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今シーズンの清水エスパルスの話+J1第3節湘南対清水のプレビュー

さて、みなさん、こんにちは。本日は今シーズンの清水エスパルスの話をしたいと思います。まだ開幕2試合なのに、清水の話とか出来るのかよ!とか、そういうい突っ込みが来そうですけども、清水さんは監督も変わってませんし、去年とそう変わらないサッカーをしているので、とりあえず、去年の話も含めて、清水の話をしようと思います。内容は、主に清水の守備の話が大目になります。攻撃の話は去年もしたんで。


清水エスパルスの基本フォーメーション


さて、まずはこの話から入ろうと思います。出来るだけ簡潔に今日は行きたいと思ってます。清水エスパルスってチームですが、アフシン・ゴドビ監督が就任して以来、基本フォーメーションは433です。先日のマリノスとの試合では、清水のフォメとスタメンは



こういうメンバーで433でした。


えっと、このチームの特徴なんですが、日本では珍しい433フォメを使うって所です。3トップは日本では珍しいです。両サイドにはSHというよりWGといったほうがいい選手を起用しており、守備においても対面のSBについていくってのが彼らのメインタスクです。なんで、オランダの香りがする433となっています。WGを使った433のサッカーです。


基本的に、清水というチームは433に忠実なサッカーをやるチームでして、サイドチェンジを多用しながらWGを使って崩すサッカーをやってきます。速攻でも遅攻でも、WGを組み立ての基準点として使ってきます。今年、アンカーに入ってる杉山なんかサイドチェンジ上手です。この辺りから、アンカーとWGを使ったサッカーやりたいってゴドビ監督の熱意が伝わってくるんですが。


ただ、去年に限っていえば、もう一つ、組み立ての基準点となるべきCFに適切な人材がいないという問題を抱えておりまして、ロングボールの基準点としてのCFがいなかっため、ロングボールでの局面打開が難しかったり、WGとCFのコンビネーションによる中央突破などが無いチームになってました。(去年の清水の全ゴール集を見ましたが、中央をWGとCFがコンビネーションで崩すってゴールがほとんどない)


そのため、自慢の両WGを抑え込まれてしまうと、局面を打開しにくくなるという欠点を去年は抱えており、WGが抑えこまれたり、WGのコンディションが悪い時は、攻撃のオプションが極端に少なくなってしまうという問題を抱えてしまっていました。清水の場合、セットプレーであまり点が取れないチームだったのも関係しているんですが、去年に限っていえば、WGへの依存度、とくに大前への依存度は非常に高いチームでした。


なので、大前がDFに抑え込まれたり、大前の対面のSBが頻繁のオーバーラップしてくるようだと、大前の位置を下げられてしまって、カウンターの時に大前が使えない、っていう問題に去年は悩まされていました。


で、今年なんですが、そういったWGへの依存度を減らす為に、オフにバレーの補強に動いています。バレーはJ1でも実績十分な選手ですので、そのあたりを買ったんでしょう。ただ、ワントップがハマるかどうかってのは、もうちょい見てみないと分かりません。石毛と高木の両WGにバレーのワントップかあ・・・と。とにかく、攻撃については、もうちょい見てみないと、なんとも言えない部分が多いので、今日は主に清水の守備に話を絞って話をしようと思います。攻撃については今年からスタメン取ってるイミンスやバレー、石毛あたりがどの程度、シーズン通して動けるか、まだよくわからないんですわ。


一応、攻撃面の話を補足程度に書いておきますが、清水のメインの攻撃手段はWGを使ったサイドアタックになります。WGが引く動きで相手のSBを釣り出し、その裏にSBやCFを走り込ませてSBの裏を取るってのをよくやってきます。また、WGが中央にダイアゴナルに走り込んだり、SBとCBの間にポジショニングすることで、相手のSBを中央に絞らせて、サイドにスペースを作り、SBをオーバーラップさせるってのも得意です。サイドチェンジからこういったサイドアタックでの局面打開を仕掛けてきます。


センターアタックは、WG、CFボランチの連携からの中央突破も勿論オプションとしてありますが、今のところ、あんまりチームとして上手く行ってないという印象です。


また、今年からバレーがいるので、バレーへのロングボールも多用してます。これは湘南戦では多用してくるのは間違いないでしょう。バレーはなんだかんだでタッパがありますからね。やり方としてバレーが引く動きでロングボールの的になり、WGが中央に斜めに走り込み、バレーがヘディングでフリックしたボールを受けて裏に抜け出すって攻撃を狙ってきます。あるいは、バレーに当ててボランチに落とすか。そのどっちかです。


あと、セットプレーに関しては、一ひねりしてくるチームなんですけど、優れたプレースキッカーがいないせいもあって、去年はそれほど点はとれてませんでした。先日の試合だと、CKでスクリーンプレーでバレーをフリーにするってのをやってましたが、点は取れてませんでした(バレーをフリーには出来ていたんですけども)。セットプレーを見てると、無策では決してないんですけど、やっぱりプレースキッカーの質の問題かなあ、と。

清水エスパルスの守備と3ボランチ・システム


さて、本日は、主に清水の守備の話をします。えっと、この433ってのは3ボランチシステムの代表格の一つで、3ボランチを使うシステムとしては4312と433があります。で、こういったシステムの泣き所なんですが、



ここで囲ったエリアの守備がボケやすいって所になります。いわゆる3ボランチの両脇問題です。あそこのゾーンはデフォだと空いているため、ここで起点を作られやすいんです。ただ、単純にここに展開するだけだと、清水の思う壺だったりするんですが、何でかというと、これ清水対大宮の試合で説明しますけど、



こういう風にSBとボランチ一枚、WGで一気にサイドでボールホルダーを囲い込んでボールを取りに来るからです。これが清水の狙いで、この形でボールを奪い取ってカウンターに繋げよう!という奴です。図でやりますけど、




これですね。狙いとしては、普段は空いている3ボランチの脇のスペースですが、あそこにボールがでたら、そこを狙ってSB、ボランチ、WGで囲い込みに行くって奴です。良いときの清水は、ここでボールを刈り取ります。


ただ、これ、相手チームも、こういう形でプレスやってくるってのはすでにわかってるわけで、単純にこの形でサイドでプレスでハメ殺しにするって事は難しくなってます。これは大宮戦でもマリノス戦でもそうだったんですけど、これらのチームは、清水のプレス回避の為に練習積んできてるのが、試合みてすぐわかりました。どういう事かというと、大宮戦での4分のシーンで、大宮がやった攻撃がそうなんですけど、








こういう形になるんですけどね。


えっと、これがなんで、清水にとって問題を引き起こすのかっていうと、一回、左サイドに当てて、相手の守備ブロックを左サイドに引き寄せてから右サイドに展開ってのを狙われると、清水のプレスは完全に空転してしまい、一気に危険なゾーンまでボール運ばれるんです。つまり、サイドにボールが出たところで取れなかったら、





この赤で囲ったエリアを相手チームに使われてしまうんですね。442の場合、あそこをSHにカバーさせますけど、清水の場合、433ですから、あそこのカバーはいないんです。だから、プレス回避されて、あのエリアにボール入れられると、一気に崩される危険性があるわけです。大宮は、このシーンでは、見事にそこを突いています。


これ、似たような形で大宮に前半9:03にも、やられています。一回、右サイドに当てて、清水の守備ブロックをサイドに絞らせてから、逆サイドに展開って流れでした。そこから一気にサイドを抉られてます。同じ形で12分にもやられてます。


これ、相手をサイドに追い込んだらボールサイドで人数かけてボール奪いに行くってチームが大概抱えてしまう問題なので、コレ自体はどうしようもない部分があります。ベルマーレもハイプレスのチームですが、ハイプレス突破されてしまうと非常に脆いです。高い位置からプレスにいってサイドに追い込んでボール取ろうとするなら、リスクを取らざるを得ないんです。取れればカウンターにいけるわけですから、取れればいいだけなんですが、取れないと・・・その後は悲惨です。


現在、清水さんなんですが、左SBのイ・キジェの離脱は本当に痛いです。清水のやり方の場合、SBにはボールを狩る能力であったり、上がってクロスを供給する能力のみならず、フィルター無しで守りきる能力も求められてます。どういう事かというと、3ボランチなので、時間帯や状況によっては、MFのフィルター無しでサイドの守備をやらないといけないんですけど、そこで守りきる能力が求められます。イキジェは、それが結構できる選手でして、ヨンアピンとイキジェの左サイドを崩すのは相当難しいです。ただ、彼が怪我で離脱してるんで、対戦チームとしては守備面でも攻撃面でも、非常に助かってるのが現状です。


現状、清水さんの守備をみてると、イキジェの離脱でSBの守備の所で問題が生まれているってのが僕の感想です。


えっと、清水の試合をPSMから3試合ほどチェックしてみて、現状、問題があるな、と思った一番のポイントがSBの所でして、ボールをサイドに追い込んでもボールを取り切れない、SBが頻繁にマークを外してしまっているってのが気になってます。イキジェが戻ってくるまでは、この辺りは落ち着かないかもしれません。


清水は守備のやり方として、サイドにボールを追い込んだ時、SBを前に出してボランチ+WG+SBでボール取りに行くんですけど、当然、SBの裏にはスペースが出来ますし、ボールサイドに全体をスライドさせる分、逆サイドにはスペースが出来てしまいます。そこを使わせず、ボールを取れる時の清水ってのは強いです。ただ、それが出来ないとチームとしてグダグダになってしまいます。守備で上手くボールを取れず、攻撃まで上手くいなくなるっていうアレな連鎖が起きちゃうわけです。


ここまでの試合見てると、両SBが裏を取られてしまうケースが頻発してまして、明らかに清水の問題になってます。もっとも、去年からすでにここは問題になってたんですけど、それでもヨンアピンが超人的な守備力で何とかしてたんで、SBの裏を取られたら、あとはヨンアピンが何とかするってのは、これからもあんまり変わらないとは思うのですが。


さて、次の問題ですが、清水の守備みてると、右SBと右CBの連携が上手くいってないように見えます。これ、マリノス戦での2失点目の兵藤のゴールがそうなんですけど、






これです。ココ、何であんな簡単に兵藤に裏を取られちゃったんだ!?というアレで、右SBは兵藤見えてるんですから、兵藤についていくか、兵藤の動きをCBに伝えないと・・・というアレです。それでなんですけど、これ、大宮戦でも、大宮にやられているんです。63分にチョヨンチョルに右SBと右CBの間から裏に飛び出されてボール受けられています。2試合連続で、右SBと右CBの間から裏に抜け出されるって形を作られており、これ、大きな問題です。去年、19節のマリノス戦でも、大黒に右SBと右CBの間から裏に飛び出されて失点してますけど、ちょっと、今年のエスパルス、あそこが緩すぎると感じてます。去年と比較すると、ちと考えられないな、と。右SBと右CBの間でボール受けられたり、裏に抜けられたりって形を作られすぎてるので、あそこは何とかしないと不味いです。ヨンアピンが過労死してしまいます。


現状の清水の守備の問題は大きく分けて三つでして、箇条書きすると、

  • 両SBの裏を取られやすい。PSM磐田戦、大宮戦、マリノス戦でSBが裏を取られるのが目立った。チーム全体の守備意識を去年並に上げないといけない。
  • アンカーの両脇のスペースでボールを受けられるのが目立つ。大宮戦とマリノス戦で頻繁にあそこにボールを通されていた。
  • 右SBと右CBの連携不足。ヨンアピンがCFについて前にでていった時のカバーをしっかり行わないといけない。

って所です。三つ目ですけど、ヨンアピンは結構、相手CFについて前に出るので、その裏のカバーの意識をもっと上げないといけません。アンカーの両脇に降りてくるCFはヨンアピンがマークする訳ですし、その裏のカバーはきっちりやらないと。


とりあえず、まだ3試合しか見てない訳ですけど、今シーズンの清水の守備に関して、気になったのはこの三つです。


週末の湘南対清水のプレビュー

最後に週末の試合のプレビューやって終わります。この試合は、BMW平塚スタで行われますので、お近くの方は是非スタジアムまでお越し下さい。


さて、週末の試合なんですが、清水の方は、週末の試合までに、上記であげた守備の問題をどこまで解決できるかがキーになります。なんだかんだで、ゴドビさんは、主力が大流出した清水を立て直してきた訳ですから、僕は時間さえあれば、ゴドビさんはチームを立て直すと思ってます。個人的にですが、できれば週末の試合では、上記であげたような清水の守備の問題が解決しきってない事を祈ってるのですが。


清水さんなんですけど、現在、湘南と同じような悩みを抱えているチームになってます。つまり、ボールをサイドに追い込んでもなかなか取れないって奴です。湘南はJ1のチーム相手になかなかボール取れずに苦労してる所です。これはJ2から昇格したチームがJ1のスピードに慣れるまでは大概悩まされる問題なのでしょうがないです。清水さんのほうは怪我人がでて左SBが離脱しちまった所からチームがgdgdになってる感じなので、イキジェが帰ってくるまでは台所事情は厳しいと思います。


清水のゲームプランとしては、攻撃では、まず間違いなくバレーへのロングボールになります。バレーが入ってから、清水はバレーへのロングボールを多用してますが、ターゲットマンがいるなら、あれで良いと思います。バレー、石毛、高木だけで点が取れるなら、あれはあれで良いんです。大宮にもロングボールから点とってますし、湘南のDFは背丈はないので、ロングボールは絶対狙ってくると思います。


一方で、ボールを繋いで来るプランとしては湘南がプレスをかけにくいSBの所からのサイドチェンジ、SBによる湘南の高いラインの裏を狙ったアーリークロスを狙ってくると思います。逆サイドのWGが斜めに走り込み、そこにSBがアーリークロスあげるって形ですね。バレーに湘南のDFは引っ張られるので、逆サイドから斜めに入ってくるWGのマークはボケやすいはずです。


ぶっちゃけ、攻撃面に関しては、まだ今年の清水に関しては、よくわからない部分が多くて、イマイチ予想が出来ません。清水さん、433と442を今年は併用してるんですけど、どっちに落ち着くのかがよくわからないんです。442のほうがバレーはプレーしやすそうな気もするし。


この辺り、清水の攻撃面に関しては、ゴドビさんがいじってくる可能性があるので、週末の試合は不確定要素が多いです。チョウさん、対442の場合と対433の場合で守備練習を二通りしてると思います。特に433相手の場合、湘南はプレスのかけ方をいじらないといけないため、練習が必須ですし。



一方で、湘南なんですけど、清水さんが怪我人でたりしてるのと、チームとしての連携が上手く行ってない今がチャンスって試合です。攻撃で連携が取れてきて、ベスメンの清水さんだと、正直厳しいというのが僕の印象なんです。去年のよい時期の清水さんの相手をするのはかなり厳しい。


ただ、今の清水であれば、湘南としては勝ち目が十二分にあるので、次のホームでの試合では絶対に勝ちたい所です。


勝ち目があるっていう理由は、現在、清水さんは、SBの裏のスペース、右SBと右CBの間のギャップ、アンカーの両脇って三つの問題を守備で抱えているチームだからで、サガン鳥栖、横浜FMと比べると、守備面ではワンランク落ちる状態ってのが僕の感想だからです。鳥栖や横浜FM相手に点は取れてる訳ですし、今の清水だったら、湘南は点は取れます。


週末の試合のキーパーソンは、シャドーの二人です。彼らが、どれだけアンカーの両脇のスペース、SBとCBの間のギャップを使えるか、そしてSBの裏のスペースをWBと連携して、どれだけ突けるかにかかってます。湘南は3421なんで、清水さんの433とは完全なミスマッチ対戦なんですが、攻撃ではこのミスマッチを利用して、如何に上手く攻撃できるかにかかってます。


守備面でもキーになるのはシャドーの守備で、清水のSBへの寄せをどれだけ素早くシャドーが出来るかにかかってます。ここでのプレスが遅れると、清水のSBは足下良いので、危険な事になります。システムがミスマッチしている為、シャドーとWBにかかる守備面での負担は半端じゃなくなりますが、ここで走り負けたら駄目です。システムがミスマッチしている為、1度押し込まれると危険な事になります。押し込まれるのは極力避けたい所です。


あんま詳しく書きすぎると、試合後のレビューで書くことがなくなってしまう可能性があるので、この辺りにしておきますが、清水さんは、今、あまりチーム状態がよくないっぽいので、本当に勝ちたい所です。


それでは今日はこのあたりで。皆様、ごきげんよう。