ナイキは如何にしてスポーツ&フィットネスの市場を牛耳るに至ったか(スポーツとお金の話の記事の参考書籍の紹介もあるよ)
ブログの題名が「サッカーレポート」なのに、サッカーレポート以外の話題を3回連続でする男、スパイダーマン!ではなく、pal9999どす、こんにちは。
ここんとこ、ずーーっとスポーツと金の話ばっかしてる訳だが、今回もスポーツとお金の話である。ただし、今回は、現在、スポーツ&フィットネスの市場でNo1企業、ナイキの話がメインとなる。
今回の話は、前回、前々回の話の続きでもあるので、これまでの記事を読んでない人は、そっちから読んで頂けると助かる。このエントリだけ読んでも意味不明なだけである。
前回、前々回のエントリの参考書籍
前回、前々回とFIFA関連の話、スポーツとお金の話をしてきた訳だけれど、何人かの方から「参考書籍教えてくれ」という要望があったので、参考書籍を紹介しておく。簡単な書評もついでにやっておく。
- 作者: 小倉純二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/07/21
- メディア: 新書
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「サッカーの国際政治学」小倉純二著。これは元FIFA理事の小倉さんの本だ。FIFA内部の話を知りたいなら、まずこの本が最初に読んでおくべき本になる。元理事なので、内部の事情に詳しいし、南アフリカW杯の際の、開催地投票に関しての、小倉さんの票読みも本の中に記されている。
それでなんだが、
先日、こんな記事がでていたけれど、これねえ、小倉さんの本読めば、イスマエル・バンジー元理事の証言には色々とアレな所があるんだよね。小倉さんは、南アフリカ対モロッコの決戦投票の結果から、各国の票読みをしてるんだけど、この票読みの際、「モロッコに投票したと思われる理事が投票後、パーティに参加せず、席を立って帰った」って話してるんだ。
なんで、モロッコが2票差で勝っていたら、その際に13人がパーティーに参加せずに帰ってないとおかしい。でも、現実には、15人がパーティーに残って、9人が帰ってる訳だ。バンジー元理事の証言は、正直言って、小倉さんの話と整合性がない。
なので、このニュースは、政治的なアレだと思われるンだ。この先、紹介する本にも記述があるけど、メディアに情報リークして対抗陣営潰しをやるって政治ゲームは、FIFAでは散々行われてる。
- 作者: バーバラ・スミット,宮本俊夫
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2006/05/25
- メディア: 単行本
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この本は、アディダスとプーマの間の戦争を描いた本としては、日本語で読める本の中では最良の本。ダスラー家の愛憎の歴史から、アディダスとプーマがダスラー家の手を離れるまでを克明に記録している。ついでに靴メーカーの話でもあるので、ナイキやリーボックの話も含まれてるし、アディダスとプーマが陸上やらサッカーの歴史の裏で、どんな事をしていたのかってのがよくわかる。
ちなみに、この本、結構な分量で日本の話が書かれている。プロローグは、中村俊輔がアディダスと契約する話から始まる程度に、日本の話が結構ある。
前回のエントリの主役である、ホルスト・ダスラーの人物像を知りたい人は、この本が一番オススメ。
W杯(ワールドカップ)に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇 (新潮文庫)
- 作者: 田崎健太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/01/28
- メディア: 文庫
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この本は、FIFAの前代会長、アベランジェを主役として、FIFA、電通、アディダスなどが繰り広げるマネーゲーム、2002年日韓W杯の招致ゲームなどをまとめた本。W杯の招致や、五輪の招致において、韓国がどんな事してたのかといった話や、電通とISL設立から、電通がISLから手を引くまでの裏話など、興味深い話が沢山載っている。「W杯ビジネス30年戦争」の改題だが、文庫本のほうが加筆されてるので、文庫本を買うのがオススメ。
ちなみに、この本でも結構な量、ホルスト・ダスラーが登場する。この時期のスポーツ界で、ホルスト・ダスラーが如何に影響力があったのかってのがよくわかる。
- 作者: アンドリュージェニングス,Andrew Jennings,野川春夫
- 出版社/メーカー: サイエンティスト社
- 発売日: 1998/02
- メディア: 単行本
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これは「黒い輪」で有名なアンドリュー・ジェニングスの五輪本。主にサマランチと、その取り巻きの批判であったり、IOC委員の、招致合戦でのたかり行為なんかを徹底的にこき下ろしている本。内容は「黒い輪」の時と同じで、五輪におけるドーピングの蔓延の暴露も当然やってる。尿検査の際、膀胱に「綺麗な尿を注射しておく」なんて話は、股間がキュンとなる。
この本でも、やっぱりホルスト・ダスラーは大活躍・・・というか、しょっちゅう名前がでてくるんで(悪い意味で)、ホルストマニアな人はどうぞ。この本は五輪の腐敗を専門に扱った本なんで、FIFAの汚職とは直接的には関係ないんだけれどもね。ただ、この本では、FIFAのアベランジェや、ホルスト・ダスラーの名前がしばしば出てくるわけで、スポーツ政治の話を知りたいなら、やっぱり読んでおいたほうがいい訳なんだけれども。
スポーツと権利ビジネス―時代を先取りするマーケティング・プログラムの誕生
- 作者: 石井清司
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 1998/02
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- 作者: 海老塚修
- 出版社/メーカー: 電通
- 発売日: 2001/02
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この二冊は、ここまで紹介してきた本とはちょっと毛色が違って、スポーツマーケティングの話がメインの本。といっても、結局、スポーツマーケティングの話になると、ホルスト・ダスラーの話になるので、ホルストの話がどっちにも載っている。ちなみに、「スポーツと権利ビジネス」のほうには、オリンピックを黒字に変えた男、ピーター・ユベロスの話と、のちにIOCのマーケティング担当になるマイケル・ペインの話にかなりの分量が割かれている。ピーター・ユベロスとマイケル・ペインは、現在のオリンピックのスポーツマーケティングの成立に、大きな役割を果たしている。
チャンピオンズリーグの20年 ---サッカー最高峰の舞台はいかに進化してきたか
- 作者: 片野道郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/09/22
- メディア: 単行本
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この本は、ホルスト・ダスラーの話や、FIFAのアベランジェ、ブラッターの政治の話は殆ど無い。ただし、クラウス・ヘンペル(元ISL社長)がスポーツマーケティング会社「TEAM」を設立してから、どのようにCLをブランディングして、CLを巨大化させていったか、そしてプラティニがどうやって権力を握ったのかって過程がよくわかる本なんで、そっちを知りたい人にはこの本がオススメ。
- 作者: マークペンダグラスト,Mark Pendergrast,古賀林幸
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1993/04
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この本は、エントリとは直接関係ないんだけど、1970年代以降、なぜ多国籍大企業が、スポーツのスポンサーにつくようになったのか、それを理解するには良い本なので紹介しておく。
とまあ、これで前回、前々回の話の参考書籍の紹介は、おしまい。次にナイキの話をする。「何でナイキ?サッカーと関係ないやろ」と思う人がいるかもしんないね。でもね、ナイキがスポーツ&フィットネスの市場を牛耳るまでに、彼らがやったことは、現在のサッカーと深く関係してくるんだ。
創生期のナイキ(1964~1980)
こっからが今回のエントリの主題。スポーツとお金の話をする際、やっぱりナイキの話は絶対に絶対に絶対に外せない。というのも、ナイキは、現在までのスポーツ・マーケティングにおける最も重要な流れを作った企業だからだ。ホルスト・ダスラーとナイキは、スポーツ・マーケティングの話をする際に絶対に外せない。
ナイキという会社は、オレゴン大学で会計を専攻していた、中距離ランナーのフィル・ナイトと、そのコーチだったビル・バウワーマンが始めた会社である。
そもそも、ナイトがスポーツ用品会社をつくったきっかけとなったのは、ビジネススクールの授業で、「架空の事業を想定し、その設立目的とマーケティング目的を呼べよ」という課題が出た時に遡る。
ナイトはこの時、
1,バウワーマンがしばしばアディダスを含むランニングシューズに不満を漏らしていたこと
2、日本製の安価なカメラが、高価で歴史のあるライカのカメラにとって変わるであろうか?というカメラマン達の議論
の二つの記憶を元にレポートを提出した。「日本製シューズは低価格低品質と言われるが、日本メーカーが高品質のランニングシューズを作れるなら価格による差別化で日本メーカーは新たなマーケットを開くことができるだろう」というもの。
その後、ナイトは普通の会計事務所に就職するんだが、日本に旅行した際、オニツカタイガー(現アシックス)のランニングシューズを手に入れた事が、ナイトの運命を変えることになる。
ナイトは、シューズをアメリカに持ち帰り、バウワーマンに見せた所、バウワーマンの反応は「この靴は悪くない」だった。そして1964年、ビルとバウワーマンは500ドルずつを出資して、ブルーリボンスポーツ社(後のナイキ)を設立し、日本で生産されたランニングシューズをアメリカで売るという輸入ビジネスを発足させる。
現在の社名、「ナイキ」が生まれたのは、1971年。オニツカタイガーが販売権を他の業者に与えるのではないかと不安になってきたナイトが、自社の靴に新たなブランドとマークをつけようとした時から始まる。この時から、スウォッシュのマークと、「ナイキ」のシューズの歴史が始まるわけだ。(この後、オニツカタイガーとは揉めて裁判起こされることになる。)
ナイキが成長するにあたって、最初に追い風になったのは、1970年代後半から起こったジョギング・ブームだった。ナイキは当初、陸上競技から事業をスタートさせたが、ジョギング・ブームからフィットネスにも力を入れ始める。こうして現在に至るまでの、「スポーツ&フィットネス」企業、ナイキが形作られることになるわけだ。ランニングシューズの売上が急激に伸び、それに伴ってナイキの売上は、1970年代後半には、1000万ドルから2億7000万ドルまで伸びることになる。そして、1980年、ついにナイキはアディダスのアメリカ市場の市場支配を終わらせる。
この時期、アメリカの靴の市場では、堅い皮の靴がシェアを失って、スニーカーに代表されるような柔らかい靴がシェアを持ち始める。この流れに乗ったのがナイキやリーボックで、この流れを見失っていたのがアディダスなんかになる。
ただ、アディダスがそうであったように、ナイキも「フィットネス」関連の市場の発展に乗り遅れてしまった部分があった。もっともアディダスは、ジョギングブーム自体を気にかけていなかった部分があり、その事がナイキとリーボックの台頭を許す原因になるんだが。アディダスの靴職人達は、ランニングシューズや、ナイキの有名な「ワッフルトレーナー」を、てんで気にかけなかった。ワッフルトレーナーに関しては、ジョークだとすら思っていたそうだ。だが、後にその事が大間違いだと気付かされることになる。
話をナイキに戻すけれど、ナイキはジョギングブームにのって、業績を拡大させていったんだけれど、大きいなミスをしてしまった。それは1982年から発売されたリーボックのエアロビックス用シューズ「フリースタイル」の過小評価だ。アディダスもナイキも、「フリースタイル」の流行は一時的なものだと考えていた。その事がリーボックの台頭を許す原因となる。フリースタイルは空前の大ヒット商品となり、リーボックは一時はアメリカ市場でもっとも大きなシェアを握るシューズメーカーになるのである。
ナイキはリーボックの攻勢に対して、1980年代、一時はレイオフを含む組織再編にまで追い込まれたものの、この時期、ナイキのその後の路線を決定することになる、一人のスポーツ選手がナイキと契約する。
その名は誰でも知っているだろ。バスケットの神様、マイケル・ジョーダンだ。
ヒーロー製造会社ナイキ
こっから先の話は誰でも知ってる内容なんだが、マイケル・ジョーダンがNBAに入ったのが1984年。そして、ナイキでは「彼との契約は賭けだった」とも言われるが、ナイキは5年250万ドルの契約を交わす。そして、ジョーダンはナイキが彼のために特注した赤と黒のシューズを履くようになり(当時、NBAでは白のシューズしか認められておらず、ジョーダンとナイキは罰金払いながらのプレーになった)、これがさらに話題を呼んだ。1985年、エアジョーダンがナイキからリリースされ、これは爆発的なヒットとなり、一年で1億3000万ドルを売り上げ、当時、低迷していたナイキを蘇らせたのである。
それだけではなく、エアジョーダンの発売後、スニーカーとバスケットシューズは、サブカルチャーではなくなった。バスケットシューズはアメリカでの売上の6割を占めるまでになり、その後のスニーカーブームに繋がっていく。
とまあ、このあたりは誰でも知ってる事だろう。
こっからは、ナイキの功罪半ばする話になる。
マイケル・ジョーダンは世界的なスーパースターになり、ナイキはエアジョーダンで大もうけすることに成功した。ナイキではジョーダンが現役だった時代を「黄金時代」と呼ぶそうだが、この時期に驚異的なスピードでナイキの売上は伸びていった。
この時期に、ナイキがやった事、それは、マイケル・ジョーダンの
「フィル(ナイト)とナイキがやったのは、わたしを夢の対象にすることだった」
という言葉が端的に表している。ナイキはヒーローを作り上げたのだ。スポーツ選手を使って売り込みをかける、というのは、それ以前から頻繁に使われてきた手だった。しかし、ナイキはそれを一歩前に推し進めてしまった。自身でヒーローを生み出しはじめたのだ。どういう事かというと、選手のイメージを作り上げて、選手を神格化させていったんだ。選手のブランディングを徹底的に会社ぐるみで行うようになった。
ナイキのノンフィク本、「just do it」からの引用になるけど、
「ナイキがついていなければ、マイケル・ジョーダンには何の影響力もない」by フィル・ナイト(ジョーダンはナイトがこういったのを覚えている。ナイトはそんな言い方はしてないと言ってるが。)
18世紀後半の製品に国王や女王の承認印がつけられていたように、消費文化のもとでは、有名人に品質保証されるという要素は欠かせないものである。しかし、ナイキは、そうした品質保証とそこから生じるマーケティングを、きわめて金のかかる特定の形式に変換したのである。
「今や、スポーツを通じて達成できるレベルが二つあるようだ」発足したばかりのスポーツ・マネジメント部で部長を務めるフレッド・シュライアは言った。「スポーツそのものでの成功と、マーケティングの世界での成功だ。今や後者の達成も義務づけられているかのようだ。より高い地位まで導いてくれるマーケティング組織がついていなければ,エリートとはいえないような状態になっている」
こういうモノだ。ナイキは、マーケティングというお題目の下で、ナイキと契約した選手のイメージを極めて精巧に作り上げ、そして、そのイメージを使って商品を売り込んでいった。マイケル・ジョーダン、アンドレ・アガシ、タイガー・ウッズ、ランス・アームストロング・・・・彼らのパブリックイメージは、ナイキによって細心の注意を払って作り上げられた、いわば架空のイメージと言って良いものだった。それは、商品を売り込む為には必要なものだったかもしれないけれど、神に祭り上げられた、タダの人間にとってはたまったものじゃなかった。あのジョーダンでさえ。
アンドレ・アガシは、「just do it」の中で
「みんなが見たがっているのは、ナイキのコマーシャルにでてくるアンドレ・アガシなんだ」
「みんなが俺に求めているのは、ガキっぽくコートを飛び回ることや、イカしたナイキの広告の中で、猛スピードで珠を打ち付ける姿なんだ。本当のアンドレ・アガシなんて退屈なガキだよ。本当のアンドレは、友達とラスベガスをうろついたり、映画に行ったりしてるだけ。本当の自分なんて、絶対に人目にさらしたくない」
「人々がみたいもの、そして見るべきものは、現実のものじゃないんだ。人々にプレーさせたり、ものを買わせたりしているのは現実の俺じゃない。連中の頭にあるアンドレ・アガシがそうさせているんだ」
こんな話をしているけれど、ジョーダンやアガシは、自身の姿と、ナイキがコマーシャルで作り上げていく姿の乖離に苦しむ事になる。人々の頭の中にあるジョーダンは、現実にはナイキのコマーシャルの中にしか存在しない。
そして、この手のナイキの「ヒーロー製造器」に乗せられて、ガンから生還し、レースにカムバックしたスーパーヒーローに祭り上げられたのがランス・アームストロング。ほとんどゴルフの聖人君子に祭り上げられたタイガー・ウッズ。この二人は、ナイキが作り上げた仮面がスキャンダルによって剥がされると、その後に待っていたのは、地獄だった。
スター選手をブランディングし、コマーシャルを使ってスーパーヒーローに祭り上げ、スーパーヒーローを使ってスポーツ用品をセールスする。正直、ジョーダンで、あまりに上手くいってしまった為、その後、ナイキは、このやり方でやりすぎてしまった部分がある。それの反動が、ランス・アームストロングとタイガー・ウッズのケースで出てしまった部分がある。(もちろん、両者ともに自業自得な部分もあるんだが)
そして、もっと厄介なのは、この手法が、色んなスポーツの分野に広まってしまった事だった。今や、スポーツ選手というのは、スポーツそのものでの成功だけでなく、マーケティングでの成功出来ないと、エリートと呼べない時代に突入したんである。
以上がナイキの功罪。ナイキは、スポーツ用品市場において、ランニングシューズの先駆けであり、フィットネス革命の仕掛け人でもある。沢山の革新的なシューズも生み出してきた。一方で、スポーツ選手を使ったマーケティング会社、ヒーロー製造会社としての側面を併せ持っており、その手法は、今や、ほとんどのスポーツに広まってしまった。
正直いって、最近のスポーツは、まーるでプロレスみたいに感じる事がある。プロレスってのは、
アングルは、プロレスにおける隠語の一種で、試合展開やリング外の抗争などに関して前もってそれが決められていた仕掛け、段取りや筋書きのこと。試合自体の進行は「ブック」と呼ばれ、アングルはリング外でのストーリー展開を指すことが多い。アングルの組み合わせや展開が観客動員に大きく影響するため、試合内容と同じ重要性を持つ。
こういう風に、試合の前後に物語を作り上げることで、観客動員をあげようとしているわけだ。最近のスポーツでは、マーケティングの論理が幅効かせているせいか、やたらとストーリーを作って盛り上げようとするもんだから、「プロレスじゃないんだから勘弁してくれよ・・・」と感じる事が多い。
ナイキとジョーダンの成功以降、スポーツはプロレス化してしまった部分がある。サッカーも然り。マーケティングの論理が幅を利かせすぎている部分がある。
とはいえ、それが時代の流れというものなんであり、そのおかげで、スポーツ選手は大金を稼げるようになった訳だから、悪い話では絶対にないのだけれど、素朴だったスポーツの時代を懐かしむ事もあるのである。今日はそんな話でしたとさ。おしまい。