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2015 ロシアワールドカップ二次予選 「日本対アフガニスタン」のレビュー

さて皆さん、こんにちは。本日は先日行われました「日本対アフガニスタン」のレビューをお届けします。試合自体は6-0で日本が勝ちました。久々の大勝でしたので、最近、日本代表の試合みてモヤモヤしてた方は、スカッとしたのではないかと思います。


今回の試合なんですが、有り難い事に割と書くことはあります。なので、この日のハリルホジッチが取った戦術と、アフガニスタンの守り方の話から入りたいと思います。



日本対アフガニスタン、スタメンとアフガニスタンの守り方


まず、両チームのスタメンから入ります。ただ、アフガニスタンの選手は誰も知らないので、そっちは勘弁してください。



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スタメンはこうなってました。日本は左WGに原口が入った4231、アフガニスタンは442となってました。この日の相手のアフガニスタンなんですけど、守り方が極端な事やってまして、


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これ試合開始直後から、ずーっとこうだったんですけど、アフガニスタンはホームで11人ドン引きという身も蓋も無い事やってきました。試合中、「これ許されるのか?」という感じで呆れて見てましたが、ホームで11人ドン引きとか普通無いです。アウェーならともかく、ホームで11人ドン引き442ブロック、FW二人が日本のボランチを見るとか、日本をリスペクトしすぎだろという感じです。ぶっちゃけ、天皇杯なんかでJ3のチームがJ1のチームをジャイキリする事が時々ありますが(昨日、名古屋と清水がやらかしてますけど)、何が起こるかわからないのがサッカーなんだし、あそこまで日本をリスペクトする必要ないだろうと。この日、恥も外聞もなくドン引きしてるアフガニスタン代表にブーイングが飛ばないのは不思議でした。アフガニスタン人はアレで良いのでしょうかね?前にFW残してないので、カウンターすらロクにできない布陣です、コレ。この日の試合なんですけど、前日コメントで長谷部なんかが「アフガニスタンは前にでてくるかも云々」言っていたので、僕は前に出てきてくれるのかな、と思っていたのですが、予想は完全に裏切られる形となりました。コレはハリルホジッチも同じだったと思います。アウェーで11人ドン引きされるとは思ってなかったでしょう。ハリルホジッチもそろそろアジアに慣れてきた頃なんで言っときますが、アジア相手には速攻できません。どこも日本相手にはドン引き、少人数のカウンターというゲームプランで来るからです。前にでてきてくれるの、オージー、韓国、ウズベキスタン位です。



とまあ、そういう訳で、この試合もゴール前固める相手をどうやって崩して点とるかという、典型的なアジア相手の試合となった訳です。


この試合におけるハリルホジッチのゲームプラン

さて、アフガニスタンはホームで442ドン引き、11人でゴール前にバス停戦術を敷いてきた訳ですが、こっからはハリルホジッチのターン。さて、こーいう相手をどうやって崩しまショーという話になるんですが、この日のキーマンは二人。原口と山口蛍でした。これ、この日の一点目に、この日のハリルホジッチの戦術の全てが凝縮されているので、動画貼っておきますね。





アフガニスタンvs日本代表 ゴールハイライト Afghanistan Japan Goals - YouTube



これの香川の一点目です。動画だけだとわかりにくいので、図でこの時の攻めの流れを説明しますが、


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こういう流れでした。ずーっと前に、うちのブログで「サッカーにおける代表的なコンビネーションプレーのお話」って記事を書いて説明した事ですけれど、これは「カットインからのコンビネーション」で、サッカーの代表的なコンビネーションプレーの一種です。WGを使ったサッカーのもっとも代表的なプレーでして、サイドに張ってるWGを使って、相手のSBとCBの間にスペースを作り、そのスペースにトップ下かボランチを走り込ませる事で、相手チームのボランチを最終ラインに吸収させ、空いたスペースにWGがカットインしていくって形になります。


この日、アフガニスタン相手に日本が延々とやっていたのが、この攻撃でして、前半5分にはすでにやってるんですけど、


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こうですね。


この日のハリルホジッチの序盤の戦術は、WGをサイドに開かせ、ピッチを広く使い、トップ下かボランチがSBとCBの間に走り込むって形です。これは先日、カンボジア戦のプレビューやった時にも話した事ですけれど、以前のドイツ代表が得意にしてた形です。この日の試合なんですが、これでいきなり点とれたのはホントに良かったです。相手が11人ドン引きの試合なので、早い時間帯で先制したかったのですけれど、理想的な時間に先制点が取れました。


この日の試合なんですが、山口蛍と原口がやたらと目立っていましたが、それはこーいう理由です。この後、前半33分にはCKからの流れでモリゲがゴールして二点目。上手くいくときは上手くいくもんです。CKからさっぱり点がとれなかったのに、あっさり点とれちゃいました。


ただ、あまりに上手くいってるモンだから、はっちゃけすぎたシーンもありました。前半35分ですけど、


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このシーンなんですけど、香川と山口がSBとCBの間に走り込む事で、原口が中央にカットインするコースを作るのは良いんです。ただ、両SBが高い位置とったまま、ボランチまでゴール前に突っ込んでる為、「後ろも誰もINEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!」って状況が出来てます。この攻撃はクレージーです。当然、この後、カウンター食らいかけました。そういや、ハリルホジッチが、W杯における日本対コロンビアの試合見て、「(試合の最後)後ろに誰もいなかった。ああいう試合は二度と見たくない」とか仰っていましたが、まあ、日本代表のカミカゼ・アタックは風土病みたいなモンでして、「両SBが上がって両ボランチまでゴール前に走り込む万歳サッカー病」は岡田ジャパンでもザックジャパンでもハリルジャパンでも発症しました。代表監督がどうやっても完治しないので、諦めてください。




まあ、この試合は、アフガニスタンが11人ドン引きしており、前半は前にFWを一人も残してたなかったのでカウンター気にする必要はあんまりなかったんですけどね。正直、日本が両SB上げて、ボランチをガンガン攻め上がらせる攻撃やってきた時点で、アフガニスタンは前に一人FW残せよって思ってみてましたが、それでも11人ドン引きを続けてました。日本はカミカゼ・アタック大好きですが、アフガニスタンは塹壕戦が大好きなんでしょう、多分。



この試合なんですけど、左サイドの攻撃はホントに上手くいってました。でもって、サイド攻撃が上手くいってると、当然、中央も上手く使えるようになってました。前半13分には、一度、左サイドにボールを当てて、相手のSBを引っ張り出し、そのスペースに香川が走り込んでボランチを中央から動かし、空いた中央のスペースに降りてきた岡崎に楔を打ち込むって流れで攻撃出来てます。あれは非常に良い流れでした。


この日の前半は、ほぼ理想的な展開で終えることができてます。相手のチャンスは、日本がアホみたいに両SB上げ上げ、両ボランチがゴール前に殺到なんて馬鹿みたいな事やらかした時位で、バランス取って攻めてる時は、相手はほぼノーチャンスでした。



ただ、問題もあって、この日の右サイドなんですけど、本田が例の病気をこじらせてしまい、なんかよく分からない事になってました。この話は試合後半のキャプ使って説明しましょう。



日本対アフガニスタン、後半における問題


この試合なんですが、後半で4点取ってるわけで、前半より点とれてたんだから、あんまりグチグチ言うのは良くねぇんですが、後半で「うーん・・・」というシーンがいくつか見られたので、本田がらみの右サイドの話をしときます。



シンガポール戦の後、レビューで「日本の右サイドの渋滞」の話をしましたけど、後半開始直後、またやらかしてまして、



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このシーンなんですけど、長谷部と本田と岡崎がみんな同じスペース使おうとしてるんですわ。図でやると、


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こうなるんですけど、このシーンだと、相手のSHが酒井ゴリのマークにサイドにでてるので、ボランチとSHの間にギャップが出来てる訳です。そこに長谷部、岡崎、本田が殺到してるシーンで、3人が同じスペース使おうとしてどうするの?という話です。シンガポール戦で、それやっても何も起きないってわかったでしょ・・・・


さらに呆れたのは、この後の2:58のシーンで

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思わず安西先生登場。


この日の試合、右サイドが昨日不全だったんですけども、結局の話、本田が中に入るべき所とサイドに張るべき所の使い分けがビタイチできてねぇんです。本田がやりたいプレーってのは、岡崎の5点目の時みたいなプレーで、ボランチとSHの間のギャップでボール受けてターンして、CFかトップ下とのパス交換から一気にゴール前へって感じなんでしょうけど、ほとんど常時中に入って来ちゃってて、SBとCBの間に長谷部や香川が走り込むスペースがないんですね。ちょっと本田がやりたい事と、香川・長谷部がやりたい事、岡崎がやって欲しい事を図でやりますけど、


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これは中にはいってきてる本田がやりたい事で、あそこの白で囲ったスペースでボール受けてターンしたい訳です。あそこでターンして違いを作るってのはレフティの仕事といって良いです。


一方で、他の連中が本田にやって欲しい事は、



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こっちなんですよね。右サイドではイメージの齟齬が起きてるんです。



この試合の後半なんですけど、途中から原口を右SBにいれてるんですが(このチームにおける原口の便利屋のごとき扱いには涙が出そうですが)、本田の中に入りたがる病がそこからさらにひどくなり、最終的には本田をトップ下にして、両サイドを宇佐美と武藤にするってトコにハリルホジッチは落ち着いてました。



この辺り、ハリルホジッチの考え方が、ちょっとよくわからないのですけど、就任当初から本田が中に入ってくるのを放置してるんです。一方で、香川とか長谷部に、右サイドのSBとCBの間に走り込む動きをさせてる訳で、右サイドのビルドアップがチームとして混乱してんですよね。明らかに。




この試合の後半は4点取れてるわけで、あんまグダグダ言ってもしゃーない事なんですが、右サイドのアレははっきりいって感心しません。早い所、何とかしてほしいです。


ちょっと言わせて貰うと、本田がどうしても中に入るのやめられないっていうなら、日本代表は攻撃時に、



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こういうポジションチェンジやったほうがいいです。これ、ドルトムントがやってるやり方ですけどね。これなら、本田が中にはいってきても問題ありません。ただ、今回の試合みたいに、ボランチやトップ下のSBとCBの間への走り込みをメインにした攻撃するなら、本田、サイドにきちんと張ってなさいって話です。じゃないと右サイドで組み立てできないので。


ちなみにですが、どういうやり方しても、これらのサッカーはカウンターに弱いです。前がかりになりやすい布陣なので、カウンター一発で失点しかねません。


今日はこのあたりで。ではでは。