です。この5人タイプのやり方は、面白味はないんですけど、オーソドックスかつ、安定性があります。前3の後ろ2にするチームも結構あります。まあ、これは相手のチームのFWの枚数次第でもあるんですが。



そして、いわゆる攻撃型は


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こうなりますが、切り替えにそなえたポジショニングを取るのは4枚。これは鹿島とか柏、名古屋なんかがやってます。このやり方はカウンターに弱いです。なので、変な失い方をすると、即相手のチャンスになります。この手のサッカーしてくるチームには、基本的にボール持たせてカウンターだけしてればいいってのがあります。


というのも、切り替え時の守備の枚数が4枚なので、4人でカウンターを素早く繰り出せば、数的同数でのカウンターに持ち込めるからです。


それどころか、SBがボールを奪って持ち上がる+SH2名+ツートップのカウンターが起きたら、


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このように4対5の状況を作れる上、中央で絶対フリーの選手が生まれます。なので、このタイプのサッカーはカウンターに必然的に脆くなります。このやり方の場合、出来る限り攻撃はシュートで終わる必要があります。シュートで終われないとカウンターを食らう可能性が高いからです。



そして、特攻型が


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こうなります。湘南とか川崎がたまーにこうなります。あとはビハインドを背負って前に人数かけざるを得なくなると、この手の「カミカゼアタック」が始まります。これ、恐ろしく簡単に最終ラインで数的不利のカウンターを受けますので、守備面では問題外です。図でやらなくてもいいですよね。これをやる場合、攻撃は絶対にシュートで終わらないといけません。死んでしまいます。





ポイチの広島、守備編


ここからはポイチの広島、守備編です。守備については、ミシャ式なので、5-4-1で守ります。ハイプレスはそんな行わず、ハーフウェーラインあたりからプレスをかけていくタイプです。



今回はガンバさんとの試合を取りあげますけど、去年からガンバさんは、1度も広島に負けてません。ミシャ式相手に慣れてるチームとも言えます。もっとも、こないだは浦和に負けちゃいましたけど。



ガンバ対広島なんですが、ケーススタディとして、ガンバがミシャ式相手にやってた攻撃をとりあげますが、試合の前半19分、広島の右サイドで宇佐美に裏へのパス出された時があります。



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これです。あそこ、広島のブロックで唯一、緩いと言えるポイントなんですが右サイドの宇佐美がボール受けた所。あそこは結構ボール受けて前向けるんです。右のシャドーと右のボランチの間のギャップ。あそこの守備が緩いんですね。



www.youtube.com



これはマリノス戦の動画ですけど、マリノスの先制点がまさに、あそこのスペース使って生まれてます。



あと、ガンバ戦でいえば、前半24分と25分に立て続けに両サイドでやられているんですが、


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ココは左サイドなんですが、ガンバは非常に上手くサイドを突破できてます。あともう一つ、次は25分の場面で、


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これですね。



ここ、541ブロックの守備上の難点とミシャ式の問題が出てるのですが、、541ブロックはその性質上、中盤が薄くなります。中盤5枚でブロック組める4411や4141と比較すると、守備の枚数が一枚減ります。そのため、中盤のギャップを取られやすいっていう構造上の問題を抱えています。もう一つはミシャ式の守備の問題なんですが、SBのオーバーラップの対応に若干の難があります。SBにシャドーはついていきやせん。なんで、一回中に当てられてから、オーバーラップしたSBに展開されると面倒な事になりやすいです。具体的にいえば、サイドに流れてきたトップ下or降りてきたWGとSBのワンツーで裏を取られる可能性があります。


ポイチの広島がアルアハリに敗れた時も、この手のサイド攻撃でサイドを突破されてやられてましたが、ここ位ですね。脆い所。


現代サッカーではセットプレーとカウンターからの失点が7割をしめます。ポイチさんはそっちを厳しくケアしてます。一方で、人数揃っている状態から崩されて失点ってのは、割合として2割以下なので、サイド綺麗に崩されて、中でクロスに合わされたら、相手に拍手という感じで割切っているのかもしれません。失点減らしたいならセットプレー(CK,FK)とカウンター食らわないようしないとダメなんす。



守備ブロックについては、欠点はこんくらいで、他は欠点というほどのもんはありません。守備は非常に良いチームです。今年も失点は少ないので、大崩する事はないでしょう。


前がかりになる攻撃はしてこないのでカウンターは難しいですし、守備ブロックは堅いし、セットプレーも無難に守れますから、広島相手に点とるのは大変です。




本日のまとめ


最後にポイチの広島についてまとめときます。



攻撃面では、

  • PAに入ってよい人数が一人減った。以前は5人入っても良かったが、現在は4人まで。
  • CBのオーバーラップはそれほどやらなくなった。なのでサイド攻撃は、サイドチェンジからWBの突破が主体。
  • 若干守備よりの修正を行ったが、得点数の平均は、歴代広島の平均と変わらない。


守備面だと、


  • 541ブロックを継続,ハーフウェーラインからプレスを開始
  • 攻→守への切り替えの際、ボールより後ろに残っている人数が以前より1人多い。基本、攻撃5守備5のバランスを維持。よってカウンターでの失点が減った。
  • セットプレーの練習をきちんとやるようになった。(ミシャはセットプレーの守備練習やらないので有名だった)
  • 本家ミシャサッカーは「5本以上のパスを繋いでゴールした回数」がJ1で一番多いチームで有名だったが、ポイチの広島の特徴は歴代広島の中でも特に守備が良く、特にセットプレーでの失点の少なさは驚異的。
  • 現代サッカーの失点の7割をカウンターとセットプレーでの失点が少ないので、チームとしての総失点が非常に少ない。



って所です。他は大体、本家のミシャ式と一緒です。ただ、本家も分家のやり方を取り入れてるっぽいので、最近は両者の差がなくなってきてる部分もあります。


今日はそのあたりで。ではでは。