本田圭介の移籍話とかプレースタイルの話とか
さて、皆様、お久しぶりでございます。久しく更新していなかったので、何してたんだって話になりますが、本日からは、いつもの更新ペースに戻ろうとかと思います。特に体調不良とかではありません。
それで、ですが、最近、本田の移籍ネタが騒がしくなっており、サッカー関連のサイトとか、サッカー雑誌はもう本田ネタ一色なんで、時期的にも丁度いいですし、今日は本田圭介ってプレーヤーの話でもしようかと思います。
彼のプレースタイルなんて、別に僕が説明せんでもみんな知ってる事ですが、考えて見ると、うちのブログで彼の事を専門的に話題にしたことはないので、今日は彼のプレースタイルの話でもしようかと思います。
まず、本田の能力を数値化するとどの位になるかって話
さて、本題に入る前に、本田って選手の能力を数値化すると、どんなもんなのかって話から入ります。実はこれ、週間サッカーダイジェスト、2013年7/23号で、ザックの教え子で、イタリア人監督のロベルト・ロッシが本田の能力の数値化をやってるので、そっちの表をちょっと引用します。ついでに、ロッシはWSDのほうでも、若手のトップ下の選手の能力の数値化をやってるので、比較として、そっちの数字も載せておきます。同じトップ下の選手としてゲッツェのデータはWSDの377号、クリスティアン・エリクセンのデータは379号のものです。
項目としては、フィジカル、テクニカル、タクティカル(攻撃)、タクティカル(守備)、メンタルの4項目からなっており、440点満点で採点されています。
ちなみにですけど、これ10は滅多にでません。ロッシの採点で、10みたことあるのは、ゲッツェの大胆さのトコと、ネイマールの一対一、守→攻への切り替えの時くらいです。
大体ですけど、ロッシの採点だと、9ついてたら「もの凄く良い」、8で「良い」、7は「普通」、6は「やや物足りない」、位と考えて下さい。
で三者の表にすると、こーなります。全員、トップ下の選手です。ゲッツェは知らない人いないと思いますが、エリクセンは知らないと人いるかもしれないので補足しておきますが、デンマーク代表の21才でアヤックスでトップ下やってる選手です。今年の夏に移籍するって話が出てる選手ですね。ドルトムントが興味もってるみたいですが。
本田圭介 | ゲッツェ | エリクセン | |
フィジカル | |||
項目 | 採点 | 採点 | 採点 |
パワー | 9 | 8 | 6 |
持久力 | 6 | 7 | 8 |
加速力(+30M) | 7 | 8 | 7 |
ダッシュ力(10-15M) | 7 | 8 | 7 |
初動速度 | 7 | 8 | 7 |
敏捷性 | 7 | 8 | 8 |
コーディネーション | 8 | 8 | 8 |
ジャンプ力 | 8 | 6 | 7 |
停止力 | 8 | 8 | 7 |
67 | 69 | 65 | |
テクニカル | |||
項目 | 採点 | 採点 | 採点 |
センシビリティ | 8 | 8 | 7 |
パス | 7 | 8 | 8 |
ロングパス | 7 | 7 | 7 |
クロス | 7 | 8 | 7 |
シュート | 8 | 7 | 7 |
プレースキック | 8 | 7 | 9 |
非・利き足の技術 | 6 | 7 | 6 |
一対一突破 | 6 | 9 | 7 |
ラン・ウィズ・ザ・ボール | 7 | 8 | 7 |
ストップ | 7 | 8 | 7 |
トラップ | 7 | 9 | 7 |
ヘディング | 5 | 7 | 7 |
83 | 93 | 86 | |
タクティカル、攻撃 | |||
項目 | 採点 | 採点 | 採点 |
局面への参加 | 9 | 9 | 8 |
スマルカメント | 7 | 7 | 7 |
ボールキープ | 8 | 8 | 7 |
視野の広さ・戦術眼 | 7 | 8 | 7 |
アシスト能力 | 7 | 9 | 7 |
ゴールセンス | 7 | 8 | 7 |
創造性 | 6 | 8 | 7 |
守→攻の切り替え | 7 | 8 | 8 |
58 | 65 | 58 | |
タクティカル、守備 | |||
項目 | 採点 | 採点 | 採点 |
局面への参加 | 8 | 7 | 7 |
ポジショニング | 8 | 8 | 8 |
マーク | 6 | 5 | 5 |
一対一守備 | 7 | 6 | 6 |
アンティシペーション | 6 | 6 | 6 |
インターセプト | 6 | 6 | 7 |
攻→守への切り替え | 7 | 7 | 8 |
48 | 45 | 47 | |
メンタル | |||
項目 | 採点 | 採点 | 採点 |
リーダーシップ | 8 | 8 | 6 |
闘争心 | 7 | 7 | 7 |
フェアプレー/ディシプリン | 9 | 9 | 9 |
チームスピリット | 8 | 8 | 8 |
自己犠牲の精神 | 8 | 7 | 8 |
継続性/安定性 | 6 | 6 | 8 |
集中力/注意力 | 6 | 6 | 8 |
大胆さ | 8 | 10 | 6 |
60 | 61 | 60 | |
合計 | 316 | 333 | 316 |
ゲッツェのデータの場合、アンティシペーションの項目がないため、6という数値を採用している |
と、まあ、こーなってます。総合点をみると、ゲッツェ、ネイマール(ゲッツェとほぼ同値)ほどではないが、エリクセンとは、同等という数値です。ロッシの採点みてると、総合点で330を超えてるようなら、ワールドクラスの選手って感じです。ビッグクラブクラスだと、315点前後の選手からになるので、本田は総合点でみると、ビッグクラブでやれる選手という感じにはなります。
で、なんですけど、大体の所、本田のプレースタイルの話なんて、ロッシが週間サッカーダイジェストで大体全部解説してるし、そもそも日本代表の試合みてるなら、みんな知ってるだろうから、僕が解説することもない事なんですが、二番煎じ上等で話すと、この選手のフィジカル面での最大の強みはパワーです。コンフェデでも後ろからイタリア代表のDFに当たられてもボールを失わずキープできる事を証明しました。一旦、足下にボールを納めれば、失う事はまずありません。この部分は傑出しており、現在、日本代表でイタリアのDFに後ろから当たられてボールをキープできるのは本田くらいのモンです。
一方で、フィジカル面で欠けているのが持久力であったり、スピード全般であったりします。これ、岡田監督が日本代表を率いていて、ハイプレスやってた時期に、本田があんまり重用されなかった理由でもあるんですが、本田って選手はハイプレス向きの選手じゃ絶対ありません。これ、トップ下の選手の多くに言える事なんですが、大概の場合、トップ下の選手って持久力があんまりありません。ジダンとかスナイデルもそうでしたが、プレーとプレーの間に一定の休息時間が必要な選手が多く、ハイプレスに狩りだしてしまうとゴール前で違いを作れないっていう本末転倒な事態に陥ります。ジダンにハイプレスさせて、何か良いことある?って考えると、特に何もありませんよね、という。だから、ジダンを使う時は、ある程度の守備負担の軽減が必要でしたし、スナイデルなんかもそうです。最近の若手だと、イスコとかネイマールもそうなんですけど、彼らは根本的にハイプレス向けの選手じゃありません。イスコは持久力に明らかに難がありますし、ネイマールはそもそも守備に熱心じゃありません。(ちょっと話が横道にそれますが、バルサはハイプレスのチームなんでネイマールどうすんだよ、と心配してます。ボール失った後に鬼プレスかけるネイマールとか想像できない。)
一方、クリスティアン・エリクセンみたいに持久力があるタイプのトップ下の場合、また話が別でして、こーゆータイプはむしろハイプレスやってるチーム向けです。ロッシもエリクセンはドルトムントに向いてるみたいな話をしてますが、彼のフィジカルの特徴を考えると、ドルのトップ下にはよくマッチしてます。逆に本田はドルトムントのトップ下にはあんま向いてません。糞みたいに走らされるので、戦術とフィジカルがミスマッチなんです。
さて、テクニカルの側面になりますが、こっちは本田はワールドクラス、といえる武器はもってませんが、テクニカルのレベルは平均的に高いのが特徴になります。これといって不得意なプレーはありません。ただ、レフティの呪いというか、左足に頼る傾向が強く、右足をあまり使いません。レフティの場合、それでも何とかなるので、これは欠点というほどじゃありません。また、一対一の突破に関して、ロッシがあんま高い採点してませんが、スピードに欠けている所がある為、これはしょうがないかと。レフティのドリブラーであれば、右サイドから中にカットインしてシュートってのは求められる要素なんですが、右WGで使っても、本田にロッベンやメッシみたいなプレーは期待できないし、左WGでつかってベイルみたいなプレーしろっても本田は無理です。日本代表でもそうですが、WGで使っちゃうと良さがでません。縦に抜いたり、カットインしてシュートってのは本田に求めてもしゃーないし、逆サイドからのクロスに合わせたり、斜めに入っていってスルーパスを引き出すとか、本田にやらせてもしゃーないでしょ、って事です。やっぱりトップ下の選手なんです。だから343はいい加減にあきらめれザック。WGだと本田の良さが出ないじゃん。
次にタクティカル(攻撃)の話ですけど、最大の長所がパワーとテクニックを活かしたボールキープで、一旦ボールを足下に収めたら、まず失いません。だから、周りの選手は安心して本田にボールを預けられるし、2ライン間でボールをうけ、そこからDFを背負っても反転して違いを作るってが彼の最大の長所です。ここでもプレーの選択は的確ですし、若干強引な所もありますが、それもまた彼の長所の一つです。この面では、彼はこれといって短所がない選手でして、ロッシは「意外性に欠ける所がある」と言ってはいますが、トップ下に置いている限り、彼がプレーの選択自体を間違うことはそうないので、僕は問題ないと思ってます。(WGにおいとくと、ちょっとアレですが。。。)
攻撃面のタクティカルは申し分ありません。ただ、欠いているポイントもあって、これ、彼のフィジカルと関係しているのですが、センターフォワードが空けたスペースに走り込んでパスをもらい、そこから一気にフィニッシュかラストパスってプレーは得意とはしてません。基本的に10番的なスタイルの持ち主でして、パスを貰ってフィジカルを活かしたボールキープから反転して違いを作り出す(ミドルシュートやラストパス)ってプレーを好みます。オフザボールの動きでマークを外し、CFが空けたスペースを使って裏に抜けてフィニッシュっていうプレーはそれほど得意じゃないってことです。そーいうプレーはミランのボアテングが得意なプレーです。
タクティカル(守備面)の場合、トップ下においておくならともかく、サイドで使ってしまうと、SBとの走り合いになったら不利ですし、やっぱり攻撃の時に良さがでないってのがあります。マークや、アンティシペーション、インターセプトの能力が高い訳ではないので、相手チームにWGとボランチの間のギャップを狙われる可能性が高いです。(トップ下に置いておく限り、こういった問題は起こりません)
最後にメンタル面になりますが、これは問題ないでしょう。日本代表のリーダー的存在になってますし、ビッグクラブでも問題ないと思います。
このあたりは、ロッシと同じ結論なんで、目新しい話はできないし、ほとんど二番煎じなのですけどね。
まとめちまうと、この選手はトップ下で10番タイプの選手だって事です。器用な選手で、SHやCH,インサイドハーフも出来ますが、そっちで使うと良さが半減します。2ライン間でドーンと構えてパスをもらい、そこから違いを作る10番タイプの選手でして、それやらせないなら本田でなくてもいいだろって話です。10番タイプのプレースタイルの選手は、トップ下に置いとくのが一番いいんです。
ミランに本田が移籍したとして、ミランは本田必要なの?という話
最初に言っときますが、もし、来期のミランがハイプレスかけてダイナミックなトップ下の飛び出しを主軸にした戦術取るなら本田はいりません。そもそも、それならミランはボアテングのトップ下に戻せばいいだけだろって事です。
ただ、それは絶っっっっ対にないです。
理由としては、ミランのCFはバロテッリで、こいつはハイプレス何それ美味い?ってプレーヤーです。コンフェデで日本代表がボールをポゼッションできた理由の一つはバロテッリの怠慢守備でして、バロテッリ使う限り、ミランはハイプレスなんて出来ません。単に怠慢なだけなんで、アッレグリがバロテッリの性根をたたき直せれば別ですけど、バロテッリが変わるとは思えないので。
また、バロテッリの話になるんですけど、イブラみたいに前に張らずに頻繁に2ライン間に降りてくるってプレーヤーではなくて、前にデーンと構えてパスよこせ、あとは俺が決めるから、みたいな選手なんでボアテングとの相性最悪でございます。これ、セリエ専門のサッカーライターの片野さんだったり、ロッシと同意見なんですが、バロテッリとボアテングの戦術的な相性は最悪に近いです。イブラとボアテングは相性抜群でしたが、バロテッリとボアテングは最悪って事です。こいつは昨期のミランが序盤糞化した理由でもありますが、トップ下のボアテングの飛び出しと降りてくるCFのイブラって戦術をそのまま今シーズンもやろうとしたのがそもそもの間違いでした。
で、ミランは本田が必要なの?って話になると、来期のミランは4312をオーナー命令でやるっぽいので、トップ下に10番タイプを必要としてます。つまり、本田はミランのニーズにフィットしてる訳です。
簡単に言えば、ミランは4312やるならエルシャーラーウィーとバロテッリにラストパスを出せるトップ下が必要って事です。
ミランが目をつけてたトップ下は、国内だとボローニャのディアマンティだったみたいですが、ボアテングとロビーニョが売れず獲得資金を作れないし、年齢的な問題もあるので、コンフェデのイタリア戦で活躍し、冬にフリーで手に入る本田にターゲットを絞った感じです。
えっと、ディアマンティは取れないっぽいので、現状来期のミランで、トップ下やれそーなのって、本田か、今期からミランに加入した若手のサポナーラくらいになります。
Riccardo Saponara 2012/13 HD - Paradise - YouTube
Riccardo Saponara - All goals - 2012/13 - YouTube
僕は、サポナーラ良く知らないんで、動画だけ張っときます。とりあえず、なんですけど、現状、来期のミランでトップ下はれそーなのって、本田とサポナーラくらいなんじゃないの?ってがのあります。エルシャラはWGタイプでトップ下の選手じゃありません。
えっとですね、ロッシは本田について、「ミランでレギュラーとして通用するだけのポテンシャルがある」って言ってます。なんで、僕は、ミランに夏にいけるなら、そんな心配はいらないと思ってるんです。ボアテングは、例えミランに残留しても、バロテッリとの相性の悪さからトップ下では使われないだろうってのが僕の見立てです。
ミランについたら本田は、サポナーラとトップ下のポジションで一騎打ちって感じになると思ってます。流石に今回はエアーはないので、本田のミラン移籍は決定したものとして扱っていいと思います。WSDにグアルディオラのバイエルン移籍をすっぱ抜いた記者のコラムがあるんですが、そこでも本田のミラン移籍は決定事項みたいに扱われているので、もう、決定でいいでしょって事で。
ミランでスタメン取れるかどうかは、4312の場合、サポナーラとのレギュラー争いに勝てるかどうかなんで、サポナーラって選手がどんくらいの選手なのかって感じなんです。そんな訳なんで、ミランのキャンプが始まったら、練習試合とかでサポナーラって選手についてチェックしてみよーかと。僕はエルシャラが好きなんで、時々ミラン見るんですが、本田の件もありますし、サポナーラって選手について、ちょいとチェックしてみようとは思います。
本田が不味い状況におかれるのは、夏に移籍できず、サポナーラのトップ下がミランでフィットしちまって冬にきたら居場所がなかったみたいな場合ですんで、出来れば夏に移籍してほしい・・・というのはあるんですが。CSKAとミランの交渉次第ですな。
ロッシはサポナーラについて、あんま詳しく触れてないし、片野さんはサポナーラについてドリブルと飛び出しが得意なFWタイプって言ってて、バロテッリとの相性良くないんじゃね?みたいな事言ってますが、こればっかりは蓋空けてみないとわからないのでね。
まとめると、本田については、今のミランでトップ下できる能力はあるんだけど、サポナーラとのレギュラー争いに勝たないといけないよ、という事になります。4312のインサイドハーフだと、バロテッリが守備やらない分、守備負担がきつすぎて本田の良さがでません。
今日はこのあたりで。それでは。